制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
56 / 59
第2章 国

第56話 戦争

しおりを挟む
 街に帰ってきて三日。特に何もなく普通の朝を迎えた。

「はい! ここで突きいれます。やってみて」

『はい!』

 アズとイズが来てからアダム達、エレベスの孤児達の訓練の声が木霊してる。その様子を見るのが朝の日課になりつつある。

「アズ、イズおはよう」

「「あ、ああ。……」」

 アズとイズはまだまだ俺とは仲良くなれないようでぎこちなく声を漏らした。まあ、なれ合いをしようとは思っていないのでいいんだけど、子供の手前、挨拶はしっかりしてほしいもんだ。

「あ~先生達またヒフミに挨拶しない~」

「僕らには言うくせに~」

「「うるさい。これには色々あるんだ」」

 子供達の指摘に双子は声をかぶせて言い訳を言っている。この数日のいつもの風景だな。

「これこれ、アズとイズをいじめんでくれよ」

 グレイが笑いながら子供達の頭を撫でて話す。今ではグレイも子供達のおじいちゃんと言った感じだ。いきなり、お兄ちゃんお姉ちゃんを得て、更にお爺ちゃんまで得たことで子供達はかなりハイテンションになっている。剣術を教えさせているけど、みんな熱心に勉強しているよ。
 アダムは帝王学みたいなものを教え込まれていて戦術なんかも学んでいるな。グレイは新たに将軍を生もうとしているようだ、伊達に年取っていないな。アダムは嫌じゃなさそうなのでそのままにしておく、もしかしたら俺が元の世界に戻った時にこの街を任せる存在が必要だしな。まあ、願いが叶ったらテセリウスに一矢報いるつもりだけどな。

「ヒフミ様! 何か見えます!」

「ん? なんだ?」

 城壁の上からマイルが叫んでいる。焦っている様子なので急いで向かう、城壁に上って、マイルが指さす方を見ると土煙が上がっているのが見える。あの様子はレイグランドが来た時みたいだ。

「ヒフミ殿、どうやら、王は我々を許さないようだ」

「あ~やっぱり?」

 グレイも城壁に上ってきて話す。思った通りレギントス帝国の軍みたいだ。
 地平線がすべて騎兵で埋め尽くされている。まったく、自分の息子がやられたのを知らないのか? どんなに人を揃えようとも鉄騎士達には勝てないぞ。それとも勝てる見込みがあるのか?

「レギントス王は何か策があるのか?」

「……いや、ないだろう。レイグランドは卑劣な手段で殺されたと言っていたからな。生き残りからちゃんと情報を聞き取ることはしなかっただろう」

「まじか?」

「ふむ、儂はちゃんと聞き取りをしたんじゃがな。レギントス王は頭に血が上ってしまっていた。儂の言っていることも聞き取れていなかったようじゃな」

 どうやら、レギントス王は碌なものじゃないようだ。グレイが出て来たのは嫌気がさしたのが大きいのかもしれないな。

「しかし、多いな~」

 地平線を埋め尽くす騎兵。全身鎧で馬も装甲車のように着飾っているよ。できるだけ、馬は確保したいな。子供達にも馬術を教えてやりたい、できれば貿易に行けるくらいにはしてやりたいな。

「ん!? 弓君! 上空へ!」

「御意!」

 レイグランドの時のようにドラゴン兵が空へと飛び立った。弓君を上空へと放ち、撃ち落とさせる。

 しばらく、空でドラゴンの炎と弓君の矢の戦闘が繰り広げられる。前回よりもドラゴンは頑張っているな。

「ドラゴンも鎧を着ていて目を守るように戦ってきているな」

「ほ~、王もちゃんと聞き込みしていたようだ」

「ようだじゃねえよ。仕方ない……杖君、出番」

「御意!」

 弓の攻略法を考えたんだろうけど、こっちには杖君がいるんだよな~。鉄の杖が空に飛んでいく。ドラゴンは20機はいるから50体ほど杖を送ったよ。圧倒的に勝とうじゃないの。

「って何あれ……」

「ドラゴン!?」

 空にレギントスのドラゴンとは別のドラゴンが現れた。ドラゴンというよりも龍といった感じのものが空を舞っている。龍に触れたドラゴン兵が次々と落ちてくる。

「あれはまさか、魔法なのか?」

「あんな魔法聞いたことないぞ」

 アズとイズが驚きながら見上げている。あれが魔法で作れるっていうのか? 魔法って事は杖達が作ったって事だよな。精霊達はどこまで行くんだ?

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った だけど仲間に裏切られてしまった 生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

超能力があれば転生特典なしでも強キャラだった件~帰還し命を救うため、モンスターを倒しまくるぞ~

うみ
ファンタジー
生まれながらにして「転移」「念動力」「自己修復」の異能を持っていた池添は、能力を隠し平凡な人生を歩んでいた。 卒業式の帰り道で命の危機に遭遇した彼は友人を見捨てて異世界に転移してしまう。 自分だけ逃げてしまったことに後悔する池添であったが、迫るモンスターを転移、心臓の血管を断ち切る必殺の一撃で打ち払う。そこで、不思議な声が彼の頭に響く。 なんと、自分の能力で逃げ出したわけじゃなく、この声の主が自分を転移させた原因だと言うのだ。 「あの時、あの場所にいけぞえさーんを帰すことができまーす」 「……ギブアンドテイクといったな。すみよん。お前の求めるものは何だ?」 「すみよんの元まで来てくださーい。そして、破壊してください。暴走を。オネガイ……です」 そんなわけで、友人を救うチャンスを得た池添は今度こそ彼らを救うことを誓う。 そのために能力を鍛えることが必要だと痛感した池添は、能力を自重せず使い、全力全開で進むことを決めた。 異世界で出会った仲間と共にモンスター討伐に明け暮れる日々が始まる。 ※ラストまで書けておりますので完結保証です!全47話予定。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...