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CLOSING act
closing interview
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日本とフランス、あとはどこだったかな。ともかく、ファッション雑誌とエンタメ雑誌で、特集が組まれた。
スポーツ新聞とスポーツ誌にも、デカデカと載った。
イタリアとイギリスとベルギーもだったはず。ともかくこれも、ヨーロッパのエンタメニュースでまたインタビューが放送された。
今度は少し大きくなって、ネットニュースにもなったし、トレンドに入っちゃったりして。
いい。
とてもいい。
だがまだまだ、これからだ。
『僕』の名だけでなく、これからは世の中に注目され続けられるように、出ていく努力が必要だ。
一人では出来なかったけれど、それはもう、過去の話だから。
──────────────────────
YOSSYさん。初のワンマンステージの開催、おめでとうございます。
YOSSY the CLOWN(以下YOSSY)「Merci , Signorina」
『レーヴ・サーカス』(仏)退団後は、単身で世界各地に活動なさっていることについては、今や世界中の知るところとなっていますよね。
YOSSY「アハハ、ありがとうございます。そんなに知れ渡っているんですか?」
またまた、ご謙遜ですね(笑)。
YOSSY「やあ、バレてしまいました」
活動拠点が母国である日本へ移りましたが、それがYOSSY the CLOWNの芸能活動に追い風になったとお見受けします。
YOSSY「どうでしょうね(笑)。しかし、日本に帰ったことで良い出逢いと再会を果たせました。不仲がまた元に戻ったというか、雨降って地固まったというか」
『Après la pluie , le beau temps』。なんだかまさしくYOSSY the CLOWNという感じがしますね。何にせよ、仲直りおめでとうございます。恋人ですか?
YOSSY「違います(笑)」
残念です! 小耳に挟んだのですが、最近何か凝っていらっしゃることがあるとか。どんなことに凝られているのでしょうか。
YOSSY「育成業ですかね。まぁ、凝っているというか、面白さを見出だしたというか」
具体的にどんなものを育成なさっているのですか?
YOSSY「第二、第三のYOSSY the CLOWN、と言ってしまっていいかな。僕個人としましては、僕をも越える可能性を秘めた夢のかたまりと出逢えたので、彼らの夢をサポートさせていただいているんです」
第二、第三のYOSSY the CLOWNともなれば、その期待や重圧も大きいと思います。
YOSSY「かもしれませんね。ですが、彼らはそういうものほど喜びとし、しかも我々がその壁の高さや厚みに気が付いたときには、易々と越えてしまっているような逸材なんです。僕はとてもワクワクしていますよ」
なるほど。YOSSY the CLOWNが惚れ込んだ人物ということですので、私たちファンも胸を躍らせて待っていた方が良さそうですね。少し気になったのですが、『彼ら』と仰いました。もしや複数名をお弟子さんに?
YOSSY「僕は弟子を取らないので、正式には弟子ではないんです。ですが、複数名に目や手をかけていることは事実なので、ここで公開情報とします」
やりました、最新情報独占スクープです!
YOSSY「それはよかった(笑)」
さて。今回のお召し物は『OliccoDEoliccO®️』最新コレクションからでしょうか。
YOSSY「いえ。こちらは、年始から販売開始になる限定アイテムたちです」
緑色レンズサングラスは、上から下へと色が薄まっていくグレーグラデーション使用のレンズ。ブラックフレームが引き締まった印象を与えます。(写真参照)
YOSSY「緑色レンズは疲れ目予防にも良いそうですよ」
ネクタイピンは、シルバー、ゴールド、ブルーの三色。『OliccoDEoliccO®️』のロゴがワンポイントとして入っている他、ブルーはなんでもYOSSY the CLOWNモデルだそうですね。
YOSSY「光栄なことです。お気に入りアイテムがまたひとつ増えてしまいました」
ジャケットとパンツは、もちろん厳選された生地。ご着用のネイビーの他に、ワインレッド、ダークキャメルの三色。(写真参照)
YOSSY「僕でまず1点ずつなので、各300点のところ、残りは299点ずつですよ」
それは急がなくてはですね。
YOSSY「この前一足早く、こちらのワインレッドをその仲直り相手に贈らせていただきました」
ほほう、では先程の方は男性ということですね?
