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第50話 リオベルデ国王とランス帝国子爵令嬢・後編
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「どうかあなたをエスコートさせていただき、リオベルデの感謝の気持ちを表させてはいただけないでしょうか。ハロウェイ子爵令嬢?」
満面の笑顔のクルスに抗えるわけはなく。
アレキサンドラは夜会当日を迎えた。
宵闇に美しく星が輝く中、アレキサンドラはクルスに贈られたドレスを身に纏って、リオベルデ大使館の大ホールに現れた。
「ハロウェイ子爵令嬢」
ホールの入り口付近で、自ら来賓の人々を迎えていたクルスが振り返った。
光沢のある長衣に重ねたのは、丈の長い、華やかな金茶色のチュニック。
金色の糸で繊細な刺繍が施され、クルスのヘイゼルの瞳によく映えている。
アレキサンドラは、一瞬、どきりとしながら、優雅に淑女の礼を取った。
「クルス・リオベルデ陛下。本日はお招きいただきまして、ありがとうございます」
顔を上げると、クルスが嬉しそうに微笑んでいた。
「よく来てくれたね。さあ、ご案内しましょう」
煌びやかに飾り付けられたホールの中を、クルスはアレキサンドラの手を取って進んだ。
歩調を合わせて優雅に歩く2人に視線が集まる。
アレキサンドラのドレス姿に、令嬢達がまぁ、と歓声を上げる。
アレキサンドラはちょっと東国風の、細かい赤のバラ刺繍が入った、濃い緑のドレスを着ていた。
ドレス丈は控えめだが、小さな立ち襟のショートジャケットを重ね、エキゾチックで華がある。
ドレスに合わせて、豊かな赤い髪も編んで結い上げ、東国の漆塗りの飾り櫛で留めていた。
アレキサンドラが気を遣わないようにと、ドレス自体の格は子爵令嬢に相応しいものが選ばれている。
しかし、軽快で若々しく、遊び心のある魅力的なドレスで、アレキサンドラによく似合っていた。
公爵令嬢だった頃、長く「ランスの赤いバラ」と称えられていたアレキサンドラ。
トレードマークだったバラのモチーフのドレスを身に着けることで、いまだに公爵令嬢気取り、と帝国貴族達に言われるのではと気にしていた。
しかし、バラのモチーフにためらうアレキサンドラの背中を押したクルスは「あなたに似合うものを諦める必要はない」と励ましたのだった。
そんなクルスの言葉に、アレキサンドラの張り詰めていた気持ちはほどけていった。
そうして、クルスの勧めで、今までとはまったく違う、しかし今までと同じようにアレキサンドラを引き立てるドレスを選ぶことができたのだった。
夜会には、帝国の主だった貴族達が招かれていて、それはとても華やかなものだった。
それでも、時折、人々の噂話はアレキサンドラの耳に入った。
罪人となった公爵の娘。
公爵令嬢から子爵令嬢に落ちた娘。
自分は仕方ない。事実なのだから。
アレキサンドラは一切表情を変えなかった。
リオベルデ国王と一緒にいれば、もちろん面と向かってアレキサンドラを嗤う者はいない。
しかし、「アレキサンドラ・ハロウェイ」がクルス陛下と一緒にいていいものだろうか?
アレキサンドラは背筋を伸ばし、誇り高く頭を掲げていたが、クルスがダンスを申し込んだ時、思わず反射的に言ってしまった。
「いいえ。陛下、もっと相応しいご令嬢をお誘いくださいませ」
そう言ってしまってから、アレキサンドラの表情が曇り、「大変な失礼を」と謝る。
しかしクルスは全く気にした様子を見せなかった。
「ほら。あなたに『イエス』と言わせるのは難しい、と言ったでしょう?」
クルスはそう言うと、改めてアレキサンドラに手を差し出した。
「ハロウェイ子爵令嬢、ダンスを踊っていただけませんか?」
ようやく手を預けたアレキサンドラにクルスは言った。
「リオベルデは、帝国ほど身分にこだわらないんですよ。小さな国ですし、女神神殿があるおかげで、国民は争うことを好まず、お互い協力的です」
そしてクルスは笑った。
「リオベルデであなたとダンスを踊ったら、皆大喜びするでしょう。あのクルスがようやくダンスの相手をしてくれる女性を見つけた、とね」
本当に、妹大好きの評判が根強くて、女性にはモテませんと苦笑するクルスに、アレキサンドラも心から笑ったのだった。
そうして夜は更けて。
思いがけなく楽しい時間を過ごしたアレキサンドラは、ふと時間に気がついた。
「そろそろ帰らなくては」
「では、馬車を手配させましょう。……今日は本当にありがとうございました」
くるくると華やかに踊る人々の中で、クルスとアレキサンドラは立ち止まって、礼儀正しく挨拶を交わした。
「ハロウェイ子爵令嬢、2人の時には、アレキサンドラ、とお呼びしても?」
クルスを見つめるアレキサンドラに、クルスはささやく。
クルスはアレキサンドラの手を取ると、その指先にそっと口付けを落とした。
「いつか、あなたを迎えに来ます。それまで、あなたにお手紙をお送りしてもよろしいですか?」
2人の背景には、華やかな生演奏の音楽が流れていた。
周囲にはくるくると楽しそうにダンスに興じる人々が、見える。
その瞬間、まるで夢の中のように、全てがスローモーションになり、しかし、それでも……。
アレキサンドラは、やはり、「イエス」とは言えなかった。
その様子を見て、クルスが茶目っ気たっぷりに尋ねる。
「そうか……。困りましたね。では、どうでしょう。少しは、私のことを、素敵だと思っていただけましたか?」
クルスが首を傾げると、柔らかな茶色い髪が揺れ、ヘイゼルの瞳に散らばる緑の光が、アレキサンドラに注がれた。
思わずその美しさに目を奪われ、こくこく、とアレキサンドラはうなづいた。
「今のを、あなたからのお返事だと思うことにいたしましょう」
クルスの言葉に、アレキサンドラは顔を赤くした。
「でも、なぜわたくしを?」
アレキサンドラは思わず尋ねた。
そんなアレキサンドラの様子に、クルスは顎を指先でちょんちょんと叩きながら言った。
「ひとつは、あなたがアレシアを理解してくれているから」
その答えに、アレキサンドラはわかりやすく消沈した。
(そうよね、もちろんそうだわ。この方も、アレシア様が1番……)
すると、その心の声が聞こえたかのように、クルスが続けた。
「でも、アレシアが1番というわけではないのです。もしそうなら、私は一生結婚できません」
アレキサンドラは、クルスの言葉に耳を傾けた。
「あの子は大切な妹だし、姫巫女の重責を担っている彼女のことは、いつまでも支えてあげたい。アレシアは私自身の一部になっているのです。だから私を理解するには、アレシアのことも理解してほしいと思っています。もうひとつは……」
「もうひとつは?」
クルスは首を傾げた。
「あれ? 特にないな」
「……ない?」
アレキサンドラが思わず呆然と繰り返すと、クルスはにっこりと笑う。
「でも、それが、恋の始まりというものでは?」
アレキサンドラの顔が徐々に赤くなった。
その時、会場からわっという歓声が聞こえた。
カイルと共に、新婚のアレシアが姿を現したのだ。
皇帝夫妻が気軽に顔を出したおかげで、大使館での夜会は、大盛況のうちに終了した。
「さあ、アレシアを横取りしたカイル殿に、嫌味の一言でも言いに行きましょう!」
ふっふっふと、怪しい笑顔でカイルの方に向かおうとするクルスの姿と、それに気づき、微妙に顔を強張らせたカイルの様子に、アレキサンドラは苦笑した。
「アレキサンドラ」
クルスの声の真剣な調子に、アレキサンドラは視線を上げた。
「どんな服を着ていたって、私はあなたに目を奪われる」
それは、アレキサンドラの全てに心惹かれる、という告白。
クルスはアレキサンドラをまっすぐ見つめながら、右手を差し出した。
「あなたを、迎えに来ます。必ず」
クルスは、何度も何度も、アレキサンドラに手を差し伸べてくれる。
もし、恋に落ちるのに、理由がいらないのなら。
もし、あなたに目を奪われるのが、恋の始まりだと言うなら。
アレキサンドラは思った。
そう、わたくしも……。
初めて、アレキサンドラは迷うことなく、クルスの手を取った。
「はい、クルス陛下」
クルスは彼らしい、柔らかな微笑みを浮かべると、アレキサンドラの手を宝物のように支えて、ランス帝国皇帝夫妻の元へと急いだのだった。
☆☆☆HAPPY♡END☆☆☆
最後まで読んでくださり、ありがとうございました♡
満面の笑顔のクルスに抗えるわけはなく。
アレキサンドラは夜会当日を迎えた。
宵闇に美しく星が輝く中、アレキサンドラはクルスに贈られたドレスを身に纏って、リオベルデ大使館の大ホールに現れた。
「ハロウェイ子爵令嬢」
ホールの入り口付近で、自ら来賓の人々を迎えていたクルスが振り返った。
光沢のある長衣に重ねたのは、丈の長い、華やかな金茶色のチュニック。
金色の糸で繊細な刺繍が施され、クルスのヘイゼルの瞳によく映えている。
アレキサンドラは、一瞬、どきりとしながら、優雅に淑女の礼を取った。
「クルス・リオベルデ陛下。本日はお招きいただきまして、ありがとうございます」
顔を上げると、クルスが嬉しそうに微笑んでいた。
「よく来てくれたね。さあ、ご案内しましょう」
煌びやかに飾り付けられたホールの中を、クルスはアレキサンドラの手を取って進んだ。
歩調を合わせて優雅に歩く2人に視線が集まる。
アレキサンドラのドレス姿に、令嬢達がまぁ、と歓声を上げる。
アレキサンドラはちょっと東国風の、細かい赤のバラ刺繍が入った、濃い緑のドレスを着ていた。
ドレス丈は控えめだが、小さな立ち襟のショートジャケットを重ね、エキゾチックで華がある。
ドレスに合わせて、豊かな赤い髪も編んで結い上げ、東国の漆塗りの飾り櫛で留めていた。
アレキサンドラが気を遣わないようにと、ドレス自体の格は子爵令嬢に相応しいものが選ばれている。
しかし、軽快で若々しく、遊び心のある魅力的なドレスで、アレキサンドラによく似合っていた。
公爵令嬢だった頃、長く「ランスの赤いバラ」と称えられていたアレキサンドラ。
トレードマークだったバラのモチーフのドレスを身に着けることで、いまだに公爵令嬢気取り、と帝国貴族達に言われるのではと気にしていた。
しかし、バラのモチーフにためらうアレキサンドラの背中を押したクルスは「あなたに似合うものを諦める必要はない」と励ましたのだった。
そんなクルスの言葉に、アレキサンドラの張り詰めていた気持ちはほどけていった。
そうして、クルスの勧めで、今までとはまったく違う、しかし今までと同じようにアレキサンドラを引き立てるドレスを選ぶことができたのだった。
夜会には、帝国の主だった貴族達が招かれていて、それはとても華やかなものだった。
それでも、時折、人々の噂話はアレキサンドラの耳に入った。
罪人となった公爵の娘。
公爵令嬢から子爵令嬢に落ちた娘。
自分は仕方ない。事実なのだから。
アレキサンドラは一切表情を変えなかった。
リオベルデ国王と一緒にいれば、もちろん面と向かってアレキサンドラを嗤う者はいない。
しかし、「アレキサンドラ・ハロウェイ」がクルス陛下と一緒にいていいものだろうか?
