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Connection 輝く星たちの宴
公演 輝く星は空の向こうに★
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もうすぐ支部大会が近い。
支部大会は全国大会の一歩手前だ。
この時点でも凄い演奏をする団体が目白押しになる。
開催時期はだいたい8月末から9月。
響一は聞いた話の複雑さとは違ってあっさり部活に戻って来た。
早朝に様子を見れば変わらないのは一目瞭然で早朝の合奏では変わらずプロをも黙らせる素晴らしい音だった。
昼に大会の為に楽器の輸送の打ち合わせ……を口実にお昼に誘っても変わらず。
藤棚の藤は流石に枯れてしまったが、そこにはベンチがあり屋外なら昼に最適の場所だ。
珍しく彼は普段はほとんどが買い弁なのに何故か手作り弁当だった。
中身を開いて苦笑する響一は珍しい。
「それは? 先輩が?」
「いや。親父」
これでも海は響一とは親しい方だとは思っている。
そのさらりと『親父』と言えるその人は響一に害を成す人ではない事ぐらい想像するに容易い。
「そういえば、君が元ヤンだとあっという間に広まったな」
「ええ、まー。でも部員に苦情は来なかったんで大丈夫っすよ」
「新しい指導者……八木橋先生だっけ?」
「あー。その人も最初は苦手だったんすけどね」
「最初は」
そう。最初は。
しかし最近はそうでもない。
「まぁ、必死に謝られて。指導も結構的確だし」
「ほー。どんな指導なんだ?」
「……あれ。テクニックの話じゃねっすね。情緒が足りんと。蓮華先輩ぐらいになれとは無茶苦茶っす」
そう言うと響一はくすくすと笑った。
「そうか。どうなることかと思ったが案外上手くやれそうだな」
「はい。そこはやっぱプロっすよ。何だかんだセレスタン先生と似た人でしたね。その場のテンション上げんの上手いし」
「そうか、そうか」
何も躊躇いもせずそのおかずを神妙な表情で咀嚼する姿は珍しく思わず海でも苦笑する。
「あの人に会ったんだってな?」
「それは……」
「セレスタン先生だ。少々、面倒な事になって来たな」
「って、先輩は毎回面倒でしょーが」
「それもそうか」
「それじゃあ先輩にも?」
「ああ。まぁ、慣れてはいるのだが来てほしくないタイミングで来てくれたよ」
「ふーん。言いますか……部員に?」
「時期を見て考える。アイリスは知ってるし」
「して、審査に影響は……」
響一は弁当箱を閉じ、また謎のキャラクターだらけの可愛い……かは謎な袋に箱を戻していた。
そのまま立ち上がる。
「大丈夫だ。問題ない。捩じ伏せる」
と、また響一にしては珍しい台詞と共に、海の頭にコンッとペットボトルが当てられる。
これは朝の礼だろう。
「カッケー」
そのまま去る響一に迷いは一切も無かった。
中学の時からだ。音楽で何かある度に。
こっちに来い、こっちに来い。
こちらとしては忘れたいぐらいの存在なのに。
中学の成績は一年は支部ダメ金、二年生は全国ダメ金、三年は全国金で結局優勝は逃している。
全ての曲に響一がメインで関わった訳はないがこれだけあからさまだと絶望もしたくなる。
暑い日射しの中、響一はボソリと呟いた。
「一番納得させたい人に響かなきゃ、意味がない」
握るペットボトルが凹む。
北海道支部
東北支部
(宮城県 岩手県 青森県 秋田県 山形県 福島県)
東関東支部
(栃木県 茨城県 千葉県 神奈川県)
西関東支部
(新潟県 群馬県 山梨県 埼玉県)
東京支部
東海支部
(愛知県 三重県 岐阜県 長野県 静岡県)
北陸支部
(福井県 石川県 富山県 )
関西支部
(大阪府 京都府 兵庫県 滋賀県 奈良県 和歌山県)
中国支部
(広島県 岡山県 山口県 鳥取県 島根県)
四国支部
(香川県 高知県 愛媛県 徳島県)
九州支部
(福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 鹿児島県 宮崎県 大分県 沖縄県)
によるガチバトル(演奏)大会なのだ。
比較的有名な京都等は関西大会と呼ぶこともある。
問題なのは東京支部大会。
これは東京都の軒並み有名高校から2、3高校が代表に選ばれる。
他の支部が他県と合同なのに対し東京都は少し特殊だ。
東京都は東京都として代表に選ばれる。
だからと言って楽ではない。
当然の様にレベルは高く更に全国に行けば期待は並大抵ではないのだ。
その切符を手にした藤堂高校は当然注目の的だ。
元々無名だったから、という理由も大きいけれど何よりセレスタンと蓮華 響一の存在は大きい。
演奏も。経歴も。
そんな五月蝿い外野を一瞬で黙らせる音。
テレビで観ただけだが昔少し音楽を齧っていただけの梓の父でさえ夕食中に箸を落として呆然としていたのは今でも鮮明だ。
このがらん、とした校内で三人で昼食を食べる。
ただそれだけなのに何故か随分久し振りの様な気がした。
時は真夏日。
天橋立 梓にとっては少し憎い季節だ。
チューバという楽器がとことん重く熱くなる季節なのだ。
アイリスはトランペット。柚姫はクラリネット。それぞれ金管と木管で特に木管は日射しは天敵だがサイズ的にはまだいい。
「なんか三人で昼食って感じ久し振りの様な気がする」
そう言うのは柚姫だ。
確かに入学してから初期はそうだった。
毎日、三人で昼食。
梓は比較的弁当である時が多く他二人は意外と買い弁である時が多い。
寮生であるアイリスが忙しいという事情でそうなのは分かるが柚姫に関しては少し意外だ。何でも憧れだとか。
「そりゃ。最近はパートで集まる事多いし」
そこからは沈黙。
夏休みの食堂なんてほぼ無人だ。むしろどうして今日は二人がいるのか。そこを考えなければならない。
そして考えると必然的に浮かぶのが二人の恋人だ。
二人とも吹奏楽部の女子という括りを外してもトップレベルで可愛いので恋人がいる事に関しては自然な話だ。
だが油断は禁物。
目の前の二人は恋人。正確には彼氏持ちなのだから。
相手がそれぞれ吹奏楽部部長の蓮華 響一と二年の必然的にリーダーである九条寺 海。
これでも梓の実家は一応カフェだ。
男性が苦手だという事はないが彼女たちの相手は相手でまたトップレベルにイケメンの実力者と来ている。
流石にもうチューバが恋人です、で誤魔化していると虚しいだけだ。
だからと言って梓にこれといった相手(人間)がいるかと問われると困ってしまう。
「……梓?」
「あ、ごめん! そうだね、なんだか久し振りですね」
「でも……それって私達のせいだと思うの。アイリスちゃん」
「……え?」
予想通り、アイリスはぽかんとした表情をしているが柚姫の言葉は案外正しい。
そして悲しくもアイリスもこと恋愛に関しては鈍くない。直ぐに察して微妙な顔で頷いた。
「あ、……ああ」
そうですよ!
私は何一つ変わっていません!!
変わったのは、変わっているのはお二人です!!
「そう! お二人ですーーーー!!」
「ひょえ!?」
「ちょ、誰も居ないからって突然叫ぶなよ!」
「だって……突然で驚いたのはこっちです。何かあったのですか?」
沈黙。
だから梓の元に集うのがそもそも間違いなのだ。
ようやく柚姫は口を開く。
「ほら、海君って蓮華先輩と仲良いでしょ?」
そう言えばそうだ。必然なのかこの二人の恋人は恋人で仲が良い。
柚姫の言葉にアイリスも頷く。
「何でか良いよな。ヤンキーとマジメ君って感じなのに」
「アイリスちゃん!!」
「良いじゃん。もう広まっちゃったし」
「そうですね……」
そう。もう広まってしまった。元々隠していた訳ではなさそうだが。
「そうなんだよね。こんなに話題になるなんて本人が一番ビックリしてるよ」
「まぁ、時々謎だったもんな。あのメガネ何か違和感……って感じ」
「それすっごく分かります」
そう。九条寺 海はあのダサ眼鏡が全く……似合っているとは思えない。
謎の目付きの鋭さとハキハキシャッキリしたリーダー気質があった。
それはとても頼もしかったので部員たちは今更彼が元ヤンキーだと言われても特に困ってはいないし妙に納得する所もあった。
「でも! 正直、蓮華先輩だってどういうこと、レベルで凄すぎでしょー!!」
柚姫が叫ぶのも分かるので梓はうん、うん。と頷いた。
アイリスは少し気まずそうに言う。
