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第三章
第59話 魔導ゴーレム
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翌日、試験二日目の早朝から大きな動きがあった。
仮眠を終え窪みから外を確認すると、集団が通り過ぎる。
「くそっ、初日から時間を無駄にした。こうなったら上位勢を狙うしかない!」
「これだけの数を揃えておけば、狙撃も有効には働かないだろう!」
「大差で一位を取ったロロアを倒せば、俺たち全員にもまだチャンスが生まれるぞ」
「あのガキめ。瓶で頭を殴られた仕返しをしてやる!!」
初日に倒された復帰者八人がパーティを組んでいたのだ。
ポイント数がゼロから再開なので、協力関係を結ぶしか逆転できない。
その時点で一位は諦めないといけないけど。妨害に徹しようとしている。
「当然だけど、恨まれているなぁ……しばらく潜んでおこう」
こちらとしてもポイントがない相手と戦う理由がない。
しかも倒しても、最終日にまた人数を増やして襲ってくる。
失うものが何もない相手ほど怖いものはない。
この試験中では魔導ゴーレム以上の、一番厄介な相手だ。
他の生存者たちも息を潜めているはず。二日目は耐える時間かな。
「やっぱり初日に稼いでおいて正解だったね」
初日で宝箱はある程度回収され尽くしている。
ここから先、上位勢のポイント数に大きな変化はないはず。
下位同士が勝手に争って、少ないポイントを奪い合う構図だ。
「あとの懸念材料は二位と三位がぶつかり合う事だけど」
現在の二位がクロスト。三位がルガンという冒険者らしい。
どちらもEランクで、ルガンさんは僕に声を掛けてくれた人だった。
ご丁寧に顔の特徴が【情報板】に詳細に書かれてある。
僕の場合は、十二歳という特徴だけでバレてしまっている。
初日から稼いでいるという事は、本気でDランクを目指しているんだ。
二位と三位はいずれぶつかり合うと思う。そうなると僕も危ういかも。
最終日に彼らのポイントが合算されると、追い付かれるかもしれない。
独走だからといって油断はせず、隠れながら残された宝箱を探し出そう。
――そうして二日目の前半は停滞した状況が続いた。
復帰者パーティが巡回する中、洞窟内を慎重に移動する。
途中で宝箱は一つだけ見つけた。中身は3ポイント。合計101に。
「シュゥ……シュー」
地底湖近くで煙が排出されている。小型の魔導ゴーレムだ。
前回倒したものは黒色だったけど。今回は雪のように真っ白だ。
何か特殊な機能でもあるんだろうか。
背中を向けている隙に音を立てずに近付く。
「あれ? 反応が鈍いな。既に誰かにやられちゃったのかな」
「シュウシュー」
触れると煙が止まった。地面に倒れて動かなくなる。
魔導生物を模したゴーレムは、動力源に魔石を使用する。
この子は魔石の能力に、回路の耐久性が追い付いていないんだ。
「あれ……この子の魔力は、身に覚えがあるぞ」
生物に宿る魔力は、指紋のように同じものにはならない。
この子の魔力には覚えがあった。どこかで出会ったはずだけど。
しかも数年前とかではなくつい最近の話だ。誰の魔石だろうか。
「うーん。一つだけ色が違うのも変だし。試験とは関係ないような」
収納棚を探すも見つからず。白い札が入っていない。
この子は試験用のゴーレムじゃないんだ。迷い込んだらしい。
「洞窟内に置いておくと他の冒険者に壊されそうだし保護しよう」
僕は白いゴーレムを抱えて移動する。重いけど我慢だ。
不利になるのはわかっている。だけど放置はできないんだ。
「シュウシュ」
「君だって、何かを成す為に生まれたんだもんね」
本来の役割から外れた子が、
無意味に壊されるのを見ていられない。
エルたちだってきっと助けたいと思うだろうから。
安全な場所を探しに引き返そうとすると。
「見つけたぞ! 一位のロロアとかいう子供だ!」
「うわっ、最悪だ。見つかっちゃったよ」
復帰者パーティの一人が大きな声をあげる。
