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第二章 悪しき影
第八十四話 決戦
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『マスター! やっと追いついた』
僕らはゼットと一緒にソソルソ村へと走ってる。空からカクルが降りてきて声をかけてきた。今は猫獣人じゃなくて、元のカーバンクルの姿だね。
「ほ~、カクルか。懐かしいな」
『やあ、ゼットトゥース。来たんだね』
何だか親密そうな二人、カクルとゼットは知り合いだったんだね。
「カクルの存在は聞いていなかったな。サーシャの奴黙っていたな。しかし、これはいい誤算だな。カクル、ソソルソ村を脅威から守れ。その間に私達が」
『僕のマスターはアレクだよ。君じゃない』
「ふんっ、相変わらずなようだな。マスターがいなくちゃ何も出来ないのか」
『まあね。でも、それさえあればお前達にだって負けないからな』
「それは痛いほど知っている。そのせいで四天王が一度入れ替わっているからな」
カクルとゼットは一度、戦っているようだね。流石カクルだ、勝ったみたいだね。
「ではアレク、お願いできるか?」
「ソソルソの事を先に考えてくれてありがとうございます。じゃあ、カクル」
『了解しました。では!』
カクルが了承すると周りに黒い渦が現れて多くのゴブリンが召喚される。
『シュラフの屋敷を終わらせたあまりです。シュラフはそれほど強くなかったですよ。オークキングで一発でした』
どうやら、シュラフは仕留めてきたみたいです。これで一つの悩みは終わった。
「心おきなく仇が取れるねアレク!」
「そうだね」
わだかまりがなくなって、心おきなくブルゼルに挑める。
「ソソルソの少し外側で守らせれば大丈夫かな?」
魔物がいっぱい村を覆っていたら流石にみんなびっくりしてしまうよね。
『そこら辺は大丈夫です。色々考えています』
カクルに指示を出すと、カクルが大きく頷いて応えた。
「では行くぞ。ソソルソの湖へ」
僕らは一斉に走る速度をあげる。
「見えてきた!」
「ああ、お出迎えもばっちりだな」
湖が見えてきて、そこには湖を覆いつくすほどの黒い魔物達。自爆してきた魔物と同じものが湖よりも広い範囲を覆っているよ。
「湖からまだ湧いているか」
まだまだ湖から湧き出てきているよ。でも、僕らにとってその程度の魔物は数のうちに入らない。
「「荒れ狂う暴雷」」
幾重にも雷が降り注ぎ黒い魔物達は黒い炭になっていった。かなり便利だな~この技。
「恐ろしい技だな。それで勇者ではないとは更に恐ろしいな」
ゼットが僕をにやけて見てきた。すっごい褒めてきているけど何だか、怪しい眼です、何と言うか獲物を見つけたような。
「そんな事よりもまだ湧いているぞ」
雷で湖全部を仕留めるには至らなかったみたいだね。それに湖の奥で、ずっと召喚されているんだろう。
『僕はソソルソ村へ、行かせないようにするね~』
「ああ、頼んだよ!」
『みんな! 出ておいで~』
カクルはソソルソ村を守ると言って宙を舞っていった。予め召喚していたゴブリンやオークとは別に空から色々な魔物を召喚してる。カクルの魔物達はみんな額に緑の紋章が輝いている、分かりやすいようになってるよ。
「では、私も見せておくか。勇者様にな」
「僕は勇者じゃ」
「魔王である私から見て、そう思ったんだ。気にするな。それにそれだけ強いのに勇者じゃないなどと言っても説得力がないぞ」
ゼットはそう言って空に舞っていく。
「私の魔法は少々重いぞ! [グラビティーホール]」
ゼットの上方に真っ黒な球が現れた。それはとても大きくて湖よりも大きい、球から黒い雨がふって、球自身もそのままゆっくりと降下していく。そして、
「球に近ければ近い程、体重が重くなり、やがては自重で死ぬ。それでも死ななかったら球自体の重みで死を迎える」
ゼットは天を仰いで解説しているよ。何だか、自分に酔ってるね。
黒い球が湖に沈んでいくと湖が沈んでいく、水も重みを増していっているみたい。魔物は全員、絶命していって、湖が赤くなってる。僕らの故郷の湖が汚れていくのはあまりいい感じじゃないな~。
「アレク、出番だ。血を一滴垂らしてくれ」
ゼットが手を差し出して言ってきた。僕らも魔法で宙を舞って湖の中央まで移動する。そこで僕は指を傷つけて一滴湖に血を垂らした。
「プキュキュキュキュ~。自分で儂を解放するか!」
湖の奥から声が聞こえてきた。声の特徴からブルゼルだと分かる。
「異次元に行く手間が省けたな! 私は足止めに徹する。アレク達は止めを!」
「「了解」」
ゼットの指示に肯定して僕らは武器を構える。
「プキュプキュプキュア~。やはり普通の世界は息がうまいプキュ~...ゲップッ」
ブルゼルは湖から這い出て声をあげる。下品なカエルの魔物の姿をしているブルゼル。その体躯は分体の時よりも大きく、3メートルはあるだろう。
「挨拶代わりじゃ~。[ポイズンミスト]」
「[ホーリープッシュ]」
「プキュキュ~。こんな低魔法ではダメプキュね」
シーナが瞬時に霧を分散させる。今回のブルゼルを吹き飛ばす事は出来ないみたいだ。流石に本体は強いね。
僕らはゼットと一緒にソソルソ村へと走ってる。空からカクルが降りてきて声をかけてきた。今は猫獣人じゃなくて、元のカーバンクルの姿だね。
「ほ~、カクルか。懐かしいな」
『やあ、ゼットトゥース。来たんだね』
何だか親密そうな二人、カクルとゼットは知り合いだったんだね。
「カクルの存在は聞いていなかったな。サーシャの奴黙っていたな。しかし、これはいい誤算だな。カクル、ソソルソ村を脅威から守れ。その間に私達が」
『僕のマスターはアレクだよ。君じゃない』
「ふんっ、相変わらずなようだな。マスターがいなくちゃ何も出来ないのか」
『まあね。でも、それさえあればお前達にだって負けないからな』
「それは痛いほど知っている。そのせいで四天王が一度入れ替わっているからな」
カクルとゼットは一度、戦っているようだね。流石カクルだ、勝ったみたいだね。
「ではアレク、お願いできるか?」
「ソソルソの事を先に考えてくれてありがとうございます。じゃあ、カクル」
『了解しました。では!』
カクルが了承すると周りに黒い渦が現れて多くのゴブリンが召喚される。
『シュラフの屋敷を終わらせたあまりです。シュラフはそれほど強くなかったですよ。オークキングで一発でした』
どうやら、シュラフは仕留めてきたみたいです。これで一つの悩みは終わった。
「心おきなく仇が取れるねアレク!」
「そうだね」
わだかまりがなくなって、心おきなくブルゼルに挑める。
「ソソルソの少し外側で守らせれば大丈夫かな?」
魔物がいっぱい村を覆っていたら流石にみんなびっくりしてしまうよね。
『そこら辺は大丈夫です。色々考えています』
カクルに指示を出すと、カクルが大きく頷いて応えた。
「では行くぞ。ソソルソの湖へ」
僕らは一斉に走る速度をあげる。
「見えてきた!」
「ああ、お出迎えもばっちりだな」
湖が見えてきて、そこには湖を覆いつくすほどの黒い魔物達。自爆してきた魔物と同じものが湖よりも広い範囲を覆っているよ。
「湖からまだ湧いているか」
まだまだ湖から湧き出てきているよ。でも、僕らにとってその程度の魔物は数のうちに入らない。
「「荒れ狂う暴雷」」
幾重にも雷が降り注ぎ黒い魔物達は黒い炭になっていった。かなり便利だな~この技。
「恐ろしい技だな。それで勇者ではないとは更に恐ろしいな」
ゼットが僕をにやけて見てきた。すっごい褒めてきているけど何だか、怪しい眼です、何と言うか獲物を見つけたような。
「そんな事よりもまだ湧いているぞ」
雷で湖全部を仕留めるには至らなかったみたいだね。それに湖の奥で、ずっと召喚されているんだろう。
『僕はソソルソ村へ、行かせないようにするね~』
「ああ、頼んだよ!」
『みんな! 出ておいで~』
カクルはソソルソ村を守ると言って宙を舞っていった。予め召喚していたゴブリンやオークとは別に空から色々な魔物を召喚してる。カクルの魔物達はみんな額に緑の紋章が輝いている、分かりやすいようになってるよ。
「では、私も見せておくか。勇者様にな」
「僕は勇者じゃ」
「魔王である私から見て、そう思ったんだ。気にするな。それにそれだけ強いのに勇者じゃないなどと言っても説得力がないぞ」
ゼットはそう言って空に舞っていく。
「私の魔法は少々重いぞ! [グラビティーホール]」
ゼットの上方に真っ黒な球が現れた。それはとても大きくて湖よりも大きい、球から黒い雨がふって、球自身もそのままゆっくりと降下していく。そして、
「球に近ければ近い程、体重が重くなり、やがては自重で死ぬ。それでも死ななかったら球自体の重みで死を迎える」
ゼットは天を仰いで解説しているよ。何だか、自分に酔ってるね。
黒い球が湖に沈んでいくと湖が沈んでいく、水も重みを増していっているみたい。魔物は全員、絶命していって、湖が赤くなってる。僕らの故郷の湖が汚れていくのはあまりいい感じじゃないな~。
「アレク、出番だ。血を一滴垂らしてくれ」
ゼットが手を差し出して言ってきた。僕らも魔法で宙を舞って湖の中央まで移動する。そこで僕は指を傷つけて一滴湖に血を垂らした。
「プキュキュキュキュ~。自分で儂を解放するか!」
湖の奥から声が聞こえてきた。声の特徴からブルゼルだと分かる。
「異次元に行く手間が省けたな! 私は足止めに徹する。アレク達は止めを!」
「「了解」」
ゼットの指示に肯定して僕らは武器を構える。
「プキュプキュプキュア~。やはり普通の世界は息がうまいプキュ~...ゲップッ」
ブルゼルは湖から這い出て声をあげる。下品なカエルの魔物の姿をしているブルゼル。その体躯は分体の時よりも大きく、3メートルはあるだろう。
「挨拶代わりじゃ~。[ポイズンミスト]」
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