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聖騎士と異端者
第39話 - オーク軍団 4
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決戦まで残り7日
軍団長室にシンラを呼んで決戦がどういう風に動くのか確認した
「《シンラ、決戦では兵隊の配置をどうするんだ》」
シンラは羊皮紙を広げ、駒を並べていく
「《プゴッ説明します、全ての陣営が隣接する二つの軍団に対して半分ずつ兵を出す、と言うのがいつものパターンですね》」
今のところそんなに難しくない
「………」
「《………》」
え?終わり?
大げさに説明します!っていうから構えてしまった
「《それだけ?》」
「《プゴッそうです》」
まぁ愚かなオークだしそうだろうとも
単にぶつけるだけというのもいいがそうなると各軍団1匹しかいない軍団長はいつもどうしてるんだろうな、見てるだけなのか
「《軍団長はいつもどうしてるんだ?》」
「《不利になっている方の加勢ですね、ジェネラルはオーク100匹程度楽に潰せるので結局いつも一騎打ちになります》」
こう聞くと恐ろしいんだよな、オークジェネラル
正面からの潰し合いでは体力と腕力が全て、となるとこれほど恐ろしい相手はなかなかいない
聖騎士たちがいくら重装備をしても恐れる理由がこれなんだろう
ジェネラル達は重装備なので毒ナイフも刺さりづらい
巨大な筋肉と皮下脂肪に守られ矢などの鎧を貫通できる飛び道具が刺さったところで大したダメージにもならない
俺は義手のおかげで腕力だけはオーク並みだ、シンラを倒せたのもマドロアの支援があったからだ
生身の腕でシンラの攻撃を受けていれば一撃目を防いだ時点で腕がしびれるかどこかしらが折れるなどして戦えなかっただろう
モルさえ俺一人でなんとかなるならゴズをシンラに任せてしまいたい
モルとズールを戦わせる事が出来れば俺は後ろからモルを襲う事ができる
モルの兵隊とズールの兵隊に噂を流して争う口実を作っておけば短絡的なオーク達の事だしきっと争うだろう
モルの注意をズールへ向かせる作戦が成功したらゴズをシンラに任せよう
そうと決まれば早速作戦開始するか
「《シンラ、これからまた各陣営の様子を見てくる。マドロアを守れ》」
「《プゴッ!承知しました!指一本触れさせません!》」
馬鹿なオークだ…いずれ死ぬとも知らずに
モルの陣営に向かう途中で、ふといずれ殺す事に抵抗を感じてしまった
困ったことに俺の方がシンラに愛着を覚えてしまっている
オーク達は馬鹿で雑だがそれだけに素直でよく言う事を聞く、できるかどうかは別だが
騙し続けていると俺の方が悪いのではないかと良心が痛む
修道院で捕えられた女たちの事を思い出せ
今もどこかで子袋と罵り女たちを穢している
オークは敵だ、クベアを死に追いやったゴブリンも敵だ
フルーフの言葉を思い出せ!
◆ ◆ ◆
”爛れた”モル陣営
モルの陣営は俺がシンラ軍団に来てからずっと荒れている
勝手にモルが部下を殺すので既に戦力に差がついているように思える
ジェネラルが100匹分の戦力なら誤差かもしれないが
壊れた塔に登り、陣営を一望できる位置についた
周りを見渡しながら考える
モルとズールを争わせる口実作りだが
さすがに敵の軍団の中、他のオークの目があるので声を上げて堂々と騙すのは難しい
動物の皮にズールがモルの悪口を書いている風にして置いてみるか
動物の皮にズールの指示をしたためる
“”””””””””“”””””””””“”””””””””“”””””””””
モルの子袋を殺せ
裏切者のシャーマンにやらせろ
ズール
“”””””””””“”””””””””“”””””””””“”””””””””
これでシャーマンが裏切っていると思うだろう
ズール側の陣営近くにある鍋の近くにそっと置く
しばらく観察しているとオーク達がやってきた
「《あー、腹減ったな》」
「《モル様これで何匹目だ?何匹殺されたっけ》」
「《20匹は死んだなぁ、機嫌悪い》」
「《はぁ…早く機嫌なおんねーかなぁ…あれ?これなんだ》」
うつむいたオークが皮の指示書に気づいた
隣にいるオークはよだれを垂らしながら皮を眺めている
「《あー?皮って煮たら食えるらしいぞ》」
「《なんだ飯か、鍋に入れとけ》」
鍋に投げ捨てるように指示が書かれた皮が投げ入れられる
くそっ!せめて読め!字が書いてあっただろ!
