悪役令嬢の弟

ミイ

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37. イモーテルの気持ち

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行きの馬車の中、僕は先程のことをイモーテルに悟られない様、必死になる。

しかし、それでもイモーテルには言っておかなければならないことがある。

「あの…イモーテル。」と話しかけるとイモーテルが視線をこちらに向けた。

「…そのゴメンね?何も気付かなくて…。イモーテルがチューリップの花のことで嫉妬してるなんて思いもしなかったんだ…。」

と僕はイモーテルの様子を窺うように告げる。

するとイモーテルは「いえ…。」と呟くと重い口を開いた。

「…私の方こそ自分の立場を弁えず、失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした…。本来は私から謝罪しなければならないのにトルー様に気を遣わせるなんて…従者としてあるまじき行為です…。」

と項垂れる。

「いや、そんな…!僕の方こそイモーテルには色々と良くしてもらってるのに…。」

とお互いの謙遜のし合いを繰り返し結局、イモーテルが「私の不徳の致すところでございます。」という言葉で僕が諦めた。

「あの…それでイモーテル…嫉妬したっていうのは…恋愛的な意味での嫉妬なの?それとも従者の立場からして主人が誰かの物になるのが嫌だとかそういうこと?」

と聞くとイモーテルは「そっ…!そんな!」と焦り出す。

「私はトルー様の従者としてトルー様には幸せになって頂きたいのです。ですから、そこに恋情の様なものは持ち合わせてはいけません…!」

とハッキリと告げる。

しかし、僕は気付いてしまった。

「(あれ…?持っていない、じゃなくて持ってはいけないって言った…?じゃあ、それって恋情を持ちたいけど、持ってはいけないってことでセーブしてるってこと?)
えーっと…じゃあ、そこに恋愛的な要素は無いってことでいいのかな?」

と僕が言うと「あのっ…いや…その…!」と更に焦り出す。

「(…やっぱりあるんじゃん…。)
イモーテル…正直に言って。僕のことが好きなの?」と僕が核心的なことを告げると静かに「はい…。」と答える。

僕は自分で言わせておきながら、その答えになんて返そうか迷っていた。

「(サンバックの時もそうだけど今は僕、恋愛は出来ないから待ってもらえるなら待って欲しいな…。かといっていい返事が返せるか分からないけど…。てか、そもそもイモーテルって僕と付き合いたいのかな?)
イモーテル…僕と付き合いたいとか思う?」

「…ッ!そんな!恐れ多いです…!」と間髪をいれず答える。

「じゃあ僕が違う人と付き合っても大丈夫?」

と聞くと彼は考え込んでしまった。

「(前から従者以上のことは思われてると思ってたけど、付き合うとかは別なのかな?)」

そんなことを考えていると馬車が止まる。

「イモーテル、僕、学校に行かなくちゃいけないから返事は帰りの馬車の時にでも教えて。じゃあ行ってきます。」

と僕は考え込んでいる彼を置いて馬車から降りた。






教室に着くとヒロインから「おはようございます。」と挨拶をされる。珍しいな、と思いつつ、それに応える。

「あの!バルサム様…昨日、マリタイム様と昼食を
ご一緒されたと伺ったのですが、それは本当ですか?」

「えっ…何故それを…?
(何?なんで知ってるの?もうそんな情報が出回ってる!?)」と情報の速さに驚く。

ヒロインは「…皆様がお話されていたのを聞いたので…。」と答えるが正直、本当かどうか分からない。

「(僕はマリタイムを知らないけど、もしかしたら裏キャラかもしれないし、攻略本を読んでたヒロインなら知っているのかも…!)
…たまたまご一緒しただけですよ。それに少しお話して僕は席を立ちましたから。一緒に、という程でもありませんし。」

と答えると明らかにホッとしたようにヒロインが「…そうですか。」と告げる。

「しかし、バイオレット様はマリタイム様のことをお詳しいのですか?僕は先日の会議で初めてお目にかかったのでよく知らないのです。」と僕は探りを入れる。

「えっ…?いえ、皆様が存じ上げてるくらいでしか私も知りません。しかし…。」




その後、ヒロインはマリタイムに関する情報をすべて教えてくれた。

なんでもマリタイムは王家に仕える宰相の次男で、それなりに権力があるらしい。物腰の柔らかい雰囲気と口調で沢山のご令嬢から人気があるとか。そして水魔法の能力に長け、成績もトップクラス。さぞかしモテると思いきや、本人にはすでに心に決めた人がいるからと、全てのアプローチを断っているらしい。

なんだろう…この何処かで聞いたことのあるようなセリフ…。
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