「仕方ねーじゃん。あの人、そういう事ベラベラ喋る人じゃないだろ? 結果的にその方が良かったし」
そう言われては何も言えない。
今だから良かったのだろう。あの、まだまとまりの無い時期にそんな事実が発覚してみろ。予想するだけでゾッとする。
「そうですね……蓮華先輩が部長で良かったです」
一時、梓は蓮華 響一が何故部長なのか全く分からなかった。
本人が言うぐらいの超物置き部長。
トランペットを吹く以外は何もしない。
しかしそれが如何に大変か常々思い知る。
それに彼は本当に何もしない部長ではない。
あの、まだ四月頃。
初心者も大勢いたあの時期に熱心に金管の指導をしたのは何を隠そう響一だ。
特にピストンの金管楽器の初心者はほぼ彼から楽器の基礎を習っている。
練習を率先していたり、促したり。そんな事は全くしないがその練習を否定する人でもない。
一人、同じ低音パートのユーフォの初心者が音が全く出ず。そんな時。あの地獄の合宿最終日に響一の音を聴いて泣く泣く辞めそうになった事があった。
レベルが違い過ぎる、と。
その気持ちは多くの部員が理解できたが響一は退部届けを前に必ず一言告げた。
『本当にそれでいいのか。まだ音も出ていない。君はまだ何も始まっていないのに』
と。そして、次に持ってくるならば相応の覚悟をしろ、と。
辞めるとは可能性を捨てる事だと。
それは少し意外だった。
もっとあっさり受け入れるか。違う言葉を言いそうなものなのに。彼は決して他人の努力を否定しない。
梓はようやく、この人は吹奏楽以前に音楽が、楽器を奏でる事が好きなのだと思い知った。
「でも……いいですよねぇ。お二人は彼氏持ちですし……」
『え?』
「梓だっているじゃん」
「そうだよ! 恋人の」
『チューバのセレス様!!』
二人は同時に叫ぶ。
あーあ。
だから嫌だったのに。
「もう、そんな非現実的な事は言いませんよ」
「えー、何でだよ。良いじゃん。自前チューバってスゲーぜ」
「うん、うん。あれを毎日担いで登校する根性は凄いよ」
梓は二人のこういう所が好きだった。
一言で断言すると可愛い。
そして性格も良しと来ている。
若干天然暴走の柚姫に意外と男前でクールなアイリス。
それぞれ気を使えるいい女だと断言しよう。
だから梓は勘で分かっていた。
二人は処女ではない。
それは女子高生にとっては重要なことで。気になることで気になる話題だが二人はそんなことは知ったことかと華麗にスルーする。時々彼氏がいるのも忘れそうになるほどだ。だから梓はずっと二人に聞きたいことがあるのだが上手く話題に出せない。
しかし。
ここは勇気を持って言おう。
「あの……私、お二人にお聞きしたいことがあるんです」
『え……?』
二人は同時にキョトン、とした表情をする。やはり超絶可愛いと同じ女の梓ですら思う。
「あの……込み入った話なのですが……」
「え、どうしたの? セレス様に何かあったの?」
「え? そうなのか?」
「一旦、セレス様は忘れて下さい!」
梓が真剣に叫ぶと二人はコクコクと頷いた。
「ぶっちゃけ言います。お二人は彼氏がいますよね?」
「うん。いるよ」
「あ……うん……?」
ズバッと頷く柚姫と何故か微妙に頷くアイリス。気になるが問題はそこではない。
「あの……その、そのですね。初めてって痛いんですか?」
今度は二人は同時にポカンとしている。確かに昼にする話題でもない。
しかし今を逃せば機はないのだ。
「初めて?」
「お二人、その……経験者ですよね?」
「あー……」
流石、アイリスは察しが良い。数分後、柚姫も意味を理解したのか微妙な表情をしていた。
「それって今する話題?」
「いや、何処をどう話せばいいんだよ……」
二人の問いは最もだ。
「でも……でも……知りたいんです」
「ふーん。つまり梓にも好きな人がいるのか」
梓はテーブルに顔面を伏せた。アイリスは察しが良過ぎる。
「え、誰だろ……人だよね?」
「人ですよ!!」
「うーん……偲君!」
「違います!」
「五井先輩!」
「違います!!」
そこでアイリスは閃いた、と言わんばかりに指をパチンと鳴らした。
「分かった。セレスタン先生だ」
「えー!?」
「な、何故……分かったのですか?」
「だって単にセックスの話を聞きたいなら柚姫だけでいい。私を呼んだ、ってことはつまり私も知ってる人だ」
『アイリスちゃん、スゲー!!』
梓と柚姫は同時に叫ぶ。
「でも、どうしてセレスタン先生? そりゃあ、イケメンだけど……」
「だって、だって……私のイメージするセレス様そのものなんです。最初は違うって、何度も思いました。けれど、真剣に指揮して、楽しそうで……私……」
そして二人は同時にうん、うんと頷く。
「アイリスちゃん、ごめんなさい……」
「いや、何でそこで私に謝るんだよ」
「え……だって……アイリスちゃんは……」
「もう恋愛感情はねーよ。私は……その、蓮華先輩が好きなんだ」
「そうですけど、今は!」
「あー、もー! いい。謝らなくていいし、相談に乗ってやるよ」
「アイリスちゃんって本当に格好いいよねぇ」
梓は柚姫の言葉に同意するしかない。
「ふぇえええ」
「泣くなよ、何が知りたいんだ?」
「……じゃあ、あの、……セレスタン先生って、今は恋人は……」
「音楽」
アイリスはズバッと言った。
「あらー。今までは?」
「さー。経験ぐらいはあると思うけど。ダチの親父が女紹介しても振られるぐらいは音楽が恋人だ」
「冗談ではないのですね……」
「そう。攻略は中々厳しいなぁ。オケメンバー、生徒、それだけで女として見て貰えない」
「うー」
アイリスは綺麗に食べ終えた弁当箱を片し、今度は何やら不思議な形をした、匂いからするにお菓子らしきものをテーブルの上に置いた。梓には見覚えはあるが本格的な物を食したことはない。
「それ、なあに?」
甘いものが大好きな柚姫は瞳を輝かせる。
「カヌレ。フランスの菓子。作ったのは蓮華先輩だけど」
「すごー! 海君から聞いてはいたけど本当に何でも作れるんだね」
「カヌレって結構難しいんですよ……しかも美味しい……」
梓はもぐもぐと食べながら感心する。
味。バニラの風味。堅さ。全てがパーフェクトだ。
「梓が認めるなら本物だな」
「うん、美味しい! ちょっと貰っていい?」
「良いぜ。蓮華先輩が一週間ぐらいは持つって言ってたから早めに食べろよ」
「うん!」
「九条寺先輩に?」
梓が問いかけると柚姫は首を振る。
「ううん。美化委員会の逆月先輩。最近茶菓子の研究してるの。お兄ちゃんと海くんの友達」
「へぇ」
「吹奏楽部の応援もしてくれてね。蓮華先輩のトランペットがとっても好きだって」
「蓮華先輩もそういや知ってたな」
「それはありがたいですねぇ」
「とーっても美形な人だよ。一見の価値あり!」
「彼氏がいる柚姫ちゃんが言うと説得力が違いますね」
「そう。同じ男を落とせるぐらい美形だね」
柚姫の言葉に梓は思わず水筒から飲んでいた紅茶を喉に詰まらせる。
「あ、ごめん、ごめん。経験の話だっけ。……そうだなぁ。私は痛くは無かったけど、前にも言ったけど未遂期間があったからなぁ」
「み、……未遂?」
「至るまでの色々?」
「色々……。器用だけど上手いかは比較しようがないなぁ。前後の情緒に問題あるし。多分、蓮華先輩の方が上手いと思うのです」
今度は傍観していたアイリスがペットボトルの茶を喉に詰まらせている。
「ごほっ、あの……その」
「だって国籍が違うのに……そうだ! 梓ちゃんとセレスタン先生も国籍が違うでしょ?」
「そうです! そうなんです!!」
「そうだけど! 立場逆じゃん! そりゃ、響一は未経験にしちゃ上手いけど!」
「ほらー!」
「蓮華先輩、女子に興味ゼロなのにお上手なのですか……すごい」
「ま、響一の家は女性ばっかだから。英才教育? の賜物だぜ。本人は否定するだろうけどな」
「ぶっ、何それ、面白い! まさか……」
「知識的英才教育」
なるほど、と二人は頷いた。
「蓮華先輩ってすごい完璧な人ですよね」
「そうでもないぜ。時々ヘマやらかして。それはそれで面白いんだけど」
「前々から思ってたけど、アイリスちゃんって見た目はとってもフランス人なのに中身はとっても日本人だねぇ」
「そうですね」
「まぁ。何となくさ。前から知識はあったんだけど。性に合ってた、って感じ。来てから知った事の方が多いよ」
「そうなんですか」
「セレスタン先生は良くも悪くもその場のテンションがアゲアゲの人だから。ま、頑張れ」
「うー」
梓は何度もテンション、テンション、と呪文のように呟いた。
支部大会は全国大会の一歩手前だ。
この時点でも凄い演奏をする団体が目白押しになる。
開催時期はだいたい8月末から9月。
響一は聞いた話の複雑さとは違ってあっさり部活に戻って来た。
早朝に様子を見れば変わらないのは一目瞭然で早朝の合奏では変わらずプロをも黙らせる素晴らしい音だった。
昼に大会の為に楽器の輸送の打ち合わせ……を口実にお昼に誘っても変わらず。
藤棚の藤は流石に枯れてしまったが、そこにはベンチがあり屋外なら昼に最適の場所だ。
珍しく彼は普段はほとんどが買い弁なのに何故か手作り弁当だった。
中身を開いて苦笑する響一は珍しい。
「それは? 先輩が?」
「いや。親父」
これでも海は響一とは親しい方だとは思っている。
そのさらりと『親父』と言えるその人は響一に害を成す人ではない事ぐらい想像するに容易い。
「そういえば、君が元ヤンだとあっという間に広まったな」
「ええ、まー。でも部員に苦情は来なかったんで大丈夫っすよ」
「新しい指導者……八木橋先生だっけ?」
「あー。その人も最初は苦手だったんすけどね」
「最初は」
そう。最初は。
しかし最近はそうでもない。
「まぁ、必死に謝られて。指導も結構的確だし」
「ほー。どんな指導なんだ?」
「……あれ。テクニックの話じゃねっすね。情緒が足りんと。蓮華先輩ぐらいになれとは無茶苦茶っす」
そう言うと響一はくすくすと笑った。
「そうか。どうなることかと思ったが案外上手くやれそうだな」
「はい。そこはやっぱプロっすよ。何だかんだセレスタン先生と似た人でしたね。その場のテンション上げんの上手いし」
「そうか、そうか」
何も躊躇いもせずそのおかずを神妙な表情で咀嚼する姿は珍しく思わず海でも苦笑する。
「あの人に会ったんだってな?」
「それは……」
「セレスタン先生だ。少々、面倒な事になって来たな」
「って、先輩は毎回面倒でしょーが」
「それもそうか」
「それじゃあ先輩にも?」
「ああ。まぁ、慣れてはいるのだが来てほしくないタイミングで来てくれたよ」
「ふーん。言いますか……部員に?」
「時期を見て考える。アイリスは知ってるし」
「して、審査に影響は……」
響一は弁当箱を閉じ、また謎のキャラクターだらけの可愛い……かは謎な袋に箱を戻していた。
そのまま立ち上がる。
「大丈夫だ。問題ない。捩じ伏せる」
と、また響一にしては珍しい台詞と共に、海の頭にコンッとペットボトルが当てられる。
これは朝の礼だろう。
「カッケー」
そのまま去る響一に迷いは一切も無かった。
中学の時からだ。音楽で何かある度に。
こっちに来い、こっちに来い。
こちらとしては忘れたいぐらいの存在なのに。
中学の成績は一年は支部ダメ金、二年生は全国ダメ金、三年は全国金で結局優勝は逃している。
全ての曲に響一がメインで関わった訳はないがこれだけあからさまだと絶望もしたくなる。
暑い日射しの中、響一はボソリと呟いた。
「一番納得させたい人に響かなきゃ、意味がない」
握るペットボトルが凹む。
北海道支部
東北支部
(宮城県 岩手県 青森県 秋田県 山形県 福島県)
東関東支部
(栃木県 茨城県 千葉県 神奈川県)
西関東支部
(新潟県 群馬県 山梨県 埼玉県)
東京支部
東海支部
(愛知県 三重県 岐阜県 長野県 静岡県)
北陸支部
(福井県 石川県 富山県 )
関西支部
(大阪府 京都府 兵庫県 滋賀県 奈良県 和歌山県)
中国支部
(広島県 岡山県 山口県 鳥取県 島根県)
四国支部
(香川県 高知県 愛媛県 徳島県)
九州支部
(福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 鹿児島県 宮崎県 大分県 沖縄県)
によるガチバトル(演奏)大会なのだ。
比較的有名な京都等は関西大会と呼ぶこともある。
問題なのは東京支部大会。
これは東京都の軒並み有名高校から2、3高校が代表に選ばれる。
他の支部が他県と合同なのに対し東京都は少し特殊だ。
東京都は東京都として代表に選ばれる。
だからと言って楽ではない。
当然の様にレベルは高く更に全国に行けば期待は並大抵ではないのだ。
その切符を手にした藤堂高校は当然注目の的だ。
元々無名だったから、という理由も大きいけれど何よりセレスタンと蓮華 響一の存在は大きい。
演奏も。経歴も。
そんな五月蝿い外野を一瞬で黙らせる音。
テレビで観ただけだが昔少し音楽を齧っていただけの梓の父でさえ夕食中に箸を落として呆然としていたのは今でも鮮明だ。
このがらん、とした校内で三人で昼食を食べる。
ただそれだけなのに何故か随分久し振りの様な気がした。
時は真夏日。
天橋立 梓にとっては少し憎い季節だ。
チューバという楽器がとことん重く熱くなる季節なのだ。
アイリスはトランペット。柚姫はクラリネット。それぞれ金管と木管で特に木管は日射しは天敵だがサイズ的にはまだいい。
「なんか三人で昼食って感じ久し振りの様な気がする」
そう言うのは柚姫だ。
確かに入学してから初期はそうだった。
毎日、三人で昼食。
梓は比較的弁当である時が多く他二人は意外と買い弁である時が多い。
寮生であるアイリスが忙しいという事情でそうなのは分かるが柚姫に関しては少し意外だ。何でも憧れだとか。
「そりゃ。最近はパートで集まる事多いし」
そこからは沈黙。
夏休みの食堂なんてほぼ無人だ。むしろどうして今日は二人がいるのか。そこを考えなければならない。
そして考えると必然的に浮かぶのが二人の恋人だ。
二人とも吹奏楽部の女子という括りを外してもトップレベルで可愛いので恋人がいる事に関しては自然な話だ。
だが油断は禁物。
目の前の二人は恋人。正確には彼氏持ちなのだから。
相手がそれぞれ吹奏楽部部長の蓮華 響一と二年の必然的にリーダーである九条寺 海。
これでも梓の実家は一応カフェだ。
男性が苦手だという事はないが彼女たちの相手は相手でまたトップレベルにイケメンの実力者と来ている。
流石にもうチューバが恋人です、で誤魔化していると虚しいだけだ。
だからと言って梓にこれといった相手(人間)がいるかと問われると困ってしまう。
「……梓?」
「あ、ごめん! そうだね、なんだか久し振りですね」
「でも……それって私達のせいだと思うの。アイリスちゃん」
「……え?」
予想通り、アイリスはぽかんとした表情をしているが柚姫の言葉は案外正しい。
そして悲しくもアイリスもこと恋愛に関しては鈍くない。直ぐに察して微妙な顔で頷いた。
「あ、……ああ」
そうですよ!
私は何一つ変わっていません!!
変わったのは、変わっているのはお二人です!!
「そう! お二人ですーーーー!!」
「ひょえ!?」
「ちょ、誰も居ないからって突然叫ぶなよ!」
「だって……突然で驚いたのはこっちです。何かあったのですか?」
沈黙。
だから梓の元に集うのがそもそも間違いなのだ。
ようやく柚姫は口を開く。
「ほら、海君って蓮華先輩と仲良いでしょ?」
そう言えばそうだ。必然なのかこの二人の恋人は恋人で仲が良い。
柚姫の言葉にアイリスも頷く。
「何でか良いよな。ヤンキーとマジメ君って感じなのに」
「アイリスちゃん!!」
「良いじゃん。もう広まっちゃったし」
「そうですね……」
そう。もう広まってしまった。元々隠していた訳ではなさそうだが。
「そうなんだよね。こんなに話題になるなんて本人が一番ビックリしてるよ」
「まぁ、時々謎だったもんな。あのメガネ何か違和感……って感じ」
「それすっごく分かります」
そう。九条寺 海はあのダサ眼鏡が全く……似合っているとは思えない。
謎の目付きの鋭さとハキハキシャッキリしたリーダー気質があった。
それはとても頼もしかったので部員たちは今更彼が元ヤンキーだと言われても特に困ってはいないし妙に納得する所もあった。
「でも! 正直、蓮華先輩だってどういうこと、レベルで凄すぎでしょー!!」
柚姫が叫ぶのも分かるので梓はうん、うん。と頷いた。
アイリスは少し気まずそうに言う。
「仕方ねーじゃん。あの人、そういう事ベラベラ喋る人じゃないだろ? 結果的にその方が良かったし」
そう言われては何も言えない。
今だから良かったのだろう。あの、まだまとまりの無い時期にそんな事実が発覚してみろ。予想するだけでゾッとする。
「そうですね……蓮華先輩が部長で良かったです」
一時、梓は蓮華 響一が何故部長なのか全く分からなかった。
本人が言うぐらいの超物置き部長。
トランペットを吹く以外は何もしない。
しかしそれが如何に大変か常々思い知る。
それに彼は本当に何もしない部長ではない。
あの、まだ四月頃。
初心者も大勢いたあの時期に熱心に金管の指導をしたのは何を隠そう響一だ。
特にピストンの金管楽器の初心者はほぼ彼から楽器の基礎を習っている。
練習を率先していたり、促したり。そんな事は全くしないがその練習を否定する人でもない。
一人、同じ低音パートのユーフォの初心者が音が全く出ず。そんな時。あの地獄の合宿最終日に響一の音を聴いて泣く泣く辞めそうになった事があった。
レベルが違い過ぎる、と。
その気持ちは多くの部員が理解できたが響一は退部届けを前に必ず一言告げた。
『本当にそれでいいのか。まだ音も出ていない。君はまだ何も始まっていないのに』
と。そして、次に持ってくるならば相応の覚悟をしろ、と。
辞めるとは可能性を捨てる事だと。
それは少し意外だった。
もっとあっさり受け入れるか。違う言葉を言いそうなものなのに。彼は決して他人の努力を否定しない。
梓はようやく、この人は吹奏楽以前に音楽が、楽器を奏でる事が好きなのだと思い知った。
「でも……いいですよねぇ。お二人は彼氏持ちですし……」
『え?』
「梓だっているじゃん」
「そうだよ! 恋人の」
『チューバのセレス様!!』
二人は同時に叫ぶ。
あーあ。
だから嫌だったのに。
「もう、そんな非現実的な事は言いませんよ」
「えー、何でだよ。良いじゃん。自前チューバってスゲーぜ」
「うん、うん。あれを毎日担いで登校する根性は凄いよ」
梓は二人のこういう所が好きだった。
一言で断言すると可愛い。
そして性格も良しと来ている。
若干天然暴走の柚姫に意外と男前でクールなアイリス。
それぞれ気を使えるいい女だと断言しよう。
だから梓は勘で分かっていた。
二人は処女ではない。
それは女子高生にとっては重要なことで。気になることで気になる話題だが二人はそんなことは知ったことかと華麗にスルーする。時々彼氏がいるのも忘れそうになるほどだ。だから梓はずっと二人に聞きたいことがあるのだが上手く話題に出せない。
しかし。
ここは勇気を持って言おう。
「あの……私、お二人にお聞きしたいことがあるんです」
『え……?』
二人は同時にキョトン、とした表情をする。やはり超絶可愛いと同じ女の梓ですら思う。
「あの……込み入った話なのですが……」
「え、どうしたの? セレス様に何かあったの?」
「え? そうなのか?」
「一旦、セレス様は忘れて下さい!」
梓が真剣に叫ぶと二人はコクコクと頷いた。
「ぶっちゃけ言います。お二人は彼氏がいますよね?」
「うん。いるよ」
「あ……うん……?」
ズバッと頷く柚姫と何故か微妙に頷くアイリス。気になるが問題はそこではない。
「あの……その、そのですね。初めてって痛いんですか?」
今度は二人は同時にポカンとしている。確かに昼にする話題でもない。
しかし今を逃せば機はないのだ。
「初めて?」
「お二人、その……経験者ですよね?」
「あー……」
流石、アイリスは察しが良い。数分後、柚姫も意味を理解したのか微妙な表情をしていた。
「それって今する話題?」
「いや、何処をどう話せばいいんだよ……」
二人の問いは最もだ。
「でも……でも……知りたいんです」
「ふーん。つまり梓にも好きな人がいるのか」
梓はテーブルに顔面を伏せた。アイリスは察しが良過ぎる。
「え、誰だろ……人だよね?」
「人ですよ!!」
「うーん……偲君!」
「違います!」
「五井先輩!」
「違います!!」
そこでアイリスは閃いた、と言わんばかりに指をパチンと鳴らした。
「分かった。セレスタン先生だ」
「えー!?」
「な、何故……分かったのですか?」
「だって単にセックスの話を聞きたいなら柚姫だけでいい。私を呼んだ、ってことはつまり私も知ってる人だ」
『アイリスちゃん、スゲー!!』
梓と柚姫は同時に叫ぶ。
「でも、どうしてセレスタン先生? そりゃあ、イケメンだけど……」
「だって、だって……私のイメージするセレス様そのものなんです。最初は違うって、何度も思いました。けれど、真剣に指揮して、楽しそうで……私……」
そして二人は同時にうん、うんと頷く。
「アイリスちゃん、ごめんなさい……」
「いや、何でそこで私に謝るんだよ」
「え……だって……アイリスちゃんは……」
「もう恋愛感情はねーよ。私は……その、蓮華先輩が好きなんだ」
「そうですけど、今は!」
「あー、もー! いい。謝らなくていいし、相談に乗ってやるよ」
「アイリスちゃんって本当に格好いいよねぇ」
梓は柚姫の言葉に同意するしかない。
「ふぇえええ」
「泣くなよ、何が知りたいんだ?」
「……じゃあ、あの、……セレスタン先生って、今は恋人は……」
「音楽」
アイリスはズバッと言った。
「あらー。今までは?」
「さー。経験ぐらいはあると思うけど。ダチの親父が女紹介しても振られるぐらいは音楽が恋人だ」
「冗談ではないのですね……」
「そう。攻略は中々厳しいなぁ。オケメンバー、生徒、それだけで女として見て貰えない」
「うー」
アイリスは綺麗に食べ終えた弁当箱を片し、今度は何やら不思議な形をした、匂いからするにお菓子らしきものをテーブルの上に置いた。梓には見覚えはあるが本格的な物を食したことはない。
「それ、なあに?」
甘いものが大好きな柚姫は瞳を輝かせる。
「カヌレ。フランスの菓子。作ったのは蓮華先輩だけど」
「すごー! 海君から聞いてはいたけど本当に何でも作れるんだね」
「カヌレって結構難しいんですよ……しかも美味しい……」
梓はもぐもぐと食べながら感心する。
味。バニラの風味。堅さ。全てがパーフェクトだ。
「梓が認めるなら本物だな」
「うん、美味しい! ちょっと貰っていい?」
「良いぜ。蓮華先輩が一週間ぐらいは持つって言ってたから早めに食べろよ」
「うん!」
「九条寺先輩に?」
梓が問いかけると柚姫は首を振る。
「ううん。美化委員会の逆月先輩。最近茶菓子の研究してるの。お兄ちゃんと海くんの友達」
「へぇ」
「吹奏楽部の応援もしてくれてね。蓮華先輩のトランペットがとっても好きだって」
「蓮華先輩もそういや知ってたな」
「それはありがたいですねぇ」
「とーっても美形な人だよ。一見の価値あり!」
「彼氏がいる柚姫ちゃんが言うと説得力が違いますね」
「そう。同じ男を落とせるぐらい美形だね」
柚姫の言葉に梓は思わず水筒から飲んでいた紅茶を喉に詰まらせる。
「あ、ごめん、ごめん。経験の話だっけ。……そうだなぁ。私は痛くは無かったけど、前にも言ったけど未遂期間があったからなぁ」
「み、……未遂?」
「至るまでの色々?」
「色々……。器用だけど上手いかは比較しようがないなぁ。前後の情緒に問題あるし。多分、蓮華先輩の方が上手いと思うのです」
今度は傍観していたアイリスがペットボトルの茶を喉に詰まらせている。
「ごほっ、あの……その」
「だって国籍が違うのに……そうだ! 梓ちゃんとセレスタン先生も国籍が違うでしょ?」
「そうです! そうなんです!!」
「そうだけど! 立場逆じゃん! そりゃ、響一は未経験にしちゃ上手いけど!」
「ほらー!」
「蓮華先輩、女子に興味ゼロなのにお上手なのですか……すごい」
「ま、響一の家は女性ばっかだから。英才教育? の賜物だぜ。本人は否定するだろうけどな」
「ぶっ、何それ、面白い! まさか……」
「知識的英才教育」
なるほど、と二人は頷いた。
「蓮華先輩ってすごい完璧な人ですよね」
「そうでもないぜ。時々ヘマやらかして。それはそれで面白いんだけど」
「前々から思ってたけど、アイリスちゃんって見た目はとってもフランス人なのに中身はとっても日本人だねぇ」
「そうですね」
「まぁ。何となくさ。前から知識はあったんだけど。性に合ってた、って感じ。来てから知った事の方が多いよ」
「そうなんですか」
「セレスタン先生は良くも悪くもその場のテンションがアゲアゲの人だから。ま、頑張れ」
「うー」
梓は何度もテンション、テンション、と呪文のように呟いた。
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