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第10話 罪と罰
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ちょうど良かったので、僕のステータスが妙な感じになった事を聞いてみる。小鈴や華鈴の両親である彼らなら、何かしらの答えを知っている筈だ。
「創造母神様、少しお聞きしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
『それは構いませんが要君に1つ言って置く事があるのヨォ~』
「あっ、ハイ。何ですか?」
『私の事は『お母さん』と呼んでネェ?』
「へっ!?よっ・・・よろしいのですか?」
『無論!それに口調も普通にしても良いわヨォ~?少し気が早いと思うけれどォ、将来的には私達の『息子』になるんですからネェ?』
「・・・義理の母親と言う意味の『義母さん』では無く?」
『そうじゃ無くテェ、普通の親子の間で呼んでいる様な方の『お母さん』呼びかしらネェ』
その答えを聞いて、僕は不覚にも目端に涙が浮かび、それを見た創造母神様は驚いてしまった様だ。
『どどど、どうしたの要君!要求した内容が急過ぎたのかしらァ~?』
「いえ、多分・・・嬉しいんだと思います。もうそう呼ぶ相手も永らく居ませんでしたから・・・」
『ッッッ!いっ良いのヨ!むしろ私の方がそう呼んで欲しいんだからァ、気にしないでバンバン呼んじゃって良いからネェ!』
バンバンて・・・まぁ創造父神様の方は〈お父さん〉と呼んでも良いという許可は出て無いけど、創造母神様の方はそう呼んでも良いと許可が出たので、そう答えよう。
「じゃ・・・じゃあ、お母さん?」
その途端、彼女は顔から炎が吹き出すかの如く赤面し、だけど、とても嬉しそうな笑顔を浮かべた。
『う、うん。何カナ~?要君?』
「聞きたい事があるんだけど、教えてくれるかな?」
『何を知りたいのカナ~?出来る限りの事はしてあげるヨォ~』
「僕のステータスの数値が、当て字的な表現されていたり、希望した種族とは違う種族になっているのだけど、誰がやったのか、教えてくれるよね?」
途端にお母さんの目が泳ぐ。
「ま、まさかお母さんが・・・」
『ちっ、違うからァ!それを強行したのはお父さんの方だからァ、恨むならお父さんの方でヨロシクゥ!』
ホゥ、ソウデスカ。ソレデハ、事ノ詳細ヲ尋問シナクチャネェ・・・
「それじゃあ、お母さんには用意して欲しい物があるんですよね♪」
僕としては笑顔で言ったのだけど、内心の黒い衝動がモレだしたらしく、お母さんが若干表情を青くして聞いてきた。
『ナッ、ナニを用意するのカナァ?神をも殺せる武器?それとも神をも害せる毒物?』
「まさかぁ、そんな物騒なモノ要求しないよ。こういう物は用意出来る?」
そう答え、用意してもらう物の内容を伝えると、顔色を元に戻しつつも、疑問に思ったのか眉根を寄せて聞いてきた。
『その程度の事ならァ、今すぐにでも用意出来るケド~?』
「いえ、今用意されると警戒されるから・・・罰を与えた後でよろしく」
『罰の内容を聞いてもイイ?』
「死にはしないけど、男のプライドは少々傷つくと思うよ?」
そう言うと、僕は少し離れた場所で小鈴や華鈴と話をしている創造父神様を見た。
◆小鈴視点◆
向こうで、母様と要が談笑しているのを目端に入れながら、私は華鈴と一緒にその場に小さめな木製の椅子を3個程物質化して座り、私達同様に座った父様と話をしていた。
『暫くの間に会わない内に、これからの将来を共に生きる者を見つけているとはな・・・』
そう言うと、父様はその幼げな顔立ちに似合わない、苦悩に満ちた表情をしていた。
「そうは言うケド、私達もそろそろそういう相手が居てもおかしく無いぐらいは生きたんだけど?」
『ウム、それは私も理解しているつもりだ。しかし、人間を相手に選ぶとはな・・・まぁ、今は種族変更しているので、厳密には違うのだが・・・』
「・・・でも、良い子ヨォ~?優しいしィ、些細な事には動じないしィ、何よりィ、私達が間違えた事をしたらキチンと怒りィ、常にお互いを尊重する為の配慮を疎かにしないィ、そんな子ヨォ~?」
「華鈴・・・要の前で以前の様に子供扱いをするのは、ダメだからね?私達は彼の事を成人した男性として扱うと決めているのよ?それが彼に対する最低限度の礼儀というモノなんだからね?」
「あぁ~、ヤっちゃったかァ~。やっぱり付き合い長いとォ、呼び方の修正が難しいよネェ~、でも治しておかないとネェ」
「私もやらかすと思うから、その時はヨロシク。それで、父様に少し尋ねたい内容があるのですが?」
ちょうど良い機会だから、要のステータスの事を聞いておこうと考え、今回の事を問いつつ父様の方を見ると、分かり易い程に目が泳いでいた。
悪い事をした時の反応が自分の行いに酷似しているのを見て、あぁ、やっぱり親子は似る物だ、等と思ってしまう。
「父様・・・その反応が答えであると認識しても良いんですよねぇ?」
『ナッ、何ノ事カナ?』
「父様・・・その反応、私がヤバい事をやらかした 時の反応そのものなんだけど・・・」
「何の話しているノォ、小鈴?」
「ホラ、要のステータスが当て字的な表現になってたり、希望した種族とは微妙に違う種族になってたよね?その事で父様が何か知らないかと思って聞いてみたトコロでこの反応。
最早、誰がやったか確定したとしか言い様が無いんだけど・・・ね・・・ハ・・・ハハ・・・」
「ウン、コレって答え合わせの必要性すら無いよネェ・・・ハハ・・・」
華鈴と共に乾いた笑いを浮かべつつ、視点を挙動不審な父様に戻してみると、いつの間にか近付いた要がとても良い笑顔で父様の両肩に手を置いていた。だが、長年の経験から、要から黒いナニカが溢れていくのが理解出来た。
気付いた時には華鈴と抱き締め合い、共にガタガタと震えが止まらない状態になっていた。そして、それは両肩に手を置かれた父様も同様であった。
「創造父神様、1つお聞きしたい内容がございますが、よろしいですよね?」
そもそも聞き方からしておかしい表現だ。「よろしいでしょうか?」では無くこの聞き方だと、「言わんとシバく!」と言っている様な物だ。
『な、何かな?要殿。どんな内容かな?』
あぁ、父様・・・其処は速攻で謝り倒すべきトコロだったのに・・・せっかくのチャンスを無駄にして・・・
「それはですね、創造母神様、いえ、お母さんからお聞きした内容なのですが、僕のステータスを操作されたのは、創造父神様だそうですので、詳細をお聞きしたいので、お答え出来ますよね?」
あぁ~、バレちゃったよ・・・しかも、聞いた途端に、黒いナニカが溢れるスピードが上昇してるよ・・・要も喉の奥から「クフクフ、クク・・・ククク・・・」と気味の悪い笑い声を出してるし、ヤバい、ヤバいッッッってば、父様!
『そっ、それはだな・・・』
「・・・それは、何ですか?」
『娘達がプロポーズを受けた所を見て、つい、出来心で・・・』
「・・・・まぁ、父親という立場からすれば、充分理解出来る内容ですかね。それで僕としては正常な数値や希望した種族に戻して頂きたいのですが、その点は可能なんですよね?」
そう言うなり、要が両肩に置かれた手に力がこもる。でも、それに対しての答えは私も知っている内容だ。ただ、父様がその答えを容易に口に出来るハズも無いのだが。
『そっ・・・その事なのだが・・・』
「はい?」
『従来なら、それ専用のマジックアイテム等で変更可能なのだ・・・が、今回は、肉体の再構築に割り込む形で創造神たる私が介入した為に、並みのアイテムでは不可能に近く・・・』
「えっ、それってつまり・・・」
『1度変更すると、再度転生時にしか変更出来無いのだ。一応、レベルアップ時に一部本来の数値に戻る部分も有るので、スマン、許してくれぃ!!』
その途端、要の顔が悪鬼の形相と化す。ヒィィ!!
