43 / 87
第一章 神様からの贈り物
第四十三話 懲りない男
『それは無理だ!』
『何故だ!』
マスターの部屋からそんな声が聞こえてくる。ドランさんとクードが話し合っているのが伺える。ドランさんはなんとか僕を出さないように説得している最中みたいだ。
「アレクさん・・・、何をしたんですか」
ザクロが小声で聞いてきた。僕は何もしてないよ、攻撃してきたから返しただけだ、僕らは悪くない。
「なるほど、そんな事が・・・、俺がそこにいたらそいつの首、飛んでるぜ」
シーナが説明するとザクロがギリギリと鎌を持っている手に力を入れて話した。明らかに苛立っているね。
『ではお前を殺して、あぶりだしてやろう』
『なっ!』
不穏な声が聞こえてくると同時に鉄と鉄のぶつかる音が聞こえてきた。あれ、これってまさか?
「ドラン!」
「おっと! ここは通すなと言われてるんだ」
「通すわけにはいかないぜ」
ウーナさんが焦って、マスターの部屋に続く扉に駆けこむと傭兵ギルドの人達が扉の前に立ちふさがった。
「傭兵ギルドは最初からこれが狙いだったってわけか?」
「冒険者ギルドと仕事はほぼほぼ一緒だからな」
傭兵ギルドは護衛を主に受け持つ、冒険者ギルドは護衛と共に納品や掃除なんかの雑用も受け持つんだ。どうしても傭兵ギルドの仕事を取ってしまうんだよね。だから、傭兵ギルドとは何度かいざこざがあったらしい。クードみたいな人の依頼を受けたのは冒険者ギルドに嫌がらせをする為だったとザクロとグゼーノは憶測を話してる。
「ここを通りたければ俺達を倒して・・・、な!?」
「ぐはっ」
「いきなり何を」
「倒していけって言っただろうが!」
全身鎧の男をザクロがなぎ倒す、言い終わる前に倒してしまってるよ。
「このままで済むと」
「まだ足りなかったか?」
「・・・私は気絶しています」
「分かったようだな」
突き飛ばされた全身鎧の男の、下敷きになった男が起き上がろうとしてきたんだけど、グゼーノの言葉で再度、寝込んでいった。
「こいつらは時間稼ぎだろう。見張っておくからお前達で中に」
パリン! グゼーノがマスターの部屋への扉を指さして入るように告げると窓の割れる音が聞こえた。かなり激しく戦っているようだ。
「急ごう!」
グゼーノにその場を任せて僕らはマスターの部屋へ。
「ちぃ! 三体一とは卑怯な」
「元Sランクの冒険者に一対一はありえないだろ。それに傭兵ランクAの俺達が雇われたってわけよ」
「元Sランクのドランを倒したなんて、明日から俺達への依頼が殺到するな~」
僕らが中に入ると下品な笑いを浮かべた白銀の鎧をつけた二人の男がドランさんに剣を突き付けながら迫っていた。
「ドランさん!」
「アレク君!」
「敵を前に視線を外すか!」
ドランの背が壁に当たると同時に僕らに気付いたドランさん。その一瞬の隙を見逃す相手じゃなかったみたい、クードが鋭い突きをドランさんの腕に突き立てた。
「ぐあっ」
「ははは、冒険者の小僧! 見ていろ! 次はお前だ。油断さえしなければお前などには負けないのだ!」
ドランさんが傷ついて両ひざをついた。クードの剣が抜かれると血が大量に流れ、床を濡らす。
「おいおい、クードさん。こりゃやりすぎだぜ」
「ってか、アレクってのはあんな小僧かよ」
その様子を見た、傭兵たちは明らかにやる気を無くしていった。別に傭兵達は傷つけたいと思って来ていないんだよね。
「お前達も暴れろ、その為に雇っているんだぞ」
「「・・・」」
クードの言葉で見合った二人は首を横に振った。
「俺達はおりるぜ」
「ああ、殺し合いをしにきたわけじゃねえ。俺達は冒険者ギルドよりも強いって事を示すために受けただけだ」
「この! 契約不履行だぞ! いいのか」
「ああ、前金だけで十分さ」
「あんたらも見てないでドランの怪我を治してやれよ。あの傷は一つ間違えると命に係わる」
傭兵の二人はそう言って部屋から出ていった。シーナはすぐにドランさんを回復していく、その様子にクードは拳を握って僕らを睨みつけてきた。
「私をコケにしよって! 傭兵、冒険者の分際で!」
『黙れ、クズ!』
「うががががっ」
カクルがクードの顔に張り付いて猫ひっかきをかました。クードが苦痛の声をもらす。
「私にこのような事をしてただですむと!」
「ただですまないのはあなただ! この事はすぐに王族の方々に知らせるからな!」
「なっ! お前、傷はどうした?」
さっきまで横たわっていたドランさんがクードに詰め寄って声を荒らげた。クードは驚き戸惑って、壁際まで追い込まれる。
すぐにシーナが治したんだ、今の僕らに治せない傷はないかもね。
「そんな事はどうでもいい、お前はこれで終わりだ!」
「ぐはっ」
ドランさんの右ストレートがクードの顔に命中、クードは意識を手放していった。
「はんっ、ドランは甘いな」
「そう言ってくれるな。それよりもすぐに衛兵を呼んでくれ」
「はい」
ザクロは首をヤレヤレと横に振って甘いといった、ザクロの指摘はもっともだね。ここが町じゃなくて、外だったら野盗とかと一緒、討伐してしまっていいと思うけど。
ドランさんがウーナさんに衛兵を呼ぶように伝えた。
「傭兵ギルドには?」
「傭兵ギルドへは何もなかったと伝える」
「えっ?」
「何かあったと伝えるとそれはあの者達の達成につながる。何も言わなければ証明にならないだろ」
「なるほど」
傭兵ギルドには何も伝えない。そうする事であの人達の話は夢物語になる、何だか、大人な対応だな~。
「しかし、あの二人は見事な立ち回りだった。傭兵ギルドにしておくのは勿体ない」
ドランさんは顎に手を当ててそう言った。Aランクの傭兵の二人は身長も高かったし、強そうだったね。
「アレク君、この事は私が責任をもって終わらせる。心配しないでいつも通り、依頼をこなしてくれ」
「えっ? あ、はい」
ドランさんはそう言って僕への気遣いの言葉をかけてくれた。僕の心配なんてしていないで自分の心配をして欲しいな。
『何故だ!』
マスターの部屋からそんな声が聞こえてくる。ドランさんとクードが話し合っているのが伺える。ドランさんはなんとか僕を出さないように説得している最中みたいだ。
「アレクさん・・・、何をしたんですか」
ザクロが小声で聞いてきた。僕は何もしてないよ、攻撃してきたから返しただけだ、僕らは悪くない。
「なるほど、そんな事が・・・、俺がそこにいたらそいつの首、飛んでるぜ」
シーナが説明するとザクロがギリギリと鎌を持っている手に力を入れて話した。明らかに苛立っているね。
『ではお前を殺して、あぶりだしてやろう』
『なっ!』
不穏な声が聞こえてくると同時に鉄と鉄のぶつかる音が聞こえてきた。あれ、これってまさか?
「ドラン!」
「おっと! ここは通すなと言われてるんだ」
「通すわけにはいかないぜ」
ウーナさんが焦って、マスターの部屋に続く扉に駆けこむと傭兵ギルドの人達が扉の前に立ちふさがった。
「傭兵ギルドは最初からこれが狙いだったってわけか?」
「冒険者ギルドと仕事はほぼほぼ一緒だからな」
傭兵ギルドは護衛を主に受け持つ、冒険者ギルドは護衛と共に納品や掃除なんかの雑用も受け持つんだ。どうしても傭兵ギルドの仕事を取ってしまうんだよね。だから、傭兵ギルドとは何度かいざこざがあったらしい。クードみたいな人の依頼を受けたのは冒険者ギルドに嫌がらせをする為だったとザクロとグゼーノは憶測を話してる。
「ここを通りたければ俺達を倒して・・・、な!?」
「ぐはっ」
「いきなり何を」
「倒していけって言っただろうが!」
全身鎧の男をザクロがなぎ倒す、言い終わる前に倒してしまってるよ。
「このままで済むと」
「まだ足りなかったか?」
「・・・私は気絶しています」
「分かったようだな」
突き飛ばされた全身鎧の男の、下敷きになった男が起き上がろうとしてきたんだけど、グゼーノの言葉で再度、寝込んでいった。
「こいつらは時間稼ぎだろう。見張っておくからお前達で中に」
パリン! グゼーノがマスターの部屋への扉を指さして入るように告げると窓の割れる音が聞こえた。かなり激しく戦っているようだ。
「急ごう!」
グゼーノにその場を任せて僕らはマスターの部屋へ。
「ちぃ! 三体一とは卑怯な」
「元Sランクの冒険者に一対一はありえないだろ。それに傭兵ランクAの俺達が雇われたってわけよ」
「元Sランクのドランを倒したなんて、明日から俺達への依頼が殺到するな~」
僕らが中に入ると下品な笑いを浮かべた白銀の鎧をつけた二人の男がドランさんに剣を突き付けながら迫っていた。
「ドランさん!」
「アレク君!」
「敵を前に視線を外すか!」
ドランの背が壁に当たると同時に僕らに気付いたドランさん。その一瞬の隙を見逃す相手じゃなかったみたい、クードが鋭い突きをドランさんの腕に突き立てた。
「ぐあっ」
「ははは、冒険者の小僧! 見ていろ! 次はお前だ。油断さえしなければお前などには負けないのだ!」
ドランさんが傷ついて両ひざをついた。クードの剣が抜かれると血が大量に流れ、床を濡らす。
「おいおい、クードさん。こりゃやりすぎだぜ」
「ってか、アレクってのはあんな小僧かよ」
その様子を見た、傭兵たちは明らかにやる気を無くしていった。別に傭兵達は傷つけたいと思って来ていないんだよね。
「お前達も暴れろ、その為に雇っているんだぞ」
「「・・・」」
クードの言葉で見合った二人は首を横に振った。
「俺達はおりるぜ」
「ああ、殺し合いをしにきたわけじゃねえ。俺達は冒険者ギルドよりも強いって事を示すために受けただけだ」
「この! 契約不履行だぞ! いいのか」
「ああ、前金だけで十分さ」
「あんたらも見てないでドランの怪我を治してやれよ。あの傷は一つ間違えると命に係わる」
傭兵の二人はそう言って部屋から出ていった。シーナはすぐにドランさんを回復していく、その様子にクードは拳を握って僕らを睨みつけてきた。
「私をコケにしよって! 傭兵、冒険者の分際で!」
『黙れ、クズ!』
「うががががっ」
カクルがクードの顔に張り付いて猫ひっかきをかました。クードが苦痛の声をもらす。
「私にこのような事をしてただですむと!」
「ただですまないのはあなただ! この事はすぐに王族の方々に知らせるからな!」
「なっ! お前、傷はどうした?」
さっきまで横たわっていたドランさんがクードに詰め寄って声を荒らげた。クードは驚き戸惑って、壁際まで追い込まれる。
すぐにシーナが治したんだ、今の僕らに治せない傷はないかもね。
「そんな事はどうでもいい、お前はこれで終わりだ!」
「ぐはっ」
ドランさんの右ストレートがクードの顔に命中、クードは意識を手放していった。
「はんっ、ドランは甘いな」
「そう言ってくれるな。それよりもすぐに衛兵を呼んでくれ」
「はい」
ザクロは首をヤレヤレと横に振って甘いといった、ザクロの指摘はもっともだね。ここが町じゃなくて、外だったら野盗とかと一緒、討伐してしまっていいと思うけど。
ドランさんがウーナさんに衛兵を呼ぶように伝えた。
「傭兵ギルドには?」
「傭兵ギルドへは何もなかったと伝える」
「えっ?」
「何かあったと伝えるとそれはあの者達の達成につながる。何も言わなければ証明にならないだろ」
「なるほど」
傭兵ギルドには何も伝えない。そうする事であの人達の話は夢物語になる、何だか、大人な対応だな~。
「しかし、あの二人は見事な立ち回りだった。傭兵ギルドにしておくのは勿体ない」
ドランさんは顎に手を当ててそう言った。Aランクの傭兵の二人は身長も高かったし、強そうだったね。
「アレク君、この事は私が責任をもって終わらせる。心配しないでいつも通り、依頼をこなしてくれ」
「えっ? あ、はい」
ドランさんはそう言って僕への気遣いの言葉をかけてくれた。僕の心配なんてしていないで自分の心配をして欲しいな。
あなたにおすすめの小説
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。