1 / 1
不安になれない愛し方
しおりを挟む
「別れよう」
そう言われた。何度目の失恋だろう?目の前の男は「愛しているからこその別れだ」とか「好きだから」とか抜かしているけどそんな事は頭に入ってこない。ただ頭の中で巡っている言葉は一つだけ。
『また、捨てられた』
「ユノ、またふられたの?」
「うん」
「落ち込んでる?」
「うん」
「うん、しか言わないわねぇ」
「うん」
「ユノったらテキトーな返事ばっかり」
「嫌ならどっか行けばいい」
「んもぅ、またユノはそんな皮肉なことばっか言って!」
佐武 柚乃を叱っているのは女じゃない。瀬野 楓というオカマである。ユノが生きている上で最初で最後の友人。楓は中学の時に出会い、何故かユノにやけに構ってくるようになった。何度突き放しても寄ってくるものだから、ユノ自身も諦めてしまった。
今もこうして、ユノの部活動場所…美術室でユノの絵を見ながら説教している。
「ユノはどうして遊び目的の男ってわかってて、そんなのと付き合うのよ?」
「別に意味なんかないけど」
「意味なんかないって、じゃあ誰でもいいってこと?」
「まぁ…基本的にはそうだね」
「だ、ダメよそんなの!そんな事してたら、ユノを大事に思ってる人が悲しむわよ!」
「大事に思ってくれる人もいないから、別にいいよ」
「いる!」
「まさか。どこに?」
「こっ、ここにいるわ」
楓は自分を指差して言った。ユノ一瞬きょとんとした後、「はぁ…」とため息をついた。
「ちょっと!失礼ね!」
「や、ごめんごめん…そんな真剣な顔で言われたら、なんて返せばいいのか答えがわかんないよ」
「わ、私は本気よ?!だって…私、あの時からずっと、ユノの事が…」
楓はさっきまでの勢いは何処へやら、顔を赤くしてモジモジとしている。
「なに、私のことが?」
「な、なんでもないわ!とにかく、ユノは誰彼構わず付き合うなんて考えはダメよ!」
「なんで?」
「なんでも!」
「えぇー」
「えーじゃないの!」
「別にいいじゃん、だって次付き合った人はもしかしたら私のこと捨てないでくれるかもしれない…それに、このメンヘラ気質のとこまで愛してくれるのかもしれないとか思っちゃうんだから」
「ユノは、本当に愛してくれるなら誰でもいいの?そんなの、ユノ自身を大事にしてるって言わないのよ」
「ハイハイ分かったってば。小言は聞きたくないよ」
「あ、ちょっと?!どこ行くの!」
「作品のアイデアが出ないから、ちょっとさんぽ」
「わ、私も行こうか?」
「いいよ、楓は待ってて」
「知らない男に着いてっちゃダメよ!」
「ほいほい」
ユノは扉をカラカラと開けて静かに出て行った。残された楓は、ユノの出て行った扉を見つめて手をぎゅっと握った。
「そんなに…そんなに誰でもいいなら、私でもいいじゃない…」
「今日の楓はやけにしつこく言ってきたなぁ」
ユノはぶらぶらと校内を歩き回りながらそんなことを呟いた。
「そういえばあいつ、オカマだけど顔はそこそこ整ってるし、女には優しいし絶対モテるはずなのにな、彼女の話とか聞いたことない」
ユノは、あいつの恋愛相談を受けたことがない、とふと気がついた。今度、女でも紹介してやろうか。そんなことを思った時、先ほどの楓の言葉を思い出した。
『ユノを大事に思ってる人が悲しむわよ!』
『こ、ここにいるわ』
「…あんなこと他の人に言ったら、絶対モテると思うんだけど。てか、私だから簡単に受け流せるけど、他の子に安易にあーやって言ったら勘違いされるな、あいつは」
でも、あの赤くした顔の中でも目はいつも以上に真剣に私を見ていた気がする。まさか、あいつ私のこと…
そこまで考えてやめた。だってそれは…
「さすがに自惚れすぎだよね」
ユノが、本当の自分への愛に気づくのはもう少し先のこと…。
つづく
