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第二章 まるで中二な異世界人
CASE7 パプカ・マグダウェル② その2
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パプカに呼び出された日。
言われたとおり、替えの下着と服を用意して集合場所にやってきた。すっぽかしても良いのかもしれないが、その後どんな報復があるかわからないため、俺には来るという選択肢しかなかったのである
しばらくすると、後ろ髪を掻いてあくびをしながらパプカがやってきた。そう、しばらく……待ったのだ。
「おはようパプカ。日の出から貪った追加の三時間の惰眠は気持ちよかったかい?」
「おはようございますサトー。いやぁ春ですねぇ。寒かった冬もそろそろ終わりでしょうか。全く、いい時期に入ったものです」
この女、清々しい笑顔を浮かべやがって。そりゃあこんな時間まで寝てれば気持ちが良かろうよ。
お陰で俺は3時間も待ちぼうけを食らってしまったのだ。朝飯抜きに加えて連日勤務での寝不足。俺は決して軽くない殺意を目の前の幼女に抱いていた。
「てめぇこのやろう! 俺が待ってた最中ずっと寝てやがったのか! 春先っつっても外はまだ十分寒いんだよ!!」
「いふぁいれす、ほおをひっはららいれくらはい! そ、それに今の今まで眠っていたわけではありません! 休日でもわたしはもっと早起きなんです!」
「ほお? じゃあ今まで何をしていた?」
「食堂で朝食をとっていました」
こいつ本当にどうしてくれよう。
「そんな大した用事じゃないなら俺は帰るぞ! 帰って二度寝に突入してやる!」
「待ってくださいサトー。それではわたしの今日の予定が狂ってしまいます。これからサトーと魔法の特訓をしてから、店主さんの御見舞に向かう予定なのですから」
「……魔法の特訓?」
「そう、魔法の特訓です」
にやりと笑うパプカの表情に、このあと俺の身に起きる惨事を想定してか、体中を悪寒が走り抜けていった。
場所は変わり裏路地広場。
3方を住宅に囲まれた孤立した場所だ。明らかにアウトサイダーがたむろするこの場所で、パプカは俺を相手に魔法の特訓をすると言う。
……明らかに人に見られちゃ駄目なことをする気満々ですよこの子! 逃げようとしたら唯一の退路をゴーレムでガッチリ封鎖されてるんですけど!
「お前は一体、俺に何をする気だ?」
「別に死にはしませんし、全然問題ありませんよ…………あ、ちなみにお手洗いは通りを抜けた公衆便所を使ってください」
「脈絡がない!! ホント何する気だ! 断固説明を要求する!!」
「全く肝っ玉の小さな男ですね、サトーは。男らしくドーンと構えるくらいの気構えはできないんですか?」
「座して死を待つのが男なら、俺は女々しくて結構だ」
やれやれと顔を振ってみせるパプカにほんのりと殺意が湧いたが、どうやら説明自体はしてくれるらしい。
「何も説明なしにサトーを死地に……ごほん! 魔法の特訓に付き合わせるわけじゃありませんよ」
「今”死地に”とか言わなかったか?」
「あっはっは…………で、特訓についてですが」
こいつ笑ってごまかしやがった。
「今日特訓する魔法は、簡単に言うと『解毒魔法』ですね」
「解毒魔法? ああ、そういえばアグニスの見舞いに行くとか言ってたな。その関係か?」
「はい。高度な解毒魔法は病気を治療するにも効果的ですからね。これさえあれば店主さんもすぐに良くなるはずです。教会や使用できる冒険者がいれば話は早かったんですけどね」
リールの村には教会がない。もちろん、村人がお祈りする建物はあるし、神父の資格を持つ人間もいる。
ただ、前にいた街のような規模の施設ではないし、神父さんだって本業は別で聖職の魔法が使えるというわけでもない。