「その一言で許せるなら、警察どころか神すら要らんわっ!」
その言葉と共に、右足で父様の足元を刈り倒そうとするが、父様は要の手を振り払うが如くその場でジャンプして回避した。
『悪いが、その程度の事で私が転倒すると思う・・・のぉぉぉぉぉ!?』
父様が地に足を付ける瞬間に、何かが踵にぶつかり払い退けた為に、着地に失敗した父様は受け身も取れずに背中から落下した。また、落下の衝撃の為か、上半身と下半身の鎧のみが外れ、周囲に散乱した。
『なっっ、何がどうして・・・』
「ハイ、残念♪」
そう言うが否や、要は父様の両足首を左右の手で掴んで広げ、右足を股間の上に乗せた。所謂、電気アンマの状態だ。しかし、一体どんな手でこの状況に持ち込んだのやら・・・
『どっ、どの様な手段を用いたのだ・・・』
「あぁ、コレの事かなぁ?」
そう言う要の腰の辺り、正確には尾てい骨の辺りから〈尻尾〉が生えていた。そう、白銀に輝く体毛に覆われたドラゴンの尾が。
「意外な程簡単でしたよ?まだスキルリストの確認すらして無いのに、肉体構造の一部変更というのは、ねぇ?」
そう言いつつ、何気無い感じで目の前でクネクネと動く自身の尾を見る要。
『そうか、ソレを使って・・・』
「視覚外から大振り気味に、ねぇ。多分、他のスキルも無意識に使ってますね。恐らく〈光魔法系〉と〈隠密系〉の辺りかなぁ・・・」
『まだ転移して間も無いというのに・・・』
そう、まだ異世界に降り立ち、自身のスキルリストの確認どころか、スキルの使用すらしていないのに、実践投入でこの状況、いやはや、『流石』意外の表現が出てこない。
要の言う〈光魔法系〉は、おそらく光学迷彩による対象の不可視化だろうし、〈隠密系〉は暗殺者等が用いるハイド系スキルの事だろう。
ただ、他にも無意識で使用しているスキルもあると私は考えている。
例えば、父様の鎧の一部が、まるでソコだけを狙ったかの如く、他の装備箇所を除外して排除されるという現状から、恐らくアーマーブレイク系のスキルと思われる。
そして、もう1つ。私よりも上位の存在である神の父様を容易に制圧するという、事実上不可能な事を、まるで当然の様に行う能力。これには、実は私には心当たりがある。
要の家に入り浸る事が多い私や華鈴、その期間も、要の養父母や養祖父が亡くなり、一人暮らしを始めた頃位から現在迄、かなりの年数一緒に居る事になる。
要が自身の性欲処理用の一環として購入していたエロゲーに私が興味を持ち、一言断りを入れて借りれば良いところを、ワザと強奪したりするという事を始めとして様々なイタズラをしたのだが、最初の頃は成功していたその行為も、後半からは何故か失敗する事が多発化して、今朝の罰ゲーム程では無いが、それなりの罰を受けていた。
この事から察するに、要の祝福である『100年童貞』が、私のイタズラを迷惑行為として認識して、無力な人間が、自身よりも強大な存在に対向出来る為のスキルを、要に与えた可能性が高い。
そして今回、要が認識したスキル以外にこれ等のスキルも使用されたからこそ、現在の状況に至るのだと私は考えている。
「僕は竹虎と笹熊の育ての親ですよ?あの娘達のシッポのイメージを利用するのは、今まで意識して使用した事の無いスキル等に比べれば、むしろ容易な程でしたけどね?」
父様はその説明に茫然としていた。まぁ、無理も無い話だろうけど、何か大事な事を忘れてないだろうか?
「さぁ、貴様の罪を数えろ・・・」
『チョッッ、それって日曜日の朝のシングル系でありながらダブル系という異色の特撮ヒーロー番組の・・・』
何故そういうの知ってるの父様!?確かに外見的には違和感無いケドさぁ!!
「クフクフ、ククク・・・さぁ、楽し~ぃ楽し~ぃ罰ゲームの時間だよぉ~?心と体の準備は出来たかなぁ~?」
『ひっ、ヒイィィィ!こっ小鈴、華鈴、たっ頼む!た、助け・・・』
そこから言葉が続ける事が出来ない父様。
要の据わった暗い視線が、静かに父様から私達の方を向く。
即座に華鈴と視線を交わし、決断する。
「「絶対無理!諦めて!」」
ソコからの状況はかなり酷いモノだった。要から受ける電気アンマにより、父様が涙やヨダレ、果ては股間から2種類の『液体』を吹き出しながら、
『らっ、らめぇぇぇ、れない、もう、れないのぉぉぉ・・・』
と叫んでも要は一切手を、正確には足を緩める事無く、絶妙なバイブレーションで責め立てる。
「ホゥ、マダマダ余裕ガアリソウデスネェ・・・コノ程度デ許スホド、僕ハ優シクハ無イ!コノママ、イクトコロマデイクゾ、ウオォォォオ!!」
そう言いながら、全身から黒いナニカを放出しつつ責め立てる。言語的な部分が、かなりイッてしまう程にキレてるし、当分このままかなぁ?
その後、自分の体から出た『色々な液体』にまみれ力尽き倒れた父様と、対照的に力強く勝利の雄叫びをあげる要が、とても印象に残ったと言えるだろう。
ちなみにその間、母様は我関せずという感じで満足気に微笑みながら、竹虎と笹熊をモフモフしていた。
イヤ、そこは止めてよ!母親としてさぁ!
「創造母神様、少しお聞きしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
『それは構いませんが要君に1つ言って置く事があるのヨォ~』
「あっ、ハイ。何ですか?」
『私の事は『お母さん』と呼んでネェ?』
「へっ!?よっ・・・よろしいのですか?」
『無論!それに口調も普通にしても良いわヨォ~?少し気が早いと思うけれどォ、将来的には私達の『息子』になるんですからネェ?』
「・・・義理の母親と言う意味の『義母さん』では無く?」
『そうじゃ無くテェ、普通の親子の間で呼んでいる様な方の『お母さん』呼びかしらネェ』
その答えを聞いて、僕は不覚にも目端に涙が浮かび、それを見た創造母神様は驚いてしまった様だ。
『どどど、どうしたの要君!要求した内容が急過ぎたのかしらァ~?』
「いえ、多分・・・嬉しいんだと思います。もうそう呼ぶ相手も永らく居ませんでしたから・・・」
『ッッッ!いっ良いのヨ!むしろ私の方がそう呼んで欲しいんだからァ、気にしないでバンバン呼んじゃって良いからネェ!』
バンバンて・・・まぁ創造父神様の方は〈お父さん〉と呼んでも良いという許可は出て無いけど、創造母神様の方はそう呼んでも良いと許可が出たので、そう答えよう。
「じゃ・・・じゃあ、お母さん?」
その途端、彼女は顔から炎が吹き出すかの如く赤面し、だけど、とても嬉しそうな笑顔を浮かべた。
『う、うん。何カナ~?要君?』
「聞きたい事があるんだけど、教えてくれるかな?」
『何を知りたいのカナ~?出来る限りの事はしてあげるヨォ~』
「僕のステータスの数値が、当て字的な表現されていたり、希望した種族とは違う種族になっているのだけど、誰がやったのか、教えてくれるよね?」
途端にお母さんの目が泳ぐ。
「ま、まさかお母さんが・・・」
『ちっ、違うからァ!それを強行したのはお父さんの方だからァ、恨むならお父さんの方でヨロシクゥ!』
