34 / 77
第34話 〈side:勇者〉大賢者、敗北のとき(1)
しおりを挟む
「あああああああああぁぁぁっ、もうっ! ムカツクぅぅあああああっ!!」
私は叫んだ。そうしないとやってられないほど、イライラしていたのだ。
――クソ勇者スカルと性悪聖女エリスによって、王都の研究室を追い出されてしまった私。
大賢者アリア・アートの名が泣いている。今ならその涙で大魔法が創れてしまいそうだ。それほど、ドロドロした感情が渦巻いている。
「ふーっ、ふーっ」
荒い息をつく。まるで獣だ。
ほんと、馬鹿みたい。馬鹿馬鹿しい。ほんと馬鹿。
「ふーぅ……」
少しだけ、落ち着いてきた。
頭に血が上って、後先考えずに聖森林まで転移してきてしまったが、これは明らかに失敗だった。
二週間前、実験のちょっとしたミスをフォローする流れで、ここの拠点を一度焼き払ってしまっていたのだ。転移してからそれを思い出すなんて。
それもこれも、勇者たちが悪い。あいつらが私を追放したからだ。そんなことをすれば、いかに大賢者といえど冷静さを失うのは当然なのだ。
そうだ。追放といえば。
「あいつ、今頃どうしてるかな」
……すぐに名前が出てこない。荷物持ちばっかりやらせていたから、全然興味なかったんだな、私。まあ仕方ない。その程度の男だったのだろう。
そうそう、思い出した。ラクターだ。
あいつも勇者スカルに追放された人間だ。
私と同じように、勇者への恨みを募らせているに違いない。
そうだ、よく考えよう。
対勇者用に開発した大魔法――その威力を私は微塵も疑っていない。だが、それを私が馬鹿正直にぶつけてしまえば、追放時の騒動くらいじゃ収まらない。
でも、もし、ラクターがその魔法を使ったとしたら?
追放されたことを逆恨みした底辺男が、傷心の大賢者を脅して魔法のコントロールを奪う。私は抵抗するも、力及ばず止められない。だが残された力を使って男を取り押さえ、犯人として王城へ連行する――。
悪くないじゃん?
そのときに私の状態を改めて調べてもらえば、あの性悪聖女によって呪いをかけられたことも明らかになるはずだ。
うんうん。悪くない。
あの女、力だけは一流っぽいから、いまだに力が戻り切らないんだよね。悔しいけど。
でも、この案なら向こうから呪いを解除させてくれと頭を下げてくるかも。
まあ、その程度じゃ私の腹の虫は収まらないけど、聖女の資格剥奪くらいで許してやってもいい。
「あは、いいじゃんいいじゃん」
さて。そうと決まればラクターの奴を捜さないと。確かこの森に入ったって話だったわね。イリス姫様絡みの噂によると。
うーん、広。でもまあ、なんとかなるでしょ。
私、大賢者だし。
少し機嫌が戻った私は、お気に入りのとんがり帽子のひさしを整えた。
そのとき。
「……アリア・アートか」
「んん?」
どこかで聞き覚えのある声……と思って顔を上げると、なんとびっくり。当のラクター本人が現れたじゃないの。
おお、これはラッキー。さすが私。大賢者サマ。まだ運も味方に付けていたのね。
私は胸を張って答えた。
「久しぶりじゃないの、ラクター。元気そうね」
「……ああ。おかげさまでな」
警戒心も露わに返事するラクター。
まあ無理もないか――と思えるほどには私にも余裕が出てきていた。
ただ、余裕が出てきた分、余計なものも目に付くようになる。
……ちょっと。なにあれ。
あの男、いつの間にふたりも仲間を増やしてるワケ?
しかもなに? 両方結構な美人じゃないの。え、あんたも両手に花って言うつもりなの?
それ、まんまクソ勇者と同じじゃん。
あ、ダメだ。勇者のことを思い出したら急にイライラが戻ってきた。心の余裕が一瞬で吹き飛ぶ。向こうの出方次第じゃ、ちょっとくらい譲歩してあげてもいいかなーとか考えてた慈悲の心が急速にしぼんでいくのがわかる。
全部、男どもが悪い。ラクターが悪い。そう決まった。
そもそも、あれなに。緑色の髪した女。気持ち悪いくらいでかい胸。頭の栄養がぜんぶ胸にいったクチ? おいこら、その凶器を今すぐどけろ。
……気がつくと、私は自分の胸をポンポンと触っていた。
うん。ムカつく。でも悔しいから笑ってあげる。
「ねーえラクター。ちょっとお話があるんだけど、いいかしら」
「ちょうどよかった。俺もお前に聞きたいことがある」
おや? これは話が上手く進む予感?