次々と地底湖の辺りに人の足音が増えていく。
「ぎゃあ!?」
「怯むな、奴は連射はできないぞ!」
「【魔法壁】を使え!」
一人をトロンで気絶させるも、その後ろから新手が。
スキルで魔法障壁を何重にも展開してくる。魔導銃の天敵。
同時に大量の投剣と魔法が。人数とスキルでのゴリ押しだ。
アイギスを構えながら後ろに下がる。白いゴーレムを守らないと。
「反撃する暇がないよ……クリエイト!」
【創造の樹杖】で強固な木製の砦を創造する。
すぐに火属性魔法で燃やされるが、時間は稼いだ。
白いゴーレムを抱えようとすると、肩に手を乗せられた。
「だ、誰ですか!?」
振り返ると、見覚えのある人物が。
「ロロア、手を貸してやる」
目の前に現れたのは現状三位のルガンさんだ。
武器を背負ったまま、手のひらをこちらに向けている。
「群れる奴らから逃れたいんだろう?」
「助かります……!」
理由はわからないけど。ここは素直に助けて貰おう。
白いゴーレムを二人で担いで大岩の後ろに。敵との距離はまだ近い。
「よし、ここで静かにしておけよ――【幻影人】」
ルガンさんと同じ形の影が外に飛び出ていく。
幻術系のスキル。しかもかなり珍しい自立型のものだ。
「居たぞ! ロロアじゃないが、二位のルガンだ!」
「奴のポイント数も高いぞ。追いかけろ!!」
逃げる影を追って復帰者パーティが離れていく。
安全を確認してほっと一息を付く。ゴーレムも無事だ。
やっぱり人が使うスキルは厄介だ。魔物と違い多様性があり過ぎる。
「これで少年は、俺に貸し一つだな」
「そうですね。ありがとうございます」
お礼を伝えると、ルガンさんは顎を擦りながら僕を見下ろす。
「俺はまだ君の事を深くは知らないが。信用できる人物だと考えている。ゴーレムを助けようとしていたところから見ていたが、君は随分と優しい、悪く言えば甘い性格のようだ」
「そう言われても仕方ないとは思います。だけど、それが僕の生き方ですから」
白いゴーレムを撫でながらハッキリと答えると。
ルガンさんはにやりと口元を動かす。
「そんな甘い少年に提案があるんだ。ここは俺たちも、協力しないか?」
仮眠を終え窪みから外を確認すると、集団が通り過ぎる。
「くそっ、初日から時間を無駄にした。こうなったら上位勢を狙うしかない!」
「これだけの数を揃えておけば、狙撃も有効には働かないだろう!」
「大差で一位を取ったロロアを倒せば、俺たち全員にもまだチャンスが生まれるぞ」
「あのガキめ。瓶で頭を殴られた仕返しをしてやる!!」
初日に倒された復帰者八人がパーティを組んでいたのだ。
ポイント数がゼロから再開なので、協力関係を結ぶしか逆転できない。
その時点で一位は諦めないといけないけど。妨害に徹しようとしている。
「当然だけど、恨まれているなぁ……しばらく潜んでおこう」
こちらとしてもポイントがない相手と戦う理由がない。
しかも倒しても、最終日にまた人数を増やして襲ってくる。
失うものが何もない相手ほど怖いものはない。
この試験中では魔導ゴーレム以上の、一番厄介な相手だ。
他の生存者たちも息を潜めているはず。二日目は耐える時間かな。
「やっぱり初日に稼いでおいて正解だったね」
初日で宝箱はある程度回収され尽くしている。
ここから先、上位勢のポイント数に大きな変化はないはず。
下位同士が勝手に争って、少ないポイントを奪い合う構図だ。
「あとの懸念材料は二位と三位がぶつかり合う事だけど」
現在の二位がクロスト。三位がルガンという冒険者らしい。
どちらもEランクで、ルガンさんは僕に声を掛けてくれた人だった。
ご丁寧に顔の特徴が【情報板】に詳細に書かれてある。
僕の場合は、十二歳という特徴だけでバレてしまっている。
初日から稼いでいるという事は、本気でDランクを目指しているんだ。
二位と三位はいずれぶつかり合うと思う。そうなると僕も危ういかも。
最終日に彼らのポイントが合算されると、追い付かれるかもしれない。
独走だからといって油断はせず、隠れながら残された宝箱を探し出そう。
――そうして二日目の前半は停滞した状況が続いた。
