三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん

文字の大きさ
125 / 209
王立能力学園・工学部発明学科編

125 サンタさん、ハンター生活を楽しむ

しおりを挟む
 1か月間の休みの前半は、主に魔術具採掘をして、2つの未発見魔術具と、1つの簡易空間魔術具、そして金属加工に必要な魔術具を2つ発見できた。
 まああれだ・・・シリスが魔術具の魔核から放出される微弱な魔力を感知して、ここ掘れって指示を出してくれたからこそ採掘できたんだけど。

 今回採掘した魔術具は、全部私が所有しても構わないと最速踏破者の全員が許可してくれたので、トレジャーハンター協会に採掘登録はしたけど売らず、競売にも出品しないで学園に持ち込むことにした。
 生活日用品的な魔術具は、最速踏破者がハンター協会に売った。

 休みの後半にはお爺様もやって来て、今のファイト子爵家の様子を聞いたり、子爵になったことを報告したりした。
 従姉のナリスティア12歳は、先日王立高学院の芸術学部に合格し、クソババア2号オバサンと一緒に寮に入るための準備を王都でしているらしい。
 お爺様はナリスティアには一切の援助をしていないので、寮生活になったとか。

 オバサンは、伯父アイガーから私が準男爵になったことは聞いているけど、その後男爵になったことは聞いていないようだ。
 伯父は私が本当に子爵になれるとは思っていないらしいけど、今後私たちに関わったら長男のアルシスにも援助しないと、お爺様は長男夫婦を脅しているそうだ。

 オバサンは、長男のアルシス10歳が2年後に王立能力学園に合格したら、自分も中流地区に屋敷を借りて生活すると、今から張り切っているんだとか。
 私たち親子は、一般地区の借家で貧乏生活をしていると思い込んでいるらしく、頼られても絶対に相手をしないとお爺様に宣言したんだって。

「じゃからわしも言ってやったわ。お前たち親子も、決してルクナ親子に迷惑を掛けたり頼ったりするなとな」

 お爺様は私の8歳の誕生会にやって来た時、私と兄さまが王子や王女の友人になっていたと知り、今度こそ真摯に私たち親子を守ろうと決心したそうだ。

 既に王様から名誉侯爵に叙爵されているけど、それは言わない方がいいだろうと判断し今回は報告していない。

 ……もしも上流地区の離宮を貰ったと知ったら、あのオバサンは図々しく押し掛けてくる気がするもん。

 お爺様は自分の発明した魔術具の収入を、これまで6割子爵家に入れていたけど、1年前から3割しか入れていないそうで、その3割は子爵家の維持費で全て消費されている。
 アイガー伯父さん親子は、自領の初級学校の校長としての給料と、領地経営補佐としてお爺様から貰う給料で生活しているけど、結構な高給取りらしい。

 ……お爺様は、次男のカーレイル叔父さんの家購入の援助をしたいみたい。今度カーレイル叔父さんに会ってみよう。



 ああそうそう、チーフにはちゃんとお礼の空間拡張ウエストポーチをプレゼントしたよ。凄~く喜んでくれた。
 サブチーフには、ガリア教会の調査で潜った古王国シャングラ遺跡で倒した地底生物で作った、頑丈だけどよくしなる鞭をプレゼントした。
 愛用していた鞭がボロボロだったから、泣いて喜んでくれた。

 ハンター生活の残り3日間、兄さまにはホッパー商会で勉強してもらって、アレス君とシリスと最速踏破者で、側道から地上へと出てみた。
 7月以降、銀級・金級ともに危険すぎて誰も地上には出ていないらしい。
 私たちは危険察知能力が高い光猫のシリスが居るから挑戦できたんだけど、3日間で白金貨6枚分を稼いだ。

 巨大なトカゲも久々に2頭討伐したし、ブラックウルフも4頭討伐した。
 1番の高額査定は、7色に輝く鱗を持つ2メートルを超える巨大魚だった。
 1枚の鱗の大きさは5センチくらいあり、宝石の如く輝き、おまけに8センチの魔核まで取れた。
 ゲートル支部始まって以来の高額査定だと、鑑定士でもあるチーフが興奮しながら言ってた。

 私とアレス君が白金貨1枚ずつ貰って、残りの4枚は最速踏破者で分けることにした。
 貰い過ぎだと皆が言うから、7色に輝く魔核は売らず、私とアレス君からエルドラ王子にプレゼントすることにした。


 王都に帰る前日、特室の宿泊料金を払おうとしたら、1人金貨1枚、3人で金貨3枚でいいと言われた。
 巨大魚を競売に掛けたら結構な利益になるだろうからと、半額にしてくれた。

「1人金貨1枚は安いけど、サンタさんがプレゼントしたウエストポーチは、買えば金貨5枚以上だし、サブチーフの鞭だって金貨8枚はするよ。
 しかも今回、僕とサンタさんが助けたハンターは数えきれない。今では僕まで天使様と呼ばれている。貢献度も考慮した値段だよ」