うん。ダメ。私だけイラついてるのは気に食わない。まずはあんたがひれ伏せ。情けない姿を見せて、私を愉しませてよ。ラクター。
「――――ッ」
私は小声で高速詠唱をする。周りにバレバレな馬鹿声で詠唱するなんて三流のすることだ。私の詠唱速度と精度は、王都の誰も真似はできない。
ラクターから見れば、なんの前振りもなく大きな火球が出現したように感じるだろう。
一瞬、くらりとくる。くそ、性悪聖女の呪いが効いてるのかな。
まあこれくらい、魔法の行使には関係ない。だって私は大賢者。
まずは、コレでビビらせてやる。どっちが上位者かわからせる。話はそれからよ、ラクター!
挨拶代わりの魔法を射出する。
ほら、弾速は緩めにしといたわよ。さっさと避けるか、申し訳程度の防御姿勢でも取りなさい。そしたら思いっきり笑ってあげる。とっても楽しみ。
さあ。
さあ――!
「……………………ふぇ?」
あれ、なに、この間抜けな声。
もしかして、私の声?
そんな、まさか。嘘ウソ、あるわけないわよ。
「そうよ、あるわけ、ない」
額と背中に冷たい汗がにじむのがわかった。
――ラクターは、その場から一歩も動いていない。ただ、右手を私の方に向けただけ。
それだけなのに。
私の魔法が、着弾直前にかき消された。
いや、違う。よく思い出せ私。大賢者だろ。
火球がラクターに迫ったあのときだ。すごい魔力を感じた。上から空気の塊が火球を押しつぶした。まるで実験用のカエルを踏み潰すように。
魔法だ。間違いなく魔法だ。でも、待って。待ってよ。
あいつ。ラクター。
ラクターは、いつ詠唱したの?
それに……それに……っ。
「相変わらずだな、アリア。大賢者が聞いて呆れるくらい、清々しいほどの卑劣ぶりだよ。どうせ、ビビった姿を見せて愉《たの》しませろ――とか考えてたんだろ。だがな」
ラクターが私を侮蔑する。そのことを怒る余裕もないほど、私は混乱していた。
――それにっ、挨拶代わりとはいえっ、私の魔法を簡単に潰したっ、潰せたってことはっ……。
――あいつの魔法は、私よりも――上!?
「俺はもう以前とは違う。お前が隠してるヤバい話、きっちり聞かせてもらうからな。大人しくしろ、アリア!」
私は叫んだ。そうしないとやってられないほど、イライラしていたのだ。
――クソ勇者スカルと性悪聖女エリスによって、王都の研究室を追い出されてしまった私。
大賢者アリア・アートの名が泣いている。今ならその涙で大魔法が創れてしまいそうだ。それほど、ドロドロした感情が渦巻いている。
「ふーっ、ふーっ」
荒い息をつく。まるで獣だ。
ほんと、馬鹿みたい。馬鹿馬鹿しい。ほんと馬鹿。
「ふーぅ……」
少しだけ、落ち着いてきた。
頭に血が上って、後先考えずに聖森林まで転移してきてしまったが、これは明らかに失敗だった。
二週間前、実験のちょっとしたミスをフォローする流れで、ここの拠点を一度焼き払ってしまっていたのだ。転移してからそれを思い出すなんて。
それもこれも、勇者たちが悪い。あいつらが私を追放したからだ。そんなことをすれば、いかに大賢者といえど冷静さを失うのは当然なのだ。
そうだ。追放といえば。
「あいつ、今頃どうしてるかな」
……すぐに名前が出てこない。荷物持ちばっかりやらせていたから、全然興味なかったんだな、私。まあ仕方ない。その程度の男だったのだろう。
そうそう、思い出した。ラクターだ。
あいつも勇者スカルに追放された人間だ。
私と同じように、勇者への恨みを募らせているに違いない。
そうだ、よく考えよう。
対勇者用に開発した大魔法――その威力を私は微塵も疑っていない。だが、それを私が馬鹿正直にぶつけてしまえば、追放時の騒動くらいじゃ収まらない。
でも、もし、ラクターがその魔法を使ったとしたら?
追放されたことを逆恨みした底辺男が、傷心の大賢者を脅して魔法のコントロールを奪う。私は抵抗するも、力及ばず止められない。だが残された力を使って男を取り押さえ、犯人として王城へ連行する――。
悪くないじゃん?
