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理想夢
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こんな晴れた日に私は息絶えたいと思うばかりだった。自分自身が命の終点を知ることができるのは今この時なのかもしれない。畳の上に敷かれた布団の中暑苦しさを覚えながらも静かに眠りに入る。2年ほど前から体調に異変を感じすぐ医者に診てもらったところ、いまだ見たことのないような病気だそうで、治す方法はまだ確立されていないようだ。その時は人生というのはこうも突然だなと思うのみで、死期に近づいてきた今となれば生き様を少しばかりの後悔を感じている。こんな晴れた日なのに外を散歩することや、運動できない自分の体を一度健康な体と取り替えてほしいと願っている自分が憎らしい。そこまで外に出て何かするようなことが特に好きなわけでもなかったのに、今になってできないものを欲しがり、ないものすら欲してしまっている。そんな都合のいいことなどあるわけでもないのに。後悔とは自分がその行為をやろうと思えばやれる、そんな状態では微塵も思わないのが不思議なところで、絶対にできなくなったその時に後悔が津波のように押し寄せてくる。前までは時々苦しくなる程度だったが、今では呼吸をするのですらつらく、苦しさを感じながら生活している。もう何をするにも息がすぐ切れ、体調を崩して3日間ほどは寝込んでしまう。それが今だ。久しぶりに外に出てみようかと外に出たばかりにこんなことになってしまっている。しかしこんな自分でも一つ何でもできる世界がある。それは夢だ。夢の中であれば、何にでもなれる。世界を救うヒーロー、様々な国に旅をする旅人、そして何も苦しくなく自由な状態で生活できる自分。そんな世界はとても魅力的で、その世界に潜れば現実を忘れさせてくれる。そんな理想郷のような世界。しかし、いつか終わりが来る。そしてその終わりが来る頃には脳の中の理想郷が一気に崩れ落ちて白紙になり、一気に現実という不自由な自分をたたきつけられる。寝て理想郷のような世界に行きたい反面、起きて記憶から消え現実をたたきつけられることの辛さがいつも混ざり合う。人間とは先の辛さがあっても一番近い幸せを取ってしまうものである。結局また理想郷の世界へ旅するのだ。いつも眠くなるころには、理想郷からの迎えが来たような感覚に陥ってしまう。また今日も迎えが来ている。この瞬間が一番幸せな時間だ。そのまま今日も夢の国、いや自分にとっての理想郷に身を置いて楽しもう。終わりが来ないようにまた祈りながら。そして目を閉じ、終わらない夢の世界へと旅立っていった。
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