さすがオークだな、一筋縄ではいかない
悪い意味で
どうするか…書置きは意味がないようだ
どうせならシャーマンを本当に裏切らせるか
また壊れた塔に戻りシャーマンを探した
モルの軍勢のシャーマンは数が少なく探すのが大変だった
ようやく見つけたのは2匹、シンラ陣営側に近い塔
ズール陣営側に近い塔、この二つにいるようだ
ズール陣営側の塔へ登り、こっそりと忍び寄る
塔の最上階ではシャーマンがズール陣営を眺めながら愚痴をこぼしていた
「《あいつら毎日飽きもせずよくゴミ拾いばかりするなぁ。”爛れた”モルさまは毎日手下を殺してる…ズールの方がマシかぁ》」
モル陣営のオークどもは連日続くモルの部下殺しで士気が最低だな
ちょうどいい、交渉するのは楽だろう
足音を消してシャーマンの後ろに立ち、静かに話しかけた
「《助けてやろうか?》」
シャーマンは驚いて振り返り、腰を抜かした
「《ヒィィ…ニ、ニンゲンか…シンラのとこの…》」
「《決戦の時にモルをズールと戦うように仕向けろ、そうすれば俺がモルを殺してやる。シンラの軍団に来るといい》」
シャーマンはゆっくりと立ち上がり、強い疑惑の目で俺を見る
「《裏切れっていうのか??》」
「《戦闘が始まったら俺たちの軍勢に混じれ》」
シャーマンは少し考え、俺をチラチラと見ながら返事をした
「《条件がある、俺と手下をお前の側においてくれ。それなら手伝う》」
「《いいだろう》」
シャーマンは不安な顔をしながらウロウロしはじめた
俺が信用ならんようだな
「《俺を裏切るなよ?約束を破れば決戦のあとお前が裏切ったことをモルに伝える》」
「《そ、それはダメだ!わかった、やる…やる》」
軍団長室にシンラを呼んで決戦がどういう風に動くのか確認した
「《シンラ、決戦では兵隊の配置をどうするんだ》」
シンラは羊皮紙を広げ、駒を並べていく
「《プゴッ説明します、全ての陣営が隣接する二つの軍団に対して半分ずつ兵を出す、と言うのがいつものパターンですね》」
今のところそんなに難しくない
「………」
「《………》」
え?終わり?
大げさに説明します!っていうから構えてしまった
「《それだけ?》」
「《プゴッそうです》」
まぁ愚かなオークだしそうだろうとも
単にぶつけるだけというのもいいがそうなると各軍団1匹しかいない軍団長はいつもどうしてるんだろうな、見てるだけなのか
「《軍団長はいつもどうしてるんだ?》」
「《不利になっている方の加勢ですね、ジェネラルはオーク100匹程度楽に潰せるので結局いつも一騎打ちになります》」
こう聞くと恐ろしいんだよな、オークジェネラル
正面からの潰し合いでは体力と腕力が全て、となるとこれほど恐ろしい相手はなかなかいない
聖騎士たちがいくら重装備をしても恐れる理由がこれなんだろう
ジェネラル達は重装備なので毒ナイフも刺さりづらい
巨大な筋肉と皮下脂肪に守られ矢などの鎧を貫通できる飛び道具が刺さったところで大したダメージにもならない
俺は義手のおかげで腕力だけはオーク並みだ、シンラを倒せたのもマドロアの支援があったからだ
生身の腕でシンラの攻撃を受けていれば一撃目を防いだ時点で腕がしびれるかどこかしらが折れるなどして戦えなかっただろう
モルさえ俺一人でなんとかなるならゴズをシンラに任せてしまいたい
モルとズールを戦わせる事が出来れば俺は後ろからモルを襲う事ができる
モルの兵隊とズールの兵隊に噂を流して争う口実を作っておけば短絡的なオーク達の事だしきっと争うだろう
モルの注意をズールへ向かせる作戦が成功したらゴズをシンラに任せよう
そうと決まれば早速作戦開始するか
「《シンラ、これからまた各陣営の様子を見てくる。マドロアを守れ》」
「《プゴッ!承知しました!指一本触れさせません!》」
馬鹿なオークだ…いずれ死ぬとも知らずに
モルの陣営に向かう途中で、ふといずれ殺す事に抵抗を感じてしまった
困ったことに俺の方がシンラに愛着を覚えてしまっている
オーク達は馬鹿で雑だがそれだけに素直でよく言う事を聞く、できるかどうかは別だが
騙し続けていると俺の方が悪いのではないかと良心が痛む
修道院で捕えられた女たちの事を思い出せ
今もどこかで子袋と罵り女たちを穢している
オークは敵だ、クベアを死に追いやったゴブリンも敵だ
フルーフの言葉を思い出せ!