そのときに私の状態を改めて調べてもらえば、あの性悪聖女によって呪いをかけられたことも明らかになるはずだ。
うんうん。悪くない。
あの女、力だけは一流っぽいから、いまだに力が戻り切らないんだよね。悔しいけど。
でも、この案なら向こうから呪いを解除させてくれと頭を下げてくるかも。
まあ、その程度じゃ私の腹の虫は収まらないけど、聖女の資格剥奪くらいで許してやってもいい。
「あは、いいじゃんいいじゃん」
さて。そうと決まればラクターの奴を捜さないと。確かこの森に入ったって話だったわね。イリス姫様絡みの噂によると。
うーん、広。でもまあ、なんとかなるでしょ。
私、大賢者だし。
少し機嫌が戻った私は、お気に入りのとんがり帽子のひさしを整えた。
そのとき。
「……アリア・アートか」
「んん?」
どこかで聞き覚えのある声……と思って顔を上げると、なんとびっくり。当のラクター本人が現れたじゃないの。
おお、これはラッキー。さすが私。大賢者サマ。まだ運も味方に付けていたのね。
私は胸を張って答えた。
「久しぶりじゃないの、ラクター。元気そうね」
「……ああ。おかげさまでな」
警戒心も露わに返事するラクター。
まあ無理もないか――と思えるほどには私にも余裕が出てきていた。
ただ、余裕が出てきた分、余計なものも目に付くようになる。
……ちょっと。なにあれ。
あの男、いつの間にふたりも仲間を増やしてるワケ?
しかもなに? 両方結構な美人じゃないの。え、あんたも両手に花って言うつもりなの?
それ、まんまクソ勇者と同じじゃん。
あ、ダメだ。勇者のことを思い出したら急にイライラが戻ってきた。心の余裕が一瞬で吹き飛ぶ。向こうの出方次第じゃ、ちょっとくらい譲歩してあげてもいいかなーとか考えてた慈悲の心が急速にしぼんでいくのがわかる。
全部、男どもが悪い。ラクターが悪い。そう決まった。
そもそも、あれなに。緑色の髪した女。気持ち悪いくらいでかい胸。頭の栄養がぜんぶ胸にいったクチ? おいこら、その凶器を今すぐどけろ。
……気がつくと、私は自分の胸をポンポンと触っていた。
うん。ムカつく。でも悔しいから笑ってあげる。
「ねーえラクター。ちょっとお話があるんだけど、いいかしら」
「ちょうどよかった。俺もお前に聞きたいことがある」
おや? これは話が上手く進む予感?
うん。ダメ。私だけイラついてるのは気に食わない。まずはあんたがひれ伏せ。情けない姿を見せて、私を愉しませてよ。ラクター。
「――――ッ」
私は小声で高速詠唱をする。周りにバレバレな馬鹿声で詠唱するなんて三流のすることだ。私の詠唱速度と精度は、王都の誰も真似はできない。
ラクターから見れば、なんの前振りもなく大きな火球が出現したように感じるだろう。
一瞬、くらりとくる。くそ、性悪聖女の呪いが効いてるのかな。
まあこれくらい、魔法の行使には関係ない。だって私は大賢者。
まずは、コレでビビらせてやる。どっちが上位者かわからせる。話はそれからよ、ラクター!
挨拶代わりの魔法を射出する。
ほら、弾速は緩めにしといたわよ。さっさと避けるか、申し訳程度の防御姿勢でも取りなさい。そしたら思いっきり笑ってあげる。とっても楽しみ。
さあ。
さあ――!
「……………………ふぇ?」
あれ、なに、この間抜けな声。
もしかして、私の声?
そんな、まさか。嘘ウソ、あるわけないわよ。
「そうよ、あるわけ、ない」
額と背中に冷たい汗がにじむのがわかった。
――ラクターは、その場から一歩も動いていない。ただ、右手を私の方に向けただけ。
それだけなのに。
私の魔法が、着弾直前にかき消された。
いや、違う。よく思い出せ私。大賢者だろ。
火球がラクターに迫ったあのときだ。すごい魔力を感じた。上から空気の塊が火球を押しつぶした。まるで実験用のカエルを踏み潰すように。
魔法だ。間違いなく魔法だ。でも、待って。待ってよ。
あいつ。ラクター。
ラクターは、いつ詠唱したの?
それに……それに……っ。
「相変わらずだな、アリア。大賢者が聞いて呆れるくらい、清々しいほどの卑劣ぶりだよ。どうせ、ビビった姿を見せて愉《たの》しませろ――とか考えてたんだろ。だがな」
ラクターが私を侮蔑する。そのことを怒る余裕もないほど、私は混乱していた。
――それにっ、挨拶代わりとはいえっ、私の魔法を簡単に潰したっ、潰せたってことはっ……。
――あいつの魔法は、私よりも――上!?
「俺はもう以前とは違う。お前が隠してるヤバい話、きっちり聞かせてもらうからな。大人しくしろ、アリア!」
13
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる