最弱から最強へ【擬人化】スキルによって、僕は神話級アイテムたちに好かれました。どうやら人間の仲間は必要ないようです

お茶っ葉

文字の大きさ
15 / 116
第一章

第15話 マスター

しおりを挟む
「そこの金髪の姉ちゃん強いな! どこの出身だ? ランクは? 今はフリー?」

 荒くれ者を瞬殺したアイギスさんの元に、人だかりができる。
 どれも好意的な視線ばかり。冒険者は強い人には憧れを抱くから。

「是非、俺たちのパーティに加わってくれ! いや寧ろ、俺たちを入れてくれ!」

「おいおい、抜け駆けはズルいぞ! うちなら厚待遇を約束する!」

「私たちとご一緒してくださいませんか? お姉様!」

 ギルド内では、アイギスさんへの熱烈な勧誘合戦が始まっていた。
 彼女も褒められるのは悪い気がしないのか、話を聞いてあげている。

 アイギスさんは面倒見がいいよね。冷たいようで、本当は優しいんだ。
 
「あいぎすさん人気です……本当にここでお別れなんですね」

 僕たちは隣にある酒場の席に座って、賑やかな様子を眺める。
 気になるけど、気にしたら別れが辛くなるから。見ていられない。

「トロン、いっぱい食べてね」

「……うまうま」

 魔石の報酬金を使って、たくさんの料理を注文した。
 匂いに誘われて人間態に戻ったトロンのお世話に集中する。

(アイちゃんがチラチラ見ていますよ! ロロアさんに引き留めて欲しいんです。めんどくさっ)

 ライブラさんがまたくすぐってくる。上着の中で話されても聞こえないよ。

「でも、私に相応しい人がこの中に存在するかしら?」

「俺は街一番の剣術スキルの使い手だ。【星渡りの塔】は五十階まで踏破した」

「私は元王宮勤めの魔法士。仲間は将来性を込みして選ばれた方が賢明です」

 主に男の人たちの食いつきが凄い。自分こそが相応しいのだと主張し合う。
 みんな僕より実績があって優秀な冒険者ばかりだ。誰を選んでも間違いない。

「えーと、できれば私より小さくて守り甲斐があって、機転が利いて、足が速くて、道具を愛し愛される、やる時はやれる子だと嬉しいけど。そんな条件に当てはまる子がいるかしら……?」

「具体的すぎない!? そんなよくわからない条件を満たす人物はこの街にいませんよ」

「というか姉さんは身体大きいから、大抵の男は小さい事になりますよ」

「まぁまぁ後から好みが変わる事だってあるし、まずは一回! 一回だけ、組みましょう!」

 誰を選んでも間違いはない……けど。
 彼らはちゃんとアイギスさんを見ているんだろうか。
 強いから、美人だから。表面ばかりを見ていて内面の方は?
 
 だって今も、彼女はどこか困った表情をしている。
 
「あるじさま……このままだと、あいぎすさんを取られちゃいますよ?」

「本人がそれを望んでいるのに、僕が引き留めてもきっと迷惑で……」

(逆ですよ! アイちゃんの望みは……もう、こうなっては仕方ありません。私様が誘導を――)

 ……違う、表面ばかりを見ているのは僕も同じなんだ。
 最初から断られると思っている。本人にまだ聞いてもいないのに。

 気付いた瞬間、僕は立ち上がる。頭で考えるより先に身体が動いていた。

「あ、あの。僕じゃダメでしょうか? 僕じゃ相応しくありませんか!?」

「あるじさま!」

(おおっ!)

「…………っ!」

 一瞬にして騒ぎが静まった。酒場に集う冒険者全員の視線を集める。
 名乗り出るくらいなら。あくまで最後に選択するのはアイギスさんだ。
 
「はっ、誰かと思えば嘘吐きロロアか。身の程を弁え――――ぐぼっ」

「あら、顎に蟲が付いていたわよ?」

 そう言ってアイギスさんが、街一番の剣士の顎を貫いていた。
 気のせいじゃなければ、彼女の口元が緩んでいる気がする。

「ロロア、今さら名乗り出てどういうつもり?」

「え、えっと……その……」

「私は何度も、貴方をマスターとして相応しくないと言った。それでもどうして、名乗り出てくれたの?」

 まさかここで質問を受けるとは思わず、何も言葉がでない。
 後ろで見ている冒険者たちも「邪魔するな」と圧力を掛けてくる。

(泣きたいほど嬉しい癖に強情なんですから……優しい言葉だけではアイちゃんは動きませんよ。ここは私がフォローしましょう)

『――ごちゃごちゃうるさいんだよ! アイギス、言い訳を並べてないで黙って僕の元に戻って来い! お前を使いこなせるのは僕だけだろうが! ……あと後ろの奴らはお呼びじゃねぇからさっさと失せやがれ』

 あれ、僕の声で僕じゃない誰かが話しているぞ。周囲を見渡す。
 エルとトロンは席に座っているし。もしかして――ライブラさん?

「あぁ……ロロア……! うん……貴方の元に戻るわ。私のマスターは貴方だけよ……!」

 よくわからないけど、アイギスさんがとても喜んでいる。
 目に涙を浮かべて、そこまで歓喜されるともう撤回できないよ。

「おい……ロロア。自分が何を言っているのかわかってるのか? この場の全員を侮辱しているんだぞ」

 わからないです。発言しているのは僕じゃないので。

(ええい、これでトドメです!)

『不満があるなら、まとめてかかって来いよ。僕が相応しい事を実力で証明してやる』
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

RPGのストーリー開始前に殺されるモブに転生した俺、死亡フラグを回避してラスボス助けたら女主人公が現れてなぜか修羅場になった。

白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
――死亡フラグのあるモブに転生した。なぜか男主人公の姿で。 王国に孤児院の子供達を殺された少女ミュライトがラスボスのRPG『プリテスタファンタジー』。 物語後半でミュライトと主人公は互いに孤児院出身であることが分かり、彼女を倒した主人公がその死を悲しむ絶望的なエンディングからいわゆる「鬱ゲー」と呼ばれているゲームでもある。 そして、そんなゲームの物語開始前にミュライトと同じ孤児院に住んでいた子供に転生したが…その見た目はなぜか男主人公シュウだった。 原作との違いに疑問を抱くものの、このままストーリー通りに進めば、ミュライトと主人公が戦って悲惨なエンディングを迎えてしまう。 彼女が闇落ちしてラスボスになるのを防ぐため、彼女が姉のように慕っていたエリシルの命を救ったり、王国の陰謀から孤児達を守ろうと鍛えていると、やがて男主人公を選んだ場合は登場しないはずの女主人公マフィが現れる。 マフィとミュライトが仲良くなれば戦わずに済む、そう考えて二人と交流していくが― 「―あれ? 君たち、なんか原作と違くない?」 なぜか鉢合わせた二人は彼を取り合って修羅場に。 こうして、モブキャラであるはずのシュウは主人公やラスボス達、果ては原作死亡キャラも助けながらまだ見ぬハッピーエンドを目指していく。 ※他小説投稿サイトにも投稿中

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった

夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。

R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。 半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。 だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。凛人はその命令を、拒否する。 彼は、大地の女神により創造された星骸と呼ばれる伝説の六英雄の一人を従者とし、世界を知るため、そして残りの星骸を探すため旅に出る。 しかし一つ選択を誤れば世界が滅びる危うい存在…… 女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。 これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた

平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。 それから幾千年。 現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。 そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。 ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。 だが彼自身はまだ知らない。 自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。 竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。 これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

処理中です...