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第1章 魔王
第24話 神
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「私達の勝ちです! 大いに騒いでくださ~い!」
『お~!』
ドロンさんを彼女の自宅に送ると外では大騒ぎのお祭り騒ぎ。ゼボリさんの声で宴が開かれる。
僕も彼女を寝かせたら来るように言われてる。
「よっこいしょ」
「良い顔で寝てる」
ジャックと共にドロンさんの部屋にやってきて彼女を寝かせる。ジャックの声で彼を見ると優しい表情になってる。
「俺は姉ちゃんを守るために強くなったつもりだった。でも違うんだな。姉ちゃんを守れるのはあんただった」
ジャックはそう言って部屋を後にする。僕も彼に続いて部屋を後にしようと思ったら腕を掴まれる。
「起きていたんですね」
僕の腕をつかんだのはドロンさん。振り返ると彼女は顔を赤くさせて顔を背ける。
「ん、ごめんな。重かっただろ?」
「あ~、そうですね。少し重かったです」
「そこは重くなかったって答えろよ」
「「‥‥ははは」」
ドロンさんは恥ずかしそうに笑う。僕も素直に答えたらおかしなことに気が付いて一緒に笑ってしまった。
こういうところがモテない理由だよな。
「どうしてもお礼が言いたくてね。ああなると大体誰かが被害者になるから‥‥」
ドロンさんはそう言って申し訳なさそうに俯く。フラムベルグがやったことなんだからと、割り切れればいいけれどそういうわけにはいかないよな。
彼女は優しいから責任を感じるはずだ。
「フラムベルグは母さんから受け継いだ力なんだ。母さんもこの力で煙たがられてた。それでも凄い力だから国は自由を許さない。別の国に行くなんてもってのほか。ずっと縛られちゃうってわけ」
ドロンさんは生い立ちを語りだした。なんだか漫画のような世界で興味がわいてきた。
「ってことは別の属性の神も?」
「え? あ~、うん。実は別の国がそれぞれ管理してる」
なるほどなるほど、ということは一つ一つの国に一つの属性の神を宿してる人がいるわけね。なんだか忍者な世界の話に似てるぞ。わかりやすい。
「ドワーフの国、【ドラフェン】には氷の神、【クセルフィア】が。エルフの国、【エブラン】には土の神【アムード】が。それから」
「さらにいるんですか!? す、凄いな。神様のバーゲンセールですね」
三種の神様と国の名前が出てきて更にいるみたいだ。流石に覚えられないので止めると思わず名セリフをはいてしまった。
「神は武器や防具に宿らせることに成功した例があるの。まあ、それで盗まれて別の国に行ってしまったから【禁忌】とされているんだけどね」
「あ~、なるほど。それでドロンさんは?」
「そう、私はその禁忌を犯そうとしてる」
思わずうなずいて話を聞いてしまう。色々と合点がいった。
「ふふ、カズヤは面白いな。こんな話を楽しそうに聞いてくれる」
「そうですか? 凄い興味がわく話だと思いますけど」
楽しそうに笑うドロンさんに素直に答えると彼女は悲しい顔になっていく。
「弟は離れなかったけど、みんな私から離れていった。本当は私も冒険者をやっていたんだ。どこに行っても国の監視がついてね。それならおとなしく【禁忌】を研究してやるって、鍛冶屋になったってわけ。まあ、火との親和性も高いからさ。高熱の剣なんかも素手でつかめちゃう。向いてるんだよね。ドワーフに勧誘されちゃうほど」
ドロンさんは苦笑いで話してくれる。そうか、火は鍛冶に使えるからドワーフも欲しいのか。
それにしても本当に人に歴史ありだな。ダクトの時もそう思ったけど、ドロンさんは彼の何倍も深い。
「カズヤも無理してるなら離れてもいいよ?」
ドロンさんはそう言ってそっぽを向く。なんだか怒ってるような気がする?
ああ! ドワーフに好かれるっていうのは冗談みたいなものだったのか? 笑わそうとした? 気づかなかった。よし!
「離れませんよドロンさん!」
「きゃ!?」
代わりに彼女を笑わせようと抱き上げる。急に抱き上げたから驚く彼女。何が起こってるのか理解できてない様子だ。いいぞ。
「刃嵐も鞘がなくなっちゃったし。その刃嵐のお礼もできてませんしね」
「ぷっ。ははは。そんなこと普通に言えばいいでしょ! カズヤはほんとに面白い。フラムベルグも気に入るわけだよ」
抱き上げながら素直に答えると彼女は楽しそうに笑ってくれる。何とか笑わせることに成功した。
驚かせてから普通のことを言ったら大体受けるんだよな。
「じゃあ下ろしますよ」
「ちょっと待って」
チュ! お姫様抱っこで抱き上げていた僕にそんな音が聞こえてくる。彼女を下ろそうと思ったら頬に柔らかな感触が‥‥。これはキス?
