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2章-1節.授業を荒らして停学処分を受けた私は……
21.弟子を家に住まわせる事にします。
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「それなら話は簡単だ。うちに住めば良い。」
「……へ?」
「空き部屋はいくらでもあるし、私は既に悪目立ちしている。今更印象が良いも悪いもないだろ。だから、うちに住めば良い。」
そうすれば、以前の様なトラブルからもテルマの事を守れる。
「……いやいや、流石に悪いって。薬慈院とかのバイトも断られたから家賃も払えないし……」
「大丈夫。住み込みの家政夫として雇うから。」
「家政夫……介抱以外の家事は全然やった事ないんだが……」
「私が1から教えるよ。」
「この事が知られたら、学費も止められるかもしれねぇ。それくらいの事はしてくるぞ?」
「問題ない。(ジャラッ)その時は、私が代わりに授業料を出す。」
「………この金は?」
「最近、薬慈院を追い出されてから新しくバイト(?)を初めたんだ。けど、思ったより稼ぎが良いから使い道のない金貨が溜まってんだ。泥棒に盗らせるくらいなら使って欲しい。返金の目処については、出世払いの催促無しで良いからさ。」
「……いやいや、そこまでしてもらう訳にはいかねぇよ。…………それに、これは……俺と俺の家の問題だし……」
なかなかに頑固だな。これは難航しそうだ。けど、こっちには奥の手がある。
「そうか?残念だな。学院外でも薬学を教えられると思ったんだが……」
「(ピクリ)」
おもむろに反応を見せる。
「そもそも、お前は私の弟子なんだろ?弟子が師匠の家に住み込むのは割と一般的だと思うがな。」
「……それは、ちょっと卑怯じゃないか?」
「何か勘違いしてる様だが、私は聖人君主や人格者ではない。目的の為なら手段を選ばないぞ?」
こいつの薬学に対しての探求心は計り知れない。この条件なら確実な筈だ。
「……何で…そこまで……」
「ん?」
「……何で、そこまでしてくれるんだ?」
意外だな。てっきり飛びついて来ると思ったんだが、当てが外れたか?
「今の俺には、一族を追い出されてコネもカネも無い。挙句、俺を抱え込めば絶対に貴族の面倒事に巻き込まれる。お前、面倒事は嫌な筈だろ?現にこれまでだって避けて来てた筈だ。どうして、俺のためにそこまでしてくれるんだ?」
まぁ、当然の疑問ではあるな。
「聞かない方が良いと思うぞ?結構くだらない理由だから。それでも聞きたいか?」
「聞かせてくれ。頼む。」
即答か。なら、出来る限り簡潔に伝えるか。
「ムカついたからだよ。」
「そうか、ムカついたから……は?」
流石に簡潔過ぎたかな?
「はっきり言って、私はこの学園が嫌いだ。」
「……そうだな。そりゃそうだ。」
「けど、お前やクラスメイト達と過ごす学園生活は好きだ。朝起きて登校したら何気ない挨拶をしたり、授業をしたり、昼は自前の昼食を食ったり、午後は朧げな思考に喝を入れて授業の続きと質問解答をしたり、帰りは薬慈院で爺さんにその日あった事を話したりしつつ仕事をこなして、終わったら家に帰って寝る。………そんな平穏な毎日が好きだ。それを、お前や彼らの価値がわからない馬鹿どもに略奪され、蹂躙されるのは鼻持ちならない。これ以上なくムカつく。」
「アレク……」
「だから、これは私のためだ。私の我儘でお前をうちで雇い、退学になるまでの残りの学園生活を充実したものにしたい。だから助ける。それでも断るか?」
数秒の沈黙が続く。
「………参ったな。断る理由が無くなっちまった。」
苦笑いを浮かべつつ、テルマがつぶやく。
「それで?どうする?」
「(スクッ)未熟で不束な者だが、(スッ)よろしく頼む!!」
手を差し出される。
「(ガシッ)……交渉成立だな。これから宜しく。」
差し出された手に握手で返した。
「じゃあ、薬学を個別で教える前に、家事手伝いをしてもらおうか。」
「おう!よろしく頼む!!」
これで、少しでも罪滅ぼしになれば良いな。
「(ガチャッ)………あの~、少しよろしいでしょうか?」
「……あぁ、カンナさん。どうされまし……」
「(カラカラカラ)麦粥をお持ちしました。」
「………」
「あの……アレクさん?いかがなさいましたか?」
「………」
「アレクさん!」
「(ピクッ)……あ、あぁ……ありがとうございます。」
不味いな。普通に見惚れてた。
「……へぇ。」
テルマ?なんだその『へぇ』は?何に対してのものだ??