 アレス君は、はははと苦笑しながら当然の配慮だと言う。

「ホッパーさん曰く、もしも最速踏破者が、ブラックウルフと7色の巨大魚を競売に掛けていたら、協会の手数料を引いても白金貨10枚以上にはなったはずだって。
 アレス君がプレゼントした鱗を見て、絶対に競売に参加して10枚以上ゲットするって張り切ってたよ。宝飾品として加工すれば貴族に白金貨1枚で売れるって」

 どうせ誰も利用しない部屋なんだから、タダでもおかしくないとホッパーさんが怒っていたと、兄さまはちょっと不機嫌そうに付け加えた。

 ……鱗1枚が、白金貨1枚で売れる? それじゃあ、競売価格は1枚金貨3枚くらいの値が付くってこと? 鱗って何枚くらいあったんだろう・・・

 私も鱗を2枚抜いておいたから、母様と王女様用にポッパー商会で宝飾品として加工してもらって、私と兄さまからのお土産としてプレゼントしよう。


 翌朝、私はゲートル支部が預かってくれていた、イオナロードの権利収入の白金貨6枚と今回の白金貨1枚を受け取り、これで子爵らしい支度ができると安堵した。
 私も兄さまも成長期だから、毎年服や靴を新調する必要があるし、新しい護衛や執事も雇わなきゃいけない。は~っ・・・

 あとは、今回採掘した魔術具を学園に売ってお金を稼ごう。
 王立能力学園工学部は、毎年数点ハンター協会から魔術具を買っているので、未知の魔術具は絶対に購入すると思う。
 

 出発の時がきて、ゲートル支部のハンターたちに、直ぐに戻ってきてと泣きつかれ、最速踏破者の皆も寂しそうだった。
 私も寂しいけど、また冬期休暇に戻るねと笑顔で手を振った。 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

【完結】侍女が王女に転生?!英雄と結婚して破滅の国を救います!

カナタカエデ
ファンタジー
八十歳で生涯を終えた、元王宮侍女カリナ。 その最期の瞬間――枕元に、かつて仕えた王女アメリアが現れた。 「お願い…私の人生をやり直して。国を、私を、救って――」 次に目を開くと、カリナは十八歳の“王女アメリア”として転生していた。 彼女は知っている。 このままでは王国は滅び、愛する主君が破滅する未来を。 未来を変えるため、アメリアは 冷徹と噂される英雄ヴァルクとの政略結婚を選ぶ。 これは、かつて守れなかった主人のための転生。 そのはずなのに――彼への想いは、気づけば変わり始めていた。 王女と英雄が紡ぐ、破滅回避ラブファンタジー開幕。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 挿絵はA I画像を使用 10/20 第一章完結 12/20 第二章完結 2/16 第三章完結 他サイト掲載 (小説家になろう、Caita)

深遠の先へ ~20XX年の終わりと始まり。その娘、傍若無人なり~

杵築しゅん
ファンタジー
20XX年、本当にその瞬間がやってきた。私は宇宙の管理者に1番目の魂の扉に入るよう指示され、扉を開け一歩踏み出したところで、宇宙の理の渦(深遠)の中に落ちていった。気付けば幼女に・・・これはもう立派な宇宙人として、この新しい星で使命を果たすしかない・・・と思っていたこともありました。だけど使命を果たせるなら、自由に生きてもいいわよね? この知識や経験を役立てられるなら、ちょっとくらい傍若無人でいいってことよね? 暗殺者や陰謀なんて無関係に生きてきたのに、貴族の事情なんて知ったこっちゃないわ。早く産業革命してラブロマンスを書くのよ!

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

酒の席での戯言ですのよ。

ぽんぽこ狸
恋愛
 成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。  何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。  そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。

木山楽斗
恋愛
平民であるフェルーナは、類稀なる魔法使いとしての才を持っており、聖女に就任することになった。 しかしそんな彼女に待っていたのは、冷遇の日々だった。平民が聖女になることを許せない者達によって、彼女は虐げられていたのだ。 さらにフェルーナには、本来聖女が受け取るはずの報酬がほとんど与えられていなかった。 聖女としての忙しさと責任に見合わないような給与には、流石のフェルーナも抗議せざるを得なかった。 しかし抗議に対しては、「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」といった心無い言葉が返ってくるだけだった。 それを受けて、フェルーナは聖女をやめることにした。元々歓迎されていなかった彼女を止める者はおらず、それは受け入れられたのだった。 だがその後、王国は大きく傾くことになった。 フェルーナが優秀な聖女であったため、その代わりが務まる者はいなかったのだ。 さらにはフェルーナへの仕打ちも流出して、結果として多くの国民から反感を招く状況になっていた。 これを重く見た王族達は、フェルーナに再び聖女に就任するように頼み込んだ。 しかしフェルーナは、それを受け入れなかった。これまでひどい仕打ちをしてきた者達を助ける気には、ならなかったのである。

処理中です...