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第2章 王国と魔道
第106話 平和へ
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「ありがとうございますルーン様」
「いえ、こちらこそ。皆さんで来てくれて嬉しかったです」
戦いの後、オルクスに帰ってくるとルーンがみんなの怪我を治していく。
ドールスさんが嬉しそうに回復魔法を受ける。光の魔法は特別なんだったっけ。
でも、ほんとにみんなが来てくれてよかった。城壁で僕を見つけた時に変だと思ったんだろうな。
それでも助けに来てくれるなんて思わなかった。僕達だけで戦おうと思っていたしね。
「ムラタ! ここに座れ!」
「え? どうしたんですかルーザーさん?」
「座れと言っている! 師匠の言うことが聞けないのか?」
「ええぇ~!? な、なんで怒ってるんですか?」
ルーザーさんが顔を真っ赤にして鼻息荒く言ってくる。僕は疑問に思いながらも言われた通り、彼の前に座る。
城門の前、石畳だから膝が痛い。膝当ても装備した方がいいな。
「怒るに決まってるだろ! まったく、お前は……優しすぎるんだよ! エスメルが気を落としてるからって、お前……。一人で死ぬつもりだったのかよ」
ルーザーさんは涙を拭って怒る。
死ぬつもりはなかった。だけど、僕だけで済めばいいな、なんて思っていたりする。僕は生き返れるしね。
「まあまあ、ルーザー。私を思ってのことだから」
エスメル様がルーザーさんの肩を叩いて慰める。なんだか二人の距離が近いような気がする?
「だけどよ。なんで俺を置いていくなんて考えるんだよ。ルナならわかるけどよ」
「ルーザーおじちゃん! なんでルナはわかるの! ルナを仲間外れにしないで! 酷いよ!」
「あ~、話がややこしくなる。あのな、ルナは子供で、戦場なんて十年早いんだ」
ルーザーさんがルナちゃんをたとえに出す。すると彼女が頬を膨らませて憤りを露わにする。
いくら説明してもルナちゃんは頑なにルーザーさんを言いくるめていく。
「お兄ちゃんもだよ! ルナは大人なの! みんなと一緒に戦うんだから!」
「あ、ははは。ごめんね……」
ルーザーさんがルナちゃんに負けると次は僕と言わんばかりに見つめてくる。
謝ると僕に抱き着いてきて頬をスリスリとこすり付けてくる。
誰もルナちゃんには勝てないな。
「しかし、こんな戦争みたいなことをして、死人が一人もいないとはな……」
「隕石が降ってきた時は流石にヤバいと思いましたけどね」
ルーザーさんの呟きに同意して声を上げる。魔法の凄さが分かる戦いだった。
「アユム様。私は見くびっていました」
思い返して呆れているとジャネットが声を上げて僕の手を握る。
「いつの間にか私の魔法を覚えて。ほんとにあなたは。凄い人です」
「え? あ、ははは。魔法書をずっと読んでたからね」
みんなに追いつきたい、みんなを守れる男になりたい。そう思っていたけれど、今回は役に立てたかな。
「剣を媒介にして魔法を使う。強すぎだな。それに加えて恐怖を無理やり沈めて前へでれる胆力。ムラタはそろそろ自分を認めた方がいい」
「え? 認めるって?」
「英雄だよ。お前は間違いなく英雄だ。自信持て」
ルーザーさんがそう言って僕の両肩に手を置く。彼は僕を立たせてくれる。
英雄……僕が英雄。実感がわかないな~。
「ははは、ムラタ君。君は間違いなく英雄だよ」
「ふふ、そうですよね」
「ジャックさんにクリスさん?」
自分の英雄像と比べて貧弱すぎる。そう思っているとジャックさんとクリスさんが褒めてくれる。
「隕石を降らせるメテオの魔法を使う相手と生き延びた。そして、撃退した。あの奈落へ続く穴が証拠だ」
ジャックさんはそう言って褒めてくれる。
「でも、まだゼグラデムがいますし」
「転移を使う魔法使いを始末するのは至難の業だ。それと対峙して生き残っているのが凄いんだよ」
「は、はぁ……」
