薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-4節. 停学期間を折り返した私は…

1.束の間の平穏を噛み締めます。

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 薬師の名門ブレルスクに入学した私は退学を予告されたので、好き勝手に暴れた。

 そしたら、退学の代わりに停学を喰らった。

 本当は退学処分を確定させるつもりが、裏目に出たみたいだ。ままならないもんだな、色々と。

 そして、停学期間に入ってもトラブルは舞い込む。

 友人を助けて、冒険者になって、図書館行って、争族に巻き込まれて……

 暗号解いて、迷宮ダンジョン攻略して、一芝居打って、ヘルデス邸から脱出して……

 テルマの従魔を迎えに行って、図書館の火災からヴラド とオルブを助け出して、樹海で黒獣カスを駆除して、カンナと秘密を共有して、密偵を脅して……

 ここまででやっと一週間……こんな調子で身が保つのだろうか。先に精神が疲弊しそうな気もする。

 そもそも、故郷の森と比べて日々が濃い。濃厚な日々に胃もたれしそうだ。これが王都都会か……あなどれないな。

 私、薄味派なんだよなぁ。

 そんなあれこれを考えつつも、日々は過ぎていった。

 気付けば、停学になって二週間……折り返し地点ターニングポイントに至った。

「おはようございます。アレクさん。」
「えぇ、おはようございます。カンナさん。」

 彼女はカンナ。とある理由で我が家の家事をお願いしている。

「本日の朝食は、ボア肉のホットサンド、トマトのスープとじゃがいものサラダです。」
「ありがとうございます。」

 それにしても、ここ最近で食事が随分と変わったな。私1人の時は、干し肉とパンぐらいなものだったけど、同居人の増加で食事事情が随分と変わったものだな。

 今日も、随分と凝った朝食だ。だが、朝食だけではない。朝・昼・晩と全てがこのクオリティなのだ。

 私の料理に興味を持ってくれたらしいので、拙いなりにも私の知っている調理法や香辛料の配合を教えると、みるみるうちに習得していった。今では掃除・洗濯に炊事も含めたあらゆる家事が彼女の担当だ。

 もはやメイドみたいな働き振りだ。メイドでは無いが。

「ふわぁ~……はよう、アレク。」
「おう、おはようテルマ。」

 こいつはテルマ。諸般の事情でウチに住み込んでいるクラスメイト兼弟子……で、合ってるよな?

「お、今日はホットサンドか。」
「はい、既にご用意出来ております。すぐお持ち致しますね。」
「おう、ありがとう。」

 本当は家事の一部を任せようと思ったんだけど……すっかりカンナに仕事を巻き取られてしまった。

 まぁ、所詮は建前だ。私的には全然構わない。

「どうぞ。(ゴトッ)」

 テルマの前に、山盛りのホットサンドが置かれる。実は、華奢な見た目に似合わずかなりの大食漢だったりする。

「相変わらずすげぇ量食うんだな。」
「いいや、まだまだ序の口だな。おはよう、ヴラド 。」
「おう、はよう。」

 この男前ラフな格好をしているのはヴラド 。諸事情あってこの屋敷に匿っている同居人で、Dランクの冒険者だ。

「あっ!ヴラド さん!またそんな格好で!服なら用意したでしょう?!」
「それって、あのヒラヒラしたヤツの事か?やだよ、あんなの着れるか。」
「あなたはまたそんなことを!もっと女の子としての自覚を持ってください!!」
「わかってるって。けど、アレク達は全然気にしてねぇだろ?」
「そういう問題じゃないんです!せめてもっと肌を出さない格好を!!」
「朝っぱらからうるせぇなぁ。それより朝メシ…」
「(ガシッ)来てください!私が見繕います!」
「へ?…いや、それより朝メシ…」
「ほら、行きますよ!!(グイグイグイ)」
「へ?ちょ…なぁぁぁぁっ!?」

 そうしてヴラド は、カンナにドナドナされていった。

 「(モグモグモグ…ゴクン)…相変わらず、大変だな。」
「あぁ……また勢い余ってメイド服を着せられなきゃ良いな。」

 カンナの言い分も最もだが、流石にメイド服を着せようとするのはやり過ぎだと思う。

「(モッモッモッ)服が無いから仕方ないんじゃないの?」
「だよなぁ……おはようエリック。」
「うん、おはよう。」

 テルマのホットサンドを一つ拝借して食ってるコイツはエリック。大図書館で働いていたが燃えてしまったのでウチで匿って居る。

「アレク、ヴラド 達の服って用意出来ないの?」
「出来ない事も無いが……流石にまだ店で買う訳にはいかないな。」

 ここ1週間は大人しくしていたとは言え、色々な騒ぎが治まりきってない今、服屋で異性の服を大量に買い込んだりしたら不審に思われる。まだ暫くは大人しくしていた方が良いだろう。

 かといって、私の服を貸すのにも限界がある。
 
「まぁ、近いうちにどうにかするよ。」

 そんなこんなで共同生活が始まってはや一週間。平穏な日々が過ぎていた。
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