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1巻
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しおりを挟む第一話 追い出されて自由な生活
「……本当にこの者が勇者なのか?」
「はい、そのはずですが……」
まるで中世のお城の中のような広間。真っ赤な絨毯と、その両端に控える甲冑姿の兵士達。
そして正面には、いかにもといった風体の王様が鎮座しており、困惑した表情で隣にいる女性に問いかけていた。女性はかなり若く、赤いドレスとサラサラの金髪が特徴的だ。王女だろうか。
「そうか……だがマリー、あの者からはその……なんだ」
「――高貴さ、ですか?」
マリーと呼ばれたドレスの女性が、王様に助言する。
「そうそれじゃ! あの者からは全く感じられんぞ」
おいおい、聞こえているぞ。
でも僕――小日向連は、呆気に取られて突っ込むこともできなかった。
話の内容から察するに、僕はラノベによくある〝勇者召喚〟というものに遭ってしまったらしい。
しかし、僕は運のない人間だ。
こんな幸運に恵まれるなんて何かおかしい、僕が勇者なはずがないのだ。
◇
二十歳独身、会社員。自分で言うのもなんだけど、僕はうだつの上がらないダメ男だった。
向上心や気力も湧かず、そして人一倍運も悪かった。
特にその日は、いつもの何倍も運が悪かったと思う。
カラスの糞は降ってくるわ、黒猫は目の前を集団で横切るわ、挙句の果てには急な残業で、最終電車まで逃してしまった。
「はぁ、今日もついてない」
僕は公園のベンチに座って、ため息まじりに言葉を漏らす。
そこでふと目を瞑ってしまったのがいよいよ運の尽きだった。わずか数分で、僕は寝息を立ててしまう。
すると、不意にポケットから何かが抜き取られた。
目を開けると、高校生くらいの少年が僕の財布を持って走り去っていくのが見えた。
「な! 待て!」
当然僕は追いかけた。自慢じゃないが足には自信がある。
泥棒の少年は逃げながら僕を睨んでくるが、徐々に距離が縮まっていく。
あと少しで追いつく――と思った、その時。
僕は突然光に包まれて、見知らぬ赤い絨毯の上にいた。
そうして、気付いたらそのマリーとかいう女性と、見るからに王様っぽい人に、高貴さがないだの何だの、失礼なことを言われていたのである。
「マリー、鑑定をしてみよ」
「はい」
赤いドレスを翻して、女性が近づいてくる。そして鋭い目つきで、僕を間近で見つめてきた。
すると彼女の目が赤、青、緑と色を変える。鑑定とやらをしているようだ。
しばらくするとマリーは王様のもとに戻り、ひそひそと耳元で何かを囁いた。
「何! それは本当か」
王様が叫ぶ。やはり何かの間違いがあったのだろうと察して、僕はため息をつく。
「あの者は何も持っていない、役立たずだと申すか!」
「はい」
王様達の話している内容に、愕然とする思いで僕は俯いた。
そうだ、運の悪い僕が、人々から慕われる勇者になんて選ばれるわけがない。
「では、この者は何故ここに」
「それは本人に聞いてみましょう」
マリーは再び僕の前まで歩いてきて、俯いている僕の顎を掴んで顔を上げさせる。
「あなた、ここに来る前は何をしていたの?」
「……誰かに財布を盗られて、取り返そうと追いかけたんだ。そしたらここに」
「そうですか……王様、残念ですが、やはりこの者は無関係です。この者が追いかけていたという別人が、勇者だったようですね。恐らく召喚の魔法陣が発動した一瞬、本人がその地点にいなかったために、一番近かった人間が送られてきたのでしょう」
知らなくてもいいような残酷な事実を突きつけられた。
まさかあの盗人が勇者で、僕はただの巻き込まれだったなんて。僕、これからどうなるんだ。
◇
僕は固唾を呑んで事の経過を待っていた。
あの後、マリーと王様がまたひそひそと話をして、僕は兵士達にこの個室へと連れてこられたのだ。以降、ずっと閉じ込められたままでいる。
「これからどうなるんだ。何も知らない世界でチートもないなんて……」
こういう異世界召喚ものでは、普通は何かしらのチートが用意されるものだと思っていたんだけど、自分の運のなさに嫌気が差す。
あのマリーとかいう超絶美人は僕を鑑定した後、何も持っていないと断言した。
僕が読んでいたラノベでは、チート能力を得られなかった異世界人は、必ずと言っていいほど追い出される。たぶん、僕もそうなるだろう。
そうなる前に、自分が本当に何も持っていないのか確認しておきたい。
「あーあ、異世界チートなんて夢だったのかなあ……折角なんだから何か出てくれよ! そうだ。ラノベでは確か……ステータスオープン!」
ラノベの知識がどこまで通用するかわからないけど、試しに叫んでみた。
すると本当に出た。目の前に、ホログラムのようにしてステータス画面が現れる。
レン コヒナタ
レベル 1
【HP】 40 【MP】 30
【STR】 9 【VIT】 8
【DEX】 8 【AGI】 11
【INT】 7 【MND】 7
レベルが1なのはまあいいや。他のパラメータも、0とか1がないのはありがたい。
でも他人のステータスを見ていないから、これで高いのか低いのかわからないな。
となると、肝心なのはスキルだ。何かチートはないのか! チートは。
僕はスキル欄に目を移すが、何も表示されていない。
「やっぱり何も見えない……でもおかしいな。何もないにしては枠がでかいような……」
ステータスの欄に比べて、スキル欄は不自然なほど空白の部分が広かった。
そこで僕はふと、ホームページなんかでよく、ネタバレだからと文字と背景の色が同じにされている例を思い出した。
その直感は合っていたようだ。目を凝らして、改めてスキル欄を見てみると……。
スキル
アイテムボックス【無限】 鍛冶の王【E】
採掘の王【E】 採取の王【E】
「あったあった。スキルだ! チートかどうかはともかく〝王〟なんてついてるし、相当なものじゃないかな。まあ、戦いじゃなくて明らかに製作系だけどね」
監禁されている身なので大声は出さないようにしつつも、僕は感動を隠せない。
日本では不運なことばかりだったが、こっちでは違うようだ。
さて、スキルがあるとわかったのはいいが、これを使って快適に異世界で暮らすためには、今のままではまずい。
勇者を召喚したということはたぶん、魔王かそれに準ずる何かがいて、その戦いに巻き込まれる恐れがあるからだ。
まあ、国家同士の戦争という可能性もあるけど……どちらにしても戦闘なんて僕はまっぴらです。
「このまま、スキルは隠そう。綺麗なバラには棘があるとかいうしな」
誰の格言かわからないけどそんなことを聞いた気がするので、マリーという美人には警戒しておくことにしよう。えこ贔屓なんてしません。そもそも僕は、モテないしね。
そんなことを考えていたら、マリーが兵士を連れて現れた。
「残念ですが、あなたにはこの城から出ていってもらいます」
「えっ! そんな、僕はこの世界でどうやって暮らせば……」
僕は心にもないことを言って、怯えるふりをする。
やった、このまま外に出してくれれば自由な生活ができるぞ!
「あなたの今後なんて知りません。まったく、苦労して魔石を集めて、やっと召喚ができたというのに何故あなたのような……さあお前達、この者を城から摘み出してちょうだい」
「ハッ!」
「ちょ、流石にお金も何もないままは困りますって。路頭に迷って野垂れ死にますよ」
追い出されてもいいとは思ったけど、いくら何でも無一文で着の身着のままというのは想定外だ。だが僕が今更何を言っても無駄らしい。
「だから、あなたの今後なんて知りません。こちらは戦力が揃わなくてイライラしているのですから、この場で殺されないだけいいと思いなさい!」
苛立った様子で、マリーは部屋から出ていった。
マリーがいなくなった後、兵士達は一つため息をついて、僕を城の外へと連行していく。
すると城門に着いたところで、兵士の一人が僕に歩み寄ってきた。
「あんたには悪いが命令なんでな……これは俺からの情けだ。取っておけ」
そう言って、彼はこっそり僕の手に硬貨を握らせる。
「え? ありがとう、良い人ですね。お名前を聞いても……?」
「ん? ああ、俺はエイハブだ。なに、あんたのこれからを考えたら不憫に思っちまっただけだ」
エイハブと名乗ったその兵士は、三十歳くらいのイケメンおじさんだった。よく見ると他の兵士も明らかに美形が多く、この異世界にはイケメンしかいないのかと思うほどだった。
「この後、僕はどこへ行けばいいんでしょうか?」
「そうだな。生きていくにはまず金が必要になる。何かしら仕事をしなくちゃダメだろうな。勇者じゃないにしても、冒険者になればいいんじゃないか? 新人でも街から出ずにやれる仕事はあるしな。大体掃除とかの雑用だろうが、飯代くらいにはなるさ」
「そうですか……とりあえず、それしかないですよね」
お金の基準も世の中の仕組みもわからないので、ひとまず定番の冒険者ギルドにいって色々聞くしかないな。
「エイハブさん、ありがとうございます。王女様や王様は不親切でしたけど、良い人もいるってわかって良かったです」
「王族や貴族以外は大抵良い奴ばかりだよ。あまり気にしないでくれ。俺も異世界人と話せて良かった。頑張れよ、生きていればいいこともあるさ」
別れ際に深くお辞儀をしてお礼を言うと、エイハブさんが温かい言葉をかけてくれた。
優しい彼に比べてマリーなんて、勝手に召喚しといてあなたの今後なんて知りません、だもんな。あの性悪女、雷にでも打たれてしまえ。
とはいえ、他人の不幸を願っていてもしょうがないので、エイハブさんに言われた通り冒険者ギルドへ向かうことにした。
王城は丘の上に建っていた。城門からまっすぐ坂を下っていくと辺りはすぐ城下町になり、やがて噴水広場に出る。冒険者ギルドはその広場に面して建っていた。
文字や言葉は召喚時に補正がついたのか、すんなり読めて話せるみたいだ。街の名前は、テリアエリンというらしい。
よかった、流石に金なし言葉なしでは詰むところだった。流石は勇者召喚というべきかな。
僕は観音開きの扉を開けて冒険者ギルドに入った。中には横に長い受付があって、三人の受付係が座っている。
折角なので一番好みの女性のもとへ向かった。僕より少しだけ年上な印象の、サラサラ長髪の金髪さんです。とても美しい。
でも、さっき決めた通り贔屓はしない。美人局とかハニートラップなんて引っかからないぞ。
「こんにちは。ご用件は何ですか?」
「初めまして。冒険者登録をしたくて来たんですけど、僕みたいな人でも大丈夫ですか?」
「えっと、変わった服を着ているんですね……。だけど大丈夫ですよ。冒険者登録は誰でもできますから」
そう、僕は召喚された時のまま、背広を着ていたので実はかなり浮いていた。
だけどこの美人な受付係さんはそれを気にも留めず、すっごい笑顔で対応してくれた。やばい、さっそく惚れそうです。
丁寧な案内に従って冒険者登録を済ませ、あっという間に冒険者カードをゲット。ランクはFランクと書いてあった。
「では、レンさん。ランクの説明をしますね。冒険者と依頼にはそれぞれにF、E、D、C、B、A、Sとランクがあります。基本的には自分と同じか一つ上くらいのランクの依頼をこなすものだと思ってください。依頼を複数こなせば昇格できます」
「結構シンプルなんですね……Sランクとかになったら凄そうだ」
「現在Sランクの冒険者は存在しませんが、Sランクの依頼はあります。これは国の要請で出されるものが大半ですね」
なるほど、国の一大事がSランクの依頼ということか。
「これには、複数の冒険者が集まって対応しなくてはいけません。場合によってはFランクの人でも受けなければならないことがあります」
まるで軍の予備隊みたいな制度だけど、この世界の情勢はわりと安定しているんだろうか?
周りを見ると獣人などの変わった種族の人々も普通に生活しているようだし、国や種族の戦争はない世界なのかもしれない。
「あの木製の掲示板に貼られた紙が依頼で、国からの要請は隣にあるガラスケースに入った掲示板に貼られます。今はありませんけど、他にも重要な依頼の場合はあちらに掲示されます」
説明を聞きながら僕は、とりあえず国からの依頼は当分見なくてもいいか、と思った。マリーとか王とかのために働くと思うと嫌だしね……。
「Fランクの依頼は街の掃除が大半ですが、どうしますか? なりたての冒険者の方だと、ゴブリンなどの討伐に行く人もいるようなんですが……」
「掃除! やらせてください」
食い気味に僕は答える。なんと平和な仕事だろうか。逆に初手からゴブリンは危険な香りがする。
「……そうですよね。武器になりそうなものを持ってないですしね」
ちょっと哀れみの目で見られてしまった。でも、美人のそういう顔もいいと思います。
「えっと、じゃあこれとこれとこれで」
「え! 三つもやるんですか?」
「だって一軒家の庭と、お店の床と、あと排水溝の掃除ですよ。これなら夜までには終わるんじゃないかと」
「そうでしょうか? こちらとしては助かりますが、依頼の失敗が続くと冒険者カードの剥奪もありますので注意してくださいね。はい、依頼登録しました。行ってらっしゃい」
僕はお辞儀をして冒険者ギルドから出る。依頼を受けると場所がカードに登録され、ステータス画面のマップにも表示された。
これなら迷わずに依頼主のもとへ辿り着ける。こういうところは元の世界よりもハイテクだ。
◇
一件目の依頼は、とあるお宅の庭掃除。
ずっと中腰の作業だったので結構疲れた。だけどそんなに広い庭でもなく、作業自体は簡単だったので一時間もかからなかった。
報酬と所要時間からして、どう考えてもゴブリンの討伐より割がいいんだけど……他の冒険者は、掃除というだけで嫌がって受けない、ということなんだろうか。
ちなみに依頼主はおばあちゃんで、息子さんも旦那さんも亡くしてしまったらしい。だから掃除にも手が回らなかったのだとか。話を聞いていて僕まで悲しくなってしまった。
この世界には戦争はないけど街の外は魔物がいて、ちょっと街道を外れると危険がいっぱいなんだってさ。何それ怖い。
とりあえず、こうやって色んな人から話を聞いて、この世界のことを勉強しなくちゃいけないな。
依頼の報酬は、ギルドに行って報告しないともらえないシステムになっている。
なので、二件目にはおばあちゃんの家から直行。
こちらは飲食店をやっていたのだが、このお店の女将さんも旦那さんを亡くしていた。僕よりは年上だけど、元の世界の基準で見たらかなりの美人さん……陰のある雰囲気に、図らずも少し惹かれてしまう。
しかし、仕事モードの僕はせっせと床を掃除していく。その間、女将さんは厨房で仕込みをしていた。滴る汗が何とも言えない色気を……っていかんいかん!
