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屋上
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屋上の隅で、俺は震えていた。
もうすぐここへ、あの熊は上がって来るだろう。友人4人を殺して、最後の獲物をしとめようとして。
友人達の姿を思い出す。
申し訳ないと思うが、俺が殺したわけでも、生贄にと差し出したわけでもない。俺は、死にたくない。
どうにか、警察が到着するまで持ちこたえていれば、何とかなるんじゃないか。
いや、そんなに甘くはないか。
俺のあしあとしか付いていない屋上で、俺はやつが来ないようにと祈りながら、そうはいかない事もわかっていた。
階段が塞がっている。熊にも下りられないだろう。
まだ俺の分だけのあしあとしか付いていない屋上に、ベタベタとあしあとがついて行く幻影が見える。
頭を振って、撮影のために準備していた三脚を握りしめる。
と、熊がのっそりと屋上へ姿を現した。
悠然とした歩き方で、熊は後ずさる俺に近付いて来た。
「なんだよ……なんで……」
答えるわけなどないが、口が動いてしまう。
下がっても逃げ場などないのに、追い詰められるだけなのに、それでも後ずさってしまう。
「く、来るなよ……来るな……!」
点々と付くあしあとは、熊1頭と人間1人分のはずなのに、人間のあしあとが、5人分ついているように見えて来る。
「嫌だ……!来ないでくれ!」
熊に言っているのか、それともほかの誰かに言っているのか。自分でもわからない。
「ガアア!!」
熊が吠え、両手をあげて襲い掛かって来た。
三脚で殴りかかろうとするが、なんの抵抗にもならないですっ飛んで行く。
あしあとが入り乱れ、その場が真っ赤になって行く。
背中が屋上の手すりにぶつかった時、熊が腕を振り下ろして来た。
なぜか、鋭い爪も、その周囲の毛も血で汚れているのがはっきりと見える。
痛み。衝撃。大きな叫び声。
俺は意識を失った。
もうすぐここへ、あの熊は上がって来るだろう。友人4人を殺して、最後の獲物をしとめようとして。
友人達の姿を思い出す。
申し訳ないと思うが、俺が殺したわけでも、生贄にと差し出したわけでもない。俺は、死にたくない。
どうにか、警察が到着するまで持ちこたえていれば、何とかなるんじゃないか。
いや、そんなに甘くはないか。
俺のあしあとしか付いていない屋上で、俺はやつが来ないようにと祈りながら、そうはいかない事もわかっていた。
階段が塞がっている。熊にも下りられないだろう。
まだ俺の分だけのあしあとしか付いていない屋上に、ベタベタとあしあとがついて行く幻影が見える。
頭を振って、撮影のために準備していた三脚を握りしめる。
と、熊がのっそりと屋上へ姿を現した。
悠然とした歩き方で、熊は後ずさる俺に近付いて来た。
「なんだよ……なんで……」
答えるわけなどないが、口が動いてしまう。
下がっても逃げ場などないのに、追い詰められるだけなのに、それでも後ずさってしまう。
「く、来るなよ……来るな……!」
点々と付くあしあとは、熊1頭と人間1人分のはずなのに、人間のあしあとが、5人分ついているように見えて来る。
「嫌だ……!来ないでくれ!」
熊に言っているのか、それともほかの誰かに言っているのか。自分でもわからない。
「ガアア!!」
熊が吠え、両手をあげて襲い掛かって来た。
三脚で殴りかかろうとするが、なんの抵抗にもならないですっ飛んで行く。
あしあとが入り乱れ、その場が真っ赤になって行く。
背中が屋上の手すりにぶつかった時、熊が腕を振り下ろして来た。
なぜか、鋭い爪も、その周囲の毛も血で汚れているのがはっきりと見える。
痛み。衝撃。大きな叫び声。
俺は意識を失った。
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