「……もしかして、余計な真似でしたでしょうか?」
「いえいえ、そんな事はありません。丁度取りに行こうとしていた所ですから、寧ろ助かりました。本当に優秀でありがたいくらいですよ。」
「お褒めくださり、ありがとうございます。」
端的に言って、彼女はとても優秀だ。やって欲しい事を言葉で発する前に既に準備を終え、実施してくれる。先読みが出来ていて、器用。いわゆる痒い所に手が届くって奴だな。
「しかし、私もまだまだ未熟ですね。あなたを不快にしない様に、もっと精進します。」
「いやいや、別にそこまでしなくても大丈夫ですって。不快だなんて思っていませんよ?』
ただ……一つだけ困った事がある。
「では、何故目を合わせてくださらないのですか?」
「質問を質問で返してしまい恐縮ですが……カンナさん、その服は何処で?」
「えっ?……あぁ、はい。屋敷の掃除をしている際に見つけました。」
屋敷の掃除なら、来た当初にプヨが大方行っていた。その時に、報告は受けていたからそれがこの屋敷にある事は知っていた。
捨てるのも何だし、どうしたもんかと思って保留していたが……まさか、それを彼女が着るとは思わなかった。
「(クルリッ)素敵なメイド服ですよね!」
「……えぇ…そうですね。」
何で、よりによって子供用のメイド服があるんだよ。しかも、採寸もピッタリだ。
出処は一つしかない。恐らく、前にこの屋敷に住んでいた住人の忘れ物だろう。徒弟がいたのかもしれないな。
しかし、そうなると不可解な所もある。
成人女性用のメイド服が全然見つからないのだ。それだけじゃない。家事を行う場所全てが子供でも扱える様にDIYされているのに対して、大人サイズだと手に余る物が多い。
だとすれば、完全にそういう趣味による収集物か何かだろうか、これらは。
どっちにしても、健全な代物とは思い難くなっている。
「……へ?」
「空き部屋はいくらでもあるし、私は既に悪目立ちしている。今更印象が良いも悪いもないだろ。だから、うちに住めば良い。」
そうすれば、以前の様なトラブルからもテルマの事を守れる。
「……いやいや、流石に悪いって。薬慈院とかのバイトも断られたから家賃も払えないし……」
「大丈夫。住み込みの家政夫として雇うから。」
「家政夫……介抱以外の家事は全然やった事ないんだが……」
「私が1から教えるよ。」
「この事が知られたら、学費も止められるかもしれねぇ。それくらいの事はしてくるぞ?」
「問題ない。(ジャラッ)その時は、私が代わりに授業料を出す。」
「………この金は?」
「最近、薬慈院を追い出されてから新しくバイト(?)を初めたんだ。けど、思ったより稼ぎが良いから使い道のない金貨が溜まってんだ。泥棒に盗らせるくらいなら使って欲しい。返金の目処については、出世払いの催促無しで良いからさ。」
「……いやいや、そこまでしてもらう訳にはいかねぇよ。…………それに、これは……俺と俺の家の問題だし……」
なかなかに頑固だな。これは難航しそうだ。けど、こっちには奥の手がある。
「そうか?残念だな。学院外でも薬学を教えられると思ったんだが……」
「(ピクリ)」
おもむろに反応を見せる。
「そもそも、お前は私の弟子なんだろ?弟子が師匠の家に住み込むのは割と一般的だと思うがな。」
「……それは、ちょっと卑怯じゃないか?」
「何か勘違いしてる様だが、私は聖人君主や人格者ではない。目的の為なら手段を選ばないぞ?」
こいつの薬学に対しての探求心は計り知れない。この条件なら確実な筈だ。
「……何で…そこまで……」
「ん?」
「……何で、そこまでしてくれるんだ?」
意外だな。てっきり飛びついて来ると思ったんだが、当てが外れたか?
