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第2話
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ツネさんに別れを告げてすぐに僕は故郷への帰路に発った。
だいぶ遠くまで来てしまったから急いで帰る。
マジックバッグの中身がなくなったことで早く走れるようになった。これなら、一週間もかからずに帰れそうだ。
確か、ここまで来るのに一年はかかったからかなりの速度だな~。
ロック鳥のいたロレイン山脈を越えることにした。今の速度ならロック鳥に見つかっても逃げられるはずだ。
そう思っていたんだけど、運の悪いことにゴールデンゴーレムに遭遇してしまった。
金で出来た大きな塊が命を宿して人間に襲い掛かってくる。速度はだいぶ遅いので軽く躱して傷つけていく。
ゴールデンゴーレムはそれほど脅威じゃないんだ、なら運が悪いとは言わなくていいと思うんだけど、それには理由がある。
クエ~、と声が聞こえてきてロック鳥がこちらに気づいた。
ゴールデンゴーレムが光っているせいでロック鳥を呼び寄せてしまうんだ。ロレイン名物と化しているゴールデンゴーレムとロック鳥のコンボだ。
マジックバッグに武器を入れておけばよかった。流石に素手じゃ……。
「ロック鳥ってこんなに弱かったの?」
倒せないよな~っと思って襲い掛かってきたロック鳥の頭を軽く殴ると粉々に粉砕してしまった。
ゴールデンゴーレムはこんなことにならないのにおかしいな。
ロック鳥を軽く倒して、ゴールデンゴーレムに注視する。
ゴールデンゴーレムは意思を持たないものでオートで攻撃してくる魔物だ。ロック鳥が粉砕されても動じずに攻撃を繰り返してくる。
流石に金を素手で壊せるはずもない。仕方なく、落ちている石を拾って殴りかかる。
「石で金が割れるとは……」
素手で壊せなかったゴールデンゴーレムは石で殴ったら割れて壊れた。たぶんだけど、今までの攻撃が効いていなかったんじゃなくて瀕死になっていたんだと思う。それでたまたま石を持って攻撃したら絶命したということだと思う。
ゴールデンゴーレムとロック鳥から片手剣と槍がドロップした。魔物はそれぞれ死骸を残して、魔物を倒してくれたお礼っていう形で神様からのプレゼントがもらえる。それがドロップ品。
死骸はマジックバッグに放り込んで槍と片手剣を持って帰路に戻る。
初めて武器を握ったけどしっくりくるな~。片手剣はゴールデンゴーレムからで黄金の剣、ロック鳥からドロップしたのは落雷の槍というらしい。
マジックバッグに入れるとそのアイテムの詳しい情報が見れるんだよね。
マジックバッグを覗いて亜空間を見るとそのアイテムの情報が見えるんだ。すっごい便利なんだけど、そのせいで黒い刃の人達にいいように使われてた。人達って言ってもグナンとロエタだけだけどね。
ダッグさんとエデンさん、それにガオさんは必要な物だけにしてくれてた。
ロエタなんてひどいんだ。乳液とかお肌にいい薬草とか無駄なものばかり。
女性はお肌を気にする者よ……なんて言って持たせてきたんだ。エデンさんはそんなものやらなくても綺麗だったのにね。
まあ、もう過ぎたことはどうでもいい。早く故郷に帰って母さんのシチューが食べたいな。
ロレイン山脈を下ると海が見える。リバイアサンがいる海は嵐になると船が出ないことも多々ある。今はとても穏やかみたいで普通に船が出てるね。
港について船に乗ろうと思ったんだけど、お金がないことに気づく。
仕方なくお金を稼ぐために冒険者ギルドに向かった。
ワイワイガヤガヤ、ギルドの中はとても賑やか。必ず併設されている酒場にチームごとに集まって騒いでいる。
僕が受付に向かうとみんなの視線が集まった。
「落雷の槍じゃねえか?」
ロック鳥からドロップした槍は出しっぱなしでいたから目立ってしまったようだ。
失敗失敗と槍をマジックバッグにしまうとまたもやどよめきが。
「あいつポーターかよ!」
ポーターは戦闘のできない職、そう認知されているんだ。
でも、それは迷信、僕の師匠はポーターで素手で滝を割って素手でドラゴンを狩っているからね。
なんで僕が戦闘をしてこなかったのかはマジックバッグにある。みんなの荷物を入れるとどうしても重量が高くなる。何トンにもなる荷物を持って戦え? そんなの無理に決まっているじゃないか。師匠だって、家を一軒入れたくらいで戦っているっていうのに、僕なんかが家二軒入れて戦うなんて無理だよ。
まあ、そのおかげですっごいステータス上がったみたいだけどね。ロック鳥を素手で倒せるなんて、僕も驚きだったもの。
これで少しは師匠に追いついたかな。
「手っ取り早くお金が欲しいんですけど」
「え? 一人ですか?」
受付のお姉さんに声をかける。お姉さんはキョロキョロと僕の後ろを見る。首を傾げるお姉さん。
「坊や。このロレインのギルドでは討伐がメインの依頼になるのよ。一人じゃ受けさせるわけにはいかないわ」
討伐系しかないのか~。仕方ない、何か簡単なのを……ん!?