この程度の規模の村にはよくあることで、よほど熱心な信者が大勢いない限りは、現状でも十分なのである。
「でもあれだな、パプカほどの魔法使いが今まで解毒魔法を使えなかったのか?」
「確かに、わたしは可愛くて若く才能溢れた魔法使いです」
「そこまでは言ってない」
「でも残念ながら、解毒魔法は聖魔法……プリーストやヒーラーの分野です。専門が違えば覚える方向性も違ってくるのですよ。そもそもわたしは正確に言うと錬金術師ですしね」
覚えられるスキルや魔法は職業によって変わるが、覚えられるからと言って必ずしも覚えるとは限らないらしい。確かに時間は有限だしな。
例えば、魔法使いと言うジョブがいろいろな魔法を覚えることができたとしても、その人間が目指すのが黒魔術だった場合、そっち系等の魔法を覚えていくのが当たり前。わざわざ白魔法から遠回りに目指す必要性もないのである。
「ふーん、で? 具体的にどうやって特訓するんだ?」
「それはもちろんサトーに協力してもらいます」
「え? でも俺魔法なんてほとんど使えないぞ。協力つっても何を……」
言い終わる前に、俺の視線はパプカの背中へと注がれた。
気にしていなかったが、いつもは持っていない大きめの風呂敷を背負っていたのだ。
「そういえばその背中の風呂敷はなんだ?」
「ふっふっふ、これこそサトーの協力に不可欠な道具なのです」
不気味に笑うパプカは、地面に風呂敷を広げてみせた。
そこには見覚えのある道具が大量に収まっていた。
薬草、毒消し草、魔力草。傷薬や着付け薬、聖水なんかもある。
「…………これは?」
「いいですか? かの大魔法使いは言いました「魔法を覚えたければ1に実践、2に実践。3、4が無くて5に実践だ!」と」
「…………つまり?」
「魔法でサトーを状態異常にしてそれを治します」
俺は逃げ出した。
「ああ!? サトー、どこへ行くのですか!」
「やってられるかそんなこと!! 命がいくつあっても足りんわ!!」
「逃しませんよ! 行ってくださいゴローさん!!」
「ゴローさんって誰!?」
立ちふさがったのは唯一の退路を塞いでいた巨大なゴーレムだ。名をゴローさんというらしい。
俺はこのゴーレムの力を知っている。以前一緒に冒険に出た際に、群がるハイウルフを軽く蹴散らした上位の使役ゴーレムである。俺など羽虫のごとく潰されてしまうことだろう。
しかし、俺は逆に加速した。このゴーレムは初動自体は非常に緩慢なのだ。動き出す前に突破してしまえば問題ない。
俺に手を伸ばすゴーレムを正面に捉え、股下へとスライディング。見事突破に成功した 。
「何ぃ!? おのれ、サトーのくせに生意気な!」
「くせにとかいうな! 伊達にプラチナランクに同行したわけじゃない……へぶっ!?」
不意に硬いものにぶつかった。パプカの方を向きながら走っていたので、前方にあるソレに気が付かなかったのだ。
二体目のゴーレムである。
「捕らえなさい、サブローさん!」
「真ん中のシローさんどこ行った!?」
二体目のゴーレムなど想定していなかったため、あっさりと捕まってしまった。そういえば、前に同行したときも一度に二体のゴーレムを作っていたな。
俺はゴーレムに抱えられ、そのままパプカの元へと連行された。
「なんで逃げるんですかサトー。無駄に魔力使っちゃいましたよ」
「「今からお前の体で人体実験をします」と言われて逃げないやつはいない。ところで、さっきからゴローだのサブローだのはなんだ?」
「もちろんゴーレムの名前です。サトーから向かって右がゴローさん。左がサブローさんです」
紹介と同時に腕を上げるゴーレムたち。愛嬌がある……と言えばあるのだろうか。
「だから間のシローさんはどこ行ったんだよ」
「シローさんのことは……聞かないでください」
深刻そうな表情をするパプカ。あれ? 聞いちゃいけないことだったのか?
「あ、ちなみにサブローさんは女性です」
「性別あんのか!?」
名前と言い性別と言い、なんの意味があるのかさっぱり理解できないが、真剣な顔つきを見るに彼女にとっては大事なことなのだろう。
「さて、そろそろ駄弁るのも終わりにして本番と行きましょうか」
「だから嫌だっつってんだろ! 大体俺だって半分飲まされた被害者なんだぜ? なんで俺がこんなことしなきゃならないんだ!」
「酔った後で飲ませまくったのはサトーだと聞きましたが……ええい、暴れないでください。拘束!」
パプカが魔法を唱えると、縄のような光が俺の両腕と両足を巻き上げて拘束されてしまった。
「おまっ!? ここまでするか!? おまわりさーん! 犯罪者がいますよー! この女捕まえてくれー!!」
「あんまりうるさいと、口にもバインド噛ましますよ?」
「……ごめんなさい」
くそう! なんで俺の周りの女どもはこうも頭のおかしな奴らが多いんだ!
唯一の安らぎが男のルーンって世も末だぞ!
「では始めます。耐えざりし苦痛を汝に与えん! 腹痛!」
「ま、まて! まだ心の準備…………ん?」
ゴロゴロゴロ……
俺の腹が大きな音を立て始めた。別にお腹が空いているわけではない。極度の腹痛が俺の腹部を襲っているのだ。
「お、お前ぇ……マジで覚えてろよ……いやごめんなさい。謝るから早く何とかしてくれぇ……」
「では……ごほん! 万象等しく回復の導き手とならん。治癒!」
白い光が俺を包み込んだ。
治癒。高レベルの回復魔法で、毒や錯乱、軽い風邪なども治してしまう万能の魔法
習得にもかなり高度な知識と多量の魔力が必要で、そんじょそこらの冒険者ではなかなか習得のできない難しいものだ。
俺を包んだ白い光は、数秒漂った後に煙のように立ち消えた。
「……? お、おい。これは成功なのか? 腹の痛み全然収まらないんだが……」
「駄目みたいですねぇ」
「うおぃ!! こんな状態にしておいて軽すぎるだろ……はぅ!」
「ふーむ、やっぱり回数をこなさないと駄目ですか……サトー、いろいろな症状に試したいので、とりあえずその腹痛を治しましょう。腹痛によく効く薬草があるのでそれを飲んでください」
「そ、それを飲めばとりあえず治るんだな?」
「効いてくるまでに30分ほどかかるそうですから…………トイレはあっちです」
俺はこの娘に殺されてしまうのかもしれない。
言われたとおり、替えの下着と服を用意して集合場所にやってきた。すっぽかしても良いのかもしれないが、その後どんな報復があるかわからないため、俺には来るという選択肢しかなかったのである
しばらくすると、後ろ髪を掻いてあくびをしながらパプカがやってきた。そう、しばらく……待ったのだ。
「おはようパプカ。日の出から貪った追加の三時間の惰眠は気持ちよかったかい?」
「おはようございますサトー。いやぁ春ですねぇ。寒かった冬もそろそろ終わりでしょうか。全く、いい時期に入ったものです」
この女、清々しい笑顔を浮かべやがって。そりゃあこんな時間まで寝てれば気持ちが良かろうよ。
お陰で俺は3時間も待ちぼうけを食らってしまったのだ。朝飯抜きに加えて連日勤務での寝不足。俺は決して軽くない殺意を目の前の幼女に抱いていた。
「てめぇこのやろう! 俺が待ってた最中ずっと寝てやがったのか! 春先っつっても外はまだ十分寒いんだよ!!」
「いふぁいれす、ほおをひっはららいれくらはい! そ、それに今の今まで眠っていたわけではありません! 休日でもわたしはもっと早起きなんです!」
「ほお? じゃあ今まで何をしていた?」
「食堂で朝食をとっていました」
こいつ本当にどうしてくれよう。
「そんな大した用事じゃないなら俺は帰るぞ! 帰って二度寝に突入してやる!」
「待ってくださいサトー。それではわたしの今日の予定が狂ってしまいます。これからサトーと魔法の特訓をしてから、店主さんの御見舞に向かう予定なのですから」
「……魔法の特訓?」
「そう、魔法の特訓です」
にやりと笑うパプカの表情に、このあと俺の身に起きる惨事を想定してか、体中を悪寒が走り抜けていった。
場所は変わり裏路地広場。
3方を住宅に囲まれた孤立した場所だ。明らかにアウトサイダーがたむろするこの場所で、パプカは俺を相手に魔法の特訓をすると言う。
……明らかに人に見られちゃ駄目なことをする気満々ですよこの子! 逃げようとしたら唯一の退路をゴーレムでガッチリ封鎖されてるんですけど!
「お前は一体、俺に何をする気だ?」
「別に死にはしませんし、全然問題ありませんよ…………あ、ちなみにお手洗いは通りを抜けた公衆便所を使ってください」
「脈絡がない!! ホント何する気だ! 断固説明を要求する!!」
「全く肝っ玉の小さな男ですね、サトーは。男らしくドーンと構えるくらいの気構えはできないんですか?」
「座して死を待つのが男なら、俺は女々しくて結構だ」
やれやれと顔を振ってみせるパプカにほんのりと殺意が湧いたが、どうやら説明自体はしてくれるらしい。
「何も説明なしにサトーを死地に……ごほん! 魔法の特訓に付き合わせるわけじゃありませんよ」
「今”死地に”とか言わなかったか?」
「あっはっは…………で、特訓についてですが」
こいつ笑ってごまかしやがった。
「今日特訓する魔法は、簡単に言うと『解毒魔法』ですね」
「解毒魔法? ああ、そういえばアグニスの見舞いに行くとか言ってたな。その関係か?」
「はい。高度な解毒魔法は病気を治療するにも効果的ですからね。これさえあれば店主さんもすぐに良くなるはずです。教会や使用できる冒険者がいれば話は早かったんですけどね」
リールの村には教会がない。もちろん、村人がお祈りする建物はあるし、神父の資格を持つ人間もいる。
ただ、前にいた街のような規模の施設ではないし、神父さんだって本業は別で聖職の魔法が使えるというわけでもない。
この程度の規模の村にはよくあることで、よほど熱心な信者が大勢いない限りは、現状でも十分なのである。
「でもあれだな、パプカほどの魔法使いが今まで解毒魔法を使えなかったのか?」
「確かに、わたしは可愛くて若く才能溢れた魔法使いです」
「そこまでは言ってない」
「でも残念ながら、解毒魔法は聖魔法……プリーストやヒーラーの分野です。専門が違えば覚える方向性も違ってくるのですよ。そもそもわたしは正確に言うと錬金術師ですしね」
覚えられるスキルや魔法は職業によって変わるが、覚えられるからと言って必ずしも覚えるとは限らないらしい。確かに時間は有限だしな。
例えば、魔法使いと言うジョブがいろいろな魔法を覚えることができたとしても、その人間が目指すのが黒魔術だった場合、そっち系等の魔法を覚えていくのが当たり前。わざわざ白魔法から遠回りに目指す必要性もないのである。
「ふーん、で? 具体的にどうやって特訓するんだ?」
「それはもちろんサトーに協力してもらいます」
「え? でも俺魔法なんてほとんど使えないぞ。協力つっても何を……」
言い終わる前に、俺の視線はパプカの背中へと注がれた。
気にしていなかったが、いつもは持っていない大きめの風呂敷を背負っていたのだ。
「そういえばその背中の風呂敷はなんだ?」
「ふっふっふ、これこそサトーの協力に不可欠な道具なのです」
不気味に笑うパプカは、地面に風呂敷を広げてみせた。
そこには見覚えのある道具が大量に収まっていた。
薬草、毒消し草、魔力草。傷薬や着付け薬、聖水なんかもある。
「…………これは?」
「いいですか? かの大魔法使いは言いました「魔法を覚えたければ1に実践、2に実践。3、4が無くて5に実践だ!」と」
「…………つまり?」
「魔法でサトーを状態異常にしてそれを治します」
俺は逃げ出した。
「ああ!? サトー、どこへ行くのですか!」
「やってられるかそんなこと!! 命がいくつあっても足りんわ!!」
「逃しませんよ! 行ってくださいゴローさん!!」
「ゴローさんって誰!?」
立ちふさがったのは唯一の退路を塞いでいた巨大なゴーレムだ。名をゴローさんというらしい。
俺はこのゴーレムの力を知っている。以前一緒に冒険に出た際に、群がるハイウルフを軽く蹴散らした上位の使役ゴーレムである。俺など羽虫のごとく潰されてしまうことだろう。
しかし、俺は逆に加速した。このゴーレムは初動自体は非常に緩慢なのだ。動き出す前に突破してしまえば問題ない。
俺に手を伸ばすゴーレムを正面に捉え、股下へとスライディング。見事突破に成功した 。
「何ぃ!? おのれ、サトーのくせに生意気な!」
「くせにとかいうな! 伊達にプラチナランクに同行したわけじゃない……へぶっ!?」
不意に硬いものにぶつかった。パプカの方を向きながら走っていたので、前方にあるソレに気が付かなかったのだ。
二体目のゴーレムである。
「捕らえなさい、サブローさん!」
「真ん中のシローさんどこ行った!?」
二体目のゴーレムなど想定していなかったため、あっさりと捕まってしまった。そういえば、前に同行したときも一度に二体のゴーレムを作っていたな。
俺はゴーレムに抱えられ、そのままパプカの元へと連行された。
「なんで逃げるんですかサトー。無駄に魔力使っちゃいましたよ」
「「今からお前の体で人体実験をします」と言われて逃げないやつはいない。ところで、さっきからゴローだのサブローだのはなんだ?」
「もちろんゴーレムの名前です。サトーから向かって右がゴローさん。左がサブローさんです」
紹介と同時に腕を上げるゴーレムたち。愛嬌がある……と言えばあるのだろうか。
「だから間のシローさんはどこ行ったんだよ」
「シローさんのことは……聞かないでください」
深刻そうな表情をするパプカ。あれ? 聞いちゃいけないことだったのか?
「あ、ちなみにサブローさんは女性です」
「性別あんのか!?」
名前と言い性別と言い、なんの意味があるのかさっぱり理解できないが、真剣な顔つきを見るに彼女にとっては大事なことなのだろう。
「さて、そろそろ駄弁るのも終わりにして本番と行きましょうか」
「だから嫌だっつってんだろ! 大体俺だって半分飲まされた被害者なんだぜ? なんで俺がこんなことしなきゃならないんだ!」
「酔った後で飲ませまくったのはサトーだと聞きましたが……ええい、暴れないでください。拘束!」
パプカが魔法を唱えると、縄のような光が俺の両腕と両足を巻き上げて拘束されてしまった。
「おまっ!? ここまでするか!? おまわりさーん! 犯罪者がいますよー! この女捕まえてくれー!!」
「あんまりうるさいと、口にもバインド噛ましますよ?」
「……ごめんなさい」
くそう! なんで俺の周りの女どもはこうも頭のおかしな奴らが多いんだ!
唯一の安らぎが男のルーンって世も末だぞ!
「では始めます。耐えざりし苦痛を汝に与えん! 腹痛!」
「ま、まて! まだ心の準備…………ん?」
ゴロゴロゴロ……
俺の腹が大きな音を立て始めた。別にお腹が空いているわけではない。極度の腹痛が俺の腹部を襲っているのだ。
「お、お前ぇ……マジで覚えてろよ……いやごめんなさい。謝るから早く何とかしてくれぇ……」
「では……ごほん! 万象等しく回復の導き手とならん。治癒!」
白い光が俺を包み込んだ。
治癒。高レベルの回復魔法で、毒や錯乱、軽い風邪なども治してしまう万能の魔法
習得にもかなり高度な知識と多量の魔力が必要で、そんじょそこらの冒険者ではなかなか習得のできない難しいものだ。
俺を包んだ白い光は、数秒漂った後に煙のように立ち消えた。
「……? お、おい。これは成功なのか? 腹の痛み全然収まらないんだが……」
「駄目みたいですねぇ」
「うおぃ!! こんな状態にしておいて軽すぎるだろ……はぅ!」
「ふーむ、やっぱり回数をこなさないと駄目ですか……サトー、いろいろな症状に試したいので、とりあえずその腹痛を治しましょう。腹痛によく効く薬草があるのでそれを飲んでください」
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