そう言われた。何度目の失恋だろう?目の前の男は「愛しているからこその別れだ」とか「好きだから」とか抜かしているけどそんな事は頭に入ってこない。ただ頭の中で巡っている言葉は一つだけ。
『また、捨てられた』
「ユノ、またふられたの?」
「うん」
「落ち込んでる?」
「うん」
「うん、しか言わないわねぇ」
「うん」
「ユノったらテキトーな返事ばっかり」
「嫌ならどっか行けばいい」
「んもぅ、またユノはそんな皮肉なことばっか言って!」
佐武 柚乃を叱っているのは女じゃない。瀬野 楓というオカマである。ユノが生きている上で最初で最後の友人。楓は中学の時に出会い、何故かユノにやけに構ってくるようになった。何度突き放しても寄ってくるものだから、ユノ自身も諦めてしまった。
今もこうして、ユノの部活動場所…美術室でユノの絵を見ながら説教している。
「ユノはどうして遊び目的の男ってわかってて、そんなのと付き合うのよ?」
「別に意味なんかないけど」
「意味なんかないって、じゃあ誰でもいいってこと?」
「まぁ…基本的にはそうだね」
「だ、ダメよそんなの!そんな事してたら、ユノを大事に思ってる人が悲しむわよ!」
「大事に思ってくれる人もいないから、別にいいよ」
「いる!」
「まさか。どこに?」
「こっ、ここにいるわ」
楓は自分を指差して言った。ユノ一瞬きょとんとした後、「はぁ…」とため息をついた。
「ちょっと!失礼ね!」
「や、ごめんごめん…そんな真剣な顔で言われたら、なんて返せばいいのか答えがわかんないよ」
「わ、私は本気よ?!だって…私、あの時からずっと、ユノの事が…」
楓はさっきまでの勢いは何処へやら、顔を赤くしてモジモジとしている。
「なに、私のことが?」
「な、なんでもないわ!とにかく、ユノは誰彼構わず付き合うなんて考えはダメよ!」
「なんで?」
「なんでも!」
「えぇー」
「えーじゃないの!」
「別にいいじゃん、だって次付き合った人はもしかしたら私のこと捨てないでくれるかもしれない…それに、このメンヘラ気質のとこまで愛してくれるのかもしれないとか思っちゃうんだから」
「ユノは、本当に愛してくれるなら誰でもいいの?そんなの、ユノ自身を大事にしてるって言わないのよ」
「ハイハイ分かったってば。小言は聞きたくないよ」
「あ、ちょっと?!どこ行くの!」
「作品のアイデアが出ないから、ちょっとさんぽ」
「わ、私も行こうか?」
「いいよ、楓は待ってて」
「知らない男に着いてっちゃダメよ!」
「ほいほい」
ユノは扉をカラカラと開けて静かに出て行った。残された楓は、ユノの出て行った扉を見つめて手をぎゅっと握った。
「そんなに…そんなに誰でもいいなら、私でもいいじゃない…」
「今日の楓はやけにしつこく言ってきたなぁ」
ユノはぶらぶらと校内を歩き回りながらそんなことを呟いた。
「そういえばあいつ、オカマだけど顔はそこそこ整ってるし、女には優しいし絶対モテるはずなのにな、彼女の話とか聞いたことない」
ユノは、あいつの恋愛相談を受けたことがない、とふと気がついた。今度、女でも紹介してやろうか。そんなことを思った時、先ほどの楓の言葉を思い出した。
『ユノを大事に思ってる人が悲しむわよ!』
『こ、ここにいるわ』
「…あんなこと他の人に言ったら、絶対モテると思うんだけど。てか、私だから簡単に受け流せるけど、他の子に安易にあーやって言ったら勘違いされるな、あいつは」
でも、あの赤くした顔の中でも目はいつも以上に真剣に私を見ていた気がする。まさか、あいつ私のこと…
そこまで考えてやめた。だってそれは…
「さすがに自惚れすぎだよね」
ユノが、本当の自分への愛に気づくのはもう少し先のこと…。
つづく
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる