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1章 俺たち悪の秘密結社だニャン
1話
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人間だったら一人がやっと通り抜ける事ができる、そんな細い路地裏を1匹の黒猫が、歩いていた。
「早く、報告したいニャン」
黒猫の足取りはとても軽い。まっすぐに路地裏を抜けると、今は廃墟となった空き家がある。足場となったブロック塀に飛び乗り、ベランダに空いた穴から家の中に入って行こうとすると、1匹のお猫様が道を塞いで話しかけてきた。
「合言葉を言うダニ」
「にゃにゃ!俺も言うニャンか?」
「もちろん!クロッチでも言うダニ!」
クロッチと呼ばれた黒猫は、仕方ないと諦めてその場に座り、右の前脚をあげた。
「合言葉は、【モフッてモフモフ ニャンダバー】だニャン。ダイフク、これで良いかニャン?」
真っ白な少し長めの毛並みであるお猫様は、満足気な表情をして道を開けた。
「合言葉を確認したに!クロッチお帰りダニ」
「ダイフク!ただいまニャン。リーダーは、今いるかニャン?」
「いるによ。奥でみんなからの報告を受けているダニ」
「俺も早く報告したいニャン!」
クロッチは、流行る気持ちを抑え、リーダーの元へ急いだ。
「クロッチが帰ってきたダニ」
「今日は、どんな悪いことをしたんか?」
「クロッチは、チームニャンダバーの出世頭だから、楽しみダニ」
空き家には、何匹ものお猫様がいた。チームニャンダバーに所属しているお猫様達だ。
ニャンダバーは、人間社会に牙を剥く、悪の限りを尽くし、暗躍を生業とするお猫様たちが立ち上げた 秘密結社である。
一番奥にある部屋まで行くと、積み上げられた木材の上に、恰幅の良いサビ柄のお猫様が箱座りをしていた。
サビ柄のお猫様は、別のお猫様から活動報告を受けているところだった。
「リーダー、報告は以上ですにょ!」
「良し、引き続き頼むにゃ」
報告していたお猫様が後ろに下がると、リーダーと呼ばれていたお猫様が、クロッチに顔を向けた。可愛いらしいお顔ではあるが、眼光は鋭く隙が無い。クロッチが、憧れて慕ってままならないお猫様である。
「リーダー!ただいま戻りましたニャン!」
「お帰りにゃ!クロッチ、今日は凄く良い笑顔だにゃ」
「ハイ、報告いたしますニャン!」
クロッチの報告が聞きたいお猫様が、ぞろぞろと周りに集まって来た。
「リーダー、3丁目の喫茶店ですが、物資の供給に成功しましたニャン!」
「むむ!詳しく報告するにゃ!」
「ハイ!喫茶店には、男店員と女店員がいますニャン!」
「人間二人なんだにゃ!」
「女店員は、男店員のことを【お父さん】と呼んでいたので、二人は親子だと思われますニャン」
周りのお猫様も、クロッチの報告を黙って聞いている。リーダーも耳をピンっとたたせてしっかりと聞く体制だ。
「男店員には、まだ接触できてにゃいですが、女店員への接触成功しましたニャン」
周りのお猫様たちから、「おおー」っと感心した声が上がって来る。
「本日、三度目の女店員の接触で、物資の供給を受ける事ができましたニャン!」
「たった3度の接触でにか?クロッチ、凄いに」
「物資の供給を受けた証拠はあるニャンか?」
興奮して褒めまくるダイフクに、信じられないと疑っている他のお猫様たち。クロッチは、ニヤリと笑った。
「証拠はコレですニャン!」
クロッチは、煮干しの尻尾3個を目の前に置いた。
「貢がれた物資は、白い乳に、煮干し3匹でしたニャン。白い乳は持って来れにゃいですが、煮干しの尻尾は女店員の目を盗んで持ってきましたニャン!」
「美味かったかダニ?美味かったかダニ?」
興奮した食いしん坊のダイフクは、尻尾をピンピンに立てて目の前にやってきた。
クロッチは、ダイフクの顔をペロリと舐めた。
「ダイフク!メチャメチャ美味かったニャン!」
「羨ましいに!ハァーーーーいい匂い、に煮干しの尻尾!食べていいにか?」
「ダイフク、待つニャン!リーダーの許可を貰えニャン」
グッと食べたいのを堪え、ダイフクはリーダーを物欲しそうな目で見つめた。
「クロッチ、良くやったにゃ!最初が肝心にゃ!当分は女店員を墜とす事に専念するにゃ!」
「ハイ!リーダー!!」
「ダイフク、そんにゃに食べたいのなら、クロッチを手伝うにゃ!」
「りょ、了解ダニ!.....リーダー....この尻尾はダメですかダニ?」
「クロッチが、せっかく持ってきてくれた土産にゃ。チビお猫様にやるにゃ!」
がっくりと肩を落としたダイフク。
クロッチは、リーダーの答えに満足した。
「ダイフク!一緒に3丁目の喫茶店堕とすニャン」
「おぉー」
「ダイフク、落ち込み過ぎニャン!物資は煮干しだけじゃないニャンよ!」
「!!おおー!!俺も堕とすによ!」
クロッチとダイフクはおでこをゴチンとさせ気合いを入れた。
