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サンタさん、魔術師になる
90 ガリア教会本部
ガリア教会本部に到着した私たちは、近くに在る高位貴族用の宿泊施設を貸して貰えることになった。
5歳の11月から7歳の誕生日がくる6月まで借りるのだから、お金を払うと言ったんだけど、旅の道中で王様から貰ったカラ魔核の残り4個を充填してプレゼントしたら、お金は受け取れないと断られた。
なんか申し訳ないから、私は超古代語と高度文明紀の文字や歴史を大学で教えることにして、アレス君は呪術を学びながら、魔力循環を神父たちに教えている。
年が明けた1月には、神父さんの半数がカラになったクズ魔核に魔力充填できるようになり凄く感謝された。
春になって私とアレス君は、神聖国ガリアと隣接する古王国シャングラに向かう教会調査団に同行させてもらった。
毎回教会調査団には、ギューメラ王国のトレジャーハンター協会から、金級パーティーが派遣されるようで、お手並み拝見しながら一緒に魔術具を探した。
顔合わせで幼児が交じっていることに難色を示されたけど、エイバル王国のトレジャーハンター協会発行の魔術師証を見せたら、コロリと掌返しで歓迎された。
この大陸では、エイバル王国の魔術師が一番優秀だからか、終始協力的で好意的だった。
パトリシアさんに聞いていた通り、古王国シャングラは古代都市ロルツとは言語や文字が違っていたけど罠は同じ感じで、1か月間の調査期間で新しい魔術具を5つも発見できた。
これまで誰も討伐できなかった凶暴な地底生物を倒して、先の区域まで到達できたことが発見の要因だった。
特にアレス君が、魔術と魔法を使って大活躍したんだよね。
最近アレス君は「いつまでも守られている訳にはいきません。これからは僕がサンタさんを守ります」って口癖のように言って、剣の練習も始めた。
『青春よね』ってパトリシアさんが意味不明なことを言う。
『その内には気付くんやないか』って、トキニさんも笑いながら言う。
『サンタにはまだ早いぞ』って、サーク爺はちょっと不機嫌だ。
『だから何の話?』って訊くけど、何故か誰も答えてくれない。
6月、私の6歳の誕生日に新しい守護霊が増えた。
名前はマーガレットさんで、年齢は50歳だ。
200年前のエイバル王国の王宮料理人だったそうで、隣国アーラ皇帝国でも修行を積んでいたらしい。
美食家だった王妃の要望に応えるため、世界中の食材を探し求めてザルツ帝国を旅している最中、死の谷と言われている古代文明紀の地で、毒を持つ木の実を食べて亡くなったそうだ。
現在の食材を使って料理したいと張り切っているけど、作るのは私だよね?
私の手では包丁もナイフも上手く使えないから、宿泊施設の厨房にお邪魔して、マーガレットさんから聞いた料理の作り方を伝授しつつ、自分も覚えていく。
マーガレットさんの厳しい指導のお陰で、私とアレス君は数種類のお菓子が作れるようになった。
教会のバザーでは、私たちのお菓子は大人気で、いつも完売する。
ガリア教会本部の生活は充実していて、魔法の練習だって欠かすことはない。
もちろん母様や兄さま、ホッパーさんへの手紙も定期的に送っている。
驚いたことに、エルドラ王子からも手紙が届くし、アロー公爵家のコーシヒクさんからも、近況を知らせる手紙がアレス君に届いたりする。
家令コーシヒクさんの手紙には、【聖なる地】の第2期調査では、大扉を開くことができず調査が停滞したと書いてあり、第3期調査では、アレス君の父親ホロル様と王太子様が参加され、見事に大扉を開け、調査が大きく進展したと書いてあった。
3番目の扉の先の部屋にあった魔術具は、驚くべきことに乗り物で、ピラミッド遺跡の最上階にある天文観測部屋に辿り着いたと、ホロル様直筆の手紙が一緒に同封してあった。
「あれって、上の階に行くための移動用の魔術具だったんだ。
でも父上の手紙には、赤い魔核には充填できて上に行けたが、黒い魔核には魔力量が足らず充填できなかったと書いてある。
黒い方は、もしかして下に向かうのかなぁ? どう思うサンタさん」
「そうだね、ちょっと楽しみになってきたね。魔術師学校の夏休みに、一度こっそり行ってみよう」
なんてことを、手紙を読みながら話す時間も楽しい。
6歳の冬には私も呪術の勉強を開始し、今は神父として働いているザルツ帝国出身の元呪術師だった人と対策を話し合った。
ザルツ帝国に居る呪術師で一番腕がいいのは、王族の裏仕事を仕切っているヨカーラムという人物であると、元呪術師の神父さんに教えてもらった。
この神父さん、先の戦争で多くのエイバル王国民を殺せと、ヨカーラムから強要され逃げてきたらしい。
……まあ、本当の名前を名乗っているとは思わなかったけど、ヨカランとヨカーラム・・・似てるよね。しかも継承権は持たないけど王族だよ。怪し過ぎる。
1月、アレス君は9歳になり、中級魔法の半分が使えるようになった。
私は中級魔法を卒業し、上級の訓練を開始している。
そして6月、私の7歳の誕生日が迫り、エイバル王国に戻る日がやってきた。
今回も、第4回調査団に参加する気象学者のアメフラ教授の馬車に便乗させてもらう。
ガリア教会本部からは、また教会調査団に同行して魔術具の採掘をして欲しいと頼まれ、大陸中の教会で便宜を図ってもらえる教会の身分証を貰った。
アレス君は、教会調査団特任ハンターという身分証で、私はガリア教会大学名誉教授の身分証だった。
それと、高位職・【過去・輪廻・大賢者】サンタナリア・ヒーピテ・ファイトアロって、教会本部の刻印入りで、見覚えのある金属のカードを貰ってしまった。
「大賢者?」
「教会の古い資料を調査した結果、【過去・輪廻】に関する詳しい仕事内容が判明しました。資料には【大賢者】又は【大王】との記載がありました。
王を目指していないサンタさんには【大賢者】が相応しいと、大神官様が判断されました。こちらが正式な職業選別の身分証になります」
恭しくカードを差し出した職業選別最高責任者の上位神官様が、またのお越しをお待ちしておりますと言って、何故か私に礼をとった。はて?
……これはこれで、いろいろと面倒な予感がするんだけど・・・
5歳の11月から7歳の誕生日がくる6月まで借りるのだから、お金を払うと言ったんだけど、旅の道中で王様から貰ったカラ魔核の残り4個を充填してプレゼントしたら、お金は受け取れないと断られた。
なんか申し訳ないから、私は超古代語と高度文明紀の文字や歴史を大学で教えることにして、アレス君は呪術を学びながら、魔力循環を神父たちに教えている。
年が明けた1月には、神父さんの半数がカラになったクズ魔核に魔力充填できるようになり凄く感謝された。
春になって私とアレス君は、神聖国ガリアと隣接する古王国シャングラに向かう教会調査団に同行させてもらった。
毎回教会調査団には、ギューメラ王国のトレジャーハンター協会から、金級パーティーが派遣されるようで、お手並み拝見しながら一緒に魔術具を探した。
顔合わせで幼児が交じっていることに難色を示されたけど、エイバル王国のトレジャーハンター協会発行の魔術師証を見せたら、コロリと掌返しで歓迎された。
この大陸では、エイバル王国の魔術師が一番優秀だからか、終始協力的で好意的だった。
パトリシアさんに聞いていた通り、古王国シャングラは古代都市ロルツとは言語や文字が違っていたけど罠は同じ感じで、1か月間の調査期間で新しい魔術具を5つも発見できた。
これまで誰も討伐できなかった凶暴な地底生物を倒して、先の区域まで到達できたことが発見の要因だった。
特にアレス君が、魔術と魔法を使って大活躍したんだよね。
最近アレス君は「いつまでも守られている訳にはいきません。これからは僕がサンタさんを守ります」って口癖のように言って、剣の練習も始めた。
『青春よね』ってパトリシアさんが意味不明なことを言う。
『その内には気付くんやないか』って、トキニさんも笑いながら言う。
『サンタにはまだ早いぞ』って、サーク爺はちょっと不機嫌だ。
『だから何の話?』って訊くけど、何故か誰も答えてくれない。
6月、私の6歳の誕生日に新しい守護霊が増えた。
名前はマーガレットさんで、年齢は50歳だ。
200年前のエイバル王国の王宮料理人だったそうで、隣国アーラ皇帝国でも修行を積んでいたらしい。
美食家だった王妃の要望に応えるため、世界中の食材を探し求めてザルツ帝国を旅している最中、死の谷と言われている古代文明紀の地で、毒を持つ木の実を食べて亡くなったそうだ。
現在の食材を使って料理したいと張り切っているけど、作るのは私だよね?