そんな感じで一生懸命、煩悩を振り払いながら床掃除をしたら綺麗になった。モップはないので全部雑巾拭き。とても疲れました。
でも、大げさなほど感謝されたので悪い気はしなかった。
そして、三件目の依頼。
ギルドから坂を少し上った辺りにある家だった。坂を利用した排水溝があり、そこに落ち葉やゴミが詰まってしまったらしい。
なんと、ここでも依頼主は旦那さんを亡くした女性。
何なんだこの街は……この世界の男は結婚すると死んじゃうのか? だとしたらあまりにも報われない世界だ。わけがわかりません。
色々と邪推してしまうけど、今は仕事モードにスイッチオン! 黙々と排水溝を掃除します。
排水溝が詰まると、雨水が溢れるだけでなく臭いが凄いことになってしまうという。
今日はまだヘドロみたいにはなっていなかったけど、大変だなあ……。元いた世界なら下水は地下に行くけど、こっちの世界はそういう技術はなさそうだもんな。しみじみ地球の文明が恋しい。
ともあれ三件目もトラブルなく終わった。
さて報酬だ。日が傾き始めた頃に冒険者ギルドに帰り着き、さっきの受付のお姉さんのもとへ。
「え? 本当に終わったんですか?」
「はい、カードで確認してください」
三件それぞれで依頼主に認印をもらったカードを渡す。受付のお姉さんが、魔法陣の描かれた板に接触させて記録を確かめていた。まるで駅の改札みたいだ。
「確かに、依頼完了ですね。お疲れ様でした! こちらが報酬です」
受付のお姉さんは僕に革袋を三つ差し出してきた。その中には銅貨と思われるコインが入っている。
「三件分で銅貨70枚ですね。袋は一つにまとめますか?」
「じゃあ、お願いします。あの、それで……お恥ずかしいんですが、これはどのくらいの価値のものなんですか?」
「え?」
うーん、この歳でお金の価値を聞くのは最高に恥ずかしい。だってこの世界では常識だもんね。田舎者以下の質問だよな……。
でも、受付のお姉さんのびっくりした顔と呆れ顔はとてもいいものでした。
「あー、もしかして、エルリックの国の方ですか? あちらは少し変わった制度を使用していますからね。わからないのも無理はないですよね」
「……は、はい」
そう言われたらハイと答えるしかありません。
「そうだったんですね。ではその服もエルリックで流行っているのですか? 良くお似合いで、カッコいいと思っていたんです」
「あ、ありがとうございます……」
浮くばかりだと思っていた背広は、意外にもカッコいい括りに入るらしい。
「この硬貨は、世界中で発行されているものです。鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、それに白金貨と位が上がります。鉄貨1枚で1リル、銅貨1枚で10リルの価値があります。リルというのも、世界共通の通貨単位で……あ、これは知ってますよね」
「……はい」
もちろん初耳だ。
「あとは銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、というレートになっています。硬貨の枚数が多くなると、両替したり、小切手にする場合が多いですね」
受付のお姉さんの説明に頷きつつも、僕は元の世界の知識から順応するのに精一杯だった。
「まあ、中にはアイテムボックスというスキルや、同等の魔道具が存在して、全部現金で持ち歩ける場合もあるんですが例外ですね。そのほとんどは王族が保有しています。これはアイテムボックスを使う人がいると、大量の硬貨が一気に市場からなくなったり、その逆が起きたりして混乱を招くからだそうです」
まあ、確かにいくらでも入る袋はみんな欲しいよね。銀行口座とか電子マネーみたいなものだし……って、僕もアイテムボックス持ってるんだった。あまり表立って言わない方が良さそうだ。
とりあえず、お金の価値と単位はわかった。これで異世界チュートリアル終了、ってところかな。
「続けて他の依頼を受けられますか?」
「そうしてもいいんですけど、そろそろ泊まる所を確保したくて」
「なるほど。今日の報酬くらいですと、素泊まり一晩といったところですが……」
ふむ、ご飯なしはちょっときついな。
「ご飯付きだといくらの宿屋があります?」
「そうですね、大体銀貨1枚あれば足りるかと……朝晩二食付きのところもありますよ。紹介しましょうか?」
「ぜひ!」
僕が食い気味に言うと、受付のお姉さんは頬を赤くして少し後ずさる。
その後、冒険者カードに宿屋の住所を登録してもらい、結局もう一件別の掃除依頼を受けてから、冒険者ギルドを後にした。
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