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王立能力学園・講師、発明家編
150 未使用の魔術具(1)
王宮で保管されている魔術具の中に、起動できない未使用のものがあると王様は先日言っていた。
だからアースドラゴンの魔核を売ったんだけど、鑑定できていない魔術具もあるって騎士副団長が追加情報で教えてくれた。
……ああ、少し前まで高度文明紀の文字が読めなかったからだ。
『でも、戦争に役立つ魔術具なんて無いでしょう? ショーニスさん』
『いや、俺が生きてた時代にはあったぞ。ドラゴンや巨大生物と戦うための魔術具や、侵略者に対し国を護るための武器に近い魔術具が』
『あら、私の時代にも危険な魔術具があったわよ。正確な使用法方が分からないまま起動し、爆発したり強大な炎を吹き出したりとかするやつがね』
高度文明紀のショーニスさんと、星の再生紀のパトリシアさんが、物騒な発言をしてびっくりした。
……あるんだ。いや、あったんだ。
『まあ、同じような魔術具が王宮にあったとしても、起動できるかどうか分からないし壊れている可能性もあるから、あまり期待はできないけどな』
「分かった。魔術具の方は、鑑定士学部と発明学科の教授に任せよう。
私とアレス君は、先に空間拡張バッグを作る。明日にでもアロー公爵が出発するかもしれないし、私たちと一緒に使用登録しなきゃ使えないから」
私は2人の守護霊から聞いた話を、アレス君と王子と王宮騎士副団長にも伝えて、自分のこれからの予定を決める。
魔術具の確認は忙しい王太子に代わり、王子に教授たちの招集をかけてもらうことにした。
空間拡張バッグ作成は、どんなに急いでも朝までかかるから、徹夜に備えて王城の帰りに食料をたくさん購入し、ホッパー商会に寄って丈夫そうな革のバッグを購入した。
一般人には開戦についての情報はまだ公表されていないので、ホッパー商会のドレン王都店店長には開戦のことを教えておいた。
「それでは、商会にある地底生物素材のバッグやリュックやウエストポーチで、空間拡張バッグに使えそうなモノは全て、サンタさんとアレス君がお持ちください。
開戦が正式に発表されたら、商会や商店は軍や国に商品を接収される可能性があります。他にも必要な物があれば、遠慮なく全て持っていってください」
そう言いながらドレンさんは、棚に展示してあったバッグを始め、店の奥に保管してあったリュック等を全て、私のリュックに収納するよう用意してくれた。
アレス君のリュックには、商会にあったカラ魔核や魔法陣を書くための羊皮紙や高級紙なんかを、あるだけ詰め込んでくれた。
「お金は要りません。戦争に負けてしまえば全てを失うことになるのです。
後程、我が商会にある未使用の魔術具を学園にお持ちします。何かの役に立つようでしたら遠慮なくお使いください」
「ありがとうドレンさん。私も大賢者としての責務を精一杯果たすよ。
アレス君と一緒に頑張って空間拡張バッグを作るから、商業連合の会長に学園に来るよう伝言を頼んでもいい?
国が買ってくれるはずだけど、販売は商業連合を通して行う契約なんだ」
もしかしたらタダで提供しなくちゃいけないのかもしれないけど、買ってくれるなら契約は守らなきゃいけない。
「承知しました。明日の早朝、学園の発明学科に向かうよう必ずお伝えします。
他に必要な物があれば、深夜でも構いませんので連絡してください。
開戦の情報をありがとうございます。どこよりも早く動くことができます」
ドレンさんは、半日でも早く情報が手に入るということは、商会にとってとても利になるのだと喜んでくれた。
いや、こちらの方がお世話になりっぱなし、甘えっぱなしだよ。
……本当に有難い。そうだ、あれをお礼にプレゼントしよう。
「ドレンさん、確か1センチのカラ魔核に充填できるようになったんですよね?