ホゥ、ソウデスカ。ソレデハ、事ノ詳細ヲ尋問シナクチャネェ・・・
「それじゃあ、お母さんには用意して欲しい物があるんですよね♪」
僕としては笑顔で言ったのだけど、内心の黒い衝動がモレだしたらしく、お母さんが若干表情を青くして聞いてきた。
『ナッ、ナニを用意するのカナァ?神をも殺せる武器?それとも神をも害せる毒物?』
「まさかぁ、そんな物騒なモノ要求しないよ。こういう物は用意出来る?」
そう答え、用意してもらう物の内容を伝えると、顔色を元に戻しつつも、疑問に思ったのか眉根を寄せて聞いてきた。
『その程度の事ならァ、今すぐにでも用意出来るケド~?』
「いえ、今用意されると警戒されるから・・・罰を与えた後でよろしく」
『罰の内容を聞いてもイイ?』
「死にはしないけど、男のプライドは少々傷つくと思うよ?」
そう言うと、僕は少し離れた場所で小鈴や華鈴と話をしている創造父神様を見た。
◆小鈴視点◆
向こうで、母様と要が談笑しているのを目端に入れながら、私は華鈴と一緒にその場に小さめな木製の椅子を3個程物質化して座り、私達同様に座った父様と話をしていた。
『暫くの間に会わない内に、これからの将来を共に生きる者を見つけているとはな・・・』
そう言うと、父様はその幼げな顔立ちに似合わない、苦悩に満ちた表情をしていた。
「そうは言うケド、私達もそろそろそういう相手が居てもおかしく無いぐらいは生きたんだけど?」
『ウム、それは私も理解しているつもりだ。しかし、人間を相手に選ぶとはな・・・まぁ、今は種族変更しているので、厳密には違うのだが・・・』
「・・・でも、良い子ヨォ~?優しいしィ、些細な事には動じないしィ、何よりィ、私達が間違えた事をしたらキチンと怒りィ、常にお互いを尊重する為の配慮を疎かにしないィ、そんな子ヨォ~?」
「華鈴・・・要の前で以前の様に子供扱いをするのは、ダメだからね?私達は彼の事を成人した男性として扱うと決めているのよ?それが彼に対する最低限度の礼儀というモノなんだからね?」
「あぁ~、ヤっちゃったかァ~。やっぱり付き合い長いとォ、呼び方の修正が難しいよネェ~、でも治しておかないとネェ」
「私もやらかすと思うから、その時はヨロシク。それで、父様に少し尋ねたい内容があるのですが?」
ちょうど良い機会だから、要のステータスの事を聞いておこうと考え、今回の事を問いつつ父様の方を見ると、分かり易い程に目が泳いでいた。
悪い事をした時の反応が自分の行いに酷似しているのを見て、あぁ、やっぱり親子は似る物だ、等と思ってしまう。
「父様・・・その反応が答えであると認識しても良いんですよねぇ?」
『ナッ、何ノ事カナ?』
「父様・・・その反応、私がヤバい事をやらかした 時の反応そのものなんだけど・・・」
「何の話しているノォ、小鈴?」
「ホラ、要のステータスが当て字的な表現になってたり、希望した種族とは微妙に違う種族になってたよね?その事で父様が何か知らないかと思って聞いてみたトコロでこの反応。
最早、誰がやったか確定したとしか言い様が無いんだけど・・・ね・・・ハ・・・ハハ・・・」
「ウン、コレって答え合わせの必要性すら無いよネェ・・・ハハ・・・」
華鈴と共に乾いた笑いを浮かべつつ、視点を挙動不審な父様に戻してみると、いつの間にか近付いた要がとても良い笑顔で父様の両肩に手を置いていた。だが、長年の経験から、要から黒いナニカが溢れていくのが理解出来た。
気付いた時には華鈴と抱き締め合い、共にガタガタと震えが止まらない状態になっていた。そして、それは両肩に手を置かれた父様も同様であった。