「それ!」
「え?」
受付の隅に置いてある依頼書を見るとロック鳥の討伐と言うものがあった。
ロレインの港街の討伐依頼でロック鳥ってことはロレイン山脈だよね。
「君ね~……。ロック鳥はAランクの冒険者がチームで挑むものよ。一人で」
「倒してきたので報告します」
「……はっ?」
お姉さんは呆気にとられた声をあげる。
「君ね~」
「おい、坊主。嘘をつくならもっとましな嘘をつけよ」
お姉さんが睨んでくると後ろから坊主頭のおじさんが怖い顔を近づけてきた。
「嘘じゃないですよ。証拠もここに」
「「!?」」
あっ、間違えた。ゴールデンゴーレムを出しちゃった。失敗失敗。
改めて、ロック鳥を取り出す。
「「……」」
「ね?」
ゴールデンゴーレムに驚いて、ロック鳥に驚いた二人。よく見ると酒場も静かになってる。
「た、確かにロック鳥です……」
別の職員の人がロック鳥をルーペで調べてくれる。
あのルーペは僕のマジックバッグと一緒で鑑定が出来るアイテムなんだよね。師匠はあんなのいらんって言っていたっけ。
「あなた、名前は?」
「アズですけど」
「アズ……様ですね。では、確かにロック鳥の討伐を確認しました。報奨金です。更にゴールデンゴーレムの討伐も依頼が出ていましたので卸していただけるとありがたいのですが」
「ああ、そうだったんですね。じゃあ、はい」
ズズン! ゴールデンゴーレムはとっても重いから床が軋む。
冒険者ギルドの建物はかなり丈夫に作られているから壊れることはないと思うけど、結構歪んでいて心配です。
「ま、マジックバッグっていいよな」
「ああ、あんな重いものの重さがなくなるんだから」
ん? マジックバッグで重さがなくなるなんて迷信まだ信じてる人がいるのか~。師匠がいたら鼻で笑われるぞ~。
「羨ましいでしょ~」
え? あの子、ポーターかな?
呟いていた男達に誇らしげに胸を張る少女がいた。
マジックバッグを見せていて、自慢げにしている。
あんな子も迷信を信じているのか~。師匠にどやされるぞ。
だいぶ遠くまで来てしまったから急いで帰る。
マジックバッグの中身がなくなったことで早く走れるようになった。これなら、一週間もかからずに帰れそうだ。
確か、ここまで来るのに一年はかかったからかなりの速度だな~。
ロック鳥のいたロレイン山脈を越えることにした。今の速度ならロック鳥に見つかっても逃げられるはずだ。
そう思っていたんだけど、運の悪いことにゴールデンゴーレムに遭遇してしまった。
金で出来た大きな塊が命を宿して人間に襲い掛かってくる。速度はだいぶ遅いので軽く躱して傷つけていく。
ゴールデンゴーレムはそれほど脅威じゃないんだ、なら運が悪いとは言わなくていいと思うんだけど、それには理由がある。
クエ~、と声が聞こえてきてロック鳥がこちらに気づいた。
ゴールデンゴーレムが光っているせいでロック鳥を呼び寄せてしまうんだ。ロレイン名物と化しているゴールデンゴーレムとロック鳥のコンボだ。
マジックバッグに武器を入れておけばよかった。流石に素手じゃ……。
「ロック鳥ってこんなに弱かったの?」
倒せないよな~っと思って襲い掛かってきたロック鳥の頭を軽く殴ると粉々に粉砕してしまった。
ゴールデンゴーレムはこんなことにならないのにおかしいな。
ロック鳥を軽く倒して、ゴールデンゴーレムに注視する。
ゴールデンゴーレムは意思を持たないものでオートで攻撃してくる魔物だ。ロック鳥が粉砕されても動じずに攻撃を繰り返してくる。
流石に金を素手で壊せるはずもない。仕方なく、落ちている石を拾って殴りかかる。
「石で金が割れるとは……」
素手で壊せなかったゴールデンゴーレムは石で殴ったら割れて壊れた。たぶんだけど、今までの攻撃が効いていなかったんじゃなくて瀕死になっていたんだと思う。それでたまたま石を持って攻撃したら絶命したということだと思う。
ゴールデンゴーレムとロック鳥から片手剣と槍がドロップした。魔物はそれぞれ死骸を残して、魔物を倒してくれたお礼っていう形で神様からのプレゼントがもらえる。それがドロップ品。
死骸はマジックバッグに放り込んで槍と片手剣を持って帰路に戻る。
初めて武器を握ったけどしっくりくるな~。片手剣はゴールデンゴーレムからで黄金の剣、ロック鳥からドロップしたのは落雷の槍というらしい。
マジックバッグに入れるとそのアイテムの詳しい情報が見れるんだよね。
