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第二章 学校

第57話 ゲーヒン

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「!? これはこれはゴルグィード校長先生。こんな夜分にどうされましたか?」

「フォッフォッフォ、野蛮な輩が入り込んだと聞いての~」

 すぐに終わらせる為に残りの金色の文字の書かれている黒い服の人の所に来たの。校長先生は一人で対処するって言ってアイ達は離れてみているの。逃げてきたらすぐに対処できるようにレイおねえちゃんも構えているの。

「流石は”暴虐の魔法使い”といった所か、隙がないな」

「……古い名じゃの~。そういうおぬしはどこの者じゃ? おぬしの精霊は見たことがないぞ」

 バチバチと二人の間で火花が散っているの。先生の黄色いキリンさんが黒い服の人の黒い猫さんと喧嘩しているの。目つきの悪い猫さんだけど、かわいいの。

「闇属性しか使えないのによくやるの~」

「!? さっきから何を言っているのかと思ったら……精霊が見えるのか。ちぃ、分が悪いな」

「フォッフォッフォ、高位の魔法使いとの戦闘も不慣れとは、黒き光は教育もできないのかの~?」

「黙れ爺!」

 先生を睨みつける黒服の人が怒って声を荒らげていると、黒い猫さんが総毛立って黒い雷を辺りにばらまいたの。アイたちの所にも来たけど、アイの黒猫さんがぺしって尻尾で払ってくれたの。アイの猫さんはすごいの。

「フ~、対峙しているのは一人だというのに。全体魔法を使うのはどうかと思うがの~」

 いつの間にか先生の黒猫さんも現れてて、黒い雷を受け止めているの。よく見たらゴルグィード校長先生の背中に精霊さんが5体いるの。

「高位の魔法使い同士の戦いでは精霊を隠して戦うもんじゃ。よく覚えておくんじゃの……いや、次はないのじゃからええか」

「なに!? グアァァァ~~~~……」

「こんな弱い者を送ってくるとはの~。闇が弱まっておるのか、はたまた……」

 先生は黒い人と同じように黒い雷を降らせたの。黒い服の人の周りにいっぱい降ってその周りだけが真っ黒になってるの。

「ううっ」

「ふむ、今ので生きておるのか。なかなか丈夫じゃの~」

「あぶない!」

 真っ黒こげになっているのに大丈夫みたいなの。先生が近づくとレイお姉ちゃんが飛び出していったの。

「ヒ~ッヒッヒッヒ。他にもいたか~。なかなか隠れるのうめえじゃねえの」

「なんじゃおぬしは!」

 お姉ちゃんが黒い刀で魔法を切り裂いてガードしたの、それから頭ツルツルさんに切りつけているの。ツルツルさんは持っているナイフをナメナメしているの、汚いの。

「フヒヒヒ。俺はゲーヒン、黒き光の10に座らせてもらってる~。以後よろしく」

「……こいつできる」

 ツルツルさんはゲーヒンって言うみたいなの。深くお辞儀して自己紹介してくれているの。名前を聞いているだけなのにレイお姉ちゃんがいっぱいの汗をかいているの。

「ゲーヒン様……」

「ヒヒヒ、へましやがって。すぐに帰るから寝とけ」

「すみません……」

 黒焦げさんがゲーヒンさんに申し訳なさそうに声をあげているの、仲良しさんみたいなの。

「待っていただいて恐縮だが、こいつは返してもらうぜ」

「フォッフォッフォ、それがまかり通るとおもっておるのか?」

 一瞬で空気がピリッとしたの。さっきまでの火花とかじゃなくて空気が重くなる感じで息苦しいの。

「ヒヒ、そっちの紫炎の里の奴はあの子供の護衛か~……ってことはいるんだろ? アイちゃ~ん」

「!? その情報をどこから!?」

「ヒヒ、諜報が得意なのはお前たちだけじゃねえってこった。アイちゃーん出ておいで」

「アイを知っているの?」

 呼ばれたからアイも出ていくの。ツルツルさんはアイの知り合いなの?

「俺はゲーヒンって言うんだよろしくな」

「よろしくお願いしますなの!」

 にっこり微笑んで挨拶してくれたの。アイもそれにこたえるの。

 笑顔で答えるとレイお姉ちゃんがゲーヒンさんに迫って切りつけたの。挨拶しているだけだったからアイはびっくりしちゃったの。

「何を企んでる!」

「ヒッヒッヒ、人聞きわり~な~。ただただ挨拶しただけじゃねえか。なあ、アイちゃ~ん」

「アイ様にその汚らしい声をかけるな!」

 ゲーヒンさんとレイお姉ちゃんがチャンバラを始めたの。鉄と鉄のぶつかる音が鳴り響いているの。

「レイ君、離れなさい!」

「しかし!」

「アイちゃ~ん!」

「貴様~!」

 先生に離れるように言われたレイお姉ちゃんだったけど、聞いてくれないの。レイお姉ちゃんはアイが馬鹿にされていると思ってるみたいですっごく怒っているの。あんなに怒ってるお姉ちゃんは見たことないの。

 レイお姉ちゃんとゲーヒンのチャンバラを見てると別の方向から高い笛の音が鳴り響いたの。その方向を見るとゲーヒンさんがもう一人いて黒焦げだった人を担ぎ上げて消えたの。

「な!?」

「ヒッヒッヒ、そういうこと~……。紫炎の里の者と暴虐の魔法使いを相手にしようなんて馬鹿はノジックだけで十分だろ。おっと、俺もお暇するぜ~。ヒ~ッヒッヒッヒ~」

 ゲーヒンさんが地面に消えていくの。

「待て!」

「無駄じゃよレイ君」

「チィ」

 レイお姉ちゃんが悔しそうにしているの、先生が慰めるけどすごい苛立っているの。

「収穫はあるから大丈夫じゃ。しかし、挑発に乗るのはよくないの~。アイちゃんもじゃよ。名前を呼ばれたからと言って敵の前に出ちゃいかん」

「ダメなの?」

「ダメじゃよ。アイちゃんは狙われておるんじゃ。アイちゃんは大丈夫かもしれんが儂らは許容できんのじゃよ。敵と仲良くしてほしくないんじゃ」

 先生がアイにお願いしているの、仲良くしようとしてしまったことはいけないことみたいだったの。アイは大人だから、お願いを聞くの。

「分かったの。レイお姉ちゃん、ごめんなさいなの」

「そんな、アイ様。こちらこそ、申し訳ございません」

 レイお姉ちゃんは泣きながら抱きしめてくれたの。何だか、ごめんなさいなの。
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