私の手では包丁もナイフも上手く使えないから、宿泊施設の厨房にお邪魔して、マーガレットさんから聞いた料理の作り方を伝授しつつ、自分も覚えていく。
マーガレットさんの厳しい指導のお陰で、私とアレス君は数種類のお菓子が作れるようになった。
教会のバザーでは、私たちのお菓子は大人気で、いつも完売する。
ガリア教会本部の生活は充実していて、魔法の練習だって欠かすことはない。
もちろん母様や兄さま、ホッパーさんへの手紙も定期的に送っている。
驚いたことに、エルドラ王子からも手紙が届くし、アロー公爵家のコーシヒクさんからも、近況を知らせる手紙がアレス君に届いたりする。
家令コーシヒクさんの手紙には、【聖なる地】の第2期調査では、大扉を開くことができず調査が停滞したと書いてあり、第3期調査では、アレス君の父親ホロル様と王太子様が参加され、見事に大扉を開け、調査が大きく進展したと書いてあった。
3番目の扉の先の部屋にあった魔術具は、驚くべきことに乗り物で、ピラミッド遺跡の最上階にある天文観測部屋に辿り着いたと、ホロル様直筆の手紙が一緒に同封してあった。
「あれって、上の階に行くための移動用の魔術具だったんだ。
でも父上の手紙には、赤い魔核には充填できて上に行けたが、黒い魔核には魔力量が足らず充填できなかったと書いてある。
黒い方は、もしかして下に向かうのかなぁ? どう思うサンタさん」
「そうだね、ちょっと楽しみになってきたね。魔術師学校の夏休みに、一度こっそり行ってみよう」
なんてことを、手紙を読みながら話す時間も楽しい。
6歳の冬には私も呪術の勉強を開始し、今は神父として働いているザルツ帝国出身の元呪術師だった人と対策を話し合った。
ザルツ帝国に居る呪術師で一番腕がいいのは、王族の裏仕事を仕切っているヨカーラムという人物であると、元呪術師の神父さんに教えてもらった。
この神父さん、先の戦争で多くのエイバル王国民を殺せと、ヨカーラムから強要され逃げてきたらしい。
……まあ、本当の名前を名乗っているとは思わなかったけど、ヨカランとヨカーラム・・・似てるよね。しかも継承権は持たないけど王族だよ。怪し過ぎる。
1月、アレス君は9歳になり、中級魔法の半分が使えるようになった。
私は中級魔法を卒業し、上級の訓練を開始している。
そして6月、私の7歳の誕生日が迫り、エイバル王国に戻る日がやってきた。
今回も、第4回調査団に参加する気象学者のアメフラ教授の馬車に便乗させてもらう。
ガリア教会本部からは、また教会調査団に同行して魔術具の採掘をして欲しいと頼まれ、大陸中の教会で便宜を図ってもらえる教会の身分証を貰った。
アレス君は、教会調査団特任ハンターという身分証で、私はガリア教会大学名誉教授の身分証だった。
それと、高位職・【過去・輪廻・大賢者】サンタナリア・ヒーピテ・ファイトアロって、教会本部の刻印入りで、見覚えのある金属のカードを貰ってしまった。
「大賢者?」
「教会の古い資料を調査した結果、【過去・輪廻】に関する詳しい仕事内容が判明しました。資料には【大賢者】又は【大王】との記載がありました。
王を目指していないサンタさんには【大賢者】が相応しいと、大神官様が判断されました。こちらが正式な職業選別の身分証になります」
恭しくカードを差し出した職業選別最高責任者の上位神官様が、またのお越しをお待ちしておりますと言って、何故か私に礼をとった。はて?
……これはこれで、いろいろと面倒な予感がするんだけど・・・
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