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4章 藍色のお空に
5話
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「クン....クン.....あったかくてホコホコの良い匂いがするダニ」
小さなお猫様が目を覚ますと、柔らかいお座布団の上にいた事に驚いた。
「オレ、板の上で寝てたはずダニ?」
お座布団の横には、煮干しが茹でられ、小皿に乗せられていた。しっかりと塩抜きされているため、お猫様の身体にも優しい仕上がりだ。
「良い匂いは、これダニ。俺、食べても良いダニ?」
人間に追い回され、まともなご飯を食べていなかったこともあり、ヨダレと腹の虫は治らない。
「誰もいないから、食べて良いと思うダニ」
そう結論づけ、一口、二口と煮干しを食べていった。
「あれ、おかしいダニ。涙がポロポロ出て来るダニ~」
寂しいわけではない、痛いわけでもない、真っ白なお猫様は、涙をポロポロ流す。この煮干し派、あのばあちゃんが、置いてくれていたことがわかったから。お座布団の上で眠っていたのも、ばあちゃんが乗せてくれたから。久々に、優しい夢を見ることができたのも、ばあちゃんのおかげだから。
初めて触れた人間の優しさに、涙が止まらなかった。いつのまにか、綺麗になっている自分の身体も、きっとばあちゃんのお陰であろうと思った。
ここに連れて来てくれた、サビ柄のお猫様にも感謝しつつ、煮干しをゆっくりと味わった。
お腹もいっぱいになり、再びお座布団の上で丸くなった小さなお猫様は、久々の安眠を得ることができた。
『丸まっていると、大福餅みたいだねぇ。小さな身体で喉をゴロゴロ鳴らしているよ』
翌朝、小さなお猫様は、喉元を優しく擽られる違和感を感じ、目を覚ました。喉元には、しわしわのばあちゃんの手が、添えられている。ペロリと、しわしわの手を舐め、上を見上げると、目元にいっぱい皺を作り笑っている、ばあちゃんの顔が見えた。
「ばあちゃんのお膝、ぬくぬくダニ」
『おはよう【ダイフク】、良く眠れたかい?』
小さなお猫様は、お膝の上で、弓なりに伸びをして、再び座り直した。
『ほんと可愛い大福餅だ。大きな福が、やって来そうだねぇ。【ダイフク】ちゃん』
「ばあちゃん、俺の名前は【ダイフク】って言うんダニ?」
【ダイフク】と呼ばれるたびに、心がポカしてくる。名前まで付けてくれた、ばあちゃん。白い小さなお猫様は、日を増すごとに、ばあちゃんのことが、大好きになっていった。
「ばあちゃん、トンボ捕まえたダニ」
「ばあちゃん、オナモミが、身体中にくっついたダニ~、ばあちゃん、とってくれダニ~」
「うにゃ、うみゃ、ばあちゃん、お魚ありがとうダニ」
ダイフクと名付けられたお猫様は、ばあちゃんに見守られ、やんちゃで、優しいお猫様に育っていった。
ダイフクは、ずっとずっと、この庭先でばあちゃんと一緒に暮らせたら良いのにと思っていた。
『母さん、また猫が居着いたのかい?』
『あら、タカシ。今日だったかね、病院の日は』
ダイフクは、いきなりやってきた人間に警戒心を露わにする。
『ほら、ダイフクがビックリしたじゃない。この子はね、私の息子だよ』
『この子って歳じゃねえよ.......ったく』
「大きい人間!怖い!怖い!あっちいけダニ」
フーフー言いながら、ダイフクは毛を逆立て威嚇した。
小さなお猫様が目を覚ますと、柔らかいお座布団の上にいた事に驚いた。
「オレ、板の上で寝てたはずダニ?」
お座布団の横には、煮干しが茹でられ、小皿に乗せられていた。しっかりと塩抜きされているため、お猫様の身体にも優しい仕上がりだ。
「良い匂いは、これダニ。俺、食べても良いダニ?」
人間に追い回され、まともなご飯を食べていなかったこともあり、ヨダレと腹の虫は治らない。
「誰もいないから、食べて良いと思うダニ」
そう結論づけ、一口、二口と煮干しを食べていった。
「あれ、おかしいダニ。涙がポロポロ出て来るダニ~」
寂しいわけではない、痛いわけでもない、真っ白なお猫様は、涙をポロポロ流す。この煮干し派、あのばあちゃんが、置いてくれていたことがわかったから。お座布団の上で眠っていたのも、ばあちゃんが乗せてくれたから。久々に、優しい夢を見ることができたのも、ばあちゃんのおかげだから。
初めて触れた人間の優しさに、涙が止まらなかった。いつのまにか、綺麗になっている自分の身体も、きっとばあちゃんのお陰であろうと思った。
ここに連れて来てくれた、サビ柄のお猫様にも感謝しつつ、煮干しをゆっくりと味わった。
お腹もいっぱいになり、再びお座布団の上で丸くなった小さなお猫様は、久々の安眠を得ることができた。
『丸まっていると、大福餅みたいだねぇ。小さな身体で喉をゴロゴロ鳴らしているよ』
翌朝、小さなお猫様は、喉元を優しく擽られる違和感を感じ、目を覚ました。喉元には、しわしわのばあちゃんの手が、添えられている。ペロリと、しわしわの手を舐め、上を見上げると、目元にいっぱい皺を作り笑っている、ばあちゃんの顔が見えた。
「ばあちゃんのお膝、ぬくぬくダニ」
『おはよう【ダイフク】、良く眠れたかい?』
小さなお猫様は、お膝の上で、弓なりに伸びをして、再び座り直した。
『ほんと可愛い大福餅だ。大きな福が、やって来そうだねぇ。【ダイフク】ちゃん』
「ばあちゃん、俺の名前は【ダイフク】って言うんダニ?」
【ダイフク】と呼ばれるたびに、心がポカしてくる。名前まで付けてくれた、ばあちゃん。白い小さなお猫様は、日を増すごとに、ばあちゃんのことが、大好きになっていった。
「ばあちゃん、トンボ捕まえたダニ」
「ばあちゃん、オナモミが、身体中にくっついたダニ~、ばあちゃん、とってくれダニ~」
「うにゃ、うみゃ、ばあちゃん、お魚ありがとうダニ」
ダイフクと名付けられたお猫様は、ばあちゃんに見守られ、やんちゃで、優しいお猫様に育っていった。
ダイフクは、ずっとずっと、この庭先でばあちゃんと一緒に暮らせたら良いのにと思っていた。
『母さん、また猫が居着いたのかい?』
『あら、タカシ。今日だったかね、病院の日は』
ダイフクは、いきなりやってきた人間に警戒心を露わにする。
『ほら、ダイフクがビックリしたじゃない。この子はね、私の息子だよ』
『この子って歳じゃねえよ.......ったく』
「大きい人間!怖い!怖い!あっちいけダニ」
フーフー言いながら、ダイフクは毛を逆立て威嚇した。
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