アレキサンドラは背筋を伸ばし、誇り高く頭を掲げていたが、クルスがダンスを申し込んだ時、思わず反射的に言ってしまった。
「いいえ。陛下、もっと相応しいご令嬢をお誘いくださいませ」
そう言ってしまってから、アレキサンドラの表情が曇り、「大変な失礼を」と謝る。
しかしクルスは全く気にした様子を見せなかった。
「ほら。あなたに『イエス』と言わせるのは難しい、と言ったでしょう?」
クルスはそう言うと、改めてアレキサンドラに手を差し出した。
「ハロウェイ子爵令嬢、ダンスを踊っていただけませんか?」
ようやく手を預けたアレキサンドラにクルスは言った。
「リオベルデは、帝国ほど身分にこだわらないんですよ。小さな国ですし、女神神殿があるおかげで、国民は争うことを好まず、お互い協力的です」
そしてクルスは笑った。
「リオベルデであなたとダンスを踊ったら、皆大喜びするでしょう。あのクルスがようやくダンスの相手をしてくれる女性を見つけた、とね」
本当に、妹大好きの評判が根強くて、女性にはモテませんと苦笑するクルスに、アレキサンドラも心から笑ったのだった。
そうして夜は更けて。
思いがけなく楽しい時間を過ごしたアレキサンドラは、ふと時間に気がついた。
「そろそろ帰らなくては」
「では、馬車を手配させましょう。……今日は本当にありがとうございました」
くるくると華やかに踊る人々の中で、クルスとアレキサンドラは立ち止まって、礼儀正しく挨拶を交わした。
「ハロウェイ子爵令嬢、2人の時には、アレキサンドラ、とお呼びしても?」
クルスを見つめるアレキサンドラに、クルスはささやく。
クルスはアレキサンドラの手を取ると、その指先にそっと口付けを落とした。
「いつか、あなたを迎えに来ます。それまで、あなたにお手紙をお送りしてもよろしいですか?」
2人の背景には、華やかな生演奏の音楽が流れていた。
周囲にはくるくると楽しそうにダンスに興じる人々が、見える。
その瞬間、まるで夢の中のように、全てがスローモーションになり、しかし、それでも……。
アレキサンドラは、やはり、「イエス」とは言えなかった。
その様子を見て、クルスが茶目っ気たっぷりに尋ねる。
「そうか……。困りましたね。では、どうでしょう。少しは、私のことを、素敵だと思っていただけましたか?」
クルスが首を傾げると、柔らかな茶色い髪が揺れ、ヘイゼルの瞳に散らばる緑の光が、アレキサンドラに注がれた。
思わずその美しさに目を奪われ、こくこく、とアレキサンドラはうなづいた。
「今のを、あなたからのお返事だと思うことにいたしましょう」
クルスの言葉に、アレキサンドラは顔を赤くした。
「でも、なぜわたくしを?」
アレキサンドラは思わず尋ねた。
そんなアレキサンドラの様子に、クルスは顎を指先でちょんちょんと叩きながら言った。
「ひとつは、あなたがアレシアを理解してくれているから」
その答えに、アレキサンドラはわかりやすく消沈した。
(そうよね、もちろんそうだわ。この方も、アレシア様が1番……)
すると、その心の声が聞こえたかのように、クルスが続けた。
「でも、アレシアが1番というわけではないのです。もしそうなら、私は一生結婚できません」
アレキサンドラは、クルスの言葉に耳を傾けた。
「あの子は大切な妹だし、姫巫女の重責を担っている彼女のことは、いつまでも支えてあげたい。アレシアは私自身の一部になっているのです。だから私を理解するには、アレシアのことも理解してほしいと思っています。もうひとつは……」
「もうひとつは?」
クルスは首を傾げた。
「あれ? 特にないな」
「……ない?」
アレキサンドラが思わず呆然と繰り返すと、クルスはにっこりと笑う。
「でも、それが、恋の始まりというものでは?」
アレキサンドラの顔が徐々に赤くなった。
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皇帝夫妻が気軽に顔を出したおかげで、大使館での夜会は、大盛況のうちに終了した。
「さあ、アレシアを横取りしたカイル殿に、嫌味の一言でも言いに行きましょう!」
ふっふっふと、怪しい笑顔でカイルの方に向かおうとするクルスの姿と、それに気づき、微妙に顔を強張らせたカイルの様子に、アレキサンドラは苦笑した。
「アレキサンドラ」
クルスの声の真剣な調子に、アレキサンドラは視線を上げた。
「どんな服を着ていたって、私はあなたに目を奪われる」
それは、アレキサンドラの全てに心惹かれる、という告白。
クルスはアレキサンドラをまっすぐ見つめながら、右手を差し出した。
「あなたを、迎えに来ます。必ず」
クルスは、何度も何度も、アレキサンドラに手を差し伸べてくれる。
もし、恋に落ちるのに、理由がいらないのなら。
もし、あなたに目を奪われるのが、恋の始まりだと言うなら。
アレキサンドラは思った。
そう、わたくしも……。
初めて、アレキサンドラは迷うことなく、クルスの手を取った。
「はい、クルス陛下」
クルスは彼らしい、柔らかな微笑みを浮かべると、アレキサンドラの手を宝物のように支えて、ランス帝国皇帝夫妻の元へと急いだのだった。
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