19 / 230
第二章 まるで中二な異世界人
CASE7 パプカ・マグダウェル② その2
しおりを挟む
パプカに呼び出された日。
言われたとおり、替えの下着と服を用意して集合場所にやってきた。すっぽかしても良いのかもしれないが、その後どんな報復があるかわからないため、俺には来るという選択肢しかなかったのである
しばらくすると、後ろ髪を掻いてあくびをしながらパプカがやってきた。そう、しばらく……待ったのだ。
「おはようパプカ。日の出から貪った追加の三時間の惰眠は気持ちよかったかい?」
「おはようございますサトー。いやぁ春ですねぇ。寒かった冬もそろそろ終わりでしょうか。全く、いい時期に入ったものです」
この女、清々しい笑顔を浮かべやがって。そりゃあこんな時間まで寝てれば気持ちが良かろうよ。
お陰で俺は3時間も待ちぼうけを食らってしまったのだ。朝飯抜きに加えて連日勤務での寝不足。俺は決して軽くない殺意を目の前の幼女に抱いていた。
「てめぇこのやろう! 俺が待ってた最中ずっと寝てやがったのか! 春先っつっても外はまだ十分寒いんだよ!!」
「いふぁいれす、ほおをひっはららいれくらはい! そ、それに今の今まで眠っていたわけではありません! 休日でもわたしはもっと早起きなんです!」
「ほお? じゃあ今まで何をしていた?」
「食堂で朝食をとっていました」
こいつ本当にどうしてくれよう。
「そんな大した用事じゃないなら俺は帰るぞ! 帰って二度寝に突入してやる!」
「待ってくださいサトー。それではわたしの今日の予定が狂ってしまいます。これからサトーと魔法の特訓をしてから、店主さんの御見舞に向かう予定なのですから」
「……魔法の特訓?」
「そう、魔法の特訓です」
にやりと笑うパプカの表情に、このあと俺の身に起きる惨事を想定してか、体中を悪寒が走り抜けていった。
場所は変わり裏路地広場。
3方を住宅に囲まれた孤立した場所だ。明らかにアウトサイダーがたむろするこの場所で、パプカは俺を相手に魔法の特訓をすると言う。
……明らかに人に見られちゃ駄目なことをする気満々ですよこの子! 逃げようとしたら唯一の退路をゴーレムでガッチリ封鎖されてるんですけど!
「お前は一体、俺に何をする気だ?」
「別に死にはしませんし、全然問題ありませんよ…………あ、ちなみにお手洗いは通りを抜けた公衆便所を使ってください」
「脈絡がない!! ホント何する気だ! 断固説明を要求する!!」
「全く肝っ玉の小さな男ですね、サトーは。男らしくドーンと構えるくらいの気構えはできないんですか?」
「座して死を待つのが男なら、俺は女々しくて結構だ」
やれやれと顔を振ってみせるパプカにほんのりと殺意が湧いたが、どうやら説明自体はしてくれるらしい。
「何も説明なしにサトーを死地に……ごほん! 魔法の特訓に付き合わせるわけじゃありませんよ」
「今”死地に”とか言わなかったか?」
「あっはっは…………で、特訓についてですが」
こいつ笑ってごまかしやがった。
「今日特訓する魔法は、簡単に言うと『解毒魔法』ですね」
「解毒魔法? ああ、そういえばアグニスの見舞いに行くとか言ってたな。その関係か?」
「はい。高度な解毒魔法は病気を治療するにも効果的ですからね。これさえあれば店主さんもすぐに良くなるはずです。教会や使用できる冒険者がいれば話は早かったんですけどね」
リールの村には教会がない。もちろん、村人がお祈りする建物はあるし、神父の資格を持つ人間もいる。
ただ、前にいた街のような規模の施設ではないし、神父さんだって本業は別で聖職の魔法が使えるというわけでもない。
この程度の規模の村にはよくあることで、よほど熱心な信者が大勢いない限りは、現状でも十分なのである。
「でもあれだな、パプカほどの魔法使いが今まで解毒魔法を使えなかったのか?」
「確かに、わたしは可愛くて若く才能溢れた魔法使いです」
「そこまでは言ってない」
「でも残念ながら、解毒魔法は聖魔法……プリーストやヒーラーの分野です。専門が違えば覚える方向性も違ってくるのですよ。そもそもわたしは正確に言うと錬金術師ですしね」
覚えられるスキルや魔法は職業によって変わるが、覚えられるからと言って必ずしも覚えるとは限らないらしい。確かに時間は有限だしな。
