薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-1節.授業を荒らして停学処分を受けた私は……

14.用事を思い出して急いで帰ります。

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 兎にも角にも、話はついた。さっさと後始末を終わらせないとな。

「ところで、この人たちは……」
「「「………(チーン)」」」
「ありゃあ……潰れてんなぁ。どうするリーシャ?」
「任せて。既に手配しておいたわ。」

 既に手を回していたのか。抜かりないな。

「ギルマスにも相談するけど、今回の件でライセンス剥奪でしょうね。」
「だろうな。」

 やっぱり、ヴラド は元からそれを狙って立ち回っていたんだな。

「まぁ少なくとも、こんな状態じゃ冒険者を続けられるとは思えないわね。」
「……そうですか。」

 咄嗟の反撃で手首の腱とか腰とかアキレス腱とかを損壊させちゃったからなぁ。日常生活もまともに出来るかどうか……

 となると、さっきの発言も含めて私は計らずして引導を渡した事になるのか。

「気にすんなよ。あれは純然な正当防衛だ。いざって時には、俺も弁護するから心配すんなって!」
「あぁ、ありがとう。」

 見抜かれていたか。けど、こういう見透かしは悪い気がしないな。

「それじゃあヴラド君、アレク君。この事についても話があるから明日また来てね。」
「おう。わかった。」
「……わかりました。」
「じゃあ、時間は明日の今ぐらいで良いかしら?」
「わかった。明日の正午にまた来る。」

 そうか。もう正午になるのか…………正午?

「あっ!!」

 しまった。ソラに留守番させてたのをすっかり忘れてた。

「どうした?」
「いや、その……ちょっと用事を思い出して……」
「そうか。直ぐに行け。」
「えっ?でも、串焼きは?」
「………切り抜ける方便のつもりだったんだが……そうだな。また明日って事で。」
「わかった。じゃあまた…」
「待て、(スッ)忘れもんだ。」
「えっ?」

 そう言って、さっきのマジックバックを差し出された。

「貸してやるよ。持ってけ。」
「で…でも……」
「気にすんな。いちいち取り出すのも面倒だし、明日返してくれれば良い。それに、ダチに遠慮なんてするな。」
「っ!………ありがとう。」

 なんだ、やっぱり聞こえてたのか。何から何まで世話になりっぱなしだな。

「そんな事より、早く行ってやれ。明日の正午、忘れんなよ!」
「……あぁ、また明日な。」

 そうして私は、冒険者ギルドを後にした。


***


 冒険者ギルドを後にした私は、北西区NWから南東区SEへ向かって帰路を辿っていた。出来れば図書館の下見ぐらいはしたかったが、彼女の容体が心配だ。

 それにしても、我ながら今日は短慮な行動が目立ったな。

 《きっと、疲れていたんですよ。昨日から色々ありましたから。》

 ……あぁ、なるほど。そういえば、昨日の午前中から徹夜+断食してたな。

 おまけに、輸血して栄養も根こそぎカンナさんに渡してた。そりゃ疲弊するわな。

 《普通は、死ぬと思うのですが?》

 日頃の備えのおかげだな。

 《その言葉で済ませるのは、いかがなものでしょうか?》

「(ストッ)……着いた。」

 近道もわかって一石二鳥だったな。

「(ガチャッ)ただいま。」
「師匠~!!(ダダダダダッ)」
「どうしたリク?ソラの真似なんて珍しいな。」
「………何でわかるんだよ。」
「ソラにしては声が高いし、垂れ目にし過ぎだ。」
「そんな見分け方されたのは、お前が初めてだ。」

 ソラと同じ事を言ってやがる。やっぱり双子だな。

「茶番は良い。要件は何だ?」
「お前の連れて来た……カンナだっけ?」
「(ダダダダダダダダッ)」
「………最後まで聞けよ。」

 不服そうなリクを尻目に、カンナの元へ駆けて行く。

「(バンッ)カンナ!!」
「(ビクッ)えっ……??」
「っ…………」

 見ると、包帯だらけの少女は目を覚ましていた。

「あ……あの………ど…どうかなさいましたか?」
「…………」

 信じられない。まさか昨日の今日で目を覚ますなんて……

「………失礼、取り乱しました。」
「い…いえいえ、こちらこそ、こんな格好で申し訳ありません。……ところで、ここは?」
「私の屋敷です。と言っても、厳密には友人から借りている屋敷です。それより、どこか不調を感じる所はありませんか?」
「…はい、お陰様でどこも痛くありません。」

 声を聞く限り、喉も問題ない様だ。見た限りでは他の不調も見られない。

 それにしても、驚いたな。意識を取り戻すのはもう数日先だと思っていたが……やっぱり、相当やばいな。私の血。

 とは言っても、念のためもう数日は安静にしていてもらおう。それと……

「カンナさん。お話があります。聞いて頂けますか?」

 苦節1週間。やっと、あの日の事を謝れる。

「まぁ、病み上がりですので、難しければ後日……」
「えっ?……えっと……」

 だが、彼女は若干の混乱がある様だ。

「………」

 当然だろう。昨日まで生死の境を彷徨っていたのだから。それに…

「(ガタッ)いえ、やっぱり忘れてください。」

 これは私の我儘だ。彼女を付き合わせる訳にはいかない。

「まだ病み上がりですので、しばらく休んでいてくださると幸いです。」

 謝罪をして許されるとも思えない。私は、さっさと退散すべきだろう。ついでに、食事の用意もして来るか。

「直ぐに食事をご用意致します。(ガチャッ)では、私はこれで」
「まっ……待ってください!」
「(ピクッ)」

 何故、呼び止められた?

「……どうされましたか?」
「お話を……聞かせていただけますか?」
「えっ?」
「差し支え無ければ、私は…今、お聞きしたいです。」
「………よろしいのですか?」
「はい、聞かせてください。」
「………」

 こんな時まで、彼女は優しい。この優しさで、どれだけ苦労してきたのだろうか。

「………わかりました。」

 何にせよ、やっと言える。

「話というのは、謝罪です。」
「………謝罪?」
「(バッ)本当に……申し訳ありませんでした。」
「っ!?」
「あの日、ちゃんとあなたの話を聞いていれば、こんな事になっていませんでした。どうお詫びすれば良いものか。」
「あっ…頭を上げてください!」

 こうなった経緯をずっと考えていた。

 予兆は幾つもあった。確認する機会も何度もあった。対策を考える時間だって沢山あった。

 にも関わらず、私はまで何もせず、あろう事か強行手段に出てしまった。

 そう。私は気付いていたんだ。

 彼女が、という事に。



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