これ、試作品ですが、2メートル四方の収納量があるウエストポーチです。
魔核を充填するんじゃなくて、魔力を流せば使用できます。
ただ、使用する人を限定できないので、盗難には気を付けてください」
「えっ、1センチのカラ魔核に充填できる程度の私でも使えるんですか?」
凄く驚いた顔で私を見たドレンさんに、まだ特許を取ってない試作品だから口外しないでねと笑って、使えるかどうかを試してもらう。
この空間拡張バッグには、既に充填された4センチの魔核が取り付けてあり、魔力さえ流せば使用できるという優れものだ。
この前から、アレス君と試行錯誤して完成させた試作品である。
「使えます大賢者様! ああ、なんと有難い。これで商会の貴重品を収納できます」
ずっと空間拡張バッグが欲しいと言っていたドレンさんは、涙を流して喜んでくれた。
3歳からお世話になりっぱなしのホッパー商会に、少しでも恩を返せただろうか? まだ全然足りないと思うけど、今というこの時に渡せて良かった。
きっと明日には、国中が大パニックになるだろうから。
学園に戻った私たちは、急いでツクルデ教授の研究室に向かった。
残念ながらツクルデ教授やメーナイ教授は、私たちとすれ違いで王宮へと向かったらしい。
時刻は午後7時を過ぎており、学園に残っていた教師は、情報未公開で混乱していた。
私は事態を知らせるため、学園に残っていた学園長の元へと向かった。
学園長の執務室には、警鐘を心配したツクルデ教授とメーナイ教授以外の学部長が揃っていて、入室した私に緊張した視線を向けてきた。
「サンタさん、いや、大賢者様、王様の容態は、王様はご無事なのですか?」
国王の弟でもある学園長が、立ち上がって質問する。
……ああ、私が王宮に向かったのは、王様が呪術で倒れたって連絡を受けたからだった。
「王様は、まだ意識が戻られていないと思います。ですが、重篤なご様子ではありませんでした」
嘘じゃない。凄く苦しそうじゃなかったし、あの呪符には倒れるとしか書いてなかった。呪符に気付かなければ、命は無かったかもしれないけど。
「それでは何故、警鐘が、王宮の警鐘が鳴ったのでしょう?」
学園長から呪符のことを聞いたらしい魔術師学部のエバル教授が、怪訝そうな表情で質問してきた。
「あの警鐘は・・・フーッ、明日正式に発表されますが、ザルツ帝国が我が国に行軍を開始しました。5日後には国境に到着します」
だからアースドラゴンの魔核を売ったんだけど、鑑定できていない魔術具もあるって騎士副団長が追加情報で教えてくれた。
……ああ、少し前まで高度文明紀の文字が読めなかったからだ。
『でも、戦争に役立つ魔術具なんて無いでしょう? ショーニスさん』
『いや、俺が生きてた時代にはあったぞ。ドラゴンや巨大生物と戦うための魔術具や、侵略者に対し国を護るための武器に近い魔術具が』
『あら、私の時代にも危険な魔術具があったわよ。正確な使用法方が分からないまま起動し、爆発したり強大な炎を吹き出したりとかするやつがね』
高度文明紀のショーニスさんと、星の再生紀のパトリシアさんが、物騒な発言をしてびっくりした。
……あるんだ。いや、あったんだ。
『まあ、同じような魔術具が王宮にあったとしても、起動できるかどうか分からないし壊れている可能性もあるから、あまり期待はできないけどな』
「分かった。魔術具の方は、鑑定士学部と発明学科の教授に任せよう。
私とアレス君は、先に空間拡張バッグを作る。明日にでもアロー公爵が出発するかもしれないし、私たちと一緒に使用登録しなきゃ使えないから」
私は2人の守護霊から聞いた話を、アレス君と王子と王宮騎士副団長にも伝えて、自分のこれからの予定を決める。
魔術具の確認は忙しい王太子に代わり、王子に教授たちの招集をかけてもらうことにした。
空間拡張バッグ作成は、どんなに急いでも朝までかかるから、徹夜に備えて王城の帰りに食料をたくさん購入し、ホッパー商会に寄って丈夫そうな革のバッグを購入した。
一般人には開戦についての情報はまだ公表されていないので、ホッパー商会のドレン王都店店長には開戦のことを教えておいた。
「それでは、商会にある地底生物素材のバッグやリュックやウエストポーチで、空間拡張バッグに使えそうなモノは全て、サンタさんとアレス君がお持ちください。
開戦が正式に発表されたら、商会や商店は軍や国に商品を接収される可能性があります。他にも必要な物があれば、遠慮なく全て持っていってください」
そう言いながらドレンさんは、棚に展示してあったバッグを始め、店の奥に保管してあったリュック等を全て、私のリュックに収納するよう用意してくれた。
アレス君のリュックには、商会にあったカラ魔核や魔法陣を書くための羊皮紙や高級紙なんかを、あるだけ詰め込んでくれた。
「お金は要りません。戦争に負けてしまえば全てを失うことになるのです。
後程、我が商会にある未使用の魔術具を学園にお持ちします。何かの役に立つようでしたら遠慮なくお使いください」
「ありがとうドレンさん。私も大賢者としての責務を精一杯果たすよ。
アレス君と一緒に頑張って空間拡張バッグを作るから、商業連合の会長に学園に来るよう伝言を頼んでもいい?