「ふふ、初めてだよ」
「‥‥こ、光栄です」
口を人差し指で抑えて、恥ずかしそうに答えるドロンさん。僕は顔が熱くなるのを感じてベッドに倒れた。
「さすがにベッドはまだ‥‥。ってカズヤ? 大丈夫?」
「ああ、目が回る。熱い」
ドロンさんの声が聞こえてくる。なぜか世界が回ってる。異常な熱さが僕の意識を弱らせていく。
「姉ちゃん! カズヤ! 大丈夫かよ!?」
それからジャックの声が聞こえてきて、僕は意識を手放した。
『お~!』
ドロンさんを彼女の自宅に送ると外では大騒ぎのお祭り騒ぎ。ゼボリさんの声で宴が開かれる。
僕も彼女を寝かせたら来るように言われてる。
「よっこいしょ」
「良い顔で寝てる」
ジャックと共にドロンさんの部屋にやってきて彼女を寝かせる。ジャックの声で彼を見ると優しい表情になってる。
「俺は姉ちゃんを守るために強くなったつもりだった。でも違うんだな。姉ちゃんを守れるのはあんただった」
ジャックはそう言って部屋を後にする。僕も彼に続いて部屋を後にしようと思ったら腕を掴まれる。
「起きていたんですね」
僕の腕をつかんだのはドロンさん。振り返ると彼女は顔を赤くさせて顔を背ける。
「ん、ごめんな。重かっただろ?」
「あ~、そうですね。少し重かったです」
「そこは重くなかったって答えろよ」
「「‥‥ははは」」
ドロンさんは恥ずかしそうに笑う。僕も素直に答えたらおかしなことに気が付いて一緒に笑ってしまった。
こういうところがモテない理由だよな。
「どうしてもお礼が言いたくてね。ああなると大体誰かが被害者になるから‥‥」
ドロンさんはそう言って申し訳なさそうに俯く。フラムベルグがやったことなんだからと、割り切れればいいけれどそういうわけにはいかないよな。
彼女は優しいから責任を感じるはずだ。
「フラムベルグは母さんから受け継いだ力なんだ。母さんもこの力で煙たがられてた。それでも凄い力だから国は自由を許さない。別の国に行くなんてもってのほか。ずっと縛られちゃうってわけ」
ドロンさんは生い立ちを語りだした。なんだか漫画のような世界で興味がわいてきた。
「ってことは別の属性の神も?」
「え? あ~、うん。実は別の国がそれぞれ管理してる」
なるほどなるほど、ということは一つ一つの国に一つの属性の神を宿してる人がいるわけね。なんだか忍者な世界の話に似てるぞ。わかりやすい。
「ドワーフの国、【ドラフェン】には氷の神、【クセルフィア】が。エルフの国、【エブラン】には土の神【アムード】が。それから」
「さらにいるんですか!? す、凄いな。神様のバーゲンセールですね」
三種の神様と国の名前が出てきて更にいるみたいだ。流石に覚えられないので止めると思わず名セリフをはいてしまった。
「神は武器や防具に宿らせることに成功した例があるの。まあ、それで盗まれて別の国に行ってしまったから【禁忌】とされているんだけどね」
「あ~、なるほど。それでドロンさんは?」
「そう、私はその禁忌を犯そうとしてる」
思わずうなずいて話を聞いてしまう。色々と合点がいった。
「ふふ、カズヤは面白いな。こんな話を楽しそうに聞いてくれる」
「そうですか? 凄い興味がわく話だと思いますけど」
楽しそうに笑うドロンさんに素直に答えると彼女は悲しい顔になっていく。
「弟は離れなかったけど、みんな私から離れていった。本当は私も冒険者をやっていたんだ。どこに行っても国の監視がついてね。それならおとなしく【禁忌】を研究してやるって、鍛冶屋になったってわけ。まあ、火との親和性も高いからさ。高熱の剣なんかも素手でつかめちゃう。向いてるんだよね。ドワーフに勧誘されちゃうほど」
ドロンさんは苦笑いで話してくれる。そうか、火は鍛冶に使えるからドワーフも欲しいのか。
それにしても本当に人に歴史ありだな。ダクトの時もそう思ったけど、ドロンさんは彼の何倍も深い。
「カズヤも無理してるなら離れてもいいよ?」
ドロンさんはそう言ってそっぽを向く。なんだか怒ってるような気がする?
ああ! ドワーフに好かれるっていうのは冗談みたいなものだったのか? 笑わそうとした? 気づかなかった。よし!
「離れませんよドロンさん!」
「きゃ!?」
代わりに彼女を笑わせようと抱き上げる。急に抱き上げたから驚く彼女。何が起こってるのか理解できてない様子だ。いいぞ。
「刃嵐も鞘がなくなっちゃったし。その刃嵐のお礼もできてませんしね」
「ぷっ。ははは。そんなこと普通に言えばいいでしょ! カズヤはほんとに面白い。フラムベルグも気に入るわけだよ」
抱き上げながら素直に答えると彼女は楽しそうに笑ってくれる。何とか笑わせることに成功した。
驚かせてから普通のことを言ったら大体受けるんだよな。
「じゃあ下ろしますよ」
「ちょっと待って」
チュ! お姫様抱っこで抱き上げていた僕にそんな音が聞こえてくる。彼女を下ろそうと思ったら頬に柔らかな感触が‥‥。これはキス?
「ふふ、初めてだよ」
「‥‥こ、光栄です」
口を人差し指で抑えて、恥ずかしそうに答えるドロンさん。僕は顔が熱くなるのを感じてベッドに倒れた。
「さすがにベッドはまだ‥‥。ってカズヤ? 大丈夫?」
「ああ、目が回る。熱い」
ドロンさんの声が聞こえてくる。なぜか世界が回ってる。異常な熱さが僕の意識を弱らせていく。
「姉ちゃん! カズヤ! 大丈夫かよ!?」
それからジャックの声が聞こえてきて、僕は意識を手放した。
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