YOSSY「はい。でも恋人ではありませんよ(笑)」
ファンとしても記者としても、ますます気になります。(笑)
YOSSY「長年笑顔を隠してきた人だったんです。しかし、この前ようやく笑っていただけました。パフォーマー活動をしてきた中で、大満足の瞬間でしたね」
それは相当嬉しいことだったとお察しします。その方も、YOSSY the CLOWNのパフォーマンスによって、コンプレックスの柔和を体感されたことでしょう。
「どんなコンプレックスも、誰かにとっては羨ましいものかもしれない。独りでは作れない可能性を、僕は世界へ伝えて見つけに行く」(夏号掲載インタビューより抜粋)
YOSSY「そうだと嬉しいですね。ではこれで僕の全てが満たされたかと言われれば、また違う話なわけですが」
実に野心的ですね。それでこそYOSSY the CLOWNだ! と、いちファンの嬉しい言葉で返させていただきます。
YOSSY「ハハ、merci beaucoup」
世界を笑顔で満たし、そうして美しく変えること──YOSSY the CLOWNの人生テーマであり活動理念であるこの言葉は、ファンのみならず輝かしいものです。これからもご活躍を期待しております。
YOSSY「ご期待の斜め上をいけるよう、日々精進いたします」
では最後に、今後の活動についての意気込みなどお願いします。
YOSSY「今は、たとえたった一人の夢だとしても、近々必ず手を伸べ目を向ける人は、必要なときにあなたに与えられるものです。それは確実に、周囲の未来さえも変革します。大切なのは過程です。希望を抱き、幸運や信頼を両手に、愛を持って接することが、あなたの笑顔を引き出すでしょう。更なる驚きと娯楽をYOSSY the CLOWNから、輝かしい世界中の全ての人へ」
──────────────────────
♧
「相変わらずのキザ野郎が」
甘くかすかな舌打ちと共に、吐息に乗せて漏らした彼。
静かにその雑誌を閉じ、戸棚へしまうと、肩が軽くなったような気がした。
「こんなド派手なモン、普段着れるかっつの」
胸元から取り出すは、よれたタバコ一本。わずかに湿気っているそれは、しかし彼にとっては関係ない。
良二赤好きだろ?
だから赤で作ってもらったんだ。
次のステージにちゃんと着てくるように。
送られてきたスーツの胸ポケットに挟まっていた、そんなメッセージカード。美しい手書きの文字並びは、あの頃から変わらない兄の文字。
そんなメッセージカードの裏側に貼り付いていたのは、舞台公演チケット。しかも二枚。ただしいずれも幼い手作りで、路上公演と銘打ってある。
出演は、兄と甥姪の三名。
「おいおいおい……勘弁してくれ」
よれたタバコを咥え、マッチを一本擦る。近寄せると、タバコの先端がチリチリと明くなり、数秒の後に溜め息のごとくハア、と白く吐き出した。
「『ゲスト出演依頼』って、これ着て前出ろっつーのかコイツらは」
やがてわずかに左口角が上がるも、目にする者は誰も居ない。
事務所の窓は、雨水跡ひとつもないよう美しく磨き上げられた。そこから入るまるい陽の光に、目をやる彼。
ふと、背後でアルミ扉の激しく軋み開く音に、肩を跳ね上げる。
「柳田さん、今の何届いたんですか……って、あー! なんかニヤニヤしてるでしょ!」
「ばっ、してねーよ! 大体テメーが今見たの背中だろーがっ」
「背中でもわかりますよ。どんだけ一緒に居ると思ってんですか」
タバコの先端からは、白い煙が細く伸びる。
寄った眉間は、そっとわずかに離れて、薄くなって。
スポーツ新聞とスポーツ誌にも、デカデカと載った。
イタリアとイギリスとベルギーもだったはず。ともかくこれも、ヨーロッパのエンタメニュースでまたインタビューが放送された。
今度は少し大きくなって、ネットニュースにもなったし、トレンドに入っちゃったりして。
いい。
とてもいい。
だがまだまだ、これからだ。
