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つながり(3)双子の悪魔
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しかし、全く手掛かりがない訳でも無かった。マドンナに憑いているそれの気配が、例の新婦に残っていた気配に似ていたのだ。
「と言う事は、例の憑依して暴力を振るわせる事件のヤツが、こいつの対の存在って事になるのかな」
マドンナには札を持たせていて、勝手に出て来られないようになっている。それで、僕達は、作戦会議だ。
「そっちの事件について教えてもらえるか」
ロイが身を乗り出す。
「ほんの最近起こり始めたばかりでねえ、陰陽課におかしいって調査依頼が来たのも、つい昨日が初めてなんだよねえ」
「それで、手分けしてそれらしい事件を調べに行ってる所だ。
もう帰って来てるな。陰陽課に戻るか」
僕達は陰陽課に行った。
調査に行った皆も戻っていて、報告書が上がって来ていた。
「特徴は、突然暴力をふるうという事、その間の記憶が無い事だな」
ロイとエドモンドに、内容を教えてやる。
「手分けして調べたから、気配が同じかどうかはわからないねえ。最後の、新婦とマドンナは似てたけどねえ」
「時期と場所はどうなんだ?」
エドモンドが訊くので、地図のコピーに、発生場所を番号で書き込んだ。
「東京近郊に集中してるな。それとも、よそにも発生していて情報が入って来てないのか?」
「暴力事件も虐待も起こってるけど、しらばっくれてるとも思えないという事件は今の所見当たらないそうなんだよう」
それに、徳川さんが頷いて補足する。
「新たにこんな事件が起こったらすぐに連絡を欲しいと通達はしているよ」
徳川一行。飄々として少々変わってはいるが、警察庁キャリアで警視長。なかなかやり手で、必要とあらば冷酷な判断も下す。陰陽課の生みの親兼責任者で、兄の上司になった時からよくウチにも遊びに来ていたのだが、すっかり、兄とは元上司と部下というより、友人という感じになっている。
「この被疑者達――というのか被害者達の、共通して訪れていた場所を探ろう。いいですね、課長。
全員集まってください」
1係、2係、3係、全員が集合する。
そして、全員の行動に共通点が無いか、調査が始まった。
共通点を探ると、見事にそれが浮かび上がって来た。
第一の事件の起こった時、近くに第二の事件の被疑者にさせられた人がおり、第二の事件の起こった時には第三の――という風に、つながっていたのだ。
「つまり、事件直後に、それは次のターゲットに乗り換えているという事か」
沢井さんが言い、最後の事件、結婚披露宴に参加していた人とその会場に出入りしたスタッフの一覧表を取り寄せるように言い、千歳さんと美保さんが各々のコンビで動き出す。
「後は、その中から今憑いている人を確かめて、確保した後、マドンナと一緒に祓えばいいんだな」
「その、確認と確保が大変だねえ。親族や友人達は、地方に住んでいる人もいるからねえ」
「地方の人は、協会に協力を仰いで、何か憑いている気配がないか探ってもらおう」
それで方針は決まった。
そして調査の結果、新郎の同僚にそれが乗り移っているのがわかった。助かった事に、家も仕事先もこの近辺だ。既に、札を渡して、逃げられないようにしている。
「よし、逝こうか」
そう言った時、不穏な情報がもたらされた。協会からで、ミニシエルが目撃されたという。そしてそのミニシエルは、よく似た気配をまとっていたという。
「どういう事だ?対じゃなくて、グループか?」
「グループって、それじゃあ、幾つかわからないって事ですか、係長?」
「面倒臭い事になったな。
仕方ない。締め上げてみるか」
「え、できるのかねえ?」
「札で囲って逃げ場はないとわからせれば、できる、かも」
僕と直の会話に、ロイとエドモンドも、頷いた。
「やってみるしかないな」
取り敢えず、チャレンジだ。
「と言う事は、例の憑依して暴力を振るわせる事件のヤツが、こいつの対の存在って事になるのかな」
マドンナには札を持たせていて、勝手に出て来られないようになっている。それで、僕達は、作戦会議だ。
「そっちの事件について教えてもらえるか」
ロイが身を乗り出す。
「ほんの最近起こり始めたばかりでねえ、陰陽課におかしいって調査依頼が来たのも、つい昨日が初めてなんだよねえ」
「それで、手分けしてそれらしい事件を調べに行ってる所だ。
もう帰って来てるな。陰陽課に戻るか」
僕達は陰陽課に行った。
調査に行った皆も戻っていて、報告書が上がって来ていた。
「特徴は、突然暴力をふるうという事、その間の記憶が無い事だな」
ロイとエドモンドに、内容を教えてやる。
「手分けして調べたから、気配が同じかどうかはわからないねえ。最後の、新婦とマドンナは似てたけどねえ」
「時期と場所はどうなんだ?」
エドモンドが訊くので、地図のコピーに、発生場所を番号で書き込んだ。
「東京近郊に集中してるな。それとも、よそにも発生していて情報が入って来てないのか?」
「暴力事件も虐待も起こってるけど、しらばっくれてるとも思えないという事件は今の所見当たらないそうなんだよう」
それに、徳川さんが頷いて補足する。
「新たにこんな事件が起こったらすぐに連絡を欲しいと通達はしているよ」
徳川一行。飄々として少々変わってはいるが、警察庁キャリアで警視長。なかなかやり手で、必要とあらば冷酷な判断も下す。陰陽課の生みの親兼責任者で、兄の上司になった時からよくウチにも遊びに来ていたのだが、すっかり、兄とは元上司と部下というより、友人という感じになっている。
「この被疑者達――というのか被害者達の、共通して訪れていた場所を探ろう。いいですね、課長。
全員集まってください」
1係、2係、3係、全員が集合する。
そして、全員の行動に共通点が無いか、調査が始まった。
共通点を探ると、見事にそれが浮かび上がって来た。
第一の事件の起こった時、近くに第二の事件の被疑者にさせられた人がおり、第二の事件の起こった時には第三の――という風に、つながっていたのだ。
「つまり、事件直後に、それは次のターゲットに乗り換えているという事か」
沢井さんが言い、最後の事件、結婚披露宴に参加していた人とその会場に出入りしたスタッフの一覧表を取り寄せるように言い、千歳さんと美保さんが各々のコンビで動き出す。
「後は、その中から今憑いている人を確かめて、確保した後、マドンナと一緒に祓えばいいんだな」
「その、確認と確保が大変だねえ。親族や友人達は、地方に住んでいる人もいるからねえ」
「地方の人は、協会に協力を仰いで、何か憑いている気配がないか探ってもらおう」
それで方針は決まった。
そして調査の結果、新郎の同僚にそれが乗り移っているのがわかった。助かった事に、家も仕事先もこの近辺だ。既に、札を渡して、逃げられないようにしている。
「よし、逝こうか」
そう言った時、不穏な情報がもたらされた。協会からで、ミニシエルが目撃されたという。そしてそのミニシエルは、よく似た気配をまとっていたという。
「どういう事だ?対じゃなくて、グループか?」
「グループって、それじゃあ、幾つかわからないって事ですか、係長?」
「面倒臭い事になったな。
仕方ない。締め上げてみるか」
「え、できるのかねえ?」
「札で囲って逃げ場はないとわからせれば、できる、かも」
僕と直の会話に、ロイとエドモンドも、頷いた。
「やってみるしかないな」
取り敢えず、チャレンジだ。
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