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ぷろろーぐ
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――この世とあの世の境目はどこにあるのだろう?
夢を見ていた。
あれはいつの事だろう。
忘れてしまうほどずっと前のこと。
思い出そうとすると胸の奥がちりりと痛む。
とろりと深い闇の中。滲むような歌声が響く。
――ねんねんころりよ、おころりよ
――ぼうやのおもりは、どこへいった
――あの山越えて、里へいった
聞こえてくるのは子守歌。
心地よい歌声は深い眠りを誘う。
不意に身体を揺すりあげられ、菜月は重たいまぶたを開けた。
目に映るのは白い着物。
顔を上げれば黒髪を結い上げた白く細いうなじ。
細いおくれ毛がふわりと揺れるその人の顔は――背負われていて見えない。
「――――?」
菜月は赤い撫子を描いた浴衣姿。
(なんで浴衣なんか着てるんだろう?)
なにより小さな菜月が女性に背負われているのか分からない。
ゆったりとした歩みにあわせて聞こえる、からころと陽気な下駄の音。
「……あ!」
(浴衣……下駄……今日は縁日だ)
それはお盆の送り火に合わせて開かれるお寺の縁日。
人混みに揉まれて歩けないと駄々をこねておんぶをせがんだ。
初めのうちは背中越しに目を輝かせていたのだがいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
「――菜月? 急にどうしたの? 怖い夢でも見ちゃった?」
小さな声に気づいたのだろう、笑みを含んだ声は柔らかい。
「……ううん」
答える菜月のまぶたは重たい。
ひんやりとした背中に頬を押し付けて声だけで返事をする。
着物から香るのは――どこかで嗅いだことのある少し苦い匂い。
(花、みたいだけど違う。なんだか薬みたいな匂い)
「ここはずいぶんと暗いから、菜月は女の子だし、怖いでしょう?」
「怖くないもん」
頼りない提灯が照らすのは石畳の細い一本道。
闇に沈んだ周囲が少し怖かったが、それを知られたくなかった。
女性の方はとっくに菜月の本心など見抜いていたのだろう。
「そうかい」
問い返すことなくふふと笑って菜月を揺すり上げる。
「――――」
声に聞き覚えがあるのに――なんと呼びかけていいのか躊躇った。
(お姉さんじゃないし……えっと……)
そんな菜月を気に留めることなく女性は問いを重ねる。
「縁日は楽しかったかい?」
「うん。楽しかった。また行きたい」
目を閉じれば縁日の賑やかな景色が思い出される。
金魚すくいに、綿菓子、香ばしいたこ焼きや焼きとうもろこし、色とりどりの駄菓子を並べる夜店。
「そうかい、けど、また来年だね」
背負われたまま進むのは藍の色に沈んだ薄暗い夜道。
二人の他に気配はなく、祭囃子の笛の音も聞こえない。
細い路地を照らすのは等間隔に吊るされた夕焼け色の提灯。
まるで鬼灯のような不思議な形のそれが行く手を照らす。
「菜月は少し見ない間にすっかり大きくなって、重たくなった」
「……うん」
独り言のようなつぶやき。
それを聞きながら歩みに合わせて背中で揺さぶられているうちにぬかるみのような深い眠りに落ちてしまいそうになる。
「はしゃぎすぎて疲れちゃったんだね。本当は菜月とずっと一緒にいたいけれど……連れて行くには早すぎるからね」
少し切なそうな声を聞きながらたまらず菜月はまぶたを閉じた。
「――菜月、また会いに来てくれるかい」
沈む意識の中、闇に滲むような声。
ひどく懐かしい――振り向いたその面差しは菜月に似ている気がする。
(そうだ、この人は――)
「――おかあさ……っ! えっ……わわっ、どえぇぇ……っ!?」
呼びかけたその声で目が覚めた。
あとに続くのは女の子とは思えない、いささか騒々しい悲鳴。
呼び止めるように伸ばした菜月の手は虚しく空を掻き――刹那。世界が回って鈍い音と共に目の前で星が飛んだ。
「い……ったぁ……」
最初に感じたのはひりつくような痛み。
特に左肩と背中、そして頬のあたりが熱を帯びて地味に主張してくる。
顔をしかめた視界に飛び込んできたのは見慣れた床。なにかをつかむように伸ばした手は床に落ちた上掛けをつかんだ。
「びっくりしたぁ……」
最悪の目覚めだ。
高校生にもなってベットから転がり落ちて目が覚めるなんてあり得ない。
(夢……か?)
