オバケのホースケさんのありふれた日常

りんくま

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1晩目 ホースケさん、お祓いされる

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 築五十年以上の古いアパートの一室。いつからここに住んでいるのか覚えていない。ホースケは、いつも部屋の中でじっとしていた。

 家賃が安いからと仕事にあぶれた者やとある事情がある住人が入れ替わり立ち替わりその部屋に引っ越してくる。

 ホースケは、部屋の住人に気を遣いながら、邪魔にならないようにひっそりと暮らしていた。

 女性が着替えをするときは、ちゃんと後ろを向いていたし、病気で寝たきりの男性には、早く良くなりますようにと枕元で回帰を願っていた。

 声も立てず、ひっそりと暮らしていたが、何故か猫や犬などの動物からは、『ウゥー』と唸られたりもした。

「ここが、霊がいると言われるアパートです」
「住職、何か感じますでしょうか?」

 いつものように部屋の片隅で、ボーッとしていたら、突然数人の男性がアパートにやってきた。テレビ局のスタッフだろうか、ワラワラと様々な機材を狭い部屋の中に持ち込んできた。しばらく打ち合わせをした後、大きなカメラを肩に担ぎ、マイクを持った男性とお坊さんを写し始めた。ホースケも彼らの背後にいるため、少し髪の毛を手櫛で整える。

 長い時をアパートで過ごしていたが、テレビの撮影は初めてだった。ドキドキしながらホースケは、撮影の様子を眺めていた。

「いかんです。この部屋には悪霊が棲みついています」
「住職マジですか!」
「あちらの梁で首を吊った自殺者がいたんでしょうね……この世に深い恨みを抱いているようです」

 南無南無と数珠を擦りながらお坊さんはお経を唱えた。ホースケは、住職の指差す方を見るが、何もいない。何の茶番だろうと眺めていた。

「悪霊退散!悪霊退散!」

 お坊さんは、塩を撒き散らし九字を切る。部屋が塩まみれになると住人に迷惑がかかるぞと思ったが、お坊さんは一向に止める気配を見せない。

 これ以上は、家主にも迷惑がかかると思い、ホースケはお坊さんの肩をポンポンと叩いた。


「キエェェェェ」

 突如お坊さんが発狂し泡を吹き、手足をバタバタさせ、手に持ったお札をバラバラと放り投げた。

 そのうちの一枚が、ヒラヒラとホースケの頭上に舞い降りた。

 そして、そのままホースケは、光の中に弾き飛ばされた。





 
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