テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)

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第一章 神様からの贈り物

第四十六話 またねドルドラン

「もう行くのかい?」

「「はい」」

 ギルドから帰ってきて次の日、僕らは故郷に帰る事にしたので早速準備して、今日旅立ちます。僕らがいない間心配だけど、用心して職業を付与した物を置いていくので大丈夫だよね。

「「じゃあ、行ってきます」」

「「行ってらっしゃ~い」部屋は取っておくからね」

「「ありがとうございます」」

 ウサギノ宿屋の前で手を振るラナさんとクル君。僕らが見えなくなるまで手を振っていてくれてる。シーナは泣きそうになって振り返してる。僕も少しウルウル来たけどすぐに戻ってくる予定だから、我慢した。

「あらあら、お二人さん」

「僕らには挨拶なしなのかい?」

「ソルトさんに」

「ベラさん?」

 噴水広場から南門に向かう時、声をかけられた。早朝なので人は全然いない、二人はにこやかに近づいてきた。

「あらあら、二人の事だから朝だと思って起きていたのよ」

「まさか、声をかけずに行っちゃうなんてな~」

 二人は笑いながら首を傾げた。

「すぐに戻る予定だったから」

「あらあら、そんな軽薄な付き合いだったかしら」

「寂しいな~」

 ベラさんとソルトさんは揶揄うように僕の言葉に応えた。

「ははは、嘘嘘。でも、挨拶くらいは欲しかったぞ~。ウーナから連絡があって知ったんだからね」

「すいません」

「まあ、それを利用して揶揄っているんだけどね」

 いたずら小僧のようなソルトさん、見事に揶揄われてしまった。

「ソソルソは一週間ほどの距離だね。って事は三週間ほどはかかるのかな?」

「そうですね。あっちで一週間程過ごす予定です」

「何かあったら知らせてね」

 ソルトさんが顎に手を当てて考えると三週間程の別れだと言ってきた。僕とシーナが答えるとニッコリと笑って手を振ってくる。

「三週間後、また会おうな」

「あら~ソルトちゃん、泣いちゃってるの?」

「ちげーし、ってちゃんって言うなって言ってるだろ」

 手を振りながらソルトさんは目を擦ってる。ベラさんに揶揄われて可愛いソルトさんでした。

「はは、行ってきます」

「行ってきまーす」

「「行ってらっしゃ~い」」

 静かな噴水広場に僕らの声が響く。

 第二の故郷ドルドラン、しばらく離れるけれど、すぐに戻ってきます。

 南門にいくとハンスさんがいて、眠そうに欠伸して僕らに気付いた。

「おう、早いな。依頼か?」

「はい、配達の依頼が故郷だったのでついでに一度、故郷に報告に帰ろうと思って」

「そうか、猫も一緒なのか?」

「はい、飼い猫ですから」

 南門の前に着くとカクルもしっかりと足元を歩いてた。町の中なのでまだ猫の姿だね。

「街道でも危険は同じだからな。気を付けて帰るんだぞ」

「「はい、ありがとうございます」」

 僕らはハンスさんに大きく手を振って街道を歩いて行く。

 ドルドランの町はとても優しい人達ばかりだった。まあ、一部に可笑しな人もいたけどね。ザクロとかグゼーノとか路地裏で絡んできた人とかね。極めつけはクードとか言う王都の人、あの人は可笑しいと通り越していたね。あんまり関わりあいたくないけど、ドルドランのみんなにまた会いたいから戻ってくる。

「またね。ドルドラン」

 遠ざかるドルドランの町に呟く。シーナも潤んだ瞳で少し小さくなったドルドランの町を見据えてる。彼女も僕と同じように感傷に浸っているのかもね。

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