細く開いたカーテンの隙間から差し込む光は強烈な夏のもの。
外から聞こえるセミの大合唱は聞いているだけで暑苦しい。
のろのろと体を起こして、小さくうめいて左肩をさする。
(思いっきり床に打ち付けたし……痛い)
寝ぐせのついた栗色の髪――まるで鳥の巣のよう。
パジャマ代わりの短パンとTシャツは汗でしっとりと湿っている。
八つ当たりをするように薄い夏掛けをベットの上に放り上げて、だるい体を起こした。
細く息を吐いて手の甲で額の汗をぬぐい、ベッドの上で震える携帯電話をつかみ取る。
確認した時刻は――六時。
真夏の太陽はとっくに高く上っている。
(早起きしたってもうやることはないのに)
小さくため息をついてにらんだ壁のカレンダーは八月。
十五日に赤い丸が付けられている。
その日まであと五日。
その日は菜月にとって――特別な日。
階下にはすでに人の気配がある。
部屋に忍び込んだみそ汁の香りに育ち盛りの腹の虫もたまらず悲鳴を上げる。
身支度を整えるために部屋の隅にある大きな姿見をのぞき込んだのは一人の少女。
名前は新堂菜月、十六歳。
いそいそと着替えたのはお気に入りのTシャツとデニム。
最後に机の上のメガネを取り上げて顔を確認する。
(とりあえず顔は……無事と)
手櫛で撫でつけた栗色のショートボブには寝ぐせが残っているが気にしない。
色白で身長は平均よりやや低い。
天は一物すら与えてくれなかったようで胸も小ぶりでゴージャスな特徴もない。
いたって普通のチビである。
普段着がコレなので男の子に間違われることもしばしば。
(おしゃれに興味がないわけじゃないけど、必要性を感じない)
行きつけはおしゃれな雑貨屋ではなくご近所のスーパー。
おしゃれして出かけても誰も見ていない。
むしろタイムセールには動きやすいこの格好が一番だと思っている。
(セール品ゲットはベテラン主婦には負けない自信がある)
だが、菜月の生活はほんの二カ月前に激変した。
※※
新しく連載始めました。
「あやかし」が出てきますが怖くありません(*'ω'*)
のんびり毎日12時公開予定です。よろしくお願いいたします。
夢を見ていた。
あれはいつの事だろう。
忘れてしまうほどずっと前のこと。
思い出そうとすると胸の奥がちりりと痛む。
とろりと深い闇の中。滲むような歌声が響く。
――ねんねんころりよ、おころりよ
――ぼうやのおもりは、どこへいった
――あの山越えて、里へいった
聞こえてくるのは子守歌。
心地よい歌声は深い眠りを誘う。
不意に身体を揺すりあげられ、菜月は重たいまぶたを開けた。
目に映るのは白い着物。
顔を上げれば黒髪を結い上げた白く細いうなじ。
細いおくれ毛がふわりと揺れるその人の顔は――背負われていて見えない。
「――――?」
菜月は赤い撫子を描いた浴衣姿。
(なんで浴衣なんか着てるんだろう?)