「今の俺には、一族を追い出されてコネもカネも無い。挙句、俺を抱え込めば絶対に貴族の面倒事に巻き込まれる。お前、面倒事は嫌な筈だろ?現にこれまでだって避けて来てた筈だ。どうして、俺のためにそこまでしてくれるんだ?」
まぁ、当然の疑問ではあるな。
「聞かない方が良いと思うぞ?結構くだらない理由だから。それでも聞きたいか?」
「聞かせてくれ。頼む。」
即答か。なら、出来る限り簡潔に伝えるか。
「ムカついたからだよ。」
「そうか、ムカついたから……は?」
流石に簡潔過ぎたかな?
「はっきり言って、私はこの学園が嫌いだ。」
「……そうだな。そりゃそうだ。」
「けど、お前やクラスメイト達と過ごす学園生活は好きだ。朝起きて登校したら何気ない挨拶をしたり、授業をしたり、昼は自前の昼食を食ったり、午後は朧げな思考に喝を入れて授業の続きと質問解答をしたり、帰りは薬慈院で爺さんにその日あった事を話したりしつつ仕事をこなして、終わったら家に帰って寝る。………そんな平穏な毎日が好きだ。それを、お前や彼らの価値がわからない馬鹿どもに略奪され、蹂躙されるのは鼻持ちならない。これ以上なくムカつく。」
「アレク……」
「だから、これは私のためだ。私の我儘でお前をうちで雇い、退学になるまでの残りの学園生活を充実したものにしたい。だから助ける。それでも断るか?」
数秒の沈黙が続く。
「………参ったな。断る理由が無くなっちまった。」
苦笑いを浮かべつつ、テルマがつぶやく。
「それで?どうする?」
「(スクッ)未熟で不束な者だが、(スッ)よろしく頼む!!」
手を差し出される。
「(ガシッ)……交渉成立だな。これから宜しく。」
差し出された手に握手で返した。
「じゃあ、薬学を個別で教える前に、家事手伝いをしてもらおうか。」
「おう!よろしく頼む!!」
これで、少しでも罪滅ぼしになれば良いな。
「(ガチャッ)………あの~、少しよろしいでしょうか?」
「……あぁ、カンナさん。どうされまし……」
「(カラカラカラ)麦粥をお持ちしました。」
「………」
「あの……アレクさん?いかがなさいましたか?」
「………」
「アレクさん!」
「(ピクッ)……あ、あぁ……ありがとうございます。」
不味いな。普通に見惚れてた。
「……へぇ。」
テルマ?なんだその『へぇ』は?何に対してのものだ??
「……もしかして、余計な真似でしたでしょうか?」
「いえいえ、そんな事はありません。丁度取りに行こうとしていた所ですから、寧ろ助かりました。本当に優秀でありがたいくらいですよ。」
「お褒めくださり、ありがとうございます。」
端的に言って、彼女はとても優秀だ。やって欲しい事を言葉で発する前に既に準備を終え、実施してくれる。先読みが出来ていて、器用。いわゆる痒い所に手が届くって奴だな。
「しかし、私もまだまだ未熟ですね。あなたを不快にしない様に、もっと精進します。」
「いやいや、別にそこまでしなくても大丈夫ですって。不快だなんて思っていませんよ?』
ただ……一つだけ困った事がある。
「では、何故目を合わせてくださらないのですか?」
「質問を質問で返してしまい恐縮ですが……カンナさん、その服は何処で?」
「えっ?……あぁ、はい。屋敷の掃除をしている際に見つけました。」
屋敷の掃除なら、来た当初にプヨが大方行っていた。その時に、報告は受けていたからそれがこの屋敷にある事は知っていた。
捨てるのも何だし、どうしたもんかと思って保留していたが……まさか、それを彼女が着るとは思わなかった。
「(クルリッ)素敵なメイド服ですよね!」
「……えぇ…そうですね。」
何で、よりによって子供用のメイド服があるんだよ。しかも、採寸もピッタリだ。
出処は一つしかない。恐らく、前にこの屋敷に住んでいた住人の忘れ物だろう。徒弟がいたのかもしれないな。
しかし、そうなると不可解な所もある。
成人女性用のメイド服が全然見つからないのだ。それだけじゃない。家事を行う場所全てが子供でも扱える様にDIYされているのに対して、大人サイズだと手に余る物が多い。
だとすれば、完全にそういう趣味による収集物か何かだろうか、これらは。
どっちにしても、健全な代物とは思い難くなっている。
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