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第一章 新しき世界
第3話 酒場のお仕事
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「マモルさん。こっち3皿~」
「分かりましたティシーさん」
スキルが分かって次の日。私は冒険者ギルドの酒場でファングディアの焼き肉を作っています。前までは木の串に巻くようにつけた肉を焼いていたんですが、酒場では皿に盛って出しています。
出店はティシーさんに任せると思ったら出店をやめてこっちに専念するようです。
同じお店や商品を同じ町で競合させるなんて馬鹿げていますからね。カシムさんは商才があるようです。
「マモルさんは凄いな~」
「ははは、ティシーさん。こんなおじさんを褒めても何も出ませんよ」
ホールをしながら褒めてくれるティシーさん。金の短髪が可愛らしい少女に褒められると私でも照れてしまう。
「ファングディアの焼き肉を私も作ってみたんだけど全然美味しくなくて。昨日は売れなくなっちゃって」
「え? 本当ですか? ん~、やはりスキルの影響でしょうか?」
【焼き上手】と言うのはやはりそういうことのようですね。しかし、下ごしらえもしていたのに美味しくないとはだれでも簡単に美味しくできるようにしなくてはいけないようですね。
「では新たな下ごしらえを考えなくてはいけないようですね」
「ええ! まだ何かあるの?」
塩だけしかないこの町では限界がありますが果物はあります。リンゴもあるのは確認していますし、色々と出来ることは多い。
パンに挟んだものは見ましたが葉物野菜を入れているものは見たことがありませんでしたし、これは腕がなりますね~。
「ティシーちゃ~ん。エールとファングディアの焼き肉~」
「あっ、は~い。マモルさん応援してます!」
ティシーさんがお客さんに料理を運んでいく。彼女の応援に答えないといけませんね。ん? エール……、これは使えますね~。
「試してみますか。筋を切って塩を塗る。一口サイズに切ってエールに付け込む」
今回は時間をかけないでやってみますか。
「エールの匂いがつくのはあまりよくない人もいますが柔らかさはどうですかね」
「マモルさん。ファングディアの焼き肉を5皿~」
「は~い。お客さんの焼き肉を仕上げながらまかないを作る。なんか充実してますね~」
やりがいのある仕事。こんな充実感、日本じゃ味わえませんね。
まかないとしてティシーさんと一緒に食べて感想を聞いてみましょう。っていつの間にか私がこの酒場の主人のようになっています。本当の主人は今、受付で仕事をしてますね。
彼はダルクさんと言うのですが料理がまずくてエールしか売れなかったようです。なので私に任せてくれてます。
彼は、冒険者の皆さんよりも冒険者といった体格をしています。元冒険者っていうやつでしょうか。
「昼食にしましょうティシーさん」
「は~い」
一定のお客さんを捌くと休憩をすることが出来た。さっきまでエールに漬けていたファングディアの肉を引き上げて、再度塩を振り焼いていく。一口サイズに切ってハーブと共に皿に盛りつけ完成。
「わ~美味しそ~」
「新しい料理です」
「じゃあ私が初めて食べるんですか! 嬉しいです!」
ティシーさんはとても喜んでくれて席につく。調理場の机に料理を並べていくと、私も向かいの席に座り、フォークを手に持った。
「いただきましょうか」
「は~い」
二人で【エールで柔らかファングディアの一口ステーキ】『仮』を口に運ぶ。口に入ってすぐにエールの苦みが来ましたがすぐに塩気が美味しさを運んでくる。
肉の柔らかさと旨み、更にハーブの風味が苦みをすぐに中和してくれて最高の出来。
「美味しいですマモルさん!」
「良かった。成功するか分からなかったので。しかし、このハーブは美味しいですね。何ていうハーブなんでしょう?」
調理場に置いてあったから何かのハーブだと思っていたんですが名前は分からなかったんですよね。日本では見たことのない赤いハーブだったんですが。
「これは薬草ですね。料理に薬草を使うなんて考えたこともありませんでしたよ」
「薬草ですか? なるほど、あれが薬草なんですね」
ティシーさんが褒めてくれて初めて気づきました。あれが色んなゲームに出てくる薬草ですね。私が初めて買ったドラドラクエクエの1で使ったことがあります。ということはHPが回復してくれる料理ということになりますね。
「疲れた体が癒されます~。それに心なしか力が上がってるかも。ちょっとステータス見て見ますね」
ティシーさんがそう言ってカードを取り出す。やはりカードはこの世界の常識のようですね。
名前 ティシー
レベル 20
HP 150
MP 100
STR 80
DEF 40
DEX 70
AGI 60
INT 50
MND 50
「わ~、やっぱりSTRが30も上がってる~」
「ええ、そんなに上がってるんですか。それは凄い」
どうやら、私の作った料理は食べた人を強くするみたいですね。
「あ、でも永続的には上がってないかも。それでも十分凄いんだけどね」
「流石に一生は上がらないですか」
永続的に上がるならずっと食べていたいものです。STRはやはり力に関係しているようですね。心なしか私も重いものが持てる気がしてます。
「でもでも、そんな効果なくても美味しいからお店の看板メニューになりますよ!」
「ではメニューに加えましょう。もっと調味料があれば出来そうなんですがね」
「カシムさんに話してみますよ。胡椒とかは高いけど、元が取れれば買ってくれますし」
なるほど、胡椒は高いんですね。この世界くらいの背景では調味料は高価になるんでしょうか?
調理場を見る限り塩しか調味料はありませんし、砂糖なんて夢のまた夢でしょうね。
「俺達にもそれを食わせてくれ!」
色々と熟考していると冒険者の方々が調理場をのぞいてきて声をあげてきた。
「ええ!? そっちまで匂いが行ってしまいましたか。でも申し訳ありません。この料理は下ごしらえに時間がかかります。夕食なら準備できますのでその時に」
「わかりましたマモルさん!」
私の言葉に元気に答えるとみんな仕事に戻って行く。よく見るとダルクさんもいますね。
この日は夕食まで大繁盛でした。自炊していた経験がこんなに役に立つとは感無量です。
「分かりましたティシーさん」
スキルが分かって次の日。私は冒険者ギルドの酒場でファングディアの焼き肉を作っています。前までは木の串に巻くようにつけた肉を焼いていたんですが、酒場では皿に盛って出しています。
出店はティシーさんに任せると思ったら出店をやめてこっちに専念するようです。
同じお店や商品を同じ町で競合させるなんて馬鹿げていますからね。カシムさんは商才があるようです。
「マモルさんは凄いな~」
「ははは、ティシーさん。こんなおじさんを褒めても何も出ませんよ」
ホールをしながら褒めてくれるティシーさん。金の短髪が可愛らしい少女に褒められると私でも照れてしまう。
「ファングディアの焼き肉を私も作ってみたんだけど全然美味しくなくて。昨日は売れなくなっちゃって」
「え? 本当ですか? ん~、やはりスキルの影響でしょうか?」
【焼き上手】と言うのはやはりそういうことのようですね。しかし、下ごしらえもしていたのに美味しくないとはだれでも簡単に美味しくできるようにしなくてはいけないようですね。
「では新たな下ごしらえを考えなくてはいけないようですね」
「ええ! まだ何かあるの?」
塩だけしかないこの町では限界がありますが果物はあります。リンゴもあるのは確認していますし、色々と出来ることは多い。
パンに挟んだものは見ましたが葉物野菜を入れているものは見たことがありませんでしたし、これは腕がなりますね~。
「ティシーちゃ~ん。エールとファングディアの焼き肉~」
「あっ、は~い。マモルさん応援してます!」
ティシーさんがお客さんに料理を運んでいく。彼女の応援に答えないといけませんね。ん? エール……、これは使えますね~。
「試してみますか。筋を切って塩を塗る。一口サイズに切ってエールに付け込む」
今回は時間をかけないでやってみますか。
「エールの匂いがつくのはあまりよくない人もいますが柔らかさはどうですかね」
「マモルさん。ファングディアの焼き肉を5皿~」
「は~い。お客さんの焼き肉を仕上げながらまかないを作る。なんか充実してますね~」
やりがいのある仕事。こんな充実感、日本じゃ味わえませんね。
まかないとしてティシーさんと一緒に食べて感想を聞いてみましょう。っていつの間にか私がこの酒場の主人のようになっています。本当の主人は今、受付で仕事をしてますね。
彼はダルクさんと言うのですが料理がまずくてエールしか売れなかったようです。なので私に任せてくれてます。
彼は、冒険者の皆さんよりも冒険者といった体格をしています。元冒険者っていうやつでしょうか。
「昼食にしましょうティシーさん」
「は~い」
一定のお客さんを捌くと休憩をすることが出来た。さっきまでエールに漬けていたファングディアの肉を引き上げて、再度塩を振り焼いていく。一口サイズに切ってハーブと共に皿に盛りつけ完成。
「わ~美味しそ~」
「新しい料理です」
「じゃあ私が初めて食べるんですか! 嬉しいです!」
ティシーさんはとても喜んでくれて席につく。調理場の机に料理を並べていくと、私も向かいの席に座り、フォークを手に持った。
「いただきましょうか」
「は~い」
二人で【エールで柔らかファングディアの一口ステーキ】『仮』を口に運ぶ。口に入ってすぐにエールの苦みが来ましたがすぐに塩気が美味しさを運んでくる。
肉の柔らかさと旨み、更にハーブの風味が苦みをすぐに中和してくれて最高の出来。
「美味しいですマモルさん!」
「良かった。成功するか分からなかったので。しかし、このハーブは美味しいですね。何ていうハーブなんでしょう?」
調理場に置いてあったから何かのハーブだと思っていたんですが名前は分からなかったんですよね。日本では見たことのない赤いハーブだったんですが。
「これは薬草ですね。料理に薬草を使うなんて考えたこともありませんでしたよ」
「薬草ですか? なるほど、あれが薬草なんですね」
ティシーさんが褒めてくれて初めて気づきました。あれが色んなゲームに出てくる薬草ですね。私が初めて買ったドラドラクエクエの1で使ったことがあります。ということはHPが回復してくれる料理ということになりますね。
「疲れた体が癒されます~。それに心なしか力が上がってるかも。ちょっとステータス見て見ますね」
ティシーさんがそう言ってカードを取り出す。やはりカードはこの世界の常識のようですね。
名前 ティシー
レベル 20
HP 150
MP 100
STR 80
DEF 40
DEX 70
AGI 60
INT 50
MND 50
「わ~、やっぱりSTRが30も上がってる~」
「ええ、そんなに上がってるんですか。それは凄い」
どうやら、私の作った料理は食べた人を強くするみたいですね。
「あ、でも永続的には上がってないかも。それでも十分凄いんだけどね」
「流石に一生は上がらないですか」
永続的に上がるならずっと食べていたいものです。STRはやはり力に関係しているようですね。心なしか私も重いものが持てる気がしてます。
「でもでも、そんな効果なくても美味しいからお店の看板メニューになりますよ!」
「ではメニューに加えましょう。もっと調味料があれば出来そうなんですがね」
「カシムさんに話してみますよ。胡椒とかは高いけど、元が取れれば買ってくれますし」
なるほど、胡椒は高いんですね。この世界くらいの背景では調味料は高価になるんでしょうか?
調理場を見る限り塩しか調味料はありませんし、砂糖なんて夢のまた夢でしょうね。
「俺達にもそれを食わせてくれ!」
色々と熟考していると冒険者の方々が調理場をのぞいてきて声をあげてきた。
「ええ!? そっちまで匂いが行ってしまいましたか。でも申し訳ありません。この料理は下ごしらえに時間がかかります。夕食なら準備できますのでその時に」
「わかりましたマモルさん!」
私の言葉に元気に答えるとみんな仕事に戻って行く。よく見るとダルクさんもいますね。
この日は夕食まで大繁盛でした。自炊していた経験がこんなに役に立つとは感無量です。
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