この想いを君に伝えたい

こーちゃん

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プロローグ

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夕日が沈み出す18時頃。
私は、今は使われていない公園のベンチに腰を掛けていた。滑り台やブランコ、砂場や鉄棒など、何処にも良く見られるような公園で一休みしている。
最近出来た公園が近くにあり、トランポリンやジャングルジムなどが設備されており、小さい子供や小学生など多くの人に人気となっている。
中学校を卒業したばかりだが、友達は1人として居らず、恋愛も諦めていた。周りからは虐められ、先生に言っても無視られ、親にも見離されていた。
私の居る公園に犬の散歩で、50代くらいの女性が入り、隣に座る。

「1人で休みとは、気分転換かい?」

「あー、まぁ、そうですね!」

私は、誰とも話したくない。そんな雰囲気を出しながら話す。それでも、笑顔で対応してくる年配の女性。
笑ったり、笑顔になったりなどは幼稚園に入る前が最後であり、その後は虐められてばかりで、全くなく、笑顔の仕方も忘れてしまった。

「見た目は学生のように見えるが、友達は居てるのかい?」

「まぁ、一応居てます。」

ここで居ないと言えば、昔の人は長話はするという勝手な偏見があるため、適当に居てると口に出す。

「良いね、私は昔は友達なんて1人も居なくてねぇ、友達が居てる事が羨ましいねぇ」

年配の方と同じ環境に居てる私は、分かり合えそうな感じがして、親近感が湧いてくる。
しかし、嘘付いてしまったため、本当の事を言うのが怖くなった。だが、少しでも話し相手が欲しい私は、勇気を出す。

「あのー、実は私・・・。」

「本当は友達居ないとかかい?」

「え!?何で分かるんですか?」

「それは分かるよ!私は友達居なかったから、気持ちが分かるんよ!」

「すみません、嘘を付いてしまって」

私は必死に謝ったが嘘を付いた事を、女性は許してくれた。それが何よりも嬉しかった。

「私もねぇ、自分の落ち着く場所で、よく座って、空を見上げたものだよ!だから、それを思い出して隣に座ったんだ」

「そうだったんですね。えーと・・・」

「私は由美と言うから、好きに呼んで」

「はい!ありがとうございます!由美さんは、旦那さんとか居てるんですか?」

「うん!居てるよ!高校卒業する年にねぇ、旦那さんが私を虐めから救ってくれてねぇ、徐々に心を開いて行ったよ」

「そうなんですね」

話し始めてから約1時間が経過し、すっかり辺り1面真っ暗になっていた。
時間も遅くなり、私は女性に別れを告げて家に帰る。その後、年配の方も犬を連れて帰って行った。

「ただいま」

私は聞こえるか聞こえないかくらいの小声で言う。部屋から出てきた祖母は、直ぐに近寄ってきた。

「沙希ちゃん、今日はいつもより遅かったね!」

「うん、ちょっとね。色々あって」

祖母が唯一の私の心の助けであり、いつも相談に乗って貰っている。
いつものように、今日あった出来事を話すと笑顔で、良かったね、と言ってくれた。
高校には行きたくない。という気持ちが強い。だが両親からは、行け!と言われるが、私の気持ちや現状も知らないのに、って、いつものように思っていた。
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