ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章 成長

第48話 みんなでレベル上げ

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「この!」

「あと少し!」

 ネーナちゃんの提案を受けて早速みんなを連れてダンジョンに入った。ゴブリンでは危ないということでスライムを作り出してもらった。
 スライムは水の塊に赤い球の核の入った魔物。その赤い球を少しでも傷つけることができれば倒せる。
 ただ、スライムの液状の体は酸性なので少し触っていると、溶けてしまう。それでも子供が倒せるほどの魔物。ネーナちゃんとドンタ君が一生懸命手を伸ばして核を傷つける。

「ハァハァ。レベルアップって大変だな」

「そう? 結構簡単でいいと思うけど」

 ドンタ君が息を切らせている。ネーナちゃんは少し余裕があるみたい。

「ん!」

「ありがとドロップ君」

 スライムを倒すと赤い球がその場に残る。核は体力と魔力を回復させるポーションの素材になる。結構、貴重な物みたいで換金できる。ゴブリンを狩るよりも遥かに効率がいい。

「レベルアップ!」

「私も」

「ん!」

 しばらくスライムを狩ってもらうとレベルアップしていく三人。双子ちゃん達はまだみたい。みんなよりも手が短いから苦戦してるね。

「ムム! 手伝って!」

「ナナが手伝って~」

 双子がスライムの体に手を突っ込みながら声を上げてる。一番小さい子達だから手が届いてない。流石にナイフじゃ無理だったかな。

「これを使って」

 私はショートソードを手渡す。みんなのことも考えてインベントリに入れておいたショートソード。二人は受け取るとナイフの代わりに使って赤い球を傷つける。

「まだ上がらない~」

「も~、スライムいや~。ベトベト~」

 ムムちゃんとナナちゃんが声を上げる。二人とも体全体がベトベトになってる。スライムの体はベトベトするから嫌みたい。

「ウォッシュ」

「「ありがとうファムお姉ちゃん!」」

 双子にウォッシュを使ってあげると喜んで抱き着いてくる。ウルウルした瞳で見つめてくる二人。手伝ってあげたいけど、この世界の魔物経験値は最後に倒した人のもの。二人の力でどうにかしてもらわないとダメ。

「頑張って」

 手伝ってあげたい気持ちを抑えて二人の頭を撫でる。二人は嬉しそうに受け止めてくれる。

「ムム! 頑張ろ!」

「うん! ナナと一緒なら大丈夫!」

 二人は共に励ましあってスライムを狩っていく。ラッド達もその姿に励まされてゴブリンを倒していく。
 イーターのダンジョンは今日も大盛況。なんだかここがもうおうちみたいになってる。
 そういえば、家を買える程お金が入ったんだよね~。ダンジョンを家にしちゃえばいいんじゃないかと思えてきた。
 ダンジョンのレベルを上げて家のある空間を作り出してしまえばいい。イーターは嫌がるかな?

「ねえ、イーター。ダンジョンに家を建てることはできる?」

「家? 簡単だよ。屋敷も作れるよ」

 イーターはとても魅力的な提案もしてくる。結構乗り気だな~。

「みんなで暮らす家を作るの?」

「そうそう、外に家を作るとネネさん達と離れることにもなるから寂しいでしょ? それならいっそここに作っちゃえばいいと思って」

 イーターの問いかけに答える。彼女は一瞬何かを考えてからすぐに頷いてくれる。

「いいと思うぞ。ダンジョンで寝ると次の日になる瞬間にダンジョンポイントが入るしね。そろそろレベル上がるから、今の空間を2階層にして、新たに作る空間を1階層にする。そこを屋敷の空間にして」

 やる気を見せてくれるイーター。どんどん考えが浮かんでくるみたいで頼もしい。

「「レベル上がった~」」

 双子の声が聞こえてくる。私達はとても順調に暮らしを豊かにしていく。幸せだな~。





「ト~トさん。お店手伝います」

「お? ファムちゃんか。今日は狩りに行かないのかい? (ダンジョンの)」

「はい。今日はお休みにしようって。ユマ君が倒れちゃうから」

 ユマ君の心配事が終わった次の日。いつもダンジョンで狩りばかりしていたはいけないと、休みにした。
 私は屋台で休みなく働くトトさんのお手伝い。私はステータスが高すぎるから全然疲れないんだよね。こういう時は親孝行をしないと。

「お? 今日は看板娘がいるのか?」

「あ、へい。ガストンさん」

「おはようございますガストンさん」

 屋台でトトさんと並んでいるとガストンさんが前を通って挨拶を交わす。

「ははは、可愛いもんだな。俺も子供が欲しくなる」

「私もですよ。ってこれ以上増えたら大変ですかね?」

「幸せが増えても困りはしないだろ?」

「確かに」

 ガストンさんの声にトトさんが苦笑いで話す。子供は幸せの形、二人で紡いだ幸せの糸でできてる。どんなに増えても幸せが増えるだけ。
 
「トトさんとネネさんのお子さん。私もみたいかも」

「ははは、娘にせがまれちゃね~。頑張ってみるかな」

 人差し指を口に当てて呟くとトトさんが鼻息荒く答えてくれる。赤ん坊のお世話は任せてほしい。これでも3人の子供を旅立たせた女なんだからね。

「ん? なんだあの馬車? じゃあまたなファムちゃん」

 ガストンさんと話していると城門に大きな馬車が止まる。彼は急いで城門に向かう。
 白と金色で彩られた馬車。なんだか豪勢な馬車。貴族の城門は別にあるから、貴族ではないのかな? それでもお金持ちなら貴族の城門に行くはずなんだけどな。

「あの紋章は。教会の【シャイン教】の物だな」

 馬車の正面に飾られている金の装飾が施された紋章を見て、トトさんが呟く。ロンド司祭がいなくなったから代わりの司祭が来たのかな? 急に司祭がいなくなったのにすぐに代わりが来るんだな~。魔法が使える人は珍しいはずなのに。

「ん? ファムと同じくらいの少女か?」

 馬車が目の前を通っていく。馬車の窓から外を見回している少女が見える。私と同じくらいの少女。金色の髪を腰まで伸ばして、白い瞳で私を見つめてる。

「聖女様か」

「聖女?」

「ああ、シャイン教の聖女様だ。あの白い瞳が聖女の証拠だ。精霊シャインの祝福を受けて瞳が白くなるらしい。その代わりに魔力が高まって、回復魔法である光魔法の威力がたかくなる。人も生き返すこともできるとかできないとか。まあ、それは嘘だろうな。生き返った人を俺は見たことがないからな」

 トトさんが聖女について説明してくれる。光魔法に精通しているってことか。やっぱりロンド司祭の代わりってことかな?
 私達にかかわらなければいいけれど。
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