なにより小さな菜月が女性に背負われているのか分からない。
ゆったりとした歩みにあわせて聞こえる、からころと陽気な下駄の音。
「……あ!」
(浴衣……下駄……今日は縁日だ)
それはお盆の送り火に合わせて開かれるお寺の縁日。
人混みに揉まれて歩けないと駄々をこねておんぶをせがんだ。
初めのうちは背中越しに目を輝かせていたのだがいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
「――菜月? 急にどうしたの? 怖い夢でも見ちゃった?」
小さな声に気づいたのだろう、笑みを含んだ声は柔らかい。
「……ううん」
答える菜月のまぶたは重たい。
ひんやりとした背中に頬を押し付けて声だけで返事をする。
着物から香るのは――どこかで嗅いだことのある少し苦い匂い。
(花、みたいだけど違う。なんだか薬みたいな匂い)
「ここはずいぶんと暗いから、菜月は女の子だし、怖いでしょう?」
「怖くないもん」
頼りない提灯が照らすのは石畳の細い一本道。
闇に沈んだ周囲が少し怖かったが、それを知られたくなかった。
女性の方はとっくに菜月の本心など見抜いていたのだろう。
「そうかい」
問い返すことなくふふと笑って菜月を揺すり上げる。
「――――」
声に聞き覚えがあるのに――なんと呼びかけていいのか躊躇った。
(お姉さんじゃないし……えっと……)
そんな菜月を気に留めることなく女性は問いを重ねる。
「縁日は楽しかったかい?」
「うん。楽しかった。また行きたい」
目を閉じれば縁日の賑やかな景色が思い出される。
金魚すくいに、綿菓子、香ばしいたこ焼きや焼きとうもろこし、色とりどりの駄菓子を並べる夜店。
「そうかい、けど、また来年だね」
背負われたまま進むのは藍の色に沈んだ薄暗い夜道。
二人の他に気配はなく、祭囃子の笛の音も聞こえない。
細い路地を照らすのは等間隔に吊るされた夕焼け色の提灯。
まるで鬼灯のような不思議な形のそれが行く手を照らす。
「菜月は少し見ない間にすっかり大きくなって、重たくなった」
「……うん」
独り言のようなつぶやき。
それを聞きながら歩みに合わせて背中で揺さぶられているうちにぬかるみのような深い眠りに落ちてしまいそうになる。
「はしゃぎすぎて疲れちゃったんだね。本当は菜月とずっと一緒にいたいけれど……連れて行くには早すぎるからね」
少し切なそうな声を聞きながらたまらず菜月はまぶたを閉じた。
「――菜月、また会いに来てくれるかい」
沈む意識の中、闇に滲むような声。
ひどく懐かしい――振り向いたその面差しは菜月に似ている気がする。
(そうだ、この人は――)
「――おかあさ……っ! えっ……わわっ、どえぇぇ……っ!?」
呼びかけたその声で目が覚めた。
あとに続くのは女の子とは思えない、いささか騒々しい悲鳴。
呼び止めるように伸ばした菜月の手は虚しく空を掻き――刹那。世界が回って鈍い音と共に目の前で星が飛んだ。
「い……ったぁ……」
最初に感じたのはひりつくような痛み。
特に左肩と背中、そして頬のあたりが熱を帯びて地味に主張してくる。
顔をしかめた視界に飛び込んできたのは見慣れた床。なにかをつかむように伸ばした手は床に落ちた上掛けをつかんだ。
「びっくりしたぁ……」
最悪の目覚めだ。
高校生にもなってベットから転がり落ちて目が覚めるなんてあり得ない。
(夢……か?)
細く開いたカーテンの隙間から差し込む光は強烈な夏のもの。
外から聞こえるセミの大合唱は聞いているだけで暑苦しい。
のろのろと体を起こして、小さくうめいて左肩をさする。
(思いっきり床に打ち付けたし……痛い)
寝ぐせのついた栗色の髪――まるで鳥の巣のよう。
パジャマ代わりの短パンとTシャツは汗でしっとりと湿っている。
八つ当たりをするように薄い夏掛けをベットの上に放り上げて、だるい体を起こした。
細く息を吐いて手の甲で額の汗をぬぐい、ベッドの上で震える携帯電話をつかみ取る。
確認した時刻は――六時。
真夏の太陽はとっくに高く上っている。
(早起きしたってもうやることはないのに)
小さくため息をついてにらんだ壁のカレンダーは八月。
十五日に赤い丸が付けられている。
その日まであと五日。
その日は菜月にとって――特別な日。
階下にはすでに人の気配がある。
部屋に忍び込んだみそ汁の香りに育ち盛りの腹の虫もたまらず悲鳴を上げる。
身支度を整えるために部屋の隅にある大きな姿見をのぞき込んだのは一人の少女。
名前は新堂菜月、十六歳。
いそいそと着替えたのはお気に入りのTシャツとデニム。
最後に机の上のメガネを取り上げて顔を確認する。
(とりあえず顔は……無事と)
手櫛で撫でつけた栗色のショートボブには寝ぐせが残っているが気にしない。
色白で身長は平均よりやや低い。
天は一物すら与えてくれなかったようで胸も小ぶりでゴージャスな特徴もない。
いたって普通のチビである。
普段着がコレなので男の子に間違われることもしばしば。
(おしゃれに興味がないわけじゃないけど、必要性を感じない)
行きつけはおしゃれな雑貨屋ではなくご近所のスーパー。
おしゃれして出かけても誰も見ていない。
むしろタイムセールには動きやすいこの格好が一番だと思っている。
(セール品ゲットはベテラン主婦には負けない自信がある)
だが、菜月の生活はほんの二カ月前に激変した。
※※
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