◆ ◆ ◆
”爛れた”モル陣営
モルの陣営は俺がシンラ軍団に来てからずっと荒れている
勝手にモルが部下を殺すので既に戦力に差がついているように思える
ジェネラルが100匹分の戦力なら誤差かもしれないが
壊れた塔に登り、陣営を一望できる位置についた
周りを見渡しながら考える
モルとズールを争わせる口実作りだが
さすがに敵の軍団の中、他のオークの目があるので声を上げて堂々と騙すのは難しい
動物の皮にズールがモルの悪口を書いている風にして置いてみるか
動物の皮にズールの指示をしたためる
“”””””””””“”””””””””“”””””””””“”””””””””
モルの子袋を殺せ
裏切者のシャーマンにやらせろ
ズール
“”””””””””“”””””””””“”””””””””“”””””””””
これでシャーマンが裏切っていると思うだろう
ズール側の陣営近くにある鍋の近くにそっと置く
しばらく観察しているとオーク達がやってきた
「《あー、腹減ったな》」
「《モル様これで何匹目だ?何匹殺されたっけ》」
「《20匹は死んだなぁ、機嫌悪い》」
「《はぁ…早く機嫌なおんねーかなぁ…あれ?これなんだ》」
うつむいたオークが皮の指示書に気づいた
隣にいるオークはよだれを垂らしながら皮を眺めている
「《あー?皮って煮たら食えるらしいぞ》」
「《なんだ飯か、鍋に入れとけ》」
鍋に投げ捨てるように指示が書かれた皮が投げ入れられる
くそっ!せめて読め!字が書いてあっただろ!
さすがオークだな、一筋縄ではいかない
悪い意味で
どうするか…書置きは意味がないようだ
どうせならシャーマンを本当に裏切らせるか
また壊れた塔に戻りシャーマンを探した
モルの軍勢のシャーマンは数が少なく探すのが大変だった
ようやく見つけたのは2匹、シンラ陣営側に近い塔
ズール陣営側に近い塔、この二つにいるようだ
ズール陣営側の塔へ登り、こっそりと忍び寄る
塔の最上階ではシャーマンがズール陣営を眺めながら愚痴をこぼしていた
「《あいつら毎日飽きもせずよくゴミ拾いばかりするなぁ。”爛れた”モルさまは毎日手下を殺してる…ズールの方がマシかぁ》」
モル陣営のオークどもは連日続くモルの部下殺しで士気が最低だな
ちょうどいい、交渉するのは楽だろう
足音を消してシャーマンの後ろに立ち、静かに話しかけた
「《助けてやろうか?》」
シャーマンは驚いて振り返り、腰を抜かした
「《ヒィィ…ニ、ニンゲンか…シンラのとこの…》」
「《決戦の時にモルをズールと戦うように仕向けろ、そうすれば俺がモルを殺してやる。シンラの軍団に来るといい》」
シャーマンはゆっくりと立ち上がり、強い疑惑の目で俺を見る
「《裏切れっていうのか??》」
「《戦闘が始まったら俺たちの軍勢に混じれ》」
シャーマンは少し考え、俺をチラチラと見ながら返事をした
「《条件がある、俺と手下をお前の側においてくれ。それなら手伝う》」
「《いいだろう》」
シャーマンは不安な顔をしながらウロウロしはじめた
俺が信用ならんようだな
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