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第二章 悪しき影
第七十九話 キャッスル?
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ザクロから話を聞いて次の日、僕とシーナはギルドにやってきた。
「アレクさん! 来てくれたんですか?」
「よう」
ギルドに入ると、ザクロとグレイグが迎えてくれた。どうやら、傭兵ギルドのグレイグは敵ではないみたい?
「スラッシュが迷惑をかけてるみたいで..俺、リンに殺されますよ」
グレイグの顔は青ざめているよ。冒険者ギルドを襲った人とは思えないね。
「お前、尻に敷かれてるのか?」
「そう言うわけじゃねえよ。だけど、こういったルール違反は絶対に許さないんだ。俺のせいじゃねえのに俺にお鉢が回ってくるんだよ」
「スラッシュって人のせいなのに?」
「あいつを殺して、俺が怒られるだろうな...比喩じゃねえよ。リンは絶対に殺すだろうな~...考えただけでゾッとする」
リンさんってそんなに怖い人だったんだね~。
「リンが帰ってくる前に始末しておきてえ」
「でも、お前はあいつと一緒にドランを襲ったじゃねえか」
「いや、あれもスラッシュが勝手に依頼を受けて」
「それでも来ただろ」
「..金が良かったから」
グレイグは目先の物でつられてしまう人みたいだね。そりゃリンさんも怒るよ。
「とりあえず、スラッシュのやろうととっちめる。始末するかはその時次第だな」
「ザクロ、アレクからプレゼントがあるよ」
「ええっ!? プレゼントですか! 俺なんかに?」
「まあ、最近は頑張ってくれてるみたいだから」
僕は頭をポリポリ掻いて照れ隠し。そのまま、指当てを手渡した。
「これは?」
「秘密の道具だよ。これで幾分か動きが良くなると思うよ」
鎌を使うザクロに、僕は武道家の職業を付与した指当てをプレゼント。これでいくらか動きが良くなるし、冷静に敵の動きを分析できる。路地裏で僕らが戦ったみたいなことがザクロでも簡単にできるようになりました。
「これがアレクさん達の秘密ですか?」
「まあ、そうだね。強さの秘密ってやつだよ」
質問してきたから答えると、ザクロは目をウルウルさせて指当てを指にはめた。
「俺、嬉しいっす。なんか、認めてもらったみたいな。何だか、Aランクに上がった時を思い出しましたよ。本当にありがとうございます」
ザクロは涙を浮かべながら話している。
そこまで喜ばれると何だか恥ずかしいな。
「それでザクロ」
「私達のクランってどんな名前なの?」
僕とシーナは気になった事をザクロに聞いた。クラン名ってどうなっているんだろう?
「えっ! そりゃあ、クラン名は決まってるじゃないですか。アレクキャッスルっすよ」
「「...」」
どういう事? 決まっているって言うもんだからザクロなんちゃらかと思ったらアレクなんちゃらだったよ。これは隠す気がないね。
「ザクロなんでそんな名前に...」
「えっ! ダメなんですか」
「目的が目立たない事だからね」
ザクロに小声で告げるんだけど、ザクロは分かっていない感じだ。全く、褒めたらこれだよ。
「冒険者ギルドはほとんど知ってますよ。英雄だって」
「「ええっ!?」」
ザクロの声に呼応して二階の冒険者や酒場の冒険者達が頷いて答えた。認知されちゃってるのね。
「この町にいる間はもう大丈夫ですよ。アレクさんに絡む人もクランに誘う人もいないですよ」
ザクロの言葉を聞いて、僕とシーナは安心していいんだろうか? これは忙しくなるのでは?
「そんな話よりもスラッシュだろ」
「安心しろよ。グゼーノと部下達が変な動きしたらやってくるはずだ。おっと、噂をすれば」
「大変だ! スラッシュが!」
グレイグとザクロが外への扉を見やった。グゼーノの部下のセッコが扉を勢いよく開いて声を荒らげた。何があったのかな?
「スラッシュがアレクの店を襲って一人の男の子を攫って言ったんだ」
「「!?」」
僕らの店を襲った!?
「それはどういう事だ!」
「俺も分からねえよ。子供達もすげえ抵抗してて、俺も加勢したんだ。だけど、多勢に無勢で」
「言い訳はいい! どこに行ったからわかる?」
「ああ、南の街道を馬車で走っているようなんだ」
「南?」
ザクロとグレイグが僕らの代わりにセッコに詰め寄って、聞いている。僕は怒りで拳を握る。
「ちょっと、子供達は大丈夫なの?」
「その男の子以外は大丈夫だ!」
「男の子は三人いたけど」
「人族の子だ。スラッシュはその子を狙っていた」
ビナン...ギルドなんかに来ないでお店でみんなと一緒にいればよかった。
「僕たちはすぐに向かうね」
「俺も行くぜ」
「いやいい! それよりも僕らの店を守って。全力でやってね」
「はい!」
僕とシーナはギルドを後にした。子供達には指当てを渡していたけど、勝てなかったみたいだね。僕はギフトの力を過大評価しすぎてたみたいだ。これは反省しないといけない。
「アレクさん! 来てくれたんですか?」
「よう」
ギルドに入ると、ザクロとグレイグが迎えてくれた。どうやら、傭兵ギルドのグレイグは敵ではないみたい?
「スラッシュが迷惑をかけてるみたいで..俺、リンに殺されますよ」
グレイグの顔は青ざめているよ。冒険者ギルドを襲った人とは思えないね。
「お前、尻に敷かれてるのか?」
「そう言うわけじゃねえよ。だけど、こういったルール違反は絶対に許さないんだ。俺のせいじゃねえのに俺にお鉢が回ってくるんだよ」
「スラッシュって人のせいなのに?」
「あいつを殺して、俺が怒られるだろうな...比喩じゃねえよ。リンは絶対に殺すだろうな~...考えただけでゾッとする」
リンさんってそんなに怖い人だったんだね~。
「リンが帰ってくる前に始末しておきてえ」
「でも、お前はあいつと一緒にドランを襲ったじゃねえか」
「いや、あれもスラッシュが勝手に依頼を受けて」
「それでも来ただろ」
「..金が良かったから」
グレイグは目先の物でつられてしまう人みたいだね。そりゃリンさんも怒るよ。
「とりあえず、スラッシュのやろうととっちめる。始末するかはその時次第だな」
「ザクロ、アレクからプレゼントがあるよ」
「ええっ!? プレゼントですか! 俺なんかに?」
「まあ、最近は頑張ってくれてるみたいだから」
僕は頭をポリポリ掻いて照れ隠し。そのまま、指当てを手渡した。
「これは?」
「秘密の道具だよ。これで幾分か動きが良くなると思うよ」
鎌を使うザクロに、僕は武道家の職業を付与した指当てをプレゼント。これでいくらか動きが良くなるし、冷静に敵の動きを分析できる。路地裏で僕らが戦ったみたいなことがザクロでも簡単にできるようになりました。
「これがアレクさん達の秘密ですか?」
「まあ、そうだね。強さの秘密ってやつだよ」
質問してきたから答えると、ザクロは目をウルウルさせて指当てを指にはめた。
「俺、嬉しいっす。なんか、認めてもらったみたいな。何だか、Aランクに上がった時を思い出しましたよ。本当にありがとうございます」
ザクロは涙を浮かべながら話している。
そこまで喜ばれると何だか恥ずかしいな。
「それでザクロ」
「私達のクランってどんな名前なの?」
僕とシーナは気になった事をザクロに聞いた。クラン名ってどうなっているんだろう?
「えっ! そりゃあ、クラン名は決まってるじゃないですか。アレクキャッスルっすよ」
「「...」」
どういう事? 決まっているって言うもんだからザクロなんちゃらかと思ったらアレクなんちゃらだったよ。これは隠す気がないね。
「ザクロなんでそんな名前に...」
「えっ! ダメなんですか」
「目的が目立たない事だからね」
ザクロに小声で告げるんだけど、ザクロは分かっていない感じだ。全く、褒めたらこれだよ。
「冒険者ギルドはほとんど知ってますよ。英雄だって」
「「ええっ!?」」
ザクロの声に呼応して二階の冒険者や酒場の冒険者達が頷いて答えた。認知されちゃってるのね。
「この町にいる間はもう大丈夫ですよ。アレクさんに絡む人もクランに誘う人もいないですよ」
ザクロの言葉を聞いて、僕とシーナは安心していいんだろうか? これは忙しくなるのでは?
「そんな話よりもスラッシュだろ」
「安心しろよ。グゼーノと部下達が変な動きしたらやってくるはずだ。おっと、噂をすれば」
「大変だ! スラッシュが!」
グレイグとザクロが外への扉を見やった。グゼーノの部下のセッコが扉を勢いよく開いて声を荒らげた。何があったのかな?
「スラッシュがアレクの店を襲って一人の男の子を攫って言ったんだ」
「「!?」」
僕らの店を襲った!?
「それはどういう事だ!」
「俺も分からねえよ。子供達もすげえ抵抗してて、俺も加勢したんだ。だけど、多勢に無勢で」
「言い訳はいい! どこに行ったからわかる?」
「ああ、南の街道を馬車で走っているようなんだ」
「南?」
ザクロとグレイグが僕らの代わりにセッコに詰め寄って、聞いている。僕は怒りで拳を握る。
「ちょっと、子供達は大丈夫なの?」
「その男の子以外は大丈夫だ!」
「男の子は三人いたけど」
「人族の子だ。スラッシュはその子を狙っていた」
ビナン...ギルドなんかに来ないでお店でみんなと一緒にいればよかった。
「僕たちはすぐに向かうね」
「俺も行くぜ」
「いやいい! それよりも僕らの店を守って。全力でやってね」
「はい!」
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