悪役令嬢の弟

ミイ

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24. 攻略対象4人目

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会議室に入ると、もう既に半分以上が席に座り始まるまで談笑している。

「(生徒会は…最後かな…?)」と思いつつ席に座る。ヒロインは席に座っても落ち着きなく周りをキョロキョロ見渡し、ニコニコしていた。

暫くすると全員が席に着き、最後に生徒会一行が現れる。

横でヒロインが「チェッ…チェスト様…!」と身悶えている。

「(…生徒会長の名前ってチェストって言うんだ…。ヒロイン、すごい喜んでるけど生徒会長に初めて会った時、結構酷い扱いだったのになぁ…女心って分かんない…。)」

と僕は思いながら委員会が始まるのを待った。

「では、全員揃ったようなので第1回学級代表会議を行う。俺は生徒会長のチェスト・ヴァイテックス。そして隣にいるのが副会長のスコッチ・マリタイム、コッチは書紀のメチル・チャビコール、その隣は会計のダマス・クローズだ。皆には悪いが今回は1回目ということで全員に自己紹介をしてもらう。」

会長がそう告げると隣に座っていた副会長が立ち上がった。

「では、私から。ただ今、会長にご紹介預かりました副会長のスコッチ・マリタイムです。昨年も生徒会に所属していました、宜しくお願い致します。」

そう挨拶をした副会長はやはりあの時、ぶつかった銀髪美人だった。

僕は確認するように静かに座るその光景を見つめていると彼と目が合ってしまう。慌てて目線を逸らしたが、彼からの視線を感じる。

僕は暫くの間、下を向き彼の注目が削がれるのを待った。しかしずっと下を向いているわけにいかず僕は次々進んでいく自己紹介に恐る恐る顔を上げた。すると彼の視線は自己紹介をする人物に移っており、内心ホッとする。

「(なんか怖いんだよなぁ…あの人、微笑んでるけど目が笑ってないし…。)」





それから生徒会とは違う3年生の自己紹介へと移った。

その中に明らかに異彩を放つ人物がいる。こんな僕でも一目見て分かるほどの人物だ。

その人は背中まであるウェーブ状の薄紫色の髪型に左目の泣き黒子、妖しく微笑みながら脚を組み、頬杖をついている。そして何故か胸ポケットにはバラが一輪刺さっている。

「(不自然すぎる…。)」

しかし、確かに攻略対象なだけあって整った顔をしている。僕は物珍しさに彼を凝視した。

すると、彼の番が来る。

「皆様、初めまして。グリーン・ランドモスと申します。自身の出来る限り尽力を尽くしていきたいと思いますので宜しくお願い致します。」

と告げ、席に座る。

その際、僕は彼を凝視していたことで気付いてしまった。彼が座る瞬間、ヒロインにウィンクしていたことを。

僕がチラッとヒロインを見ると苦笑いしていたので彼はヒロインのお気には召してないようだった。




そして、いよいよヒロインの番になる。

ヒロインは嬉々と立ち上がると「ニア・バイオレットです!不慣れなこともございますが、ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。」と笑顔で告げる。その目線はきっと生徒会長にだろう。

僕は彼女が座ったのを確認すると、いそいそと立ち上がり「トルー・バルサムです、宜しくお願い致します。」と当たり障りのない自己紹介をする。僕の目線は勿論、右斜め下だ。

その後は淡々と自己紹介が進み、全てを終えた時、生徒会長が口を開く。

「では、本題に入るー…。」






それから暫くして会議が終わった。

僕は早速、立ち上がりヒロインに軽く声を掛けると部屋を後にする。

しかし、僕はこのまま帰ることは出来ない。何故なら今後のヒロインの動向を確認しなければいけないからだ。

確かココでは特にイベントはなかったはず。しかし、あのヒロインの積極性…不安しかない。

僕は殆どの人が帰ったのを見計らって先程の会議室の近くに戻り待機した。

この会議室を始め、各クラスは防音はしっかりされているものの、中に誰がいるか分かるように目線の高さより少し高いところに小窓がある。

僕はそれを利用して中を覗いてみる。

すると、何故か会長とヒロインが2人きりだった。

「(えぇ!やっぱり乙女ゲームだからか!?)」と僕は驚く。普通はこんな展開ないはずだ。

僕はコッソリ扉を開けると中で何を喋っているか確認することにした。

「チェスト様…入学式の時はありがとうございました!凄く助かりました。」

「…いや、お礼を言われるほどのことはしていない。」

「でも!本当に助かったんです。あの…それで私、生徒会のお仕事に凄く興味があって、もし宜しければお手伝い出来ませんか?」

ヒロインはそう言うと生徒会長に少し近付く。

生徒会長は考えるそぶりを見せると「気持ちは嬉しいが、入学したばかりの君にそんなことをさせるわけにはいかない。」とハッキリと告げる。

「(な~んだ!会長!ツンデレなのは皆の前だけか!2人の時は割りと普通じゃないか!)」

なんて僕が関心していると、肩をポンポンと叩かれる。
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