テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)

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第一章 神様からの贈り物

第十四話 達成報告

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「いらっしゃい」

「こんにちは、ウーナさん・・」

 冒険者ギルドに入って、受付を見るとウーナさんが僕らに気付いて手を振った。

「もう来ないと思ったよ」

「はははは~」

 ウーナさんの前に座る。あんな凄い事をしてしまったからウーナさんは心配してくれてたみたい。小声で声をかけてくれた。僕らは笑うしかない感じ。

「マスターも黙ってくれてるよ」

「そうなんですね。ありがとうございます・・」

「警戒してるね~」

「そりゃ~・・」

 僕は冒険者ギルドをキョロキョロと見渡す。中には目の合う人もいるのでマスターとウーナさんが言わなくても察していると思うんだけど。

「大丈夫よ。みんないい人だもの。いい人だからこそ、あなた達を仲間に引き入れたい人もいるだろうけどね」

「やっぱり・・」

「アレクごめんね・・」

 シーナが申し訳なさそうに俯いている。僕が俯くたんびに申し訳なさそうにしてるよ。人を助けたんだから大丈夫って言ってるんだけど、気にしてるみたい。
 とにかく、欠損を治せる人って言うのは貴重だって事は分かった。これからはお手軽に回復をしないようにしないとな~。

「それじゃ、配達の品です」

「あ~そういえば、頼んでたんだよね。オービス様の像」

 ウーナさんに像を渡す。艶めいた眼でオービス様の像を見つめるウーナさん。なんで神様の像ってみんな露出の高い服ばかりなのかな? フェイブルファイア様なんか上半身裸だよ、恥ずかしいよね。

「オービス様には無事に帰還する為にお祈りをするの。この間の人はそれが出来なかったから怪我をして帰ってきた。という事なのよ」

「今まではなかったんですか?」

「実はこの間、私がうっかり落としちゃって、それで首が取れちゃったのよ。その修復をベラに頼んだってわけ。だから、実質この依頼はギルドからのお願いのような物だったの」

 ウーナさんは頭を掻きながら照れくさそうに話した。それって照れながら言うような事なのかな?

「では、依頼達成ですね。鍛冶屋の煙突も終わったんでしょ?」

「あ、はい。この紙に」

 ギルドでもらった魔道具の紙、ステータスも見せてくれる紙は依頼達成の印にもなる。

「じゃあ、失礼して~」

 ウーナさんは信頼のペンの先端を紙に押し当てる。すると、信頼のペンが赤から青に変化していった。

「複数の依頼を受けるとこの点滅が複数されて、更に掲示板に張った紙を次に触ると終わった事を青くなって教えてくれるの」

 ウーナさんは懇切丁寧に説明してくれる。めんどくさいように思えるけど、依頼が終わった事を告げてくれるのは便利だな~。

「因みに人に押し当てても嘘を言っているのかいないのかも分かったりするのよ」

「すご~い」

 ウーナさんの話を聞いてシーナが驚きの声をあげる。確かに凄いな~、嘘が分るなんて最高のアイテムだよね。

「って言うのは嘘なんだけど」

「え!?」

「にょほほ、ごめんね。驚く顔が見たかったんだ。でも、その人が信頼における人かは、分かるんだよ。青くなって教えてくれるの」

 なんだ、嘘だったのか~。シーナが驚いてウーナさんを見つめている。目を細めて見つめる彼女からはウーナさんを信じなければよかったといった感情が感じられる。

「とにかく、依頼達成ですね。ありがとうございました」

 ウーナさんは一つ咳ばらいをして、依頼達成を告げた。僕らは目を細めてウーナさんを見つめる。話を逸らされた感じで僕らは彼女を疑っています。

「ごめんごめんって~、あなた達が可愛すぎたから揶揄ってみたかったんだよ~」

 あまりにも疑ってみているとウーナさんが泣き出しそうな顔で謝ってきた。

「ふふっ」

「ははっ、ごめんなさい。僕らもウーナさんを揶揄ったんですよ」

 ウーナさんに揶揄われたので僕らも揶揄ってみました。ウーナさんはやられたといった感じでおでこを抑える。

「やられた~。・・・じゃあ気を取り直して、はい! これが依頼の報酬ね」

 呟いてから報酬の皮袋を二個取り出してきた。

「はい、確かにもらいました」

「ありがとうございます」

 報酬を受け取って僕らはお礼を言った。

「本当に良い子達だね~。あっ、そうそう、(アレク君達はEランクに上がったからね」

「「えっ」」

 ウーナさんはEランクに上がったと小声で教えてくれた。
 昨日登録したので僕らのランクはもちろん、Fランク。依頼を二人で二つ受けただけでは上がらないよね、普通。

「目立ちたくない二人の為なんだ。欠損って言うのは普通は治せないの、みんな躍起になってマスターが治した方法を探してると思うの。だからいつかは分かってしまう。でも、二人がCランクまで上がってギルドに意見を言える立場になれば、そう言った事をはねのけられるんだ」

「Cランクですか?」

「そうよ。Cランクになるとある程度ギルドに顔が利くようになるの。意見を言えるようになるのとないのとじゃ大きく違うのよ。それに二人だけでもクランを作ることが出来るのクランもCランクから作れるから、作っちゃえば他の人からの勧誘もなくなるのよ」

 ある一部の人に僕らの力がそれとなく伝わってしまっているから、僕らのクランを作ってしまえば勧誘が無くなるって事か~。

「Cランクにあげるにはそれなりの依頼を達成してもらわないといけないの。FからEは二個の依頼でも怪しまれないけれど、Eから上になってくると討伐依頼を達成してもらわないといけなくなると思うの。危険が増していくけど頑張ってくれるかな?」

 ウーナさんが申し訳なさそうに俯いて語ってくれた。色々、ウーナさんやマスターは頑張ってくれているみたいだな~。僕らも頑張っていこう。

「頑張ります」

 ウーナさんの言葉にシーナが答えてガッツポーズをしている。可愛らしい力こぶを見せてきているけど膨らんでないよ。

「マスターやウーナさんの誠意を無駄にしないように頑張ります」

「ありがと、Cランクになるまでは私たちが守るからね」

 ウーナさんの話はそれで終わり。僕らはDランクの依頼を二つ程受けた。
 彼女にお辞儀をして、冒険者ギルドを後にした。
 微笑んで手を振ってくれたウーナさん、本当に良い人だな~。
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