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追いつく
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俺達はせっせと探索を続けた。
ここは、体を横にして通らないといけないような細い通路や、落ちたら死ぬような断崖もある。そこで襲って来るのが、コウモリの魔獣だったり、ジャンプ力が凄いカコミスルやオオカミの魔獣だったりして、なかなか刺激的だ。
今通り抜けようとしている所もそんなところで、細い通路の片側が切り立った崖の壁で、そこからは、崖を自由に駆け回る事の出来る魔獣が飛び掛かって来る。
そしてもう片側は同じく崖で、足を踏み外せば下の川へ落ちる。
「じゃあ、行くか」
「おう!いつでもOKだぜ!」
それで、俺達は飛び出した。
崖の上から降りて来て飛び掛かって来る魔獣は、早い目早い目に、魔術で跳ね飛ばし、切り飛ばす。そして前から飛び掛かって来る魔獣は、采真が斬り飛ばして突き進む。
得意不得意のあるチームメンバーでも、相手によってカバーし合えば何とかなる、という類の所ではなく、個人がそこそこできなければ渡り切れないという場所のようだ。
渡り切ってから足を止め、振り返る。
「回収は無理だな」
「ああ、欲を出したら死ぬぜ」
「次に進もう」
崖の上や通路の上からこちらを見て唸っている彼らを見て、俺達は前を向いた。
「俺、子供の頃犬を飼いたかったんだ。あいつら、エサやったら、懐くかな、鳴海」
「無理じゃないか。『お手』とか言って手を差し出したら噛まれそうだぞ」
「まあ、そうかな」
采真は少し残念そうだ。
道はそこで広がり、しゃがみ込んで休憩する探索者がいた。
「お疲れーっす」
「お先にー」
一応挨拶をして、先に行く。
と、小部屋になっていた。
入った途端、背後でゴゴゴと音がして、通路が岩で塞がれる。
「ここがこの階のラストみたいだな、鳴海!」
「らしいな。どこから何が出て来るか」
部屋の向こうに岩山があり、床は一面、凹凸のある岩肌だ。
その岩山の天辺に、大きな角のある羊のような魔獣が現れた。そして、上空から、殺気が迫る。
剣と魔銃剣を振れば、切られたペリカンが落下し、ジタバタもがいてから動かなくなった。
上を見ると、天井がペリカンの魔獣でいっぱいだった。
「こいつら、丸呑みしてくちばしの下の袋の所で溶かすらしいぞ」
「うわあ。でも、逃げられないのか」
「その液が麻痺を引き起こすらしい。
暑くても、泳ごうとか考えるなよ。あと、服が溶けてラッキーとかいうのも無いからな」
「男2人じゃなあ」
采真が本気で残念そうに言って、それで俺達は前へ出た。
俺はペリカンの魔獣を燃やし、風でバランスを崩させて引きずり落とし、切る。采真は、手の届く距離に入ったやつを、片っ端から斬って行く。
それほどかからずに、ペリカンはいなくなった。
後は、1体だけだ。
「でっかい角!」
「あれが凶器だぞ。それと、脚力と蹄も凄いと思う」
「わかったぜ!」
「来た!」
ボスは、ドドドと岩山を駆け下りると、ピョーンと飛んだ。
そのボスに、滞空中に風を浴びせ、火を浴びせる。
「風はバランスを崩す程度で、火には弱いか」
「ジンギスカンになるからじゃねえ?」
その言い分に腹を立てたのかどうかは知らないが、頭を低くして、走って突っ込んで来る。そのスピードの速い事!
パッと左右に分かれて避けると、毛に焦げ目をつけた俺が憎いのか、俺をロックオンして追って来る。
角を魔銃剣で受け、抑え込むと、采真が走り込んできて、首を落とすように斬りつけた。
嫌がるように頭を振りたがり、足を踏み鳴らし、采真を蹴ろうと躍起になる。
「切れ味が悪いぜ!」
言って、剣を目に突き立てると、ボスは激しく抵抗するように動き回ろうとする。そして、角を一旦下げ、思い切り振り上げた。
「うわっ!」
それで俺は、空中に放り上げられる。
「鳴海!?」
が、そこから、火を数発撃ち込む。
「うわ、丸焼きだぜ」
着地した俺とボスの間に、既に入っている采真が言う。
炎をまとったボスが、踊るように飛び跳ねている。
が、すぐに倒れて僅かな痙攣をするのみとなった。
大きな角と魔石をボディバッグに入れて部屋を出る。
「何か今の匂いで、焼肉食いたくなったぜ」
「焼肉か。いいな。
あ、でも、ローストビーフもその内食べたい」
「ああ、あれもいいなあ。ローストビーフサンドとか。前に鳴海の母ちゃんが作ってくれたやつ」
「美味かったよな」
言いながら角を曲がり、ギョッと足を止める。
そこで、ハリーのチームとマイクのチームが両方休憩中だったらしく、各々飲み物や軽食を持って、こちらを見ていた。
「うおっ!?」
「えっと、お疲れ様です」
その視線にややたじろぎながら、俺達はそこに近付いた。
マイクがチッと舌打ちをし、顔を歪めて言う。
「もう追いついて来やがったのかよ」
仲間の1人は呆れたように、
「アレの後で、焼肉とかローストビーフとか。余裕だな」
と言うので、采真が笑って言った。
「いやあ、焼いたらいい匂いがしたもんで」
それに、ハリーが肩を竦めて言う。
「ここが現在の最深部だ。おめでとう。とうとうトップに並んだな。流石に早い」
ああ、この2チームがいるって事は、そうだな。
面倒臭いな。
同じ事を考えたらしい采真と顔を見合わせ、俺達は苦笑を浮かべた。
ここは、体を横にして通らないといけないような細い通路や、落ちたら死ぬような断崖もある。そこで襲って来るのが、コウモリの魔獣だったり、ジャンプ力が凄いカコミスルやオオカミの魔獣だったりして、なかなか刺激的だ。
今通り抜けようとしている所もそんなところで、細い通路の片側が切り立った崖の壁で、そこからは、崖を自由に駆け回る事の出来る魔獣が飛び掛かって来る。
そしてもう片側は同じく崖で、足を踏み外せば下の川へ落ちる。
「じゃあ、行くか」
「おう!いつでもOKだぜ!」
それで、俺達は飛び出した。
崖の上から降りて来て飛び掛かって来る魔獣は、早い目早い目に、魔術で跳ね飛ばし、切り飛ばす。そして前から飛び掛かって来る魔獣は、采真が斬り飛ばして突き進む。
得意不得意のあるチームメンバーでも、相手によってカバーし合えば何とかなる、という類の所ではなく、個人がそこそこできなければ渡り切れないという場所のようだ。
渡り切ってから足を止め、振り返る。
「回収は無理だな」
「ああ、欲を出したら死ぬぜ」
「次に進もう」
崖の上や通路の上からこちらを見て唸っている彼らを見て、俺達は前を向いた。
「俺、子供の頃犬を飼いたかったんだ。あいつら、エサやったら、懐くかな、鳴海」
「無理じゃないか。『お手』とか言って手を差し出したら噛まれそうだぞ」
「まあ、そうかな」
采真は少し残念そうだ。
道はそこで広がり、しゃがみ込んで休憩する探索者がいた。
「お疲れーっす」
「お先にー」
一応挨拶をして、先に行く。
と、小部屋になっていた。
入った途端、背後でゴゴゴと音がして、通路が岩で塞がれる。
「ここがこの階のラストみたいだな、鳴海!」
「らしいな。どこから何が出て来るか」
部屋の向こうに岩山があり、床は一面、凹凸のある岩肌だ。
その岩山の天辺に、大きな角のある羊のような魔獣が現れた。そして、上空から、殺気が迫る。
剣と魔銃剣を振れば、切られたペリカンが落下し、ジタバタもがいてから動かなくなった。
上を見ると、天井がペリカンの魔獣でいっぱいだった。
「こいつら、丸呑みしてくちばしの下の袋の所で溶かすらしいぞ」
「うわあ。でも、逃げられないのか」
「その液が麻痺を引き起こすらしい。
暑くても、泳ごうとか考えるなよ。あと、服が溶けてラッキーとかいうのも無いからな」
「男2人じゃなあ」
采真が本気で残念そうに言って、それで俺達は前へ出た。
俺はペリカンの魔獣を燃やし、風でバランスを崩させて引きずり落とし、切る。采真は、手の届く距離に入ったやつを、片っ端から斬って行く。
それほどかからずに、ペリカンはいなくなった。
後は、1体だけだ。
「でっかい角!」
「あれが凶器だぞ。それと、脚力と蹄も凄いと思う」
「わかったぜ!」
「来た!」
ボスは、ドドドと岩山を駆け下りると、ピョーンと飛んだ。
そのボスに、滞空中に風を浴びせ、火を浴びせる。
「風はバランスを崩す程度で、火には弱いか」
「ジンギスカンになるからじゃねえ?」
その言い分に腹を立てたのかどうかは知らないが、頭を低くして、走って突っ込んで来る。そのスピードの速い事!
パッと左右に分かれて避けると、毛に焦げ目をつけた俺が憎いのか、俺をロックオンして追って来る。
角を魔銃剣で受け、抑え込むと、采真が走り込んできて、首を落とすように斬りつけた。
嫌がるように頭を振りたがり、足を踏み鳴らし、采真を蹴ろうと躍起になる。
「切れ味が悪いぜ!」
言って、剣を目に突き立てると、ボスは激しく抵抗するように動き回ろうとする。そして、角を一旦下げ、思い切り振り上げた。
「うわっ!」
それで俺は、空中に放り上げられる。
「鳴海!?」
が、そこから、火を数発撃ち込む。
「うわ、丸焼きだぜ」
着地した俺とボスの間に、既に入っている采真が言う。
炎をまとったボスが、踊るように飛び跳ねている。
が、すぐに倒れて僅かな痙攣をするのみとなった。
大きな角と魔石をボディバッグに入れて部屋を出る。
「何か今の匂いで、焼肉食いたくなったぜ」
「焼肉か。いいな。
あ、でも、ローストビーフもその内食べたい」
「ああ、あれもいいなあ。ローストビーフサンドとか。前に鳴海の母ちゃんが作ってくれたやつ」
「美味かったよな」
言いながら角を曲がり、ギョッと足を止める。
そこで、ハリーのチームとマイクのチームが両方休憩中だったらしく、各々飲み物や軽食を持って、こちらを見ていた。
「うおっ!?」
「えっと、お疲れ様です」
その視線にややたじろぎながら、俺達はそこに近付いた。
マイクがチッと舌打ちをし、顔を歪めて言う。
「もう追いついて来やがったのかよ」
仲間の1人は呆れたように、
「アレの後で、焼肉とかローストビーフとか。余裕だな」
と言うので、采真が笑って言った。
「いやあ、焼いたらいい匂いがしたもんで」
それに、ハリーが肩を竦めて言う。
「ここが現在の最深部だ。おめでとう。とうとうトップに並んだな。流石に早い」
ああ、この2チームがいるって事は、そうだな。
面倒臭いな。
同じ事を考えたらしい采真と顔を見合わせ、俺達は苦笑を浮かべた。
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