どんなに褒められても実感はわかない。
僕はただただみんなを守りたかっただけ。僕の異世界での故郷、オルクスの町を。
「ふふ、自分を許さない。ムラタさんらしいです。更に上を目指していく。凄いな~」
クリスさんが素直に褒めてくれる。いつも必死なだけなんだけどね。でも、本当によかった。みんなを守れたんだ。
あの予知夢ではクリスさんもひどい目にあわされていた。エルフ達に……。
あれ? そう言えば、僕の夢は基本的に僕のスキルに入る人がハイライトされるんだよな。
ってことは少年とクリスさんとルルさんが土の魔法の適性を持ってる? ってそれはいいんだよ。未来は変わった。僕が変えたんだ。
「はは。僕の勝ちだね」
「ん? ああ、もちろんだ」
僕が空を見上げて呟くと、ルーザーさんが答えてくれる。
予知夢に勝った。それだけは僕が僕を褒める。これからも僕はオルクスを守るんだ。
「エルフ達はどうするんだ?」
「怪我が治ったら故郷に戻るみたいです」
「……ジャン・クロードのやつは?」
「えっと。『俺の居場所は姉さんの横だ』って」
ルーザーさんの問いかけに答える。動けないほどの怪我を負わしているから回復には時間がかかるだろう。
一気に全員を治すのはルーンでも難しい。僕も手伝うけど、人数が多い。回復魔法の使い手は数が少ないから大変だ。
「あいつは今どこにいるんだ?」
「指揮官と話をしてるみたいです。なんだか言い合いになってて」
「あ、ああ。あれか」
ジャン・クロードは指揮官のエルフと言い合いになってる。
僕の指さす方向で言い合いをしている様子が見える。
怒鳴りつけて平手を打つ指揮官。だまって平手を受けるジャン・クロードと視線が合う。
「ふう、ヒステリーな指揮官だ。まったく、上の立場になるとエルフも人間のように凶悪だ」
「は、はは。大変そうだね」
ジャンはそう言って僕らの元へ歩み寄ってくる。
「裏切り者と罵られたよ。俺は姉さんの物だっていってるのに」
「……なんだか恥ずかしいと思うのは僕だけかな?」
本物のジャンの言葉に、元ジャンのルティが呟く。僕も少し恥ずかしいなっておもったから大丈夫だ。
「大丈夫なの?」
「ん? ああ、『止めるのならばお前の息の根を止める』と脅しておいた。それでも平手打ちをしてくるのだから、自分の弱さを理解していない馬鹿だと、こちらが理解した。話し合いをしても無駄だ」
あ~、なるほど。これはダメな奴だな。でも、どうしようもないよな~。
「これからよろしくたのむ。マスター」
「あ、はい……」
断ったら殺す。そんな目つきで握手を求められたら認めるしかない。しかし、本当に仲間になるんだな。
これからこの人と暮らすのか……、大変そうだな~。
「いえ、こちらこそ。皆さんで来てくれて嬉しかったです」
戦いの後、オルクスに帰ってくるとルーンがみんなの怪我を治していく。
ドールスさんが嬉しそうに回復魔法を受ける。光の魔法は特別なんだったっけ。
でも、ほんとにみんなが来てくれてよかった。城壁で僕を見つけた時に変だと思ったんだろうな。
それでも助けに来てくれるなんて思わなかった。僕達だけで戦おうと思っていたしね。
「ムラタ! ここに座れ!」
「え? どうしたんですかルーザーさん?」
「座れと言っている! 師匠の言うことが聞けないのか?」
「ええぇ~!? な、なんで怒ってるんですか?」
ルーザーさんが顔を真っ赤にして鼻息荒く言ってくる。僕は疑問に思いながらも言われた通り、彼の前に座る。
城門の前、石畳だから膝が痛い。膝当ても装備した方がいいな。
「怒るに決まってるだろ! まったく、お前は……優しすぎるんだよ! エスメルが気を落としてるからって、お前……。一人で死ぬつもりだったのかよ」
ルーザーさんは涙を拭って怒る。
死ぬつもりはなかった。だけど、僕だけで済めばいいな、なんて思っていたりする。僕は生き返れるしね。
「まあまあ、ルーザー。私を思ってのことだから」
エスメル様がルーザーさんの肩を叩いて慰める。なんだか二人の距離が近いような気がする?
