ギルドを追放された【ぼっち】だけど、スキル【自動生成ダンジョン】がSSSランクの魔剣や友人を生み出してくれました。

お茶っ葉

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5話 旅立ちの朝

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 真っ新な空に綺麗な朝日が昇る。宿を出た俺は小さくまとめた荷物を担ぐ。
 まだ眠そうにしているフランが、まぶたを擦りながら背中にくっついていた。
 
 一日一日を食い繋ぐだけのつまらない日常だった。
 奇跡的に冒険者となって、それでも活躍できず酒場に入り浸れる日々。
 友人なんて一人もいなくて、でも今はこうして人間ではないが、剣精が傍にいてくれる。

「この街とも今日でお別れか。振り返ると嫌な思い出ばかりだが。得られた物も無くはなかったか」

 最後に宿のおばちゃんに別れを告げて。愛想笑いを受け取り。
 朝の人通りの少ない大通りを歩く。目指す先はここからほど近いボルスタという小さな村だ。
 
 街を離れる理由としては、ギルドカードを剥奪され、冒険者として稼げなくなったからだ。
 もう一度試験を受けて再発行してもらうにしても、最低一年は時間を空けなければいけない。
 
 それが冒険者のルールだった。

 それまでの空白期間を無駄に過ごすのはもったいない。
 いっそ旅に出かけようと考えた次第だ。フランの力を借りれば道中の安全は確保される。
 
 どちらにしろトップが汚職にまみれたこの街に用はない。
 魔剣の存在を知られれば、次また何をされるかわかったもんじゃないからな。

「――――おーい。カイル、待ちやがれ!!」
「……おっさん? どうしてここに?」

 誰にも伝えずに夜逃げの如く街を去るはずだった。
 背中に声を掛けてきた男は、ここ数年嫌というほど顔を合わせてきた人物。

「何も言わずに黙って行きやがって。薄情な奴だな」
「いや、俺とおっさんってそこまで仲良くはなかっただろ。――どうしてわかったんだ?」
「お前は顔に出るからな。……最後に餞別せんべつをくれてやる。特別に俺の名を教えてやるよ」
「は? 突然どうしたんだ」

 おっさんは人に名前を語りたがらない。
 それは危険な仕事である冒険者を相手に商売をしているからか。
 親しくなれば別れが惜しくなる。一定の距離を保つように心掛けていたらしい。
 
 俺の場合万年Gランクで危険とは縁が無かったから、こうして話すようになったんだが。

「今さらおっさんの名前に興味なんて――」
「オッサだ。俺の名はオッサ・バギンズだ。よーく覚えておけ!」
「オッサって……名前までおっさんじゃん」
「ふっ、昔はよくそう言われていたな」

 オッサは俺に酒の入った一升瓶を無言で渡してくる。
 
「まぁ何だ。お前にとってこの街は嫌な思い出も多いだろうが。だが、気が向いたらいつでも戻ってこい。席は空けておいてやる。んで、酒の力で忘れさせてやるよ」
「……何だ何だ。おっさん。ここにきてデレ期か? 遅すぎるぞ」
「お前はいい金づるだからな! 死なれちゃ困るんだよ!!」
「だと思ったよ。誰が帰ってくるもんか。おっさんこそ末永く生きてくたばりやがれ!!」
「マスターがお世話になりました!」
「嬢ちゃんも元気でな。糞弱いカイルの野郎を守ってやってくれ!」
「お任せください!」

 笑いながら、叫びながら、手を振って別れを告げる。
 最後にはこうして綺麗な気持ちで終われて。俺の人生も多少は悪くないじゃないかと思えた。

 ――――我ながら単純な思考だ。

 ◇

「やっべ道に迷った。周りは木に囲まれて視界も悪いし。宿に戻りてぇ……!」

 決意を新たに旅に出たのだが、二時間も経てば熱が冷めてくる。
 考えてもみれば、いつも安全が確保された森や山を回っているだけで。
 こうして未知の領域に踏み込むのは数年振りだ。緊張で喉が渇いてきた。

 飲み過ぎて水筒の中身も心許ない。計画性のなさが浮き彫りになる。
 冒険者なのに旅に慣れていないって、これだから俺は万年Gランクなんだ。
 
「マスター頑張れー! フランが応援していますよ。ピヨピヨもそう言ってます!」

 後ろで精一杯応援しているフランの頭には小鳥が乗っていた。
 剣精は小動物を集める匂いでも発しているのか。静かな森のはずが無駄に賑やかだ。
 魔物もこの騒ぎに便乗して集まってこないだろうか。一応、危険な生物は少ないと聞いているが。

「……もう慣れたぞ。いちいち驚きはしないからな」

 目の前に現れた穴は地下へと通じる階段があった。
 まるで俺の存在を歓迎するかのように大口を開いている。

 いや、待てよ。これはいつものダンジョンなのか。
 それとも初めからこの場所にあったものなのか。その区別が付かないぞ。
 この場合、後者の方が安全だと思うが……ドラゴンには嫌な思い出しかないからな。

 下手に触れない方がいいか。背中を向ける。
 
「マスター、周囲に魔物の気配がします!」

 こちらを見上げたフランが、魔剣を振りながら嬉しそうに申告してきた。
 この子は何でも楽しそうだな。羨ましい限りだ。普通は恐怖を感じるものだが。

「魔剣を借りるぞ」
「どうぞどうぞ! いっぱい使ってくださいな!」

 いつもなら慌てて逃げるところだが。
 俺はドラゴンを倒した男なんだ。この辺の雑魚相手に負けるはずがない。
 だが、すぐにでも撤退する準備はしておこう。何があるかわから――

 ムオオオオオオオオオオオオオオ

 ――背後から咆哮。
 先程見つけたダンジョンの入り口から、斧を担いだ牛の顔を持つ生物が現れる。
 ドラゴンほどではないにしろ、危険度でいえばCランクの魔物。

「ミノタウロス……!?」 
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