復帰者パーティが巡回する中、洞窟内を慎重に移動する。
途中で宝箱は一つだけ見つけた。中身は3ポイント。合計101に。
「シュゥ……シュー」
地底湖近くで煙が排出されている。小型の魔導ゴーレムだ。
前回倒したものは黒色だったけど。今回は雪のように真っ白だ。
何か特殊な機能でもあるんだろうか。
背中を向けている隙に音を立てずに近付く。
「あれ? 反応が鈍いな。既に誰かにやられちゃったのかな」
「シュウシュー」
触れると煙が止まった。地面に倒れて動かなくなる。
魔導生物を模したゴーレムは、動力源に魔石を使用する。
この子は魔石の能力に、回路の耐久性が追い付いていないんだ。
「あれ……この子の魔力は、身に覚えがあるぞ」
生物に宿る魔力は、指紋のように同じものにはならない。
この子の魔力には覚えがあった。どこかで出会ったはずだけど。
しかも数年前とかではなくつい最近の話だ。誰の魔石だろうか。
「うーん。一つだけ色が違うのも変だし。試験とは関係ないような」
収納棚を探すも見つからず。白い札が入っていない。
この子は試験用のゴーレムじゃないんだ。迷い込んだらしい。
「洞窟内に置いておくと他の冒険者に壊されそうだし保護しよう」
僕は白いゴーレムを抱えて移動する。重いけど我慢だ。
不利になるのはわかっている。だけど放置はできないんだ。
「シュウシュ」
「君だって、何かを成す為に生まれたんだもんね」
本来の役割から外れた子が、
無意味に壊されるのを見ていられない。
エルたちだってきっと助けたいと思うだろうから。
安全な場所を探しに引き返そうとすると。
「見つけたぞ! 一位のロロアとかいう子供だ!」
「うわっ、最悪だ。見つかっちゃったよ」
復帰者パーティの一人が大きな声をあげる。
次々と地底湖の辺りに人の足音が増えていく。
「ぎゃあ!?」
「怯むな、奴は連射はできないぞ!」
「【魔法壁】を使え!」
一人をトロンで気絶させるも、その後ろから新手が。
スキルで魔法障壁を何重にも展開してくる。魔導銃の天敵。
同時に大量の投剣と魔法が。人数とスキルでのゴリ押しだ。
アイギスを構えながら後ろに下がる。白いゴーレムを守らないと。
「反撃する暇がないよ……クリエイト!」
【創造の樹杖】で強固な木製の砦を創造する。
すぐに火属性魔法で燃やされるが、時間は稼いだ。
白いゴーレムを抱えようとすると、肩に手を乗せられた。
「だ、誰ですか!?」
振り返ると、見覚えのある人物が。
「ロロア、手を貸してやる」
目の前に現れたのは現状三位のルガンさんだ。
武器を背負ったまま、手のひらをこちらに向けている。
「群れる奴らから逃れたいんだろう?」
「助かります……!」
理由はわからないけど。ここは素直に助けて貰おう。
白いゴーレムを二人で担いで大岩の後ろに。敵との距離はまだ近い。
「よし、ここで静かにしておけよ――【幻影人】」
ルガンさんと同じ形の影が外に飛び出ていく。
幻術系のスキル。しかもかなり珍しい自立型のものだ。
「居たぞ! ロロアじゃないが、二位のルガンだ!」
「奴のポイント数も高いぞ。追いかけろ!!」
逃げる影を追って復帰者パーティが離れていく。
安全を確認してほっと一息を付く。ゴーレムも無事だ。
やっぱり人が使うスキルは厄介だ。魔物と違い多様性があり過ぎる。
「これで少年は、俺に貸し一つだな」
「そうですね。ありがとうございます」
お礼を伝えると、ルガンさんは顎を擦りながら僕を見下ろす。
「俺はまだ君の事を深くは知らないが。信用できる人物だと考えている。ゴーレムを助けようとしていたところから見ていたが、君は随分と優しい、悪く言えば甘い性格のようだ」
「そう言われても仕方ないとは思います。だけど、それが僕の生き方ですから」
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「そんな甘い少年に提案があるんだ。ここは俺たちも、協力しないか?」
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