「創造父神様、1つお聞きしたい内容がございますが、よろしいですよね?」
そもそも聞き方からしておかしい表現だ。「よろしいでしょうか?」では無くこの聞き方だと、「言わんとシバく!」と言っている様な物だ。
『な、何かな?要殿。どんな内容かな?』
あぁ、父様・・・其処は速攻で謝り倒すべきトコロだったのに・・・せっかくのチャンスを無駄にして・・・
「それはですね、創造母神様、いえ、お母さんからお聞きした内容なのですが、僕のステータスを操作されたのは、創造父神様だそうですので、詳細をお聞きしたいので、お答え出来ますよね?」
あぁ~、バレちゃったよ・・・しかも、聞いた途端に、黒いナニカが溢れるスピードが上昇してるよ・・・要も喉の奥から「クフクフ、クク・・・ククク・・・」と気味の悪い笑い声を出してるし、ヤバい、ヤバいッッッってば、父様!
『そっ、それはだな・・・』
「・・・それは、何ですか?」
『娘達がプロポーズを受けた所を見て、つい、出来心で・・・』
「・・・・まぁ、父親という立場からすれば、充分理解出来る内容ですかね。それで僕としては正常な数値や希望した種族に戻して頂きたいのですが、その点は可能なんですよね?」
そう言うなり、要が両肩に置かれた手に力がこもる。でも、それに対しての答えは私も知っている内容だ。ただ、父様がその答えを容易に口に出来るハズも無いのだが。
『そっ・・・その事なのだが・・・』
「はい?」
『従来なら、それ専用のマジックアイテム等で変更可能なのだ・・・が、今回は、肉体の再構築に割り込む形で創造神たる私が介入した為に、並みのアイテムでは不可能に近く・・・』
「えっ、それってつまり・・・」
『1度変更すると、再度転生時にしか変更出来無いのだ。一応、レベルアップ時に一部本来の数値に戻る部分も有るので、スマン、許してくれぃ!!』
その途端、要の顔が悪鬼の形相と化す。ヒィィ!!
「その一言で許せるなら、警察どころか神すら要らんわっ!」
その言葉と共に、右足で父様の足元を刈り倒そうとするが、父様は要の手を振り払うが如くその場でジャンプして回避した。
『悪いが、その程度の事で私が転倒すると思う・・・のぉぉぉぉぉ!?』
父様が地に足を付ける瞬間に、何かが踵にぶつかり払い退けた為に、着地に失敗した父様は受け身も取れずに背中から落下した。また、落下の衝撃の為か、上半身と下半身の鎧のみが外れ、周囲に散乱した。
『なっっ、何がどうして・・・』
「ハイ、残念♪」
そう言うが否や、要は父様の両足首を左右の手で掴んで広げ、右足を股間の上に乗せた。所謂、電気アンマの状態だ。しかし、一体どんな手でこの状況に持ち込んだのやら・・・
『どっ、どの様な手段を用いたのだ・・・』
「あぁ、コレの事かなぁ?」
そう言う要の腰の辺り、正確には尾てい骨の辺りから〈尻尾〉が生えていた。そう、白銀に輝く体毛に覆われたドラゴンの尾が。
「意外な程簡単でしたよ?まだスキルリストの確認すらして無いのに、肉体構造の一部変更というのは、ねぇ?」
そう言いつつ、何気無い感じで目の前でクネクネと動く自身の尾を見る要。
『そうか、ソレを使って・・・』
「視覚外から大振り気味に、ねぇ。多分、他のスキルも無意識に使ってますね。恐らく〈光魔法系〉と〈隠密系〉の辺りかなぁ・・・」
『まだ転移して間も無いというのに・・・』
そう、まだ異世界に降り立ち、自身のスキルリストの確認どころか、スキルの使用すらしていないのに、実践投入でこの状況、いやはや、『流石』意外の表現が出てこない。
要の言う〈光魔法系〉は、おそらく光学迷彩による対象の不可視化だろうし、〈隠密系〉は暗殺者等が用いるハイド系スキルの事だろう。
ただ、他にも無意識で使用しているスキルもあると私は考えている。
例えば、父様の鎧の一部が、まるでソコだけを狙ったかの如く、他の装備箇所を除外して排除されるという現状から、恐らくアーマーブレイク系のスキルと思われる。
そして、もう1つ。私よりも上位の存在である神の父様を容易に制圧するという、事実上不可能な事を、まるで当然の様に行う能力。これには、実は私には心当たりがある。
要の家に入り浸る事が多い私や華鈴、その期間も、要の養父母や養祖父が亡くなり、一人暮らしを始めた頃位から現在迄、かなりの年数一緒に居る事になる。
要が自身の性欲処理用の一環として購入していたエロゲーに私が興味を持ち、一言断りを入れて借りれば良いところを、ワザと強奪したりするという事を始めとして様々なイタズラをしたのだが、最初の頃は成功していたその行為も、後半からは何故か失敗する事が多発化して、今朝の罰ゲーム程では無いが、それなりの罰を受けていた。
この事から察するに、要の祝福である『100年童貞』が、私のイタズラを迷惑行為として認識して、無力な人間が、自身よりも強大な存在に対向出来る為のスキルを、要に与えた可能性が高い。
そして今回、要が認識したスキル以外にこれ等のスキルも使用されたからこそ、現在の状況に至るのだと私は考えている。
「僕は竹虎と笹熊の育ての親ですよ?あの娘達のシッポのイメージを利用するのは、今まで意識して使用した事の無いスキル等に比べれば、むしろ容易な程でしたけどね?」
父様はその説明に茫然としていた。まぁ、無理も無い話だろうけど、何か大事な事を忘れてないだろうか?
「さぁ、貴様の罪を数えろ・・・」
『チョッッ、それって日曜日の朝のシングル系でありながらダブル系という異色の特撮ヒーロー番組の・・・』
何故そういうの知ってるの父様!?確かに外見的には違和感無いケドさぁ!!
「クフクフ、ククク・・・さぁ、楽し~ぃ楽し~ぃ罰ゲームの時間だよぉ~?心と体の準備は出来たかなぁ~?」
『ひっ、ヒイィィィ!こっ小鈴、華鈴、たっ頼む!た、助け・・・』
そこから言葉が続ける事が出来ない父様。
要の据わった暗い視線が、静かに父様から私達の方を向く。
即座に華鈴と視線を交わし、決断する。
「「絶対無理!諦めて!」」
ソコからの状況はかなり酷いモノだった。要から受ける電気アンマにより、父様が涙やヨダレ、果ては股間から2種類の『液体』を吹き出しながら、
『らっ、らめぇぇぇ、れない、もう、れないのぉぉぉ・・・』
と叫んでも要は一切手を、正確には足を緩める事無く、絶妙なバイブレーションで責め立てる。
「ホゥ、マダマダ余裕ガアリソウデスネェ・・・コノ程度デ許スホド、僕ハ優シクハ無イ!コノママ、イクトコロマデイクゾ、ウオォォォオ!!」
そう言いながら、全身から黒いナニカを放出しつつ責め立てる。言語的な部分が、かなりイッてしまう程にキレてるし、当分このままかなぁ?
その後、自分の体から出た『色々な液体』にまみれ力尽き倒れた父様と、対照的に力強く勝利の雄叫びをあげる要が、とても印象に残ったと言えるだろう。
ちなみにその間、母様は我関せずという感じで満足気に微笑みながら、竹虎と笹熊をモフモフしていた。
イヤ、そこは止めてよ!母親としてさぁ!
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