最弱から最強へ【擬人化】スキルによって、僕は神話級アイテムたちに好かれました。どうやら人間の仲間は必要ないようです

お茶っ葉

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第二章

第53話 当然の報い

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「コイツを喰らえ! 【分身剣】!」

 まず一人目が剣術スキルを使用して、三重の斬撃を繰り出してくる。
 僕はそれに剣を合わせて防ぎ止め。反動を利用して大きく後方に下がる。

「大口を叩いても一人では戦えまい! お前はもう囲まれているんだぞ!」

「この程度の修羅場なら、僕はもう何度も潜り抜けているよ」

 背後から迫る剣を横に転がり回避、瓦礫を利用して矢を防ぐ。
 姿勢を低くとって、相手の死角を突いて足元を斬り付ける。

「ぐあっ!?」

 闇属性の浸食で足を守るグリーブを破壊した。
 そのまま皮膚を腐敗させていく。一人戦闘不能に。

「素早い、だが所詮は子供だ。力で押し潰せば!」

 大槌を担いだ男が渾身の力で振り下ろす。
 筋力を数倍に引き上げるスキル【剛力】だ。
 
「あのキングオーガの威圧感と比べたら、可愛いものだね」

 落ちてくる鉄の塊を剣で横に受け流し、背中を斬った。
 背後で男の悲鳴が上がる。僕はそのまま走り、飛翔する。

 殺到する矢と魔法の嵐を、【ストームブリンガー】の風刃で相殺。

「アクアドラゴンの龍の息吹はこんなものじゃなかったよ?」

「まずい、距離を詰められた、後退しろ!!」

「判断が遅いよ。それじゃあ魔塔では生き残れない!」

 急接近に、後方で固まっていた魔法士と弓使いたちが慌てだす。
 ひとたび数に頼れなくなれば、一人一人の実力は大した事がない。

 彼らは常に集団で戦う事に慣れ過ぎているんだ。
 魔塔都市で活動する冒険者と比べて、あまりに個のレベルが低い。

 対人間戦での数の差を覆すのは難しいとされているけど。
 ここまで意識に差があると。魔物を相手しているのと変わらない。

「悪いけど、生命力をいただいていくよ」

 逃げ惑う人たちの身体に触れて、生命吸収を発動させる。
 体内の魔力の根源から、無理やり力を奪い取っていく。

「がががあああああああああああ」

「うあああああああああああああ」

 次々と痙攣して倒れていく。宝剣には魔力が宿っていた。
 ストブリは右足を使っていたけど。今回は剣先に集中させる。

「ば、馬鹿な……王家の者でもない癖に、公爵家の宝剣をそこまで使いこなすのか……!?」

(道具を扱うのに血筋なんて関係ありません。ブリちゃんが心を許す方だからこそ、自在に操れるのです。血筋しか誇れるものがない馬鹿王子には一生理解できないでしょうが)

「これが――僕たちが倒したフォルネウスと同等の力だよ!」

 風属性と闇属性が重なり合い、黒嵐が具現化する。
 イメージするのは圧倒的な力。無慈悲な暴力の塊だ。

「うわああああああああああ」

「逃げろおおおおおおおおお」

 残された王子の手勢をまとめて飲み込んでいく。
 鎧は腐敗し、肌は切り裂かれ、男たちは嵐に屈していた。

「たった一振りで壊滅した……だと」

 リックス王子が剣を落として、その場で立ち竦む。

「み、認めない。どうせその宝剣がなければ……お前は弱い子供なんだ! 武器が悪かったんだ!」

(見苦しいですね。王族ならば、潔く自刃する気概を見せて欲しいものです)

「……そうだね。僕も誰かに頼らないと、弱い人間のままだよ」

 活躍してくれた【ストームブリンガー】を撫でながら。
 僕は王子の目の前まで近付いた。彼の剣を回収して遠ざける。

「でも、お前と違って……ただ後ろで見ているだけじゃない。僕もレイリアも命を懸けているんだよ!」

「があっ!?」

 馬鹿王子の頬を、僕は全力の拳で殴り付ける。
 リックス王子は口から血を出し、それだけで地面にうずくまった。

「ああ……痛い……痛いよぉ」

 才能はあっても、自分一人で何かを成した事がないんだ。
 こうして痛い思いをするのも初めてで、精神が未熟でしかない。

「――そこまでだ。王家に仇なす罪人よ。我が弟にそれ以上の手出しはさせん!」

 僕たちの周囲に、新たな増援が現れていた。
 先頭に立つのはリックス王子に顔付きが似ている人物だ。

(はぁ……一体何なのでしょうか。馬鹿は遺伝するのですかね) 

