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第一章
第32話 魔物の群れ
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「ダンジョンの外でもこんな大物とあうとはな」
「ふふ、ヒューイの力を見せてやる!」
ステインが呆れてギガントトロールを見る。ミーシャが僕を一度見て声をあげると走り出した。
走り出したミーシャへゴブリン達が投石を放つ。大剣の腹で投石を防ぎながら走りこむミーシャはゴブリン達に切り込むと大剣をブンブンと振り回す。何の抵抗もなく大剣がゴブリン達を屠っていく。
「うむ、ゴブリンはどれだけいるんじゃ? それにあのギガントトロールはどこから来たんじゃ?」
ワジソンがそう呟きながらミーシャの元へと走っていく。ステインもそれに続いていくと横を矢が通っていった。
リーシャの矢がゴブリンを複数貫いて木をなぎ倒す。一矢で何匹も倒せる矢が高速で放たれ、そして、雷が落ちていく。
「【我、この世の人ならざる者。力に答え、雷雲を起こせ】」
ルラナが予め唱えていた雷が矢の元へと降り立ち、周りのゴブリン達を焼き散らす。
「よっしゃ~! 次は俺達だワジソン!」
「分かっておるわ!」
声をあげてステイン達がギガントトロールへと駆け寄る。ギガントトロールも見ているだけじゃない。僕とミーシャを襲った武器、ただ引っこ抜いただけの木がステイン達に振り下ろされる。枝の部分が覆いかぶさってダメージを負わせるが、
「丁度いいぜ!」
振り下ろされた木を駆け上りギガントトロールへと駆けのぼる。それを嫌がったギガントトロールが振り上げると途中で跳躍したステインがやつの腹へと剣を突き立てた。
「ワジソン!」
「まかせい!」
腹に突き刺さった剣を後ろを駆け上っていたワジソンが大斧でかちあげる。かちあげられた剣がギガントトロールの胸まで駆けのぼり顎に突き刺さる。
「ヒューイ!」
「了解!」
ステインの言葉に答えて強化の力を自分に込める。光が収束して狙いを定めて飛び上がった。
「これでおしまいだ!」
ギガントトロールの顎に飛び上がり、ステインの剣を掴む、ディアボロスと這わせて横なぎに切り伏せた。
ドスン!!!
激しい地鳴りと音とともにギガントトロールの首が地面に落ちる。
「よっしゃ~!」
「やったね!」
ステインとミーシャの勝どきの声が上がる。残党のゴブリンが蜘蛛の子を散らすように森へと帰っていく。
「出来る限り倒すぞ」
「うん。ゴブリンは残すと面倒」
気を引き締めて残党を追う。
しばらく、ゴブリン達を狩るとすっかり周りは暗くなっていた。
「ふう、村も無事だな。少しだけ来たみたいだがルレイン達が倒したか」
村に帰ってきて見るとゴブリンの死骸を集めて焼き払っているのが見える。ギガントトロールに夢中で村に来ているのが分からなかったな。ルレインさんには強化を施していなかったけど大丈夫だったのかな?
「あ、皆さん。ご苦労様でした」
そんな心配もなんのその、ルレインさんは元気にゴブリンの死骸を運んでいた。
「お帰りなさい」
「遅かったな」
ブルームちゃんとアルテナ様もお迎えしてくれた。アルテナ様はまだ生意気なアルテナ様みたいだ。
「ゴブリン達の襲撃とは暇しなかったぞ」
ゴブリンの襲撃を楽しんだ様子のアルテナ様。僕らは呆れて見るとルレインさんが彼女に聞こえないように声を抑えて、
「目の前まで来たゴブリンにびっくりしてお漏らしをしてしまったんですよ。ブルームちゃんに守られて無事でしたが危なかったんです」
と報告してきた。ということはブルームちゃんは強いってことか? 人格が入っていなくても強いってことか、それは凄いな。
「ブルームちゃんありがとね」
「ん~ん。勝手に体が動いたの。攻撃を勝手に躱して投げ飛ばせたんだ~」
頭を撫でて褒めるとそう報告してくる。体に染みついているんだろうな。相当やばい訓練みたいだしな。
「皆さん」
ブルームちゃんの頭を撫でているとフォルドさんが笑顔で声をかけてきた。その手にはお皿いっぱいの肉が。
「皆さんのおかげで命拾いしました。これからパーティーを開こうと思います。どうぞ皆さんも」
どうやら、村の中央で生還したお祝いをするみたいだ。よく見ると怪我をしてるお兄さんたちもいるな。治しておいてあげよう。
「やっほ~。肉だ肉~」
「流石にトロールの肉は食べられないからね。あれは蝋くらいにしかならないから」
ステインとミーシャが喜んでフォルドさんについていく。二人に続いて僕らもパーティーに参加した。
パーティー中、村の人たちにも強化を施して回復させた。みんな気づかずにパーティーを楽しんでいた。
しかし、あんな魔物の群れ珍しいな。キングとかロードみたいな支配者級の魔物もいなかった。
通常の群れって言うのは魔物の上位種であるキングやロードと言った支配者級が指揮をとる。キングやロードにならなくても指揮をとる魔物はいるけど、あの規模の群れはキングにならないと無理だと思う。
ゴブリンはどうしても頭が足りないからキングくらいにならないと統率が取れなくてはぐれになっちゃうんだよな。
スカイと冒険していた時に何度か退治したから結構詳しかったり。まあ、あの時は報酬をもらえなかったけどね。
皆さんとパーティーを夜通し楽しんだ。いい村だったな。
朝になって村の皆さんに挨拶をして出たけど、少し寂しい気持ちになっちゃったよ。ルギちゃんには『また来てね』なんて言われてしまったしね。
