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1章 俺たち悪の秘密結社だニャン

4話

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「オーレーは、ダイフク~、ダイフクだ~に。お餅じゃなーいに。お猫様~だ~に~よ~」

「ダイフク、凄い歌だにゃ」

「に!だって、今日はリーダーと一緒に、パトロールですに。嬉しいに決まってるですに」

「だけど、歌詞のセンス最悪だニャン」

「クロッチ、うるさいに!」

フサフサの尻尾を真っ直ぐに立て、ダイフクはオリジナルソングを歌う。その少し後ろをリーダーとクロッチが並んで歩いていた。

昨日、クロッチから今日のパトロールの事をきいたダイフクは、大喜びした。クロッチに迷惑をかけてしまった事は事実であるが、その迷惑をかけたクロッチから、リーダーとのパトロールのお誘いを受けたのだ。

ダイフクを誘う必要が無いのに、あえてダイフクを選んでくれたクロッチの気持ちが嬉しかった。

「リーダー?せっかくだから、質問しても良いダニ?」

「どうぞにゃ」

「リーダーも、人間が怖いと思ったことあるダニ?」

「あるにゃ、というか今でも怖いにゃ」

「ダイフク、俺も怖いニャン」

「クロッチは、わかるけど、リーダーも怖いに?信じられないに」

「そのうち、ダイフクもわかる時が来るにゃ」

リーダーは、いつでも凛とした態度で、ニャンダバーのお猫様たちをまとめている。ダイフクは、人間を怖がっているとは、到底思えなかった。

突然、クロッチが脚を止め、公園の側に植えられている橙の木をジッと見つめていた。

「リーダー、いいもん発見しましたニャン」

「.........お、これは、なかなかのもんだにゃ」

「何?何を見つけたダニ?」

クロッチは、お尻をフリフリ、狙いを定めてピョーンとジャンプした。リーダーもニヤニヤとして、クロッチを見ていた。

バシッと橙の木の枝を、クロッチが勢いよく叩くと、ボトっと何かが落ちてきた。

「リーダー、久しぶりにアレやりませんかニャン?」

「はうぁー!青虫ダニ!ウネウネの青虫ダニ!」

「クロッチ!アレやるかにゃ」

青虫だって、お猫様には大事なタンパク質だ。しかし、リーダーはその場で青虫を食べずに、口へ咥えて行った。

「クロッチ、何が始まるダニ?」

「面白いモノが観れるニャン!ダイフク、リーダーについていくぞ」

スタスタとリーダーは、青虫を咥えたまま歩き出した。そして、ある家の玄関前に青虫を置いた。

「ダイフク、上から見るニャン」

スタッと近くの木の枝に登っていくクロッチを、ダイフクが慌てて追いかけた。

リーダーは、クロッチとダイフクが、
木の上から見ていることを確認してから、可愛らしい声で鳴き始めた。

「ニャロン、ニャロ~ン」

「出た、必殺!お猫様なで声ニャン」

「うわー、めっちゃ可愛い声ダニ!」

リーダーは、尻尾をピーンと立てて、もう一度鳴いてみた。

玄関の扉が開いて中から一人の女性が顔を出した。

『あら、【サビたん】いらっしゃ.......ギョエーーー!」

「【サビたん】って、確か.....?」

「リーダーの通り名ニャン」

人間にとって悪の限りを尽くし、怖がられているお猫様には通り名が名付けられる。ニャンダバーのリーダーも恐怖の象徴として、【サビたん】と人間たちに通り名が名付けられていた。

「ダイフク、よく見とけニャン」

リーダーは、人間の前でゴロンと横になり、お腹を見せた。

『やだ、やだ、【サビたん】、青虫はダメなの。プレゼントでも青虫だけは、ダメなのよ!』

「アレもリーダーの必殺技、腹見せだニャン」
 
「くぁー!何という悪いことするダニ!流石我らのリーダーダニ」

『【サビたん】気持ちだけ、貰っておくから......青虫どっかやって!』

リーダーは、人間の前にちょこんとと座り、首を傾げて「ニャン」と小さく鳴いた。

「完全に堕ちたニャン」

「リーダー、超クールダニ」

リーダーは、その後煮干しを数匹貰って、クロッチとダイフクの所に戻って来た。

「ダイフク、面白かったにゃ?」

「シブいですにダニ、リーダー」

尊敬の眼差しで見つめるダイフクだった。







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