『僕』の名だけでなく、これからは世の中に注目され続けられるように、出ていく努力が必要だ。
一人では出来なかったけれど、それはもう、過去の話だから。
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YOSSYさん。初のワンマンステージの開催、おめでとうございます。
YOSSY the CLOWN(以下YOSSY)「Merci , Signorina」
『レーヴ・サーカス』(仏)退団後は、単身で世界各地に活動なさっていることについては、今や世界中の知るところとなっていますよね。
YOSSY「アハハ、ありがとうございます。そんなに知れ渡っているんですか?」
またまた、ご謙遜ですね(笑)。
YOSSY「やあ、バレてしまいました」
活動拠点が母国である日本へ移りましたが、それがYOSSY the CLOWNの芸能活動に追い風になったとお見受けします。
YOSSY「どうでしょうね(笑)。しかし、日本に帰ったことで良い出逢いと再会を果たせました。不仲がまた元に戻ったというか、雨降って地固まったというか」
『Après la pluie , le beau temps』。なんだかまさしくYOSSY the CLOWNという感じがしますね。何にせよ、仲直りおめでとうございます。恋人ですか?
YOSSY「違います(笑)」
残念です! 小耳に挟んだのですが、最近何か凝っていらっしゃることがあるとか。どんなことに凝られているのでしょうか。
YOSSY「育成業ですかね。まぁ、凝っているというか、面白さを見出だしたというか」
具体的にどんなものを育成なさっているのですか?
YOSSY「第二、第三のYOSSY the CLOWN、と言ってしまっていいかな。僕個人としましては、僕をも越える可能性を秘めた夢のかたまりと出逢えたので、彼らの夢をサポートさせていただいているんです」
第二、第三のYOSSY the CLOWNともなれば、その期待や重圧も大きいと思います。
YOSSY「かもしれませんね。ですが、彼らはそういうものほど喜びとし、しかも我々がその壁の高さや厚みに気が付いたときには、易々と越えてしまっているような逸材なんです。僕はとてもワクワクしていますよ」
なるほど。YOSSY the CLOWNが惚れ込んだ人物ということですので、私たちファンも胸を躍らせて待っていた方が良さそうですね。少し気になったのですが、『彼ら』と仰いました。もしや複数名をお弟子さんに?
YOSSY「僕は弟子を取らないので、正式には弟子ではないんです。ですが、複数名に目や手をかけていることは事実なので、ここで公開情報とします」
やりました、最新情報独占スクープです!
YOSSY「それはよかった(笑)」
さて。今回のお召し物は『OliccoDEoliccO®️』最新コレクションからでしょうか。
YOSSY「いえ。こちらは、年始から販売開始になる限定アイテムたちです」
緑色レンズサングラスは、上から下へと色が薄まっていくグレーグラデーション使用のレンズ。ブラックフレームが引き締まった印象を与えます。(写真参照)
YOSSY「緑色レンズは疲れ目予防にも良いそうですよ」
ネクタイピンは、シルバー、ゴールド、ブルーの三色。『OliccoDEoliccO®️』のロゴがワンポイントとして入っている他、ブルーはなんでもYOSSY the CLOWNモデルだそうですね。
YOSSY「光栄なことです。お気に入りアイテムがまたひとつ増えてしまいました」
ジャケットとパンツは、もちろん厳選された生地。ご着用のネイビーの他に、ワインレッド、ダークキャメルの三色。(写真参照)
YOSSY「僕でまず1点ずつなので、各300点のところ、残りは299点ずつですよ」
それは急がなくてはですね。
YOSSY「この前一足早く、こちらのワインレッドをその仲直り相手に贈らせていただきました」
ほほう、では先程の方は男性ということですね?
