薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-1節.授業を荒らして停学処分を受けた私は……

23.王都立の大図書館へ向かいます。

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「………苦節1ヶ月、やっと来れたな。」

 ここは都立の大図書館、かなり広い。そりゃそうだ。王都で一番の蔵書量を誇るからな。

 小麦の買い出しがてらここへ来た。

 これまで、ここへ来ようとする度に何らかのトラブルに見舞われて来ることがままならなかった。

 だが、ようやく来ることが出来た。これでようやくを果たす事が出来る。

 テルマに聞いた話によると、私の停学と同時に学院の図書室は生徒の立ち入りが全面的に禁止されてしまったらしい。恐らく、今回の件で他の生徒にまで醜態を指摘される事を恐れての事だろう。

 だとしたら、既に手遅れだ。

 元々、学園を去る前に全ての間違いを告発する事は難しいと思っていた。

 そうなると、私が去った後に教員達馬鹿共が再び教壇で無知を振るう事になる事は目に見えている。

 そうなると、残されるクラスメイト達はどうなるか……考えるまでもない。

 だから、これまでの授業で教科書の間違いについてを重点的に教えた。そして、不足分はテキストに詰め込んだ。今頃、クラスの皆んなにも回っている事だろう。

 彼ら次第ではあるが、私と同様に教員達へ反旗を翻す事も可能だろう。

 今の所、概ね予測の域は超えていない。だが、経験上、想定外の事態は必ず起こる。ここからどの程度ズレるか……そこが問題だ。

 まぁ、原本引用元となる文書が消失でもしない限り、何も支障はない。いくら連中でも、流石にそんな事をする訳ない……………ないよな?

 そして、今日はここにを求めてやってきた。

 寧ろ、停学によって学園に通わない大義名分を得られたからこの期間を利用して私自身も医学・薬学への理解を深める事にしよう。

 幸いな事に、薬慈院はこの前門前払いを受けた。臨時収入で資金も潤沢のため、しばらくアルバイトは不要だろう。要するに、今から夕刻まで時間は充分にあるからずっと図書館に篭れるって事だ。しかも、貸出をしてもらえるなら家でも読めるから一日で100冊は読めるかな。

 とはいえ……流石にあのやり方圧縮率100倍×1日1時間のショートスリープはやり過ぎって言われるかな?けど、わかってくれよカイル。限られた時間の中では、これが最善で最適なんだ。そもそも、全力を尽くせと言ったのはお前だし、文句は無しで頼む。

 とにもかくにも、早速文献を読んでいこう……と、考えたのだが……

「…………多すぎるな。」

 この図書館、あまりにも蔵書量が多すぎて探している本が何処にあるのかがさっぱりわからない。出来ればこういう探す時間不毛な時間は省きたいんだよなぁ。

 一応、学園の図書館の並びだとここの辺りの筈なんだけど……

「……う~ん。」
「どうしましたか?」
「……ん?」

 唸っていると、誰かに声を掛けられた。

「いえ……少し、探してる本が………」
「宜しければ、一緒にお探し致しますよ。」

 声のする方を見ると、同い年くらいの黒い長髪のが居た。胸に付けた名札には『エドワード』と書かれている。

「えっ……と……失礼ですが、どちら様でしょうか?」
「あっ……申し遅れました。僕はこの都立図書館で働いている者です。何か本をお探しの様でしたので伺いに参りました。」

 それはありがたい。丁度探しあぐねていた所だ。

「ありがとうございます。では、『エドワード』さん。早速宜しいでしょうか?」
「………あっ、はい、何なりとどうぞ。」
「………」

 ……どうにも、偽名っぽいんだよなぁ。応答に微妙なズレがあるというか……まぁ、あまり詮索しない方が良いな。

「『レッフェン・ファーレンの懸念』は何処にありますか?」
「……あぁ、あの本でしたら既に貸し出していて……」
「シリーズ全てですか?」
「……へ?」
「『レッフェン・ファーレンの懸念Ⅰ』は読みましたので結構です。今はその続編と小話を探してるんです。」
「えっ!?」

 少年は、酷く驚いた様子だった。何かおかしな事を言っただろうか?

「あの本を読破したの!?」
「え……えぇ、まぁ……そうですが。」

 どっちかっていうと、読んだがあるってだけなんだけど……って、めっちゃ目をキラキラさせてるし。

「ねぇねぇ!どうだった?感想とか聞かせて貰えない??」
「感想?………そうですね。今の王都がこれから抱えるであろう問題に対して忌憚なく切り込む姿勢と痛快な言葉回しが読んでて心地良かったです。」
「なるほど。他には?」
「他?……強いて言えば、比喩表現のチョイスから貴族よりも平民の方々へ広めたいって著者の意図も汲み取れました。」
「だよねだよね!やっぱりそうだよね!!」
「え…ええ……」

 急にフレンドリーになったな。

「じゃあ、(スッ)これとかは読んだ事あるかな?」
「えっ?」

 近くの棚から本を一冊取り出して聞いて来た。


 ー数十分後ー


「それじゃあ次は……」
「ちょっとストップ。」
「……え?」
「えっと……結局『レッフェンファーレンの懸念』シリーズは置いているんですか?」
「え………あっ!?」

 やっと我に返った様だ。

「………誠に申し訳ありません。つい、夢中になってしまい……」
「構いませんよ。ただ、そういったお話はまたの機会という事で宜しいですか?」
「………はい。では、早速ご案内を……あぁ、後ろですね。」
「へ?(クルッ)」

 見ると、丁度探していた本の場所に着いていた。

「ありがとうございます。お手隙をおかけ致しました。」
「いえいえ、僕の方こそ、とても充実した時間を過ごさせていただいて感謝しかないです。」

 そんな事言うなよ。照れるじゃないか。

「あの、お伺いしたい事があります。宜しいですか?」
「はい、何でしょうか。」
「もし宜しければ、名前を教えて頂けないでしょうか?」
「………」

 いくら会話が弾んだからといって、流石に初対面で名前を安易と教えるのはどうかと思う。

「是非とも教えて欲しいのですが……駄目ですか?」
「構いませんが、人に名前を聞く時は、まず自分からです。貴方も教えないといけませんよ?」
「!っ………」
「名前を知られる事はリスキー過ぎます。貴方だってわかってるんじゃないでしょうか?私はただの客で、貴方はただの図書館職員。それ以上は知らない方が良いです。お互いの為にも。」

 悪いが、あまり無闇に名前を認知される訳にはいかないからな。

「………わかりました。失礼な事を聞いてごめんなさい。」
「いえ、また宜しければ本の感想について話し合いましょう。」
「はい、では僕は自分の業務に……あっ!?」
「……どうされましたか?」
「受付交代の時間でしたぁぁぁぁ!!(ダダダダダダッ)」

 そう告げて、彼は一目散に走っていってしまった。

「………忙しない奴だな。」

 取り敢えず、目的の本を読む……前に、紹介された他の本も一通り読んでみるか。
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