転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
2 / 113
第一章 異世界

第二話 スキル

「ん、ここは?地獄かな?」

 俺は確かに死んだはず、痛みよりも早く死をもたらした衝撃を確かに感じたんだ。だけど、今俺はここで目を開けている。
     薄暗い牢屋、中世ヨーロッパの牢獄をゲームとかで見たことがあるがそんな感じだ。
 
「くせっ、においも感じるし痛みも感じる。俺は生きてるのか?」

 鼻はよく効くし、頬をつねると痛みを感じた。俺は確かに生きている。
   しかし、本当に臭い。よく見ると便所なのかツボからハエが湧き出ている。RPGとかで牢屋にツボが置いてあったがやっぱりこういう用途で使っていたんだな。

「俺は囚人なのか?薄汚れた白い服を着てる。しかも破れてるじゃねえかよ・・・」

 今の状況がどうのよりもこの薄汚れた服だけは許容できねえ。誰か服をくれ、母さんの服をよこせ。

「って明らかに日本じゃねえよな。誰か、誰かいないですか~」

 俺は助けを呼んだ。しばらく、何の音も聞こえなかった。意気消沈して座り込んでいるとカツカツと足音が聞こえてきて、俺の入っている牢屋の前で止まった。俺は希望の目でその人を見ると頭以外を鎧で覆った騎士のような金髪の男だった。

「ん?囚人は誰もいなかったはずだが?」

「俺は間違いでここにいるんです。出してください」

「間違い? それにしては人相が悪いな。人を殺しているんじゃないのか?」

 騎士の男は日本語が通じるみたいだ、だから俺は安心して話した。騎士の男は俺の顔を覗いて、前科があるのではと勘繰る。俺は善良な日本人だ。そんなことはしたことない。

「信じてください」

「おわ! 触るんじゃねえ。このくそ野郎!」

「おぐっ」

「ちぃ、俺の鎧が汚れたじゃねえか。間違いでオラストロの牢屋に入れられるはずがないだろう。逃げ出したいからっていい加減なことを言うんじゃねえ。そこで反省してろ!」

 一心不乱に騎士の手を格子の中から引っ張ると騎士の男が怒り出して鉄の具足で俺を蹴り飛ばした。軟弱な日本人として定評のある俺は見事にツボへとダイブ、めでたくくそまみれです。

「チキショウ。なんだよこれ。明らかに日本じゃねえし。小説かなんかであった話と違うじゃねえかよ」

 今人気の異世界系小説を思い出して男泣き。チート能力とか魔物になって大暴れとかそういうのでいいのになんで俺は囚人なんだよ。それもしょっぱなくそまみれ、これはもう詰んでいるのでは?

「諦めるな!絶対に何かある。だってこんな理不尽な転生はありえないだろ。絶対に優遇されているはずだ」

 アニメで見た知識などを総動員させて自分を調べていく。囚人服、それ以外は何かないか?

「ん、なんだこれは。腕輪? じゃないな入れ墨か?」

 いわゆるタトゥーといわれるものが右手に刻まれている。腕輪のように描かれているそれを見ると手のひら側の手首の真ん中に光っている部分があった。俺はそれを徐に触る。すると手首から透明なウィンドウが開いて宙にゲーム画面のような文字が浮かんできた。

「おお! これはステータスだろ。異世界って感じだな」

 アニメで見たことのあるゲージ。名前と職業、それにステータスだ。チートスキルカモン!

釘宮 巽(クギミヤ タツミ)

 職業 囚人

 レベル 1

 HP 10
 MP 5
 
 STR 5
 VIT 6 
 DEX 5 
 AGI 4 
 INT 5 
 MND 5 

 スキル 
 
 服模写 
 服活用術(極)

 む? むむむ? 服模写? 服活用術ってなんぞ。訳が分からん。確かに服が欲しいといったかもしれない。しかし、これはチートなのか?まさかして俺って平凡さん?やばいやばいよ。これは詰んだよ。
 打ちひしがれて跪く俺だったが何とかスキルなんかの説明を読むことができることを知り解説を読んでいくことにした。

「何々? 服模写 相手を触ることで服をコピーできる。ふむ、名前通りだな・・・終わったわこれ」

 服模写の説明を見て俺は更に落ち込む。服模写してどうするんだよ。お洋服屋さんになるのが夢だったの、うふ・・・ってか。
 確かに母さんに憧れて裁縫を習ってみたがそこまでやろうとは思っていなかった。その通り、俺は適当なリーマンになって、今や立派な社畜になった。ああ、世知辛い。

「気を取り直せ。次だ次。服活用術(極) 服の最上位の人物の力を得る・・・なんぞ?」

 説明が少なすぎる。思わず首を傾げてつぶやいてしまったぞ。服の最上位の人物って誰だよ。力を得るって書いてあるがそのままの意味なら結構チートっぽい?