YOSSY「はい。でも恋人ではありませんよ(笑)」
ファンとしても記者としても、ますます気になります。(笑)
YOSSY「長年笑顔を隠してきた人だったんです。しかし、この前ようやく笑っていただけました。パフォーマー活動をしてきた中で、大満足の瞬間でしたね」
それは相当嬉しいことだったとお察しします。その方も、YOSSY the CLOWNのパフォーマンスによって、コンプレックスの柔和を体感されたことでしょう。
「どんなコンプレックスも、誰かにとっては羨ましいものかもしれない。独りでは作れない可能性を、僕は世界へ伝えて見つけに行く」(夏号掲載インタビューより抜粋)
YOSSY「そうだと嬉しいですね。ではこれで僕の全てが満たされたかと言われれば、また違う話なわけですが」
実に野心的ですね。それでこそYOSSY the CLOWNだ! と、いちファンの嬉しい言葉で返させていただきます。
YOSSY「ハハ、merci beaucoup」
世界を笑顔で満たし、そうして美しく変えること──YOSSY the CLOWNの人生テーマであり活動理念であるこの言葉は、ファンのみならず輝かしいものです。これからもご活躍を期待しております。
YOSSY「ご期待の斜め上をいけるよう、日々精進いたします」
では最後に、今後の活動についての意気込みなどお願いします。
YOSSY「今は、たとえたった一人の夢だとしても、近々必ず手を伸べ目を向ける人は、必要なときにあなたに与えられるものです。それは確実に、周囲の未来さえも変革します。大切なのは過程です。希望を抱き、幸運や信頼を両手に、愛を持って接することが、あなたの笑顔を引き出すでしょう。更なる驚きと娯楽をYOSSY the CLOWNから、輝かしい世界中の全ての人へ」
──────────────────────
♧
「相変わらずのキザ野郎が」
甘くかすかな舌打ちと共に、吐息に乗せて漏らした彼。
静かにその雑誌を閉じ、戸棚へしまうと、肩が軽くなったような気がした。
「こんなド派手なモン、普段着れるかっつの」
胸元から取り出すは、よれたタバコ一本。わずかに湿気っているそれは、しかし彼にとっては関係ない。
良二赤好きだろ?
だから赤で作ってもらったんだ。
次のステージにちゃんと着てくるように。
送られてきたスーツの胸ポケットに挟まっていた、そんなメッセージカード。美しい手書きの文字並びは、あの頃から変わらない兄の文字。
そんなメッセージカードの裏側に貼り付いていたのは、舞台公演チケット。しかも二枚。ただしいずれも幼い手作りで、路上公演と銘打ってある。
出演は、兄と甥姪の三名。
「おいおいおい……勘弁してくれ」
よれたタバコを咥え、マッチを一本擦る。近寄せると、タバコの先端がチリチリと明くなり、数秒の後に溜め息のごとくハア、と白く吐き出した。
「『ゲスト出演依頼』って、これ着て前出ろっつーのかコイツらは」
やがてわずかに左口角が上がるも、目にする者は誰も居ない。
事務所の窓は、雨水跡ひとつもないよう美しく磨き上げられた。そこから入るまるい陽の光に、目をやる彼。
ふと、背後でアルミ扉の激しく軋み開く音に、肩を跳ね上げる。
「柳田さん、今の何届いたんですか……って、あー! なんかニヤニヤしてるでしょ!」
「ばっ、してねーよ! 大体テメーが今見たの背中だろーがっ」
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寄った眉間は、そっとわずかに離れて、薄くなって。
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