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プロローグ
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「ぐあ~!」
薄暗いダンジョンの中で断末魔の叫び声があがった。
キンキンキン。
ぐしゃり。
俺は右手につけられた機械の腕を用いて襲い掛かってきた冒険者を捻り潰した。
「なんだその機械の腕は! チートじゃねえか!」
「言う程か? ちょっと伸縮自在で魔法と物理攻撃受け付けなくて怪力なだけじゃねーか」
「それがチートだって言ってんだよ! 俺のなんでも切り裂くはずのチート武器『ジャクザリパア』の攻撃を弾くなんて……」
「あー、なんか超合金? 的な? 何かでなんでも防げる盾にもなるとか言ってたな。矛と盾が戦って盾が勝っただけだろ」
「そんな……しかし聞いたことがある。チートへの思い入れが強いほど能力は高まるって。あんたはそこまでロボを愛しているのか!」
ぶちり。
男の一言で俺の脳内で何かがブチ切れる音がした。
「愛だと? ふざけんな。ロボなんて大嫌いだよ。だからあのジジィは俺にこんなのを渡したんだろうな」
クソみたいな神。
俺をおちょくるだけおちょくってチート能力をくれると言われたので、何もいらねえと言ったはいいが。
俺の趣味を完全に把握した上で、一番嫌がる能力を勝手に押し付けやがった。
右手の武器が瞬時に形態変化し、銃的な構造をした何かに変わる。
「とりあえず死ね」
ずどどどどどどど。
無造作に銃身を向けると勝手に銃弾が弾き出された。
けれど衝撃はほとんど生まれない。
どうなってやがるんだ。
俺は疑問に思ったが、機械のことを考えると頭が痛くなるので何も考えないことにした。
「クソが。さっさとウセろ」
念じると機械の腕は小さくなる。
だが消えはしない。
右手のガシャガシャ鳴る金属音が耳障りでストレスが溜まるぜ。
「余計な邪魔が入った。さっさとこのダンジョンを攻略するか」
俺の目的はただ一つ。
このクソみてえな腕を元に戻すこと。
そのために神をぶん殴る力を得ることだ。
「ククク……待ってろよクソ神」
ガシャガシャ。
「うるせえ……」
ガシャガシャ……。
「ストレスの量でパワーアップできるなら今頃俺は世界最強だな」
なんてったって右手の機械は歩く度にガシャガシャ言いやがる。
歩くだけで能力値アップだ。
どうせならそれくらい手軽に強くなりたかった。
俺は機械の腕をよくわからないまま無造作に振るい、襲いかかってきたモンスターを潰していく。
ぐしゃり。
ぷちん。
ぶちゃあ。
腕を振るう度に胸の奥の大事な何かが少しずつかけていくようだった。
しかし、この腕と早急にオサラバするにはこれが最も効率が良い。
ダンジョンには至宝と呼ばれるマジックアイテムがある。
そのうちの一つに神との対話を行うものがあるという噂だ。
そうでなくとも至宝である、腕を治すものの一つや二つその辺に転がっているかもしれない。
そんなわけでここ最近の俺は目についたダンジョンを片っ端から攻略していっている。
しかしここいらのダンジョンは粗方攻略され終わったあとらしく、ゴミクズみたいなアイテムしか出てこなかった。
「ちっ、また外れか……」
ダンジョンの最奥までたどり着き、宝箱を開けてみるが出てきたのは映像を投射するだけのクリスタル一つ。
ぐしゃあ。
俺は無造作にクリスタルを握り潰した。
気に入らないものを即座に握り潰せる点だけは優秀だな。
ぴこりーん。
「なんだ?」
奇妙な音とともに視界の隅によくわからん文字列が浮かび上がる。
うざってえな。
『条件を達成しました。抹消する悪魔の右腕(エグ・ラグド)をアップグレードしますか?』
薄暗いダンジョンの中で断末魔の叫び声があがった。
キンキンキン。
ぐしゃり。
俺は右手につけられた機械の腕を用いて襲い掛かってきた冒険者を捻り潰した。
「なんだその機械の腕は! チートじゃねえか!」
「言う程か? ちょっと伸縮自在で魔法と物理攻撃受け付けなくて怪力なだけじゃねーか」
「それがチートだって言ってんだよ! 俺のなんでも切り裂くはずのチート武器『ジャクザリパア』の攻撃を弾くなんて……」
「あー、なんか超合金? 的な? 何かでなんでも防げる盾にもなるとか言ってたな。矛と盾が戦って盾が勝っただけだろ」
「そんな……しかし聞いたことがある。チートへの思い入れが強いほど能力は高まるって。あんたはそこまでロボを愛しているのか!」
ぶちり。
男の一言で俺の脳内で何かがブチ切れる音がした。
「愛だと? ふざけんな。ロボなんて大嫌いだよ。だからあのジジィは俺にこんなのを渡したんだろうな」
クソみたいな神。
俺をおちょくるだけおちょくってチート能力をくれると言われたので、何もいらねえと言ったはいいが。
俺の趣味を完全に把握した上で、一番嫌がる能力を勝手に押し付けやがった。
右手の武器が瞬時に形態変化し、銃的な構造をした何かに変わる。
「とりあえず死ね」
ずどどどどどどど。
無造作に銃身を向けると勝手に銃弾が弾き出された。
けれど衝撃はほとんど生まれない。
どうなってやがるんだ。
俺は疑問に思ったが、機械のことを考えると頭が痛くなるので何も考えないことにした。
「クソが。さっさとウセろ」
念じると機械の腕は小さくなる。
だが消えはしない。
右手のガシャガシャ鳴る金属音が耳障りでストレスが溜まるぜ。
「余計な邪魔が入った。さっさとこのダンジョンを攻略するか」
俺の目的はただ一つ。
このクソみてえな腕を元に戻すこと。
そのために神をぶん殴る力を得ることだ。
「ククク……待ってろよクソ神」
ガシャガシャ。
「うるせえ……」
ガシャガシャ……。
「ストレスの量でパワーアップできるなら今頃俺は世界最強だな」
なんてったって右手の機械は歩く度にガシャガシャ言いやがる。
歩くだけで能力値アップだ。
どうせならそれくらい手軽に強くなりたかった。
俺は機械の腕をよくわからないまま無造作に振るい、襲いかかってきたモンスターを潰していく。
ぐしゃり。
ぷちん。
ぶちゃあ。
腕を振るう度に胸の奥の大事な何かが少しずつかけていくようだった。
しかし、この腕と早急にオサラバするにはこれが最も効率が良い。
ダンジョンには至宝と呼ばれるマジックアイテムがある。
そのうちの一つに神との対話を行うものがあるという噂だ。
そうでなくとも至宝である、腕を治すものの一つや二つその辺に転がっているかもしれない。
そんなわけでここ最近の俺は目についたダンジョンを片っ端から攻略していっている。
しかしここいらのダンジョンは粗方攻略され終わったあとらしく、ゴミクズみたいなアイテムしか出てこなかった。
「ちっ、また外れか……」
ダンジョンの最奥までたどり着き、宝箱を開けてみるが出てきたのは映像を投射するだけのクリスタル一つ。
ぐしゃあ。
俺は無造作にクリスタルを握り潰した。
気に入らないものを即座に握り潰せる点だけは優秀だな。
ぴこりーん。
「なんだ?」
奇妙な音とともに視界の隅によくわからん文字列が浮かび上がる。
うざってえな。
『条件を達成しました。抹消する悪魔の右腕(エグ・ラグド)をアップグレードしますか?』
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