例えば、魔法使いと言うジョブがいろいろな魔法を覚えることができたとしても、その人間が目指すのが黒魔術だった場合、そっち系等の魔法を覚えていくのが当たり前。わざわざ白魔法から遠回りに目指す必要性もないのである。
「ふーん、で? 具体的にどうやって特訓するんだ?」
「それはもちろんサトーに協力してもらいます」
「え? でも俺魔法なんてほとんど使えないぞ。協力つっても何を……」
言い終わる前に、俺の視線はパプカの背中へと注がれた。
気にしていなかったが、いつもは持っていない大きめの風呂敷を背負っていたのだ。
「そういえばその背中の風呂敷はなんだ?」
「ふっふっふ、これこそサトーの協力に不可欠な道具なのです」
不気味に笑うパプカは、地面に風呂敷を広げてみせた。
そこには見覚えのある道具が大量に収まっていた。
薬草、毒消し草、魔力草。傷薬や着付け薬、聖水なんかもある。
「…………これは?」
「いいですか? かの大魔法使いは言いました「魔法を覚えたければ1に実践、2に実践。3、4が無くて5に実践だ!」と」
「…………つまり?」
「魔法でサトーを状態異常にしてそれを治します」
俺は逃げ出した。
「ああ!? サトー、どこへ行くのですか!」
「やってられるかそんなこと!! 命がいくつあっても足りんわ!!」
「逃しませんよ! 行ってくださいゴローさん!!」
「ゴローさんって誰!?」
立ちふさがったのは唯一の退路を塞いでいた巨大なゴーレムだ。名をゴローさんというらしい。
俺はこのゴーレムの力を知っている。以前一緒に冒険に出た際に、群がるハイウルフを軽く蹴散らした上位の使役ゴーレムである。俺など羽虫のごとく潰されてしまうことだろう。
しかし、俺は逆に加速した。このゴーレムは初動自体は非常に緩慢なのだ。動き出す前に突破してしまえば問題ない。
俺に手を伸ばすゴーレムを正面に捉え、股下へとスライディング。見事突破に成功した 。
「何ぃ!? おのれ、サトーのくせに生意気な!」
「くせにとかいうな! 伊達にプラチナランクに同行したわけじゃない……へぶっ!?」
不意に硬いものにぶつかった。パプカの方を向きながら走っていたので、前方にあるソレに気が付かなかったのだ。
二体目のゴーレムである。
「捕らえなさい、サブローさん!」
「真ん中のシローさんどこ行った!?」
二体目のゴーレムなど想定していなかったため、あっさりと捕まってしまった。そういえば、前に同行したときも一度に二体のゴーレムを作っていたな。
俺はゴーレムに抱えられ、そのままパプカの元へと連行された。
「なんで逃げるんですかサトー。無駄に魔力使っちゃいましたよ」
「「今からお前の体で人体実験をします」と言われて逃げないやつはいない。ところで、さっきからゴローだのサブローだのはなんだ?」
「もちろんゴーレムの名前です。サトーから向かって右がゴローさん。左がサブローさんです」
紹介と同時に腕を上げるゴーレムたち。愛嬌がある……と言えばあるのだろうか。
「だから間のシローさんはどこ行ったんだよ」
「シローさんのことは……聞かないでください」
深刻そうな表情をするパプカ。あれ? 聞いちゃいけないことだったのか?
「あ、ちなみにサブローさんは女性です」
「性別あんのか!?」
名前と言い性別と言い、なんの意味があるのかさっぱり理解できないが、真剣な顔つきを見るに彼女にとっては大事なことなのだろう。
「さて、そろそろ駄弁るのも終わりにして本番と行きましょうか」
「だから嫌だっつってんだろ! 大体俺だって半分飲まされた被害者なんだぜ? なんで俺がこんなことしなきゃならないんだ!」
「酔った後で飲ませまくったのはサトーだと聞きましたが……ええい、暴れないでください。拘束!」
パプカが魔法を唱えると、縄のような光が俺の両腕と両足を巻き上げて拘束されてしまった。
「おまっ!? ここまでするか!? おまわりさーん! 犯罪者がいますよー! この女捕まえてくれー!!」
「あんまりうるさいと、口にもバインド噛ましますよ?」
「……ごめんなさい」
くそう! なんで俺の周りの女どもはこうも頭のおかしな奴らが多いんだ!