マジックバッグを覗いて亜空間を見るとそのアイテムの情報が見えるんだ。すっごい便利なんだけど、そのせいで黒い刃の人達にいいように使われてた。人達って言ってもグナンとロエタだけだけどね。
ダッグさんとエデンさん、それにガオさんは必要な物だけにしてくれてた。
ロエタなんてひどいんだ。乳液とかお肌にいい薬草とか無駄なものばかり。
女性はお肌を気にする者よ……なんて言って持たせてきたんだ。エデンさんはそんなものやらなくても綺麗だったのにね。
まあ、もう過ぎたことはどうでもいい。早く故郷に帰って母さんのシチューが食べたいな。
ロレイン山脈を下ると海が見える。リバイアサンがいる海は嵐になると船が出ないことも多々ある。今はとても穏やかみたいで普通に船が出てるね。
港について船に乗ろうと思ったんだけど、お金がないことに気づく。
仕方なくお金を稼ぐために冒険者ギルドに向かった。
ワイワイガヤガヤ、ギルドの中はとても賑やか。必ず併設されている酒場にチームごとに集まって騒いでいる。
僕が受付に向かうとみんなの視線が集まった。
「落雷の槍じゃねえか?」
ロック鳥からドロップした槍は出しっぱなしでいたから目立ってしまったようだ。
失敗失敗と槍をマジックバッグにしまうとまたもやどよめきが。
「あいつポーターかよ!」
ポーターは戦闘のできない職、そう認知されているんだ。
でも、それは迷信、僕の師匠はポーターで素手で滝を割って素手でドラゴンを狩っているからね。
なんで僕が戦闘をしてこなかったのかはマジックバッグにある。みんなの荷物を入れるとどうしても重量が高くなる。何トンにもなる荷物を持って戦え? そんなの無理に決まっているじゃないか。師匠だって、家を一軒入れたくらいで戦っているっていうのに、僕なんかが家二軒入れて戦うなんて無理だよ。
まあ、そのおかげですっごいステータス上がったみたいだけどね。ロック鳥を素手で倒せるなんて、僕も驚きだったもの。
これで少しは師匠に追いついたかな。
「手っ取り早くお金が欲しいんですけど」
「え? 一人ですか?」
受付のお姉さんに声をかける。お姉さんはキョロキョロと僕の後ろを見る。首を傾げるお姉さん。
「坊や。このロレインのギルドでは討伐がメインの依頼になるのよ。一人じゃ受けさせるわけにはいかないわ」
討伐系しかないのか~。仕方ない、何か簡単なのを……ん!?
「それ!」
「え?」
受付の隅に置いてある依頼書を見るとロック鳥の討伐と言うものがあった。
ロレインの港街の討伐依頼でロック鳥ってことはロレイン山脈だよね。
「君ね~……。ロック鳥はAランクの冒険者がチームで挑むものよ。一人で」
「倒してきたので報告します」
「……はっ?」
お姉さんは呆気にとられた声をあげる。
「君ね~」
「おい、坊主。嘘をつくならもっとましな嘘をつけよ」
お姉さんが睨んでくると後ろから坊主頭のおじさんが怖い顔を近づけてきた。
「嘘じゃないですよ。証拠もここに」
「「!?」」
あっ、間違えた。ゴールデンゴーレムを出しちゃった。失敗失敗。
改めて、ロック鳥を取り出す。
「「……」」
「ね?」
ゴールデンゴーレムに驚いて、ロック鳥に驚いた二人。よく見ると酒場も静かになってる。
「た、確かにロック鳥です……」
別の職員の人がロック鳥をルーペで調べてくれる。
あのルーペは僕のマジックバッグと一緒で鑑定が出来るアイテムなんだよね。師匠はあんなのいらんって言っていたっけ。
「あなた、名前は?」
「アズですけど」
「アズ……様ですね。では、確かにロック鳥の討伐を確認しました。報奨金です。更にゴールデンゴーレムの討伐も依頼が出ていましたので卸していただけるとありがたいのですが」
「ああ、そうだったんですね。じゃあ、はい」
ズズン! ゴールデンゴーレムはとっても重いから床が軋む。
冒険者ギルドの建物はかなり丈夫に作られているから壊れることはないと思うけど、結構歪んでいて心配です。
「ま、マジックバッグっていいよな」
「ああ、あんな重いものの重さがなくなるんだから」
ん? マジックバッグで重さがなくなるなんて迷信まだ信じてる人がいるのか~。師匠がいたら鼻で笑われるぞ~。
「羨ましいでしょ~」
え? あの子、ポーターかな?
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