国が買ってくれるはずだけど、販売は商業連合を通して行う契約なんだ」
もしかしたらタダで提供しなくちゃいけないのかもしれないけど、買ってくれるなら契約は守らなきゃいけない。
「承知しました。明日の早朝、学園の発明学科に向かうよう必ずお伝えします。
他に必要な物があれば、深夜でも構いませんので連絡してください。
開戦の情報をありがとうございます。どこよりも早く動くことができます」
ドレンさんは、半日でも早く情報が手に入るということは、商会にとってとても利になるのだと喜んでくれた。
いや、こちらの方がお世話になりっぱなし、甘えっぱなしだよ。
……本当に有難い。そうだ、あれをお礼にプレゼントしよう。
「ドレンさん、確か1センチのカラ魔核に充填できるようになったんですよね?
これ、試作品ですが、2メートル四方の収納量があるウエストポーチです。
魔核を充填するんじゃなくて、魔力を流せば使用できます。
ただ、使用する人を限定できないので、盗難には気を付けてください」
「えっ、1センチのカラ魔核に充填できる程度の私でも使えるんですか?」
凄く驚いた顔で私を見たドレンさんに、まだ特許を取ってない試作品だから口外しないでねと笑って、使えるかどうかを試してもらう。
この空間拡張バッグには、既に充填された4センチの魔核が取り付けてあり、魔力さえ流せば使用できるという優れものだ。
この前から、アレス君と試行錯誤して完成させた試作品である。
「使えます大賢者様! ああ、なんと有難い。これで商会の貴重品を収納できます」
ずっと空間拡張バッグが欲しいと言っていたドレンさんは、涙を流して喜んでくれた。
3歳からお世話になりっぱなしのホッパー商会に、少しでも恩を返せただろうか? まだ全然足りないと思うけど、今というこの時に渡せて良かった。
きっと明日には、国中が大パニックになるだろうから。
学園に戻った私たちは、急いでツクルデ教授の研究室に向かった。
残念ながらツクルデ教授やメーナイ教授は、私たちとすれ違いで王宮へと向かったらしい。
時刻は午後7時を過ぎており、学園に残っていた教師は、情報未公開で混乱していた。
私は事態を知らせるため、学園に残っていた学園長の元へと向かった。
学園長の執務室には、警鐘を心配したツクルデ教授とメーナイ教授以外の学部長が揃っていて、入室した私に緊張した視線を向けてきた。
「サンタさん、いや、大賢者様、王様の容態は、王様はご無事なのですか?」
国王の弟でもある学園長が、立ち上がって質問する。
……ああ、私が王宮に向かったのは、王様が呪術で倒れたって連絡を受けたからだった。
「王様は、まだ意識が戻られていないと思います。ですが、重篤なご様子ではありませんでした」
嘘じゃない。凄く苦しそうじゃなかったし、あの呪符には倒れるとしか書いてなかった。呪符に気付かなければ、命は無かったかもしれないけど。
「それでは何故、警鐘が、王宮の警鐘が鳴ったのでしょう?」
学園長から呪符のことを聞いたらしい魔術師学部のエバル教授が、怪訝そうな表情で質問してきた。
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