唯一の安らぎが男のルーンって世も末だぞ!
「では始めます。耐えざりし苦痛を汝に与えん! 腹痛!」
「ま、まて! まだ心の準備…………ん?」
ゴロゴロゴロ……
俺の腹が大きな音を立て始めた。別にお腹が空いているわけではない。極度の腹痛が俺の腹部を襲っているのだ。
「お、お前ぇ……マジで覚えてろよ……いやごめんなさい。謝るから早く何とかしてくれぇ……」
「では……ごほん! 万象等しく回復の導き手とならん。治癒!」
白い光が俺を包み込んだ。
治癒。高レベルの回復魔法で、毒や錯乱、軽い風邪なども治してしまう万能の魔法
習得にもかなり高度な知識と多量の魔力が必要で、そんじょそこらの冒険者ではなかなか習得のできない難しいものだ。
俺を包んだ白い光は、数秒漂った後に煙のように立ち消えた。
「……? お、おい。これは成功なのか? 腹の痛み全然収まらないんだが……」
「駄目みたいですねぇ」
「うおぃ!! こんな状態にしておいて軽すぎるだろ……はぅ!」
「ふーむ、やっぱり回数をこなさないと駄目ですか……サトー、いろいろな症状に試したいので、とりあえずその腹痛を治しましょう。腹痛によく効く薬草があるのでそれを飲んでください」
「そ、それを飲めばとりあえず治るんだな?」
「効いてくるまでに30分ほどかかるそうですから…………トイレはあっちです」
俺はこの娘に殺されてしまうのかもしれない。
言われたとおり、替えの下着と服を用意して集合場所にやってきた。すっぽかしても良いのかもしれないが、その後どんな報復があるかわからないため、俺には来るという選択肢しかなかったのである
しばらくすると、後ろ髪を掻いてあくびをしながらパプカがやってきた。そう、しばらく……待ったのだ。
「おはようパプカ。日の出から貪った追加の三時間の惰眠は気持ちよかったかい?」
「おはようございますサトー。いやぁ春ですねぇ。寒かった冬もそろそろ終わりでしょうか。全く、いい時期に入ったものです」
この女、清々しい笑顔を浮かべやがって。そりゃあこんな時間まで寝てれば気持ちが良かろうよ。
お陰で俺は3時間も待ちぼうけを食らってしまったのだ。朝飯抜きに加えて連日勤務での寝不足。俺は決して軽くない殺意を目の前の幼女に抱いていた。
「てめぇこのやろう! 俺が待ってた最中ずっと寝てやがったのか! 春先っつっても外はまだ十分寒いんだよ!!」
「いふぁいれす、ほおをひっはららいれくらはい! そ、それに今の今まで眠っていたわけではありません! 休日でもわたしはもっと早起きなんです!」
「ほお? じゃあ今まで何をしていた?」
「食堂で朝食をとっていました」
こいつ本当にどうしてくれよう。
「そんな大した用事じゃないなら俺は帰るぞ! 帰って二度寝に突入してやる!」
「待ってくださいサトー。それではわたしの今日の予定が狂ってしまいます。これからサトーと魔法の特訓をしてから、店主さんの御見舞に向かう予定なのですから」
「……魔法の特訓?」
「そう、魔法の特訓です」
にやりと笑うパプカの表情に、このあと俺の身に起きる惨事を想定してか、体中を悪寒が走り抜けていった。
場所は変わり裏路地広場。
3方を住宅に囲まれた孤立した場所だ。明らかにアウトサイダーがたむろするこの場所で、パプカは俺を相手に魔法の特訓をすると言う。
……明らかに人に見られちゃ駄目なことをする気満々ですよこの子! 逃げようとしたら唯一の退路をゴーレムでガッチリ封鎖されてるんですけど!
「お前は一体、俺に何をする気だ?」
「別に死にはしませんし、全然問題ありませんよ…………あ、ちなみにお手洗いは通りを抜けた公衆便所を使ってください」
「脈絡がない!! ホント何する気だ! 断固説明を要求する!!」
「全く肝っ玉の小さな男ですね、サトーは。男らしくドーンと構えるくらいの気構えはできないんですか?」
「座して死を待つのが男なら、俺は女々しくて結構だ」
やれやれと顔を振ってみせるパプカにほんのりと殺意が湧いたが、どうやら説明自体はしてくれるらしい。
「何も説明なしにサトーを死地に……ごほん! 魔法の特訓に付き合わせるわけじゃありませんよ」
「今”死地に”とか言わなかったか?」
「あっはっは…………で、特訓についてですが」
こいつ笑ってごまかしやがった。
「今日特訓する魔法は、簡単に言うと『解毒魔法』ですね」
「解毒魔法? ああ、そういえばアグニスの見舞いに行くとか言ってたな。その関係か?」
「はい。高度な解毒魔法は病気を治療するにも効果的ですからね。これさえあれば店主さんもすぐに良くなるはずです。教会や使用できる冒険者がいれば話は早かったんですけどね」
リールの村には教会がない。もちろん、村人がお祈りする建物はあるし、神父の資格を持つ人間もいる。
ただ、前にいた街のような規模の施設ではないし、神父さんだって本業は別で聖職の魔法が使えるというわけでもない。
この程度の規模の村にはよくあることで、よほど熱心な信者が大勢いない限りは、現状でも十分なのである。
「でもあれだな、パプカほどの魔法使いが今まで解毒魔法を使えなかったのか?」
「確かに、わたしは可愛くて若く才能溢れた魔法使いです」
「そこまでは言ってない」
「でも残念ながら、解毒魔法は聖魔法……プリーストやヒーラーの分野です。専門が違えば覚える方向性も違ってくるのですよ。そもそもわたしは正確に言うと錬金術師ですしね」
覚えられるスキルや魔法は職業によって変わるが、覚えられるからと言って必ずしも覚えるとは限らないらしい。確かに時間は有限だしな。
例えば、魔法使いと言うジョブがいろいろな魔法を覚えることができたとしても、その人間が目指すのが黒魔術だった場合、そっち系等の魔法を覚えていくのが当たり前。わざわざ白魔法から遠回りに目指す必要性もないのである。
「ふーん、で? 具体的にどうやって特訓するんだ?」
「それはもちろんサトーに協力してもらいます」
「え? でも俺魔法なんてほとんど使えないぞ。協力つっても何を……」
言い終わる前に、俺の視線はパプカの背中へと注がれた。
気にしていなかったが、いつもは持っていない大きめの風呂敷を背負っていたのだ。
「そういえばその背中の風呂敷はなんだ?」
「ふっふっふ、これこそサトーの協力に不可欠な道具なのです」
不気味に笑うパプカは、地面に風呂敷を広げてみせた。
そこには見覚えのある道具が大量に収まっていた。
薬草、毒消し草、魔力草。傷薬や着付け薬、聖水なんかもある。
「…………これは?」
「いいですか? かの大魔法使いは言いました「魔法を覚えたければ1に実践、2に実践。3、4が無くて5に実践だ!」と」
「…………つまり?」
「魔法でサトーを状態異常にしてそれを治します」
俺は逃げ出した。
「ああ!? サトー、どこへ行くのですか!」
「やってられるかそんなこと!! 命がいくつあっても足りんわ!!」
「逃しませんよ! 行ってくださいゴローさん!!」
「ゴローさんって誰!?」
立ちふさがったのは唯一の退路を塞いでいた巨大なゴーレムだ。名をゴローさんというらしい。
俺はこのゴーレムの力を知っている。以前一緒に冒険に出た際に、群がるハイウルフを軽く蹴散らした上位の使役ゴーレムである。俺など羽虫のごとく潰されてしまうことだろう。
しかし、俺は逆に加速した。このゴーレムは初動自体は非常に緩慢なのだ。動き出す前に突破してしまえば問題ない。
俺に手を伸ばすゴーレムを正面に捉え、股下へとスライディング。見事突破に成功した 。
「何ぃ!? おのれ、サトーのくせに生意気な!」
「くせにとかいうな! 伊達にプラチナランクに同行したわけじゃない……へぶっ!?」
不意に硬いものにぶつかった。パプカの方を向きながら走っていたので、前方にあるソレに気が付かなかったのだ。
二体目のゴーレムである。
「捕らえなさい、サブローさん!」
「真ん中のシローさんどこ行った!?」
二体目のゴーレムなど想定していなかったため、あっさりと捕まってしまった。そういえば、前に同行したときも一度に二体のゴーレムを作っていたな。
俺はゴーレムに抱えられ、そのままパプカの元へと連行された。
「なんで逃げるんですかサトー。無駄に魔力使っちゃいましたよ」
「「今からお前の体で人体実験をします」と言われて逃げないやつはいない。ところで、さっきからゴローだのサブローだのはなんだ?」
「もちろんゴーレムの名前です。サトーから向かって右がゴローさん。左がサブローさんです」
紹介と同時に腕を上げるゴーレムたち。愛嬌がある……と言えばあるのだろうか。
「だから間のシローさんはどこ行ったんだよ」
「シローさんのことは……聞かないでください」
深刻そうな表情をするパプカ。あれ? 聞いちゃいけないことだったのか?
「あ、ちなみにサブローさんは女性です」
「性別あんのか!?」
名前と言い性別と言い、なんの意味があるのかさっぱり理解できないが、真剣な顔つきを見るに彼女にとっては大事なことなのだろう。
「さて、そろそろ駄弁るのも終わりにして本番と行きましょうか」
「だから嫌だっつってんだろ! 大体俺だって半分飲まされた被害者なんだぜ? なんで俺がこんなことしなきゃならないんだ!」
「酔った後で飲ませまくったのはサトーだと聞きましたが……ええい、暴れないでください。拘束!」
パプカが魔法を唱えると、縄のような光が俺の両腕と両足を巻き上げて拘束されてしまった。
「おまっ!? ここまでするか!? おまわりさーん! 犯罪者がいますよー! この女捕まえてくれー!!」
「あんまりうるさいと、口にもバインド噛ましますよ?」
「……ごめんなさい」
くそう! なんで俺の周りの女どもはこうも頭のおかしな奴らが多いんだ!
唯一の安らぎが男のルーンって世も末だぞ!
「では始めます。耐えざりし苦痛を汝に与えん! 腹痛!」
「ま、まて! まだ心の準備…………ん?」
ゴロゴロゴロ……
俺の腹が大きな音を立て始めた。別にお腹が空いているわけではない。極度の腹痛が俺の腹部を襲っているのだ。
「お、お前ぇ……マジで覚えてろよ……いやごめんなさい。謝るから早く何とかしてくれぇ……」
「では……ごほん! 万象等しく回復の導き手とならん。治癒!」
白い光が俺を包み込んだ。
治癒。高レベルの回復魔法で、毒や錯乱、軽い風邪なども治してしまう万能の魔法
習得にもかなり高度な知識と多量の魔力が必要で、そんじょそこらの冒険者ではなかなか習得のできない難しいものだ。
俺を包んだ白い光は、数秒漂った後に煙のように立ち消えた。
「……? お、おい。これは成功なのか? 腹の痛み全然収まらないんだが……」
「駄目みたいですねぇ」
「うおぃ!! こんな状態にしておいて軽すぎるだろ……はぅ!」
「ふーむ、やっぱり回数をこなさないと駄目ですか……サトー、いろいろな症状に試したいので、とりあえずその腹痛を治しましょう。腹痛によく効く薬草があるのでそれを飲んでください」
「そ、それを飲めばとりあえず治るんだな?」
「効いてくるまでに30分ほどかかるそうですから…………トイレはあっちです」
俺はこの娘に殺されてしまうのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
天才王子、引き篭もる……いや、引き篭もれない
戯言の遊び
ファンタジー
平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」
辺境に飛ばされた“元サラリーマン王子”、引き篭もるつもりが領地再生の英雄に――!
現代日本で社畜生活を送っていた青年・レオンは、ある日突然、
中世ヨーロッパ風の王国「リステリア」の第五王子として転生する。
怠惰で引き篭もり体質なレオンは、父王により“国の厄介払い”として
荒れ果てた辺境〈グレイア領〉の領主を任される。
だが、現代知識と合理的な発想で領内を改革していくうちに、
貧困の村は活気を取り戻し――気づけば人々からこう呼ばれていた。
『良領主様』――いや、『天才王子』と。
領民想いのメイド・ミリア、少女リィナ、そして個性派冒険者たちと共に、
引き篭もり王子のスローライフ(予定)は、今日もなぜか忙しい!
「平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」
社畜転生王子、引き篭もりたいのに領地がどんどん発展していく!
――働きたくないけど、働かざるを得ない異世界領主譚!
こちらは、以前使っていたプロットを再構成して投稿しています
是非、通学や通勤のお供に、夜眠る前のお供に、ゆるりとお楽しみ下さい
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