「おっ、よく見たら服模写がNEWってなっててスライドできそうだな。さっき騎士みたいな男に触ったからか?」

 俺は興味本位でそれを触ってみた。すると囚人服が消えて、みるみる頭以外が鎧に変わっていく。全身鎧じゃないのは触った男が兜を装備してなかったからなのか?

「お~すげ~。この世界がどれほどかしらねえが、チートさんじゃないですか?」

 この世界がどれほどの世界かしらないけど、魔法とかのない世界から来た俺からしたら十分チートである。

「えっと、オラストロの鎧 オラストロ王国が正式採用している鉄甲冑 腕周りの稼働が難儀だが硬さには定評があるっと。いいんだか悪いんだかわからん。しかし、言っている意味はよく分かる」

 腕を大きく頭の上にあげようとすると脇当たりの鎧がぶつかり合ってしまうのでいちいちゆっくりと上げないと上がらない。こんなものを採用しているのを考えるととても遅れているのがうかがえる。

「重さを感じないな。これはスキルの影響だろうな。こんな鉄の鎧を着ているのにこんなに身軽なのはありえんし。それでも可動域を考えるとこれなら皮鎧とかの方がよさそうだな。それと服を変えたことで俺の体がきれいになってる」

 くそまみれだった体が綺麗になっていた。服模写の副産物としてそういう機能があるようだ。
 風呂好きの日本人としては風呂にも入りたいが綺麗になるのに越したことはない。ありがとうございます服模写様。

「さてさて、あとはここから消え去りたいんだけど」

 鉄格子に阻まれている状況。出るにも出られない状態だ。どうしたものか?

「服活用術の方は働くのか?服の最上位の人物の力の意味が分からないから皆目見当もつかん。ん?力を得るってことはステータスに変化があるのか?」

 再度、俺はステータスを起動する。このステータスもめんどくさいことに服模写使うと勝手に消えてしまう。消えていなければそのまま気づいていたはずなのだが、と言い訳してみる。

釘宮 巽(クギミヤ タツミ)

 職業 オラストロの騎士

 レベル 1

 HP 110
 MP 15
 
 STR 25
 VIT 26 
 DEX 15 
 AGI 14 
 INT 15 
 MND 15 

 スキル 

 服模写[オラストロ正式鎧] 
 服活用術(極)

 上がっている? 上がっているよね。このスキルは服を得るごとにステータスが上がるのか、更に謎が深まったながそれがほんとうならチートだぞ。
 ステータスが10ずつくらい上がっているな。一桁上がることがどの程度影響するのかわからん。この世界の常識が欲しい所だ。

「もう! わからん!」

「おい! うるさいぞ」

 俺が自暴自棄になり叫ぶと先ほどの男だと思われる声が聞こえてきてツカツカと近づいてきた。また蹴られそうだ。
感想 47

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

【完結】草食系貴族

シマセイ
ファンタジー
農業大学を卒業し、実家の農家を継いだ青年・誠也。 作業中の事故で命を落とした彼が目を覚ますと、剣と魔法が支配する異世界の公爵家次男・ルークとして転生していた。 名門貴族として将来を約束されていたルークだったが、5歳の儀式で授かったのは、戦闘とは無縁の未知なるスキル【品種改良】 「ゴミスキル」と蔑まれ、家族からも見放されてどん底の生活に送られた彼は、前世で培った農業知識とこのスキルを武器に、ただの雑草を伝説級のアイテムへと変貌させていく。 これは、追放された「草食系」の少年が、植物の力で世界の常識を塗り替えていく下克上ファンタジー。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

スキル買います

モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」 ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。 見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。 婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。 レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。 そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。 かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています