テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章 悪しき影

第六十九話 子供達の部屋

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 僕らは地下室を整理整頓していく、ビナンは一人で、ギナとギタンは協力し合って掃除していた。

「おい、こっちに重ねていくからしまってくれよ」

「ん、分かった」

「ギタン! そっちはそっちでやればいいだろビナン」

 ギナがギタンを怒鳴ってビナンを手伝わなくていいと手で制した。今までビナンがやってきた事は理解されていないようだね。そりゃそうだろう、一人でみんなを目立たせないようにやってきたようだからね。無理してミルクを一気飲みとか、あんまり褒められた事じゃないよな~。

「まあまあ、ビナンには色々あったんだよ。なっ?」

「うん。今までごめん。これからは独り占めみたいなことはしないよ。約束する」

「俺は許すよ。今までの事も俺は分かっていたし」

「ギタン! チィ、分かっていたけど、それでも俺はまだ許せねえよ」

「分かってたの・・・」

 仲裁に入ってビナンを擁護するとギタンとギナが応えてくれた。二人とも、無理して目立とうとしていたビナンの事を分かっていたようだ。恥ずかしそうに俯くビナンが何だか可愛いな。

「これからはみんなで協力して、生きていこうね。その為にも奴隷紋を外さないと」

 ギタンもギナもビナンが本当は優しいってわかっていたんだ。それでもギナはまだ許せないみたいだけど。
 子供達には奴隷紋が刻まれているんだよね、両腕に刻まれた紋が赤黒く光っているんだ。

「トレドさんに頼めば消せるかな?」

 この子たちはクードの奴隷だけど、トレドさんも奴隷を扱っているかもしれない。奴隷を扱っているという事は奴隷紋も消せるはずだよね。
 奴隷紋の事を考えながら部屋を片付けていく、アイテムバッグの容量は限りなく無限に近いみたいで全部綺麗に回収できた。あのアイテムバッグはギタンに任せる。ギナでもビナンでもいいんだけど、ギタンが一番しっかり仲間を見ている気がするのでそうすることにした。

「アレク~。湯浴み上がったよ~」

「お、丁度いいね。じゃあ、次は僕らの番だ」

 キッチンの方から声が聞こえてくる。シーナが湯浴みから上がったようなので僕らはキッチンへと向かった。

「どう? 可愛いでしょ? サーシャさんとの買い物の時に買っておいた私の服だけど、紐でチャチャっと結んでみたんだ」

 丈が余っている服をビャナとファーナが着ている。色のあった紐で結んでいるのでダボダボになっていないから似合ってるね。みんなの服も作ってあげないとな~。

「ビナン達は自分達で洗える?」

「はい! 僕らは自分で何でもやれます」

「じゃあ、先に入っておいで、僕はみんなの服を作っちゃうから」

「!? アレク様は何でも出来るんですね。でも、そう言った事は僕らが」

「子供が僕らの心配なんてしなくていいんだよ。それに、これから働いてもらうんだから当たり前だしね」

 ビナンが心配そうな顔で見つめてきた。ギフトのレベル上げにもなるし、丈夫な物を作ってあげた方がいいと思うからね。僕は僕の好きなことをやっているだけ、どういった服を作ろうかな。

「女の子たちの服はシーナが結んだ紐をそのまま服に採用して、フリフリをつけてみようかな」

 色々考えながら手持ちの皮や生地をキッチンに広げる。ビャナとファーナはとても興味深そうに覗いてきてるね。

「アレク様は仕立てもするのですか?」

「そうだよ~、アレクは何でもできるんだよ。みんなの服も作っちゃうんだから」

「はは、流石に何でもは言いすぎだよシーナ」

 ビャナが目を輝かせているとシーナが胸を張って自慢してる。流石に何でもって言うと語弊があるな~。

「売っている生地は結構高いんだけど、みんなの為に奮発しますか」

 白い生地を取り出す。白いと言っても少し茶色の混ざるもの、一般で売っている物は少し粗悪品が多いんだよね。屋台で売っている物は一般向けの物でこのお店のような高級店なら真っ白な生地が売ってる。貴族向けのお店だね。でも、こんな粗悪品でも僕のギフトなら。

「ちょっと触っていくだけで~」

「わ~・・・真っ白~」

 僕が触ると生地が真っ白になっていく。ファーナが僕の横に来て、目を輝かせてるよ。でも、それだけじゃないんだな~。

「更にフワフワにしちゃうよ~」

「フワフワだ~」

 水分を吸収しやすいようにフワフワの生地にしていく。まるで羊の毛のようなフワフワ、それを湯浴み上りの子供達用の服にしていく。子供達の寸法にあわせて畳んでチクチク、寸法は計っていないけど、子供は少し大きめに作るのがいいってアイリさんが言っていたから少し大きめに作る感じ。

「三着完成っと」

「早いです!?」

「はや~い」

 ビャナとファーナが横で見ているんだけど、早すぎて手が見えない程になっているみたい。生地も僕の思った通りの物になっていくので簡単にできるんだよね。とりあえず、これでみんなの服は出来たな。あとはみんなの私服が必要だね。
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