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アリとキリギリスと猫
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夏。太陽(たいよう)がぎらぎらと輝(かがやく)く日差しの下、働き者のアリたちは汗(あせ)を流しながらせっせと食料(しょくりょう)を運んでいました。
「冬はすぐに来る。今のうちに蓄(たくわ)えておかなくては……!」
一方そのころ、近くの草の上では、キリギリスがバイオリンを弾(ひ)きながらのんびり歌(うた)っていました。
「あ~♪ 働(はたら)いたってつまらない♪
食べ物なんて、そのときになったら考えればいいさ~♪」
アリたちは心配(しんぱい)して声をかけます。
「キリギリスさん、冬が来る前に少しは働いたほうがいいですよ」
「や~だね!人生は楽しんだ者勝ち!」
笑い飛ばして遊び続けるキリギリス。こうして夏が終わり、秋が過ぎ、やがて冬がやってきました。
吹き荒れる北風、積(つ)もる雪。食べ物を確保していたアリたちは暖(あたた)かな巣(す)でぬくぬく暮らしています。
しかし、キリギリスはというと――
「さ、さむい……おなかすいた……」
震(ふる)えながら、倒れそうになりながらも誰(だれ)かに助けを求め彷徨(さまよ)っていました。
そこへ、突如(とつじょ)として現れた黒い影(かげ)。
猫耳にマント、眼帯(がんたい)をつけた謎の猫――
その名は「ねこ丸」。
「……やれやれ、働かないやつを見ると、ウズウズするにゃ」
ジャキッ――!
ねこ丸は腰(こし)から取り出した**黒光りするマグナム(※合法)**をキリキリッと構(かま)え、冷たい笑みを浮かべました。
「働かざる者、食うべからず…この言葉、知っているか?」
「へ、へへぇぇ……!な、なんでもしますから!」
キリギリスは土下座(どげざ)し、泣きながらブルブル震えます。
「よろしい。
今日からお前は“アリ組”の下っ端として、働いて働いて働き倒すにゃ!」
ビシィッ!
マグナムで空をぶっ放し、威嚇(いかく)するねこ丸。
慌(あわ)ててアリの巣(す)へ向かい、歯(は)をガチガチ鳴らしながら労働(ろうどう)を始めるキリギリス。
──それから1か月後。
「はい!今日の仕事終わりましたッス!」
疲れきりながらも、テキパキと働き、食料を運びまくるキリギリスの姿が。
アリたちは驚(おどろ)きながら拍手(はくしゅ)します。
「キリギリスさん、すっかり立派になりましたね!」
「ねこ丸様のおかげっス……命の恩猫っス……!」
物陰(ものかげ)でマグナムを磨(みが)きながら、それを見守るねこ丸。
「ふっ。今日も1匹、更生成功(こうせいせいこう)…にゃ」
「冬はすぐに来る。今のうちに蓄(たくわ)えておかなくては……!」
一方そのころ、近くの草の上では、キリギリスがバイオリンを弾(ひ)きながらのんびり歌(うた)っていました。
「あ~♪ 働(はたら)いたってつまらない♪
食べ物なんて、そのときになったら考えればいいさ~♪」
アリたちは心配(しんぱい)して声をかけます。
「キリギリスさん、冬が来る前に少しは働いたほうがいいですよ」
「や~だね!人生は楽しんだ者勝ち!」
笑い飛ばして遊び続けるキリギリス。こうして夏が終わり、秋が過ぎ、やがて冬がやってきました。
吹き荒れる北風、積(つ)もる雪。食べ物を確保していたアリたちは暖(あたた)かな巣(す)でぬくぬく暮らしています。
しかし、キリギリスはというと――
「さ、さむい……おなかすいた……」
震(ふる)えながら、倒れそうになりながらも誰(だれ)かに助けを求め彷徨(さまよ)っていました。
そこへ、突如(とつじょ)として現れた黒い影(かげ)。
猫耳にマント、眼帯(がんたい)をつけた謎の猫――
その名は「ねこ丸」。
「……やれやれ、働かないやつを見ると、ウズウズするにゃ」
ジャキッ――!
ねこ丸は腰(こし)から取り出した**黒光りするマグナム(※合法)**をキリキリッと構(かま)え、冷たい笑みを浮かべました。
「働かざる者、食うべからず…この言葉、知っているか?」
「へ、へへぇぇ……!な、なんでもしますから!」
キリギリスは土下座(どげざ)し、泣きながらブルブル震えます。
「よろしい。
今日からお前は“アリ組”の下っ端として、働いて働いて働き倒すにゃ!」
ビシィッ!
マグナムで空をぶっ放し、威嚇(いかく)するねこ丸。
慌(あわ)ててアリの巣(す)へ向かい、歯(は)をガチガチ鳴らしながら労働(ろうどう)を始めるキリギリス。
──それから1か月後。
「はい!今日の仕事終わりましたッス!」
疲れきりながらも、テキパキと働き、食料を運びまくるキリギリスの姿が。
アリたちは驚(おどろ)きながら拍手(はくしゅ)します。
「キリギリスさん、すっかり立派になりましたね!」
「ねこ丸様のおかげっス……命の恩猫っス……!」
物陰(ものかげ)でマグナムを磨(みが)きながら、それを見守るねこ丸。
「ふっ。今日も1匹、更生成功(こうせいせいこう)…にゃ」
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