名残惜しいけど、テスラ帝国へと急がないとな。アルテナ様もうるさいしね。
「ふふ、ヒューイの力を見せてやる!」
ステインが呆れてギガントトロールを見る。ミーシャが僕を一度見て声をあげると走り出した。
走り出したミーシャへゴブリン達が投石を放つ。大剣の腹で投石を防ぎながら走りこむミーシャはゴブリン達に切り込むと大剣をブンブンと振り回す。何の抵抗もなく大剣がゴブリン達を屠っていく。
「うむ、ゴブリンはどれだけいるんじゃ? それにあのギガントトロールはどこから来たんじゃ?」
ワジソンがそう呟きながらミーシャの元へと走っていく。ステインもそれに続いていくと横を矢が通っていった。
リーシャの矢がゴブリンを複数貫いて木をなぎ倒す。一矢で何匹も倒せる矢が高速で放たれ、そして、雷が落ちていく。
「【我、この世の人ならざる者。力に答え、雷雲を起こせ】」
ルラナが予め唱えていた雷が矢の元へと降り立ち、周りのゴブリン達を焼き散らす。
「よっしゃ~! 次は俺達だワジソン!」
「分かっておるわ!」
声をあげてステイン達がギガントトロールへと駆け寄る。ギガントトロールも見ているだけじゃない。僕とミーシャを襲った武器、ただ引っこ抜いただけの木がステイン達に振り下ろされる。枝の部分が覆いかぶさってダメージを負わせるが、
「丁度いいぜ!」
振り下ろされた木を駆け上りギガントトロールへと駆けのぼる。それを嫌がったギガントトロールが振り上げると途中で跳躍したステインがやつの腹へと剣を突き立てた。
「ワジソン!」
「まかせい!」
腹に突き刺さった剣を後ろを駆け上っていたワジソンが大斧でかちあげる。かちあげられた剣がギガントトロールの胸まで駆けのぼり顎に突き刺さる。
「ヒューイ!」
「了解!」
ステインの言葉に答えて強化の力を自分に込める。光が収束して狙いを定めて飛び上がった。
「これでおしまいだ!」
ギガントトロールの顎に飛び上がり、ステインの剣を掴む、ディアボロスと這わせて横なぎに切り伏せた。
ドスン!!!
激しい地鳴りと音とともにギガントトロールの首が地面に落ちる。
「よっしゃ~!」
「やったね!」
ステインとミーシャの勝どきの声が上がる。残党のゴブリンが蜘蛛の子を散らすように森へと帰っていく。
「出来る限り倒すぞ」
「うん。ゴブリンは残すと面倒」
気を引き締めて残党を追う。
しばらく、ゴブリン達を狩るとすっかり周りは暗くなっていた。
「ふう、村も無事だな。少しだけ来たみたいだがルレイン達が倒したか」
村に帰ってきて見るとゴブリンの死骸を集めて焼き払っているのが見える。ギガントトロールに夢中で村に来ているのが分からなかったな。ルレインさんには強化を施していなかったけど大丈夫だったのかな?
「あ、皆さん。ご苦労様でした」
そんな心配もなんのその、ルレインさんは元気にゴブリンの死骸を運んでいた。
「お帰りなさい」
「遅かったな」
ブルームちゃんとアルテナ様もお迎えしてくれた。アルテナ様はまだ生意気なアルテナ様みたいだ。
「ゴブリン達の襲撃とは暇しなかったぞ」
ゴブリンの襲撃を楽しんだ様子のアルテナ様。僕らは呆れて見るとルレインさんが彼女に聞こえないように声を抑えて、
「目の前まで来たゴブリンにびっくりしてお漏らしをしてしまったんですよ。ブルームちゃんに守られて無事でしたが危なかったんです」
と報告してきた。ということはブルームちゃんは強いってことか? 人格が入っていなくても強いってことか、それは凄いな。
「ブルームちゃんありがとね」
「ん~ん。勝手に体が動いたの。攻撃を勝手に躱して投げ飛ばせたんだ~」
頭を撫でて褒めるとそう報告してくる。体に染みついているんだろうな。相当やばい訓練みたいだしな。
「皆さん」
ブルームちゃんの頭を撫でているとフォルドさんが笑顔で声をかけてきた。その手にはお皿いっぱいの肉が。
「皆さんのおかげで命拾いしました。これからパーティーを開こうと思います。どうぞ皆さんも」
どうやら、村の中央で生還したお祝いをするみたいだ。よく見ると怪我をしてるお兄さんたちもいるな。治しておいてあげよう。
「やっほ~。肉だ肉~」
「流石にトロールの肉は食べられないからね。あれは蝋くらいにしかならないから」
ステインとミーシャが喜んでフォルドさんについていく。二人に続いて僕らもパーティーに参加した。
パーティー中、村の人たちにも強化を施して回復させた。みんな気づかずにパーティーを楽しんでいた。
しかし、あんな魔物の群れ珍しいな。キングとかロードみたいな支配者級の魔物もいなかった。
通常の群れって言うのは魔物の上位種であるキングやロードと言った支配者級が指揮をとる。キングやロードにならなくても指揮をとる魔物はいるけど、あの規模の群れはキングにならないと無理だと思う。
ゴブリンはどうしても頭が足りないからキングくらいにならないと統率が取れなくてはぐれになっちゃうんだよな。
スカイと冒険していた時に何度か退治したから結構詳しかったり。まあ、あの時は報酬をもらえなかったけどね。
皆さんとパーティーを夜通し楽しんだ。いい村だったな。
朝になって村の皆さんに挨拶をして出たけど、少し寂しい気持ちになっちゃったよ。ルギちゃんには『また来てね』なんて言われてしまったしね。
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