穢れの螺旋

どーん

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聖騎士と異端者

第47話 - たくさんの戦 3

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ギルを屈服させ、オークの拠点に戻る際中にいろいろと聞いた

ここには軍団長が2体、ギルと”黒焦げ”グズがいる
グズは以前ギルが燃やし、黒焦げになったそうだ
それ以降逆らわないという

軍団長室へ向かい、グズを呼んだ

ギルとグズをテーブルに座らせ今後の方針を伝える

「《目標はここに来ている聖騎士の全滅だ、明日の朝から攻撃を仕掛けろ。一人も生かして返すなよ》」

ギルとグズは頷くと寝床に戻って行った

◆ ◆ ◆

早朝

夜明けとともにオークの大攻勢が始まり、聖騎士たちと交戦が始まった
聖騎士たちには下位のオークでは歯が立たず、数が減る一方だ

ただのオークでは歯が立たないか
重装備の聖騎士たちは厄介だな

「《ギル、グズ、前へ出ろ。バーサーカーたちも全て出せ》」

ギルとグズを前に出し、バーサーカーたちも突撃させた
ギルとグズが聖騎士たちを一方的に蹂躙していく

これでしばらくは持つだろう

小一時間ほど戦闘し、聖騎士たちを半数以上倒したところでまた状況が変わる
盾を持たず、大きな剣を掲げた一般の聖騎士とは装いの違う上級聖騎士が現れ次々とオーク達を薙ぎ払っていく
10人ほどの人数であるにも関わらず何人かはギルとグズを押さえ
大きな剣の一振りでバーサーカーさえも薙ぎ払っていく

親衛隊か?ずいぶん戦い慣れている
どうせオークも殺すのだ、しばらく暴れさせてオークの始末もついでにやらせよう

◆ ◆ ◆

ほとんどのオークが死に、ギルとグズは上級騎士を半数片付けた
聖騎士たちもほぼ残っておらず、残りは上級騎士6人と、ギャスラン、オーレオンだけだ
こちらは俺とギル、グズと数匹のバーサーカーのみ

ちょうどいい数になったな、まだ聖騎士たちが有利だが
ギルとグズはどこまでやれるんだろうか

ギルとグズ、バーサーカーは囲まれ、抵抗をつづけた
次第に輪が小さくなり、激しい戦闘となる

ギルとグズだけが残り、上級騎士たちは全滅、ギャスランも死んだ

「《ハァッハァッ…ようやく終わった》」
「《疲れた…》」

抜刀したオーレオンが聖騎士たちの拠点からゆっくりと現れる
巨大な両手剣を掲げ、土に足をめり込ませながら歩く

「《オーレオンか…あいつは手ごわいな》」
「《だけど一人だ、あと一人》」

疲れ切ったギルとグズがオーレオンを見ると左右に広がり、息を合わせて飛び掛かる
オーレオンは左手にいるグズを一刀両断し、足を軸に回転して身体を入れ替えると身体を入れ替えた勢いを利用して大剣を大きく横に薙いだ
ギルの胴は真っ二つに分かれ、あっという間にジェネラル二匹が死んでしまった

強い

俺はメイスを両手に構え、歩み寄る
オーレオンも剣を引きずりながら歩き、相対した

「エーサー、やはり貴様が従えていたか。オークをたぶらかす才能があるとはな」
「黙れ、お前をここで仕留めて歪んだ正義を終わらせてやる」
「ふん、マドロアは最後までお前の名前を呼んでいたぞ。恐怖に震え、痛みに耐え、必死にお前を呼んでいた。溶けた鉄に沈めてやった時も悲鳴すら上げずにな」

貴様…マドロアはそれほどの苦痛に耐えたのか…
俺を裏切るまいと…

「お前には何も守れん、お前を慕う人間でさえ簡単に手放す」

頭がうまく回らない
黒いもやと白いもやがぐるぐる回る

マドロア…怖かったろう…痛かったろう…

オーレオンは俺の戦意が消えたと事を確認し、大剣を横に薙ぐ
大剣は俺の胸に直撃し、吹き飛ばされた

鎧は砕け、岩に激突した
ガラガラと音を立てて小さな岩が降ってくる

マドロア…仇はとってやる…

口から血を吐き、呪印が血で満たされ
バキバキと音を立てて折れた骨が組み変わっていく
怒りと飢えがふつふつと湧いてくる

ゆっくりと立ち上がり、武器を構えた
大きな心臓の音と共に血が巡る
メキメキと音を立てて筋肉が肥大する

「《オーレオン!!楽に死ねると思うなよ!!》」

オーレオンは剣を構えながらゆっくりと近づいてきていた

「もはや人の言葉も失ったか、ここで終わらせてやろう」

俺は全力で走り出した

オーレオンは一歩引いて横に構えた大剣を振り回す
大剣を両手のメイスで撃ち落とし、大剣が勢いよく地面を転がっていく
撃ち落とされた大剣に引っ張られるようにオーレオンは体勢を崩し、手をついた

「ま、まて!」

左手を前に突き出し静止を求めるオーレオンの手をメイスで殴りつけ、右腕、両足を順に砕いていく
声にもならない悲鳴をあげながらオーレオンは仰向けになった

「…トドメをさせ…」

激しい怒りがトドメを刺したい衝動に駆られる
メイスを捨て、必死に身体を両腕で締め付け、耐えた

震える手でオーレオンの鎧を剥がしていく
オーレオンは痛みに耐えながら質問した

「拷問するつもりか!?俺は屈しないぞ!貴様のために挙げてやる悲鳴などひとつもない!」
「《必死で耐えろ。生きたまま腹の中を混ぜてやる》」

どれだけ人道的でないことも、俺の心は揺らぐことはなかった
腹の皮を素手で引き裂き、筋肉を引きちぎり、腕を埋め、爪を立てながらかき混ぜる

オーレオンは想像を絶する痛みに、俺の姿に恐怖し、力の限り叫んでいた

「ぐ、あぁぁぁあああぁぁああぁぁあぁ!!!」
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