「だけどよ。なんで俺を置いていくなんて考えるんだよ。ルナならわかるけどよ」
「ルーザーおじちゃん! なんでルナはわかるの! ルナを仲間外れにしないで! 酷いよ!」
「あ~、話がややこしくなる。あのな、ルナは子供で、戦場なんて十年早いんだ」
ルーザーさんがルナちゃんをたとえに出す。すると彼女が頬を膨らませて憤りを露わにする。
いくら説明してもルナちゃんは頑なにルーザーさんを言いくるめていく。
「お兄ちゃんもだよ! ルナは大人なの! みんなと一緒に戦うんだから!」
「あ、ははは。ごめんね……」
ルーザーさんがルナちゃんに負けると次は僕と言わんばかりに見つめてくる。
謝ると僕に抱き着いてきて頬をスリスリとこすり付けてくる。
誰もルナちゃんには勝てないな。
「しかし、こんな戦争みたいなことをして、死人が一人もいないとはな……」
「隕石が降ってきた時は流石にヤバいと思いましたけどね」
ルーザーさんの呟きに同意して声を上げる。魔法の凄さが分かる戦いだった。
「アユム様。私は見くびっていました」
思い返して呆れているとジャネットが声を上げて僕の手を握る。
「いつの間にか私の魔法を覚えて。ほんとにあなたは。凄い人です」
「え? あ、ははは。魔法書をずっと読んでたからね」
みんなに追いつきたい、みんなを守れる男になりたい。そう思っていたけれど、今回は役に立てたかな。
「剣を媒介にして魔法を使う。強すぎだな。それに加えて恐怖を無理やり沈めて前へでれる胆力。ムラタはそろそろ自分を認めた方がいい」
「え? 認めるって?」
「英雄だよ。お前は間違いなく英雄だ。自信持て」
ルーザーさんがそう言って僕の両肩に手を置く。彼は僕を立たせてくれる。
英雄……僕が英雄。実感がわかないな~。
「ははは、ムラタ君。君は間違いなく英雄だよ」
「ふふ、そうですよね」
「ジャックさんにクリスさん?」
自分の英雄像と比べて貧弱すぎる。そう思っているとジャックさんとクリスさんが褒めてくれる。
「隕石を降らせるメテオの魔法を使う相手と生き延びた。そして、撃退した。あの奈落へ続く穴が証拠だ」
ジャックさんはそう言って褒めてくれる。
「でも、まだゼグラデムがいますし」
「転移を使う魔法使いを始末するのは至難の業だ。それと対峙して生き残っているのが凄いんだよ」
「は、はぁ……」
どんなに褒められても実感はわかない。
僕はただただみんなを守りたかっただけ。僕の異世界での故郷、オルクスの町を。
「ふふ、自分を許さない。ムラタさんらしいです。更に上を目指していく。凄いな~」
クリスさんが素直に褒めてくれる。いつも必死なだけなんだけどね。でも、本当によかった。みんなを守れたんだ。
あの予知夢ではクリスさんもひどい目にあわされていた。エルフ達に……。
あれ? そう言えば、僕の夢は基本的に僕のスキルに入る人がハイライトされるんだよな。
ってことは少年とクリスさんとルルさんが土の魔法の適性を持ってる? ってそれはいいんだよ。未来は変わった。僕が変えたんだ。
「はは。僕の勝ちだね」
「ん? ああ、もちろんだ」
僕が空を見上げて呟くと、ルーザーさんが答えてくれる。
予知夢に勝った。それだけは僕が僕を褒める。これからも僕はオルクスを守るんだ。
「エルフ達はどうするんだ?」
「怪我が治ったら故郷に戻るみたいです」
「……ジャン・クロードのやつは?」
「えっと。『俺の居場所は姉さんの横だ』って」
ルーザーさんの問いかけに答える。動けないほどの怪我を負わしているから回復には時間がかかるだろう。
一気に全員を治すのはルーンでも難しい。僕も手伝うけど、人数が多い。回復魔法の使い手は数が少ないから大変だ。
「あいつは今どこにいるんだ?」
「指揮官と話をしてるみたいです。なんだか言い合いになってて」
「あ、ああ。あれか」
ジャン・クロードは指揮官のエルフと言い合いになってる。
僕の指さす方向で言い合いをしている様子が見える。
怒鳴りつけて平手を打つ指揮官。だまって平手を受けるジャン・クロードと視線が合う。
「ふう、ヒステリーな指揮官だ。まったく、上の立場になるとエルフも人間のように凶悪だ」
「は、はは。大変そうだね」
ジャンはそう言って僕らの元へ歩み寄ってくる。
「裏切り者と罵られたよ。俺は姉さんの物だっていってるのに」
「……なんだか恥ずかしいと思うのは僕だけかな?」
本物のジャンの言葉に、元ジャンのルティが呟く。僕も少し恥ずかしいなっておもったから大丈夫だ。
「大丈夫なの?」
「ん? ああ、『止めるのならばお前の息の根を止める』と脅しておいた。それでも平手打ちをしてくるのだから、自分の弱さを理解していない馬鹿だと、こちらが理解した。話し合いをしても無駄だ」
あ~、なるほど。これはダメな奴だな。でも、どうしようもないよな~。
「これからよろしくたのむ。マスター」
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