チームニャンダバーは、人間に鋭い牙を剥き、悪の限りを尽くす、そしてお猫様の住み良い社会を目指す、悪の秘密結社なのだ。
「早く、報告したいニャン」
黒猫の足取りはとても軽い。まっすぐに路地裏を抜けると、今は廃墟となった空き家がある。足場となったブロック塀に飛び乗り、ベランダに空いた穴から家の中に入って行こうとすると、1匹のお猫様が道を塞いで話しかけてきた。
「合言葉を言うダニ」
「にゃにゃ!俺も言うニャンか?」
「もちろん!クロッチでも言うダニ!」
クロッチと呼ばれた黒猫は、仕方ないと諦めてその場に座り、右の前脚をあげた。
「合言葉は、【モフッてモフモフ ニャンダバー】だニャン。ダイフク、これで良いかニャン?」
真っ白な少し長めの毛並みであるお猫様は、満足気な表情をして道を開けた。
「合言葉を確認したに!クロッチお帰りダニ」
「ダイフク!ただいまニャン。リーダーは、今いるかニャン?」
「いるによ。奥でみんなからの報告を受けているダニ」
「俺も早く報告したいニャン!」
クロッチは、流行る気持ちを抑え、リーダーの元へ急いだ。
「クロッチが帰ってきたダニ」
「今日は、どんな悪いことをしたんか?」
「クロッチは、チームニャンダバーの出世頭だから、楽しみダニ」
空き家には、何匹ものお猫様がいた。チームニャンダバーに所属しているお猫様達だ。
ニャンダバーは、人間社会に牙を剥く、悪の限りを尽くし、暗躍を生業とするお猫様たちが立ち上げた 秘密結社である。
一番奥にある部屋まで行くと、積み上げられた木材の上に、恰幅の良いサビ柄のお猫様が箱座りをしていた。
サビ柄のお猫様は、別のお猫様から活動報告を受けているところだった。
「リーダー、報告は以上ですにょ!」
「良し、引き続き頼むにゃ」
報告していたお猫様が後ろに下がると、リーダーと呼ばれていたお猫様が、クロッチに顔を向けた。可愛いらしいお顔ではあるが、眼光は鋭く隙が無い。クロッチが、憧れて慕ってままならないお猫様である。
「リーダー!ただいま戻りましたニャン!」
「お帰りにゃ!クロッチ、今日は凄く良い笑顔だにゃ」
「ハイ、報告いたしますニャン!」
クロッチの報告が聞きたいお猫様が、ぞろぞろと周りに集まって来た。
「リーダー、3丁目の喫茶店ですが、物資の供給に成功しましたニャン!」
「むむ!詳しく報告するにゃ!」
「ハイ!喫茶店には、男店員と女店員がいますニャン!」
「人間二人なんだにゃ!」
「女店員は、男店員のことを【お父さん】と呼んでいたので、二人は親子だと思われますニャン」
周りのお猫様も、クロッチの報告を黙って聞いている。リーダーも耳をピンっとたたせてしっかりと聞く体制だ。
「男店員には、まだ接触できてにゃいですが、女店員への接触成功しましたニャン」
周りのお猫様たちから、「おおー」っと感心した声が上がって来る。
「本日、三度目の女店員の接触で、物資の供給を受ける事ができましたニャン!」
「たった3度の接触でにか?クロッチ、凄いに」
「物資の供給を受けた証拠はあるニャンか?」
興奮して褒めまくるダイフクに、信じられないと疑っている他のお猫様たち。クロッチは、ニヤリと笑った。
「証拠はコレですニャン!」
クロッチは、煮干しの尻尾3個を目の前に置いた。
「貢がれた物資は、白い乳に、煮干し3匹でしたニャン。白い乳は持って来れにゃいですが、煮干しの尻尾は女店員の目を盗んで持ってきましたニャン!」
「美味かったかダニ?美味かったかダニ?」
興奮した食いしん坊のダイフクは、尻尾をピンピンに立てて目の前にやってきた。
クロッチは、ダイフクの顔をペロリと舐めた。
「ダイフク!メチャメチャ美味かったニャン!」
「羨ましいに!ハァーーーーいい匂い、に煮干しの尻尾!食べていいにか?」
「ダイフク、待つニャン!リーダーの許可を貰えニャン」
グッと食べたいのを堪え、ダイフクはリーダーを物欲しそうな目で見つめた。
「クロッチ、良くやったにゃ!最初が肝心にゃ!当分は女店員を墜とす事に専念するにゃ!」
「ハイ!リーダー!!」
「ダイフク、そんにゃに食べたいのなら、クロッチを手伝うにゃ!」
「りょ、了解ダニ!.....リーダー....この尻尾はダメですかダニ?」
「クロッチが、せっかく持ってきてくれた土産にゃ。チビお猫様にやるにゃ!」
がっくりと肩を落としたダイフク。
クロッチは、リーダーの答えに満足した。
「ダイフク!一緒に3丁目の喫茶店堕とすニャン」
「おぉー」
「ダイフク、落ち込み過ぎニャン!物資は煮干しだけじゃないニャンよ!」
「!!おおー!!俺も堕とすによ!」
クロッチとダイフクはおでこをゴチンとさせ気合いを入れた。
チームニャンダバーは、人間に鋭い牙を剥き、悪の限りを尽くす、そしてお猫様の住み良い社会を目指す、悪の秘密結社なのだ。
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