「レイリアを虐めていたのは一人だけじゃないだろうし……彼も同じだと思う」

 こんな最悪な兄弟に囲まれて、とても辛かったはずだ。

「ロックス兄上! ははは、お前はもう終わりだ! 兄上は今一番王座に近い御方なんだぞ!」

「わはははは。下民風情が、我が国に楯突いた事を後悔させてやる!」

 勢い付いた兄弟が不快な笑い声を発する。

「――あら、次期国王候補様がこんな所で何をしているのかしら?」

「えっ」

 ロックス王子の背後に、引き攣った笑顔のアイギスが立っていた。

「よ、弱すぎて逆に申し訳ないような……瞬殺してしまってごめんなさいぃ!」

 フードを被ったコクエンも一緒だ。増援はすべて倒されていた。

「ま、待ちたまえ……私は……!」

「王子だから何よ? 偉いつもり? 貴方が相手しているのは私のマスターなんだけど!!」

「うぎゃあああああああああああああああ」

 ロックス王子の腕がとんでもない方向に曲がる。

「あひっ。アイギスさん、まずいですよ! それ以上やっちゃうと本当に国を敵に回しますぅ!」

「コクエン、安心しなさい。エル、コイツの腕を治して」

「はい、癒しの水!」

 エルのスキルによって王子の腕が元通りになる。
 骨折も治るんだね。エリクシルの治癒能力は凄まじい。

「あれ……痛いのがなくなった……?」

「そう、それは良かったわね。なら、もう一度全力で折ってあげる」

「うぎゃあああああああああああああああ」

 再度の両腕を捻じ曲げられて、ロックス王子が泡を吹き、白目を剥いた。

「何度も何度でも苦しみを味わいなさい。王族だから殺しはしないけど。楽にもしてあげない」

 旧工房区に悲鳴が響き渡る。流石に誰かが気付きそうだけど。
 街の喧噪は変わらずに、無慈悲なほど王子たちの助けはやってこない。

「わかっていると思うけど、次は貴方の番だから。これまでも権力を使って裏で好き放題してきたのでしょう? 巷で聞いた貴方たちの評判は最悪だったわ。随分と民衆から恨まれているようね。泣き叫んでも救いの手は訪れないわよ。これは当然の報いだから」

「た……たすけ……ゆるして」

 アイギスのゴミを見る冷たい視線が、リックス王子に突き刺さる。
 腰を抜かした王子は股から湯気を立てている。辺りに刺激臭が漂いだす。

「うっ……一国の王子様がお漏らししてるよ。臭いよぉ。しくしく」

「こんな、ちがう、おれは……みるな。見るなああああ、あああ……!!」
 
 この襲撃自体が違法なのだから、あとは王子を無傷で生かしておけば。
 僕たちが責められる理由はないはず。エルの癒しの水があれば簡単にできる。

 一度壊れた精神は治せないと思うけど……そこはまぁ、自業自得だしね。
 
「ひいっ、暴虐王の部下も悪魔ばかりじゃないか……」

「傷を治してまで何度も痛めつけるなんて、正気じゃない……狂ってやがる!!」

「奴らには相手が王族だろうと関係ないんだ! 逃げろ、俺たちも殺されてしまう!」

 雇い主の悲惨な拷問を目の当たりにして、
 武器を捨てて逃げ去っていく王子の取り巻きたち。
 結局、正規の騎士じゃないから、忠誠心も中途半端だ。

「あらら、怪我をしているのに全力で逃げちゃったよ。また変な噂を広められるんだろうなぁ」

(関係者全員分の顔データは取っていますので。もう遅いのですがね)

 ライブラさんのおかげで、追いかける手間が省けそうだ。
 探せば余罪もたくさんあるだろうし、あとで騎士団に報告しておこう。

「ストブリはしばらく剣のままかな。そろそろ宿に戻ろうか。えっと、アイギス……もう満足した?」

「全然。借りている部屋はたくさんある事だし、二人は私たちの大切なお客様として丁重にもてなすわ。……明日の朝まで気持ちいい悲鳴を聞かせてくれたら嬉しいけど。それまで精神が持つかしら?」

「エルのスキルが大活躍です!」

(あそこは王族御用達の宿ですし。王子二人を追加しても問題にはなりませんからね。念の為に第三王女にも一報を入れておきましょう。私様の世界一可愛い妖精の姿であれば王宮に忍び込み放題です)

 レイリアなら事情を説明すれば、手を貸してくれるはず。
 というか、明日まで拷問を続けるんだ。アイギスは怒ると怖い。

「ああぁぁ……」
「やめてぇ……」

「あひっ、お二方とも気を失ってしまいました。これで持ち運びやすくなりました」

 動かなくなったリックス王子とロックス王子を縄で縛り付けて。
 布を被せて宿まで持ち帰